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凍
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凍の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.36pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全122件 81~100 5/7ページ
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沢木耕太郎らしい淡々とした筆致で極限の状態が描かれ、 季節は暖かくなってきているというのに雪山にいるかのような気分になってしまった。 『凍』というタイトルではあるが、描かれる夫婦の山に向ける魂は熱い。 山好きにはお勧め。 | ||||
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この本の内容は、実際の登山を題材にしたフィクションである。新田次郎などの小説もそうだが、この種の読み物はどこまでが事実でどこからが作者の想像した部分かがわからない。したがって、すべてフィクションだと考えて読んだ方がよい。しかし、「現実にこのような登山」があったことが、この種の読み物に読者を引きつけるのであって、まったく根も葉もない作り話であれば読む気がしない。ところが、内容はフィクションであるという矛盾がある。山野井泰史の「垂直の記憶」の方がリアリティがあるのは、ある意味では当然である。 他方、登山をしない人にとって、読み物の内容が虚偽のリアリティだろうが、本当のリアリテイだろうが、どちらでもよい。虚偽のリアリティは、それ自体が矛盾しているが、それでもよい。小説は、いわば作者に欺されることがわかったうえで読む読み物であり、逆に、読者が欺されなければ読者にとって小説は面白くない。 | ||||
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ノンフィクション作家が描く"山"小説。 「なぜ山に登るのか」という答え(答えでというよりかは、生き様の様な気もしますが) の一つが、明確に描かれています。 実際の登山の描写は、やや前知識がないと理解が難しい面もあると思います。 より理解を深めるため、登山映画や漫画(神々の山嶺がおすすめです)を見てから 読まれる事をお勧めします。 特に前知識無しに読んだので、この小説が書かれた背景等は知りませんでしたが、 作者の真摯な取材姿勢が、普段メディアに取り扱われる事を望まない登山家夫妻から、 詳細で生々しい内容/描写を引き出している事がわかります。 登山になど興味のない、という人にも読んでほしい名作です。 ぜひ巻末の解説まで読んで頂ければ・・・と | ||||
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クライマー山野井夫妻のギャチュンカン登山を作家の沢木耕太郎氏が ノンフィクションとして書いたものです。 題名の「凍(とう)」とは「闘(たたかう)」にも読めるのでこの題 名にしたそうです。 ギャチュンカンという山の説明から始まります。登山についてまった く知らない人でも、登山に関する専門用語が本文と共に解説されている ので、読み進めるのは難しくないと思います。続いて、山野井夫婦のそ れぞれの生い立ちから登山家に至までの経緯、二人の出会い、生活、そ してギャチュンカンへの登山、下山後の生活というのが流れです。 人によって印象に残る内容は異なると思います、個人的には登山家と いう道を選ぶまでのエピソードは、才能の目覚めと開花で、才能は人に 幸福をもたらすのか、不幸をもたらすのかよくわからなくなります。 さらに、登山を通して生きていく、生活していく夫婦の在り方でしょう か。お互いを思いやり、生きる道を共に見つめる。男と女、この場合に は夫婦の在り方の基本が書き込まれていると感じました。 読みどころは下山するときの心の葛藤だと思います。夫婦で登山する。 極限状況での判断が迫られ行動します。こういうレベルの登山家は自分 の原罪の意識をしっかりと自覚しながら生きているのだろうと推測しま した。 さて読み始めると、止まらなくなると思います。おすすめです。 | ||||
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ギャチュンカンの極限からの生還を描いた本書は,登山に詳しくない人が読んでもハラハラさせられるノンフィクションである。 山野井夫妻のドキュメンタリーを見たりすると,その極限状態で夫人の写真を撮ることが人としてどうなのかというところが議論されるが,本書では出発前の写真を家族に撮っておいてもらうところが胸にくる。 最後に著者が登場するところは好き嫌いが別れるところかもしれない。 | ||||
