■スポンサードリンク
(短編集)
盤上の夜
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
盤上の夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.76pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全49件 1~20 1/3ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
現存する棋士とか囲碁棋士ってのは、いったい何なんだと思ったことはないだろうか。将棋を指して一生を終えるのだ。なにそれ?将棋を指していて収入があるのだ。プロスポーツよりさらに難解な奇妙な世界ではないだろうか。私にはどうもピンと来ないのだ。 人はなぜボードゲームなどに熱中するのだろうか。ボードゲームの盤上には、別な次元が展開されているのだ。観る者もまたそれを感じ、共有するのだ。それはいつしか哲学的になり、宗教性を帯びさえする。 原爆が落ちた後、碁石を並べ直し手続きを打つなどということは、狂気の沙汰とは思えない。しかし、それは実際に行われたことなのだ。 作品としては、やはり「盤上の夜」が頭一つ抜き出ているように感じられた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「盤上の夜」というよりは「盤上の狂気」ですね。 頭脳だけで勝負できる、囲碁、将棋、麻雀はやはり特殊な世界で、その頭脳が狂気に向かうのはむしろ必然的のような気がします。 この分野では、「狭き門に対する狂おしさ」を題材にしたものが多い気がしますが、狂気を前面にした小説も面白いですね。それも、それぞれのゲームごとに種類の違う狂気が描かれていて、圧倒されます | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私にはまだ難しかったです。。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
たまたまボードゲームを題材にして物語が編まれているが、それはあくまでフレームに過ぎない。 いや、無論そのフレームこそが問題で、我々の人生とか歴史といった局所的なものと相似形であり、再帰的に呼応し、ハウリングを繰り返して太極へと昇華する。 戦争という殺し合いでなく、恋愛という性行為でもなく、人と人が濃密に、限定された盤上で、それこそ宇宙レベルに達する様を描いている。 この作者の、これがスタート地点かと思うと末恐ろしい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
囲碁、将棋、麻雀、チェッカー、チャトランガ…盤上遊戯を題材にした短編連作集。 第1回創元SF短編賞 山田正紀賞を受賞(表題作)とあるが、SF的な要素は極めて薄い。ガジェットが物語のキーになるわけでもなれば、宇宙にも行かないし、宇宙から帰ってきたあとでもない、異星人も出てこなければ、超能力が駆使されるわけでもないし、世界はロボットに支配されているわけでも、荒廃しているわけでもない。人と人の情念を盤上に描きつつも、それでもなおこの作品はSF的であるとことが面白い。 四肢を切断された少女が囲碁棋士となり、碁盤を介して新たな感覚の世界を構築しようとする表題作『盤上の夜』とその続編『原爆の局』、すべての牌を読み切ってしまう女性シャーマン、雀プロ、確率と統計の異能 小学生、恋に狂った凡人 医師の男の4人による、奇妙でありながら、勝負の駆け引き、綾が秀逸な麻雀を描いた『清められた卓』、ゲームの完全解が見出され、もはや絶対に勝つことのできないコンピュータと対戦することになる『人間の王』と『千年の虚空』、将棋やチェスの起源とも言われるチャトランガを夢想したブッダの息子ラーフラを描いた『象を飛ばした王子』の全6編。 量子コンピューターによって、ゲームの完全解が発見されている世界。それでもなお、盤上に蠢く人と人。彼らの苦悩と情念と色情が紡ぎだし、垣間見えるのは、量子コンピュータを超えた神の領域、もしくはただの狂気か。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ボードゲームを題材としたSFです。 ゲームならではの、よく練られた短編がまとめられています。 秋の夜長におすすめの一冊です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
核になったアイデアは、アレだ。 ダルマ人間とかで伝わる、日本人旅行者が四肢を切断されて見世物にされているっていう奴なんだろう。読んで真っ先に思い起した。 そんなネタから「もしも」を積み重ねて出来上がった作品なのだな。作者の発想力、構成力、抽斗の多さを感じさせる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
