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襲名犯
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襲名犯の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 21~28 2/2ページ
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かなり批判的なレビューが多いですが、読者メーターなどでは好意的な意見が多いですね。 当然乱歩賞という大きな賞のため、期待値も高いのは当然でしょう。 でも、私個人は凄く楽しめました。この小説の真髄は、登場人物の成長、それに尽きると思います。 語彙も豊富で、何より、著者が述べる「タチムカウ」という言葉。それが如実に表れています。 ダヴィンチなどで著者が述べていた通り、猟奇殺人という不条理に対して、人がどうタチムカウのかが、 丁寧に、しっかりと書かれています。 ただの美形が「カリスマ」となるのも、非常に興味深かったです。時はネットがブームになった頃。 その頃に、何もポリシーのない殺人鬼が、周りの憶測によって持ち上げられるのも一本取られたと思いました。 作中に「民衆はハンニバル・レクターと勘違いしている」というような言葉がありましたが、 新田秀哉は、カリスマ性もポリシーもないからこそ、カリスマになったと感じました。 乱歩賞の作品は結構読んでいますが、毎年こういった「乱歩賞なのにつまらない」といったレビューを見ます。 乱歩賞は、新人発掘の場です。(例外もありますが)当然、粗はあります。それは選評委員の言った通りかもしれません。 ただ、重大なのはこの作者が世に出たこと。そして、少なくとも私はこの小説を読んで、登場人物と一緒に悩んだり、 自分に置き換えたり、最後はカタルシスを覚えました。もっと星をつけたいくらいです。 「乱歩賞だから、完璧な作品に違いない!」と思ったら、確かに落差はあるかもしれません。 でも私は素直に「面白い小説が読めた!」と思いたいです。 私は、南條仁という主人公を一生忘れません。タチムカウというその姿勢を、見習いたいです。 次作も楽しみです。 | ||||
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面白くない。だから★一つしか付けられない。 これは選考委員もそのようで、巻末の選評を見るとケチョンケチョンだよw こんな選評載せてたら売れないんじゃないかww 巻頭についての事なので、ネタばらしはご容赦いただきたい。 エンタテイメント小説のお約束として、まず魅力ある書き出しで読者のハートをぐっと掴む、というのがある。 この小説では、巻頭に死刑執行のシーンが6ページほどある。このシーンは特に魅力あるとも思えないのだが、まあいいだろう。ここが読者のハートを掴むポイントというわけだ。 でその後、第一章から突然図書館の話になる。図書館は茨城県にあってそこの司書の男が出て来て、どうやらこの男が主人公らしい。つまり作者が茨城県の図書館司書なのでそこの話を書いたわけだ。 ・・・なんだかなぁ。あまりに安直じゃないの。 自分のよく知ってる世界を書くというのは手堅い小説作法だが、とにかく全然面白くない。前の死刑執行のシーンとのつながりも見えない。それでも余人の知りえない図書館の内実を「うんちく」として書いてくれるのなら読ませるのだが、そういうのも無い。 まあ、ここから先の展開はご一読を。 要するに、読者を面白がらせるポイントが無い。あまりに型にはまりすぎているのだ。突き抜けた感じが全くしない。 作者の「どうだ。面白いだろう! すごいだろ!」と読者に向けた得意げな顔が見えない。「ぼくちゃん、規定演技がちゃんと出来ましたよ。型にきちんとはまってますよ。」と選考委員や出版社に向けている優等生の横顔しか見えてこないのだ。 そして江戸川乱歩賞はそれを評価してしまった。・・・いや、評価していないのかも。とにかく選考委員は全く評価していない。ならなんでこの作品を選んだのかと言いたくなるのだが。 江戸川乱歩賞の凋落が言われて久しい。今回もそれを証明してしまうような作品になってしまった。残念だ。 | ||||
