あなたがいる場所
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角田光代さんの解説が、すでにひとつの作品になっている。それはこの短編集の解説であり、かつ沢木耕太郎さんが生涯をかけて描いて来た世界の解説でもある。 若者はいつも、その選択が自分らしいのか、その行き先は自分に合っているのかで悩む。大人は、ある時は自分らしさを誇り、別のある時には「俺は本当はこうだったんだ」と人に自分を説明する。 しかし、その人がその人であることは、その人がして来た小さな決断の積み重ねを、周囲やある時点の自分が振り返った時に姿を表す記憶の体系であり、その選択は人が生きている限り続けなければならないものなのだ。そして年月とともにその人がその人である輪郭の精度は上がって行き、誰もそれを採点したり比較したりすることは出来ないのだろう。 | ||||
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良いです。 | ||||
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沢木耕太郎(1947年~)氏は、ノンフィクション作家、エッセイスト、小説家、写真家。著者が、1974~75年に香港からロンドンまでを旅した記録『深夜特急』(発表は1986~92年)は、当時のバッグパッカーのバイブル的存在としてあまりにも有名。1979年 『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、1985年 『バーボン・ストリート』で講談社エッセイ賞、2003年菊池寛賞、2006年 『凍』で講談社ノンフィクション賞を受賞。 本書は2011年に出版、2013年に文庫化された、著者初の短編小説集で、9つの作品が収録されている。(おそらく、サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』を意識しているのだろう) 私は、1980年代にバッグパックを背負って海外を旅し、沢木の作品はこれまでに、上記の各賞受賞作をはじめ、『敗れざる者たち』、『流星ひとつ』、『キャパの十字架』、『旅の窓』、『チェーン・スモーキング』、『世界は「使われなかった人生」であふれてる』、『旅のつばくろ』、『作家との遭遇』など幅広く読み、最も好きな書き手は誰かと問われれば迷わず沢木の名前を挙げるファンなのだが、純粋な小説は初めて手にした。 そして、読み終えて強く感じたのは、沢木は小説を書いてもやはり沢木らしいということであった(当然と言えば当然だが)。何故そう感じたのかを説明するのは容易ではないが、強いて言えば、初期の『バーボン・ストリート』のようなエッセイ集に見られるストーリー展開の妙、最近の『旅の窓』や『旅のつばくろ』に見られる穏やかで等身大の目線、の双方が感じられるというところであろうか。 ひとつひとつの物語では、我々のごく身近にいそうな人々が、我々の身近な所で起こっても不思議ではない瞬間に出逢い、(少しの勇気を出して)選択をしていくのであるが、それらは、人生を生きるとは、常に(大なり小なりの)選択をし続けることなのだと我々に気付かせ、かつ、そうしたときに我々の背中を少しだけ押してくれるものである。 解説で作家の角田光代は次のように書いている。 「友だちに話したらたいしたことないよと笑われそうな、でも深刻な悩みを抱えている私。人にはけっして言えないねたみを捨てきることのできない私。たいせつなものを失ったかなしみから立ちなおれない私。未来のことが不安で押しつぶされそうになる私。過去におかしたことの罪悪感から逃れられない私。そんな、ささやかで平凡で、でもそれぞれに特殊な生を生きている私たちに、小説は静かに寄り添い、ともにいてくれる。」 (2022年11月了) | ||||
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作者の文章は、ちょっとカッコ良すぎるときもあるが、誠実で上品、そして清涼感がある。それが説得力とリアリティを醸し出している。以前に、作者が選者になったアンソロジーを読んだことがあるが、そのタイトルが「右か左か」だったと思う。この短編集でも、各話の主人公たちが「右か、左か?」、「するか、しないか?」の選択を行うさまが描かれている。奇をてらったストーリーではないのに、登場人物の子供や老人の心の動き方に共感できるのは、読者に考える余白を残した、抑制のきいた文章だからだろう。 今まで読んできたルポやエッセイと同様に違和感なく楽しめた。というのも先日読んだ春に散るは、話は面白いのだが、少しエンターテイメント感が強すぎて、沢木耕太郎でなくて少年ジャンプを読んでいるような感じだった。しかしこの短編集はいい。 | ||||
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素晴らしい短編集です。絶対おすすめです。 | ||||
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