興味がなければ読まなくても良い作品群。しかし一旦読み始めれば読み終えずにいられない連作群だと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者の筆力があることは伝わってきましたが、やはりある程度は碁や将棋を理解していないと、本当のおもしろさはわからないのかなと。そのへんが個人的にはわからないので、正直なところそれほどおもしろくはなかったです。でも著者のほかの作品は気になってるので、また読んでみようと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本が出版された2013年から約4年経った時期にこの文章を書いているわけだけど、わずか数年で現実に先を越されてしまった作品、といえるのかもしれない。 この短編集では何かを失うことによって才能を手に入れるというテーマが何度か繰り返される。それは狂気、あるいは天才が天才である1点のみで盤上を制するというロマンチックな物語だ。でも、現実には狂気や供犠によってAlphaZeroのような他のプレイヤーを絶する能力を獲得することはない。多くの天才たちのヴァリエーションの勝敗をわけるのは羽生善治氏の言葉を引用するなら「深い集中」だけだ。そして、仮に完全解がなされたとしてもあいも変わらず「人の一手」に一喜一憂するというドライな結果が、今現在の状況だ。 「神の一手」が人の手から離れようとしている時代に、語り手は天才の幻想を追いかける(後天的に天才を作ろうとする、というのも天才幻想のひとつだ)。作者はこうしたウェットな甘さを手頃に調理している。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ボードゲームが好きな人はただそれだけで楽しめる。ボードゲームが好きな人じゃなくても楽しめる。ボードゲームに興味がない人も興味が湧く。 何より小説として単純に面白い。麻雀のやりとりなど心理描写も見事。デビュー作でこれだけ完成度が高い作品を書き上げられる作家さんはなかなかいないのではないだろうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
SFだと思って読むと、それほどSF的な要素が少なく感じてつまらないかもしれません。普通の小説だと思って読むと、SF的なギミックがせっかくの話をあらぬ方向に飛ばして「現実と地続きではないありえない話」にしてしまっているように感じられるかもしれません。でも、いい感じにSFを使って現実離れしているからこそ、短編の長さでまとまりがついている作品ではないかと思います。 6つの短編はどれも決して読みやすくはないけれど、私の場合は1つ目の表題作「盤上の夜」と2つ目の「人間の王」にて作品世界になじむことができ、3つ目の「清められた卓」からは一気にのめりこんでページをめくる手がとまりませんでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
SF・純文学作家、宮内悠介さんのデビュー短編集です。 二作目の『ヨハネスブルグの天使たち』収録の短編〈ロワーサイドの幽霊たち〉が傑作だったので、ハードカバーの時に本作も買いました。 読んでおもしろかったのは、 実在したチェッカー(チェスの一種)の世界王者が、人工知能チェッカーを開発したプログラマーに対比させ、自分をプログラムした存在(恐らく神)を語る形而上学的な短編『人間の王』と、 ブッダの息子で、ブッダの十弟子の1人・ラーフラを主人公に語られるチャトランガ(古代将棋)がテーマの『象を飛ばした少年』です。これは本作の中でも異質な、SF色の全くない短編で、後の宮内さんの純文学への移行の先触れを感じました。 将棋のルールの発想過程に、父のブッダが後に理論化する仏教のイメージを重ねているのが独特で、仏教哲学を少し知っていると楽しめます。 純文学・SFとしては次作『ヨハネスブルグ〜』の方がスケールアップしていますが、この『盤上の夜』も豊かな想像力を楽しめると思いますよ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
説明文が延々と続き、最初の表題作で飽きました。表現力、皆無です。新聞の記事をひたすら読み続けているようでした。直木賞候補ということで期待したのですが、本当に残念です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
小学校から大学まで将棋部一筋。就職してから30年職団戦出場と言う将棋マニアの私にはストライクの内容でとても面白かった。 囲碁将棋などボードゲームを扱ったオムニバス短編集で、同じジャーナリストが取材して書いていると言う趣向。どうやら第一作の表題作の時点では関連付ける予定はなかったようだが、単行本に書き下ろした第5・6作を加えると見事に長編作となる。第1・6作で登場する、四肢を切断され碁盤に接続して感覚を得る天才女流棋士と彼女を支える元棋士の話がメインであるが、この話を含めた全編でSF的アイディアより人間同士のドラマの方が心に残った。特に男女が登場するエピソードでは、いずれも何らかのハンディを抱えた美女に下僕のように仕える男、と言うモチーフが使われており「春琴抄」を彷彿とさせたが、このFEMDOM的世界観は現代日本の風潮に合っていると思う。 女流囲碁棋士の話はどちらも美しい視覚イメージが浮かぶ叙情的な面が素晴らしい。四肢を切断され碁盤に繋がれた女性なんて酸鼻なイメージかと言えばそうではない。新人らしからぬ巧みな描写の文章力もあるが、最終話の失踪した2人がアメリカの白い砂丘で碁盤を囲み、原爆投下時に開催されていた本因坊戦の棋譜を検討していると言う壮大なイメージには圧倒される思いだった。その砂丘は初めて核実験が行われた場所なのである。白い砂丘と原爆投下後の黒い雨はもちろん碁石の色を暗示しており、このイメージを構築した作者の力業には脱帽だ。 6作いずれも味わい深いが、個人的に一番面白かったのは麻雀を扱ったエピソード。