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あとがきも良かったです。 「自由」であるからこそ可能な純粋な山への対峙。 生と死が隣り合わせの状況で自分の力を引き出せる強さ。 超人的な反面、時に見せる人間臭さ。 いろんな意味の潔さを教えてもらったような気がします。 一言で言えばすがすがしい。 「上っ面のにせもの」にしか触れてない人に読んでもらいたい! | ||||
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世界最強のクライマー」と呼ばれた山野井泰史が 妻妙子とともに登ったギャチュンガン。その生還劇を 「深夜特急」の作者、沢木耕太郎が描いたノンフィクション。 文庫化された時に、平積みになっていて、 沢木耕太郎なんて「深夜特急」しか読んでないなって、 手にしたまま積読。 もっとも深夜特急もまともに全冊読んだわけでもなく、 大沢たかおのドラマを見た印象のほうが強いわけですが。 別に登山を趣味としているわけではない俺ですが、 読むに従い、どんどん感情移入していって、 のめり込むように読みました。 次々に迫り来る、究極の選択。 俺もヨメと一緒に山を登って、こんな状況になったら どうするだろうかなんてことも思ったりして。 まあ、ありえないんですけど。 ちょうどクライマックスを読んでいるあたりで この前の上海万博でネパール館訪問。 ネパール館には「世界の嶺全景」というタイトルで ヒマラヤの写真が飾ってあって、こんな山での 出来事なんだよなという思いも身近に感じつつ。 また、今回の旅では嘉峪関あたりからは南側に青海省の チベットの山々の見えました。 その時も山野井と妙子のことのちょっと思い出したりもして。 「深夜特急」を読んだり見たりした時は、同じような 旅をしたいと思ったりもしましたが、 さすがに、この「凍」を読んで、同じように山に 登りたいとは思わなかったですけどね。 もともと、そっち系ではないので。 でも、この本を読んで、思いを感じることが出来、 疑似体験をすることは出来たと思います。 [...] | ||||
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登山の経験のない私にもわかりやすく解説された文章 手に取るように伝わってくる緊迫感や臨場感で読書の苦手な私でも退屈せずにいっきに読み終えてしまいました ドラマとか映画にしてほしい一作です! | ||||
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これがノンフィクションだということに驚いた。非常に人間的魅力にあふれる、いや、強靭すぎて畏怖せざるを得ない人間性を兼ね備えた、主人公である夫婦に、ただただ、驚愕。 個人的な評価としては、「神々の山嶺」「栄光の岸壁」といったすばらしい山岳小説をも凌駕している。 | ||||
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この夫妻をひと言で表すなら「強い」としか言い様がない。山野井さんが強いのは当然として、奥さんの妙子さんは驚異的である。高度順応がうまくできないため、超高所にいるにもかかわらず、カロリーのある食事がほとんど摂れなくなってしまう。普通の人なら行動できなくなって凍死か滑落死するところを鍛え抜いた抜群の体力で生還するのである。妙子さんは女性クライマーとして華々しい登攀歴を持つが、性別を抜きにしても世界的に一流のクライマーである。恐怖を感じるセンサーが他人よりゆるい(失礼)とか、楽観的で前向きで、家事や事務能力が高いとか、キャラクターが立っている。この彼女が山から生きて帰れるのは山野井さんがいるからと夫を尊敬しているのだから、こと山岳においては最強の夫妻である。ジャンルは違うがハリウッドでたとえるならばブラピとアンジーである。 印象に残ったのは山野井さんが中学3年生の時、岩登りをしていて10メートルの高さから墜落し血を流して家に帰る場面である。父親が山をやめろと叱るが「やめさせるなら死んでやる」と言って包丁を腹に当てる。ここを読んではたと誰かの言葉を思い出した。「これが無ければ死んでしまうというほど夢中になれることを探しなさい」そういう意味で山野井さんは常に山と関り続け、幸せそうである。 沢木耕太郎さんの懇切な描写によりギャチュンカン雪壁の登攀、そして死闘の下降を疑似体験をすることができた。本書は先鋭的なクライマーに向けて書かれた物ではない。著者が恐らく想定しているであろう登山を全くしない人にも問題なくお薦めできる。こんな激しい生き様もあるのかと考えさせられる良書である。 | ||||
