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夏を殺す少女
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夏を殺す少女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.05pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 41~44 3/3ページ
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現代オーストリア文学の旗手でホラー・SF・ミステリーと幅広いジャンルの作品を上梓して活躍する中堅作家グルーバーの本邦初紹介となるミステリー長編小説です。私は本書を読んで著者の持ち味は、謎解きパズルではなくむしろ緊迫のサスペンスにあるなと感じました。それは本書の眼目が真犯人の正体にはない点から見て明らかだと思います。 オーストリアの女弁護士エヴェリーンは偶然扱ったマンホールでの溺死事件を調べる内にある疑惑を抱いて調査にのめりこんで行く。一方ドイツの刑事ヴァルターは病院での少女の死亡事件を調べた結果、これは絶対に自殺ではあり得ないと強い確信を得る。やがて遂に二人がそれぞれに目指す調査の行先が交わる時が来るのだった。 この作品の2つの局面を並行的に描いて行く手法は、エド・マクベインの87分署シリーズや日本では森村誠一作品等でお馴染みですのでミステリーとして目新しくはありませんが、それでも正義感が人一倍強い若手女弁護士とベテランやもめ刑事が次第に事件にのめり込んで行く様子が生き生きと描かれ、盛り上がった場面で一旦打ち切って場面転換する事により一刻も早く続きを読みたい気持ちにさせる心憎い演出が為されていて素晴らしい効果を上げています。唯今後著者に反省を促したい点を先に書きますと、サスペンスを盛り上げる為の偶然の演出が多い事(エヴェリーンが通話中に電話の相手が殺される。ヴァルターが病院を訪ねた途端に現在進行形で犯行が起きる。都合良くリストに書かれた最後の二人が事件の重要な鍵を握る。)と、事件が解決した後の犯行動機の説明が曖昧にぼかされており不十分な事(十年間も問題なく大丈夫だったのに苦労して殺す必要性があったのか?大量の患者の死が却って当局の注目を集めてしまう事に気づかなかったのか?)です。少し厳し過ぎる細かい突っ込みをしましたが、でもそれ以外の人物造形や人間ドラマは文句なしに素晴らしいです。幼い頃に惨い犯罪被害の経験を持つ女弁護士エヴェリーンはひたすら自分の勘を信じて目的を達成する為なら少々無茶な行いも思い切ってやってのける気丈さが頼もしいですし、片や愛妻に先立たれたベテランやもめ刑事ヴァルターは上司が何と言おうと意に介さずに喘息の持病で苦しみながらもとことん己の信じる道を突っ走る愛すべきふてぶてしさが魅力です。そしてこの捜査に一生懸命になるあまりにしばしば息も絶え絶えになる二人に著者はそれぞれ優しいロマンスのお相手を用意してくれておりまして、二人を心から信じて謎を解く上で陰ながら協力し助けているのも微笑ましいですし、遂に不器用な二人の恋愛が成就する場面には心温まり大きな喜びが込み上げて来ます。最後にこの事件の背景にある人間の醜悪な面がさらけ出された非道な犯罪は如何にも現実にあってもおかしくない迫真のリアリティーがありますし、冒頭と中間の挿話に登場する本書の題名の「夏を殺す少女」は勿論絶対的な悪であるとは思いつつも心情的には理解出来る部分があって何とも複雑な思いに駆られました。 | ||||
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小児性愛が事件の焦点なのですが、読後感が明るいのはなぜでしょうか。 弁護士エヴェ'ーンの正義感がすがすがしいからでしょう。 そして、‘勧善懲悪’という大前提があるからです。 サイコミステリですが、狂気に振り回されてばかりの物語ではありません。 事件の追い方、弁護士エヴェ'ーンと刑事ヴァルターとがやっとのことで 交錯できる場面・・・。 楽しめる作品です。 | ||||
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物語は、ウィーンの女性弁護士エヴェリーンとドイツの落ちこぼれ刑事ヴァルターの活躍が交互に描かれてゆく構成である。地位も名誉もある男たちの事故死・・・酔ってマンホールに落ちて死亡した元小児科医、山道を運転中に事故死した市会議員。どちらもつまらない案件のはずであったのだが、両方の現場に若い娘がいたことに懸念をもった弁護士エヴェリーンは深入りしていく。一方、刑事ヴァルターは、精神病院での少女の不審死を調べていると、似たような死が続いて起こっていることを知った。それぞれの事件でも謎が一枚一枚めくられていくように解かれてゆくプロセスも好いのだが、最大の読みどころは、言うまでもなく、このふたりが、いつどこで交差するかである。本作品の作者の巧緻さと結末の衝撃度は秀逸であろう。 お薦め! | ||||
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「ドイツでセンセーションを巻き起こした!」という宣伝文句につられて思わず購入。 まわりくどくない読みやすい翻訳(少し古臭い言い回しが気になりましたが)と、物語の展開の速さから、一気に読みきりました。 面白かったです。 なので、読んでも損しないと思いますが、「センセーション」というほどの作品だとは思えませんでした。 物語の構成や内容にそれほど目新しさは感じませんし。 ドイツでは、いったいどういうところが、話題になったんでしょうか? 終盤に明るみになる「10年前のある忌まわしい事件」が、ドイツ人のツボにはまったのかなあ? だとしたら、ドイツ人の感性にちょっと偏見持ちそうですが。 もし、この「10年前のある忌まわしい事件」が気になった方、読んでみてください。 (真相がわかると、結構モヤモヤするかもしれませんが。) あと、ドイツやオーストリアの地名に詳しい方、金髪女性がお好きな方(笑)には、おすすめです。 | ||||
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