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連続自殺事件(連続殺人事件)
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【この小説が収録されている参考書籍】
連続自殺事件(連続殺人事件)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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カー作品は10代から20代にかけてだいたい読んでしまったのですが、なぜか最近、気分が乗って再読しています。怪奇色濃厚な本格推理小説という印象を持っていたのですが、こんなに笑える作品が多かったのか?とちょっとびっくりしています。もっとも、特に13~15歳当時に読んだものだと、わかっていたつもりでも、実はあまり理解できていなかったのかもしれません。 この「連続殺人事件」もお気に入りのひとつだったという記憶があり、内容説明の”妖気ただようスコットランドの古城””妖怪伝説””密室の死”というキーワードを見て、わくわくしながら再読してみれば・・・あれれ・・・?こんな話だったっけ?? 2人とも歴史学者であるアラン・キャンベルとキャスリン・キャンベルの学問問答から、寝台列車のダブル・ブッキングで鉢合わせしてしまった時の罵り合い、けれど実は内心お互いにときめいて惹かれ合っていたこと、そしてスコットランドへ到着してから、気持ちのいいスコットランド人たちの気質や行く先々でつきあわされる駄洒落など、クスクスどころか爆笑する場面もあり、なんだなんだこれは?笑うような話だったんだ・・と、自分の過去の理解力と記憶力が信用できなくなりました(苦笑)。 それはさておき、感想としては、ミステリとしては小粒だと思います。登場人物もほぼ内輪の数人に限られ、途中でなんとなく犯人の正体がわかってしまいます。トリックとして、科学的に正しいかどうかも怪しいです。 けれど、それでもカー・ファンなら飛びつきたくなる要素をすべて備え、登場人物たちの個性も際立ち、なかなか楽しめました。ただ、これからカーの作品を読んでいきたいという方には、もっと密度の高い重厚な作品をおすすめします。 個人的なことで恐縮ですが、アランとキャスリンが旅したのと同じルートで寝台列車でロンドンからスコットランドへ行ったことがあり、なんだかなつかしくなりました。車窓に現れてくる風景、荒涼とした自然の美しさ、素朴だけれどおいしい食事、そして地元のウィスキー。古城と、暖炉が燃える石造りの部屋などなど。カー・ファンには怒られそうですが、スコットランド旅情ミステリとして読むのもありかと思います。 | ||||
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本書の舞台は作者作品には珍しくスコットランドが舞台で、スコットランドの風景や「グレンコーの虐殺」などの歴史、スコットランド人の人柄(酒飲み・陽気・駄洒落好き)を背景に、酒と男女のもつれによるドタバタ乱痴気騒ぎや幽霊伝説を巧みに取り入れた連続密室殺人(自殺?)を扱った快作となっている。 残念なのは第一の事件と第二の事件のトリックだけ採り上げるとバカミスの類であること。トリックに用いられたトランクの中身のあるものについて、科学的にこのようなことはあり得ないはずである。 巻末解説に「作者自身が自選代表作にしている」とのことだが、このトリックのため日本では評価が低いのではないか(そのため再版されないし、創元推理の独占翻訳権でないにも関わらずハヤカワミステリからも出版されないのではないか)と思う。 | ||||
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カーの持ち味の一つ、ファースを前面に押し出した作品。原題の直訳は「連続自殺事件」であり、三つ起こる事件が各々自殺か殺人かが物語の焦点なので、邦題はどうかなぁ。 閉じ篭ると必ず人が死ぬ塔中の部屋、そこで起こる不可能犯罪と舞台設定もカーらしいが、それを吹き飛ばすような喧騒が本作の持ち味。フェル博士の騎士ぶり、登場人物の痴話喧嘩。しかし、この乱痴気騒ぎがトリックを隠すための技巧なのだ。この点、「盲目の理髪師」の趣向に似ている。犯人も意外と言えば意外なのだが、「それは、ないだろう」と言う気もする。だが、カーは「作中に登場しない人物を犯人にした」事もあるトンデモナイ作家なので、これくらいは平然と受け止めるべきか。 ファースの中に巧みにトリックを隠した楽しさ一杯の快作。 | ||||
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