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沢木氏の本は深夜特急以来、読むのを敬遠してましたが、題材が題材だけに素直に期待して読みました。 期待はずれです。 最初の方で、ディック・バスとメスナーを同列に論じており、いきなり読む気がなくなります。山野井のスタイルの先鋭さを強調したいのでしょうが、非常に粗雑な印象を受けます。 何が楽しくて山野井夫妻はこんな苦しい登山を続けているのか、この本を読んでも分かりません。登山はもともと楽しいもので、山野井のスタイルもその延長にあると言う視点が、山登りをしない沢木氏になかったと言うことでしょうか。 文庫版解説の池澤夏樹氏によれば、よくぞこれだけの登攀描写をとのことですが、私はむしろ、登山経験もないのに、よくも見てきたようなことをと言う印象を拭えませんでしたね。 何も私は沢木氏に、ヒマラヤ級のクライマーとしての経験があれば、とか言いたいわけではありません。ただ、丹沢に登るくらいの経験は必要だったのではないかと思います。 | ||||
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個人的には、山野井氏自身が書いた『垂直の記憶』の方が、本人が書いていることもあって、体験がそのまま綴られており、安心して共感して読むことができたので、評価したいと思う。 こちらの作品『凍』の方は、他人から見た山野井氏として描いている分、どうしても描写が客観的なものになりがちで、同じギャチュンカンで生死の境を彷徨った氏を描くにも鬼気迫るものが違ってくるように感じる。 どちらも山をやらない人でも読めるような構成となっているが、本書は著名な作家が書いているだけあって、表現としての山、という観点からは楽しめる内容となっている。 山野井氏に関する書籍は、本人が目立ちたがりでないことも関係してあまりないため、時間があれば両方読んでおくと良いと思います。 | ||||
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本書は『新潮』2005年8月号に一挙掲載された「百の谷、雪の嶺」を改題・出版したもので、登山家・山野井泰史・妙子夫妻が中国・ネパール国境の山・ギャチュンカン(7952メートル)に北壁から挑戦した際の壮絶な登攀を描いています。約8000メートルの山に登ること自体が非常に厳しい闘いです。妙子氏は7500メートルから上を目指そうとした段階で体調不良のため登頂を断念、泰史氏が単独登頂を果たします。しかし、雪氷と雪崩、悪天候、凍傷に見舞われ、ベースキャンプ(約5500メートル)までの夫妻のそれぞれの下山行はまさに「闘い」です。下山後、泰史氏は凍傷にかかった右足の指5本と左右の手の薬指と小指を付け根から失いました。妙子氏は両手の指を付け根から失いました(ただし、両手の第二間接から上の指はギャチュカン以前の凍傷で既に切断)。 レビュアーは登山には素人なので、山野井夫妻の登攀スキルの高さを、実感を持って理解できるわけではありません。しかし、描写されるような困難な状況で、冷静な判断をほとんど失わずに壁面を降下するのに必要な作業を淡々と実行できる山野井夫妻の凄さが伝わってきます。それほど高い登攀スキルを有している泰史氏でも下山中、疲労のために幻覚を見、焦りから壁面降下の手順を省略し、ロープに足を挟まれて身動きが取れなくなるというミスを犯してしまいます。これが一層、胸に迫ります。具体的に「何」が衝撃的かを特定することは困難ですが、読後の衝撃が体から抜けません。 | ||||
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稀有な登山家・山野井夫妻の壮絶な山登りルポ。 タイトル通り、まさしく凍りつく感じの危機の連続。 ほんとなんか壮絶な世界をまるで見てきたように描いた、 リアルな話のサスペンス的物語で、 しかもそこに夫妻の山を通した生き様が描かれていて、とってもよい本でした。 かつての沢木耕太郎のノンフィクションのように、 彼の存在が皆無に等しいのが特徴かな。 登山家本人が書いたような本になっていて、 それで沢木耕太郎が書いたというのがなんとなくとても読みやすい。 | ||||
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稀有な登山家・山野井夫妻の壮絶な山登りルポ。 タイトル通り、まさしく凍りつく感じの危機の連続。 ほんとなんか壮絶な世界をまるで見てきたように描いた、 リアルな話のサスペンス的物語で、 しかもそこに夫妻の山を通した生き様が描かれていて、とってもよい本でした。 かつての沢木耕太郎のノンフィクションのように、 彼の存在が皆無に等しいのが特徴かな。 登山家本人が書いたような本になっていて、 それで沢木耕太郎が書いたというのがなんとなくとても読みやすい。 | ||||