SF的アイディアを別にして最も派手な人間心理ドラマが雀卓を囲んだ4人の間で展開して、エンタテイメント性が最高と思う。内容は実際に読んでもらうとして、私個人の麻雀に関わる思い出を。広島の大学で将棋部に入部した時、部室に集まる先輩はギャンブラーが多く、私も誘われて本格的に麻雀をプレイするようになった。そして学内の麻雀大会にまで出場した覚えがあるのだが、部の合宿で徹夜で卓を囲んでいた時、将棋は弱いある先輩に自分の手牌や待ち牌をほぼ完璧に読まれていた。そして私は初心者なので、時々わざと振り込んでくれてたらしい事がわかり、こんな人達と麻雀をやるのが怖くなってやめたのである。その先輩もかなり酒が入ってたのでべらべら喋ったんだと思うが、いわゆる家庭麻雀しか知らなかった私には「麻雀は怖い」と言うイメージが強くすり込まれた。あの、上級者がイカサマをやってるんじゃないかと思う「自分の手を読まれる」事の恐怖が、この作品を読んでいて痛切に思い出されたのである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
SFではないなというのが第一印象でした。でもそれはマイナスにはならず結果として物語それ自体で魅せてくれました。著者にはプロ麻雀士を目指した背景があるらしいですが、それもうなずける精緻な駆け引きを描いていました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
・「盤上の夜」 (第一回創元SF文庫短編賞 山田正紀賞) ・「人間の王」 (’東京創元社〈ミステリーズ!〉vol.45) ・「清められた卓」 (東京創元社〈webミステリーズ!〉) ・「像を飛ばした王子」 (東京創元社〈webミステリーズ!〉) ・「千年の虚空」 (単行本『盤上の夜』への書き下ろし) ・「原爆の局」 (単行本『盤上の夜』への書き下ろし) 表題作がまあまあ面白かった。主人公の少女が、中国旅行中、四肢を切り取られてしまい、その後、帰国して囲碁の女流棋士として活躍するといった話だが、四肢を切り取られてしまう理由が、中国のマフィアが愛玩具として富裕層に売りつけるためというものなのだが、そんなことがあって日本に帰国した時に、どうして、国連やその人権団体が問題視して騒がないのかが不思議だった。主人公の少女の両親は、少女が小さい時に亡くなったということだが、親族や少女を引き取った囲碁の棋士が、このことについてあまり触れていないのがとても不自然だ。それ以外は、失くした四肢の代わりに、囲碁盤が感覚器官のようになっていくといった設定は、なかなかありそうでないようなものだと思う。ただし、後半に出てくる言語論のようなものは必要なのだろうか? 最近やたら、小説に言語論のようなものが引用されている気がする。 「像を飛ばした王子」は、ブッダの息子ラーフラが主人公で、そのラーフラがチャトランガという将棋やチェスなどの元になる盤上遊戯を作ったという話。わたしはこの短編を読んで、ラーフラを扱った小説、磯崎憲一郎の「肝心の子供」を思い出した。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
どうしてこれがSFなのかな?それはともかく、文章もストーリーもダラダラとした印象が強い。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
囲碁、チェッカー、麻雀などといったボートゲームを題材にした作品でありながら、言語学、量子コンピュータ、政治などと絡めた大きな物語になっています。それでいて著者は難しい問題を簡明に説明する技術に優れており、また登場人物のキャラも立っているのでリーダビリティは非常に高いです。 「盤上の夜」 四肢を失い囲碁の盤面と感覚が繋がった少女の話。盤上の感覚を研ぎ澄ますため他国の言語を学んだり、言語を創造するなど、対局を通した対話というテーマを突き詰めた作品です。 「人間の王」 チェッカーのチャンピオンとコンピュータの戦い。既に多く語られているテーマのため、あまり新鮮味はありません。 「清められた卓」 麻雀の牌を読む教祖の能力がSF、ミステリー要素になっています。本短編集でもっともゲームの駆け引きという部分に注目した作品で、純粋にエンターテイメント作品として楽しめます。卓を囲む4人の描写も素晴らしい。4人の価値観やその後の人生がこのゲームを通して大きく変化していくところが爽快です。 「象を飛ばした王子」 古代チェスを題材にしていますが、物語との関連性を語ることは困難です。しかし教えによって人々を救おうとするブッダと、あくまで政治によって救おうとするその息子ラーフラの対決は見ものです。人間的な葛藤に苦しむラーフラの方がブッダよりはるかに魅力的に見えるのが面白い。 「千年の虚空」 将棋を題材にしてはいますが、それよりも男女の関係を非常に純粋に書いている部分に惹かれました。自分も男も破綻させてしまうヒロインの統合失調ぎみな描写が印象的です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私は麻雀は今はやりませんが、昔はよくやってました。将棋は有段者ですが、囲碁はルール知ってる程度です。 それでも、現実とかけ離れているように思います。もう少しフィクションにしてもなんか勝負の世界から少し離れているように感じました。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!