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第59回江戸川乱歩賞受賞作。応募時のタイトルは「ブージャム狩り」 ブージャムと呼ばれた連続猟奇殺人犯と、その模倣犯を描いた作品。まず、先を読ませる推進力が感じられない。乱歩賞受賞作はすべて読んでいるが、読了に要した時間は最長かも知れない。場面の切り替わりや視点の移動が多いが、そのつど主語をぼかすという、近代ミステリにありがちな悪癖を見事に継承している(某賞の選評で、とある高名な作家先生ですら、それがミステリーでは普通なのだと豪語していたが、よほど上手く使わない限り、単に分かりにくくするだけだと私は思う)。読者の想像力を過大に評価しているのか、読み返しても意味がよく分からない文章も散見される。また、犯人の心理状態や動機は理解しがたく、更にその説明が曖昧なので余計にわかりにくい。結果的に読者は、心中に悶々としたものを抱えながら読み進めなければならない。 文章力は高いのか低いのか分からない。若手ワナビのように、過去形の(不自然な)現在形表記を多用するなど稚拙さが目立つ一方、ありふれた言い回しを使わないこと、語彙の豊富さなど、一定の水準は感じさせるものがある。 結末にはどんでん返しがあるものの、最初から意外性を求めているミステリーの読者にとっては想定の範囲内でしかない。また、霜野という友人の作家が異様に力を持っているなど、かなり人物設定に無理がある。いわゆる「キャラ立ち」も良くない。つまり、個性の描き分けが不足していて登場人物の魅力が乏しい。警察に関する描写が不自然な面もあるが、警察小説ではないので、それはまだ許せる範囲か。 良い面がない訳ではない。この作者はかなり読書家で知識が豊富で、しかも、細かな心理描写は若手としては比較的巧みな方だろう。今後ブレイクする可能性がないとは言わないが、現時点では未知数。少なくとも私は次回作を読んでみたいとは思わない。 | ||||
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第59回江戸川乱歩賞受賞作。・・と書くには抵抗がある作品です。 連続殺人犯(死刑)を崇めたてる人間が模倣して事件を起します。 全体のプロット、殺人後の処分のプロット等に抜けが感じられ、あれ?遺体どうやって処分したの? 何でこれが見つからないの?警察は流石にここまで無能ではないでしょ?と疑問符が頭の中に浮か んだまま解決されず終わっていきます。最後の「どんでん返し」はありますが、ちょっと違和感が残ります。 色々な資料や過去のミステリ作品を沢山読んで一生懸命話をつなげました。という印象が消えない作品です。 私は江戸川乱歩賞作品のファンでミステリ小説を読み込み始めた人間です。 ただし、第47回受賞作(「13階段」高野和明氏)以降の衰退ぶりは酷いと思います。 いや途中第51回受賞作(「天使のナイフ」薬丸岳氏)で盛り返したかにも見えたのですが・・。 残念ながらその後52回受賞作〜現在の作品は正直「面白い!」と感じる作品が有りませんでした。 年々下降線を辿っているように感じます。 これには主観が入ってしまいますが、第52回以降受賞作家さんが後にこの受賞作を超えるような作品を世に 送り出す事が出来ていないことがその証拠です。(そもそもその後、書けて居ない方もいますしね。) 巻末に書かれている選評を読んでも「仕方なくこの作品を選出した」という感じが大きく残念でなりません。 恐らく「該当無し」のレベルではないでしょうか。どうやらどうしても協会として選出しなければならないという雰囲気を感じます。 東野圭吾氏の「放課後」や今は亡き藤原伊織氏(私が一番好きな作家さんでした。)の「テロリストのパラソル」という 衝撃的なデビュー作で満場一致の納得の受賞作。しかも、直木賞のW受賞!! あの頃の江戸川乱歩賞受賞作品は素晴らしかった!! 更に今大活躍している作家の皆様(真保氏、鳴海氏、桐野氏、池井戸氏、福井氏etc多数)が大きくしてきたこの 「江戸川乱歩賞」をもう少し大切にしていただきたい!!・・と思います。 | ||||
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選評で石田衣良氏は「最終選考に残った5人のうち唯一の30代という若さ」を、今野敏氏は「読者に何かを伝えたいという思いが一番強かった」点を挙げて授賞に消極的な賛意を示されている。さらに、講談社の専用サイトに載った担当編集者のコメントにはこのように記されている。 「完成度、整合性、読みやすさ、そんなもので新人作家の価値をはかるつもりはありません。作品を読み、強く伝わってくる思い、伝えようとする決意があるか――。そこに尽きます。この作品には、著者の熱意と決意が溢れていました。そして、猟奇殺人モノという不穏な空気をまといつつも、この物語の根底に流れているのは、切なく優しい、人間への温かな目線です。人も死にます。皆が幸せになるわけでもありません。しかし、読み終えた時には、解放感とともに希望を感じることができるはず。