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沢木さんが、夫婦愛について書くなんて珍しいなとは思ったのですが、そこは標高8000メートル弱。まさに極限状況での夫婦愛というのが、沢木流なんだと思います。 この本では遭難後、手術、リハビリ療養から再登山へと至るご夫妻の後日談も読むことができます。 にしても、沢木さんは、なぜこうまで極限状況における人間を深く追い求めようとするのでしょう? そんな極限状況を描く沢木さんの洞察眼は、取材力や想像力の域を超えています。正直、登山用語がわからず、その場面を細かくイメージできない個所もありました。けれど、そんな危機状況における人間の心の裡は、そのひだ一枚までも、圧倒的な切迫感をもって読むことができました。09002 | ||||
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山に挑む男を描くノンフィクション。 富や名声ではなく、自分が欲求をみたす、ただそのための挑戦。 過酷極まる登山の果てに重度の凍傷。 その凍傷の後の心の揺れ動き、葛藤、新たな意欲がわいている過程がうまく書かれている。 最後に山野井夫妻とともに思い出のギチュンカンの近くまで行く男性が、まさか著者の沢木氏本人だとは。 山野井本人の近くにいた著者だからこそ聞くことができた、最後の言葉、「終わったな」 作り物の感動話ではない、ノンフィクションだからこその深みのある話。 心に残る一冊になりそうです。 | ||||
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山野井泰史・妙子夫妻のヒマラヤの難峰ギャチュンカンへの挑戦を描いたノンフィクション。沢木耕太郎のてらいのない文体が冴えている。あくまでソロまた最少の人員・装備で,自らの力だけを頼りに頂上を目指す山野井のスタイルは,危険もあるが読んでいて心地がよい。講談社ノンフィクション賞受賞。 巻末の池澤夏樹の解説には,「最も自由なクライマー」と題して以下の文章が記されている。 「泰史と妙子は全くの自由なのだ。すべてを自分たちだけで決められるように生活を,人生を設計している。あることをするのに,他人が提示する条件を容れた方がずっと楽という場合でも,苦労を承知で自分たちだけでやる方を選ぶ。それは本当に徹底している。その姿勢をぼくは自由と呼びたい。」 スポンサーを求めず,節約を重ねて登山の費用を貯金し,かつトレーニングを欠かさない。登山に名声や名誉を求めない山野井夫妻の生き方は,実に示唆に富むものがある。自己を抑制し,身の丈にあった「自己完結」的な生き方は清々しい。 | ||||
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日本を代表するクライマー、山野井泰史・妙子夫妻のギャチュンカン登頂の記録。私が彼等夫妻を知ったのは、NHKでこの登山の後グリーンランドの岩壁への登頂のドキュメントを見たときであった。今でも思い出されるのが、泰史の人懐っこい笑顔と妙子の優しい微笑みであった。手の指全てを凍傷で失った妙子が器用に包丁や箸を使うところに感心したり、鴨居で懸垂をするときに、残った指が邪魔になる、といって笑っていた泰史の笑顔が頭に焼き付いている。その興味深い夫婦の登山を追ったドキュメント。 この登山は困難を極めるものとなり、人間の体力の限界や気力の限界を我々に示してくれ、またここまで人は耐えられるものなのか、と驚愕してしまう内容なのだが、一番きになるのは、死の代償を払わなくてはならない可能性のある、困難な登山に何故ここまで人は引き付けられるのか、ということである。泰史は11歳で登山に目覚め、そこから人生の全てを賭けて、登山に取り組んでいる。「そこに山があるから」という言葉では表されない、何かが潜んでいるのであろう。海外との登山家との関係でも、「登山」というまるで共通言語があって、その言語(登頂ルートでありスタイル等)で会話ができるのである。そこには人間の本質があるのかもしれない。アフリカの大地で産声をあげた人間の先祖が苦難を超えて、世界中に散らばったのは、険しい山脈を越えてきた経験がDNAに深く刻まれており、そのDNAを深く持ち続けている人間が登山家になるのかも知れない。とにかく頭では理解できない世界である。本当に人間の根源に関わる世界なのかもしれない。そしてその世界は厳しく険しいのである。人間の成長を一気に引き受けてくれるほど、偉大な世界なのである。 | ||||
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私は低山ハイカーなので高い山はもっぱら本や映像で楽しむだけなのですが、山野井夫妻のギャチュンカンの経験は凄まじいとしかいいようがないです。 渡したロープにブランコのように座って一晩ビバークとか(もちろん極寒のなか)目が見えなくなって素手で岩壁を探るとか、もうこれで今生の別れと思い立ち上がれない奥さんの写真を撮るところは泣けて泣けて・・・。 フィクションより凄いノンフィクションです。 | ||||
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