それが、著者・竹吉優輔の最大の魅力であり武器であると思っています」 まあ、立場上、こういう表現しかできないんだろうなと、いささかご同情申し上げる。しかし、どれもがビジネスとして割り切るためのエクスキューズとしか思えない。他のマイナーなミステリー新人賞ならいざしらず、天下の乱歩賞で!! 320ページを超える長編だが、隔靴掻痒、最後まで物語世界へ入っていくことができなかった。「思いを伝えようとする決意」も「切なく優しい人間への温かな目線」も感じることができず、読み終えて「解放感とともに希望を感じること」もできなかった。 たとえば、おいおいよしてくれよ、青臭い文学青年の習作じゃないんだから、と思わずつぶやいてしまった次のような表現。 「生を踏みにじり死を形とする行為。それを行なうためには、人間を超越しなければならない」 「この街は、常に雨が降り注いでいる。赤黒く、粘ついた血の雨だ。血は溢れ、ドロドロと川を覆う。うごめく血液は、やがて海にたどり着き、世界を赤に染める」 「達観と若さの間を彷徨うかのようなアンニュイな表情」 さらには、「応える」と「答える」「真っ当」と「全う」などの誤記(校閲担当者は指摘しなかったのだろうか?)も、「髀肉の嘆」などの成句の誤用も逐一鼻白む。 今回は397篇の応募があったそうだが、予選段階で不運にも見逃された秀作がいくつあったのだろうかと考えてしまいました。 | ||||
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かつて乱歩賞受賞作「浅草エノケン一座の嵐」で、一騒動があった。 巻末選評があまりにボロクソなものが多かったのである。 売れっ子シナリオライターでもあった受賞者は怒ってその後長らく小説執筆をやめてしまった。 この選評内容で授賞するのはおかしいんじゃないかとか、 巻末に載せるのは売れ行きに影響するんじゃないかとか 議論が続いたあげく そのしばらく、乱歩賞受賞作は選評を巻末に載せなかった時期がある。 今回ちょっと驚いたのは、二人が消極的に褒めている程度で、とても受賞作という雰囲気の 選評でないこと。他の候補作ほど手酷くは貶されていない、という程度で、何だか消去法で 決まったような印象さえ受ける。これを先に読んだ人が買う気になるだろうか。 実際の作品も、過去に同素材のものが多数あるなかで突き抜けたものが感じられない。展開も 人物も、そこそこではあってもパンチが感じられないのだ。 | ||||
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よく調べて思いを込めて練り上げた「連続猟奇殺人を柱にしたB級ホラーもの」。中々面白いが、大人には物足りません。書ける作家さんには間違い有りませんが、もう少し世の中を学んで頂、描ける作家さんになってください。 | ||||
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小説や物語などの文学作品に求めるものは人それぞれでしょうが、自分は構成の妙を感じさせてくれる作品が好きです。その点で、本作は総体として★5の価値があると感じました。 登場人物の会話が軽妙で、無駄を省いた文体も手伝ってぐいぐい読まされます。実はAmazonで注文したのですがまだ届いておりません。昨日本屋で見かけて立ち読みをはじめたところやめることができず、最後まで一気に読んでしまいました(本屋さんごめんなさい)! でもキャンセルはせずに、到着したら再読を楽しみたいと思います。 場面によって表現に多少ムラがあるかな? とも感じましたが、それはさすがに求めすぎでしょうか。ともあれ、殺人の場面には背筋がぞくっとする迫力がありましたし、日常の場面には頬がゆるむユーモラスさも感じました。全体としてメリハリがきいています。それだけに事件の真相にははっとさせられ、その後の顛末にはほっとしました。猟奇殺人を扱っているにもかかわらず、「人」全般に対する深い愛を感じる筆力があります。 私は最近あまり小説が読めていないので最近のミステリーの動向がわからないのですが、さしあたって過去の乱歩賞の作品と比べた際に上位に入るお気に入りになりました。作者はこれがデビュー作とのこと。この出版不況の折に、長編で力のある新人が出てきてうれしいです。いかなる娯楽もハードルを上げればケチのつけようはあるでしょうが、それでもミステリー好きなら、今後の作者の進化と伸展を追うためにも早めに一読しておく価値のある良作だと思います。 | ||||
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