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(短編集)
盤上の夜
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盤上の夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.76pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全49件 41~49 3/3ページ
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キワものっぽいところから話は始まるのですが、おぉそっちに行きますか!と思わぬ展開で読者を飽きさせません。 落ち着いた語り口もよい感じ。こんな表紙じゃなくて(失礼!)SFジャンルにしなければもっと売れるのに、と思ってみたり。 素人にもわかりやすく書いてありますが(いやむしろ素人では不備が見えないのか)、麻雀の話は詳しくないと楽しめない感じでした。 (知ってる人はすご~く面白いらしい麻雀の漫画について語られた時のことを思い出す) 盤上から世界を語る(らしい)企画の関係か、無理やりっぽい短編もあるものの、仕事が丁寧なのでいやな感じはいたしませんね。 文庫なら強力プッシュ。 | ||||
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タイトルの通り、盤上遊戯?(こんな言葉あるんだね)を題材にした短編連作集。 舞台は基本“盤上”であり、所詮大きくても麻雀卓サイズだが、作者の語る世界は、時空を超えて壮大かつ深遠である。 また、四肢欠損や近親相姦、あるいはオカルトめいた描写もあり、一見“キワモノ”めいた印象を与えるが、深い思索に基づいた哲学的な叙述で“人”を“世界”を語っており、単なるエンタメ小説には止まっていない。(むしろ難解に過ぎて追いついていない部分があるかもしれない…) 6編の中では『清められた卓』『象を飛ばした王子』が秀逸。 『清められた卓』は、四人によるゼロサムゲームであり、かつ勝負は運に左右される部分が大きい、あるいはイカサマや様々なルールといったゲームとしての麻雀の特性に、各々特異なキャラクターを持つ4人の人間模様を重ねることで極めてエンターテイメント性の高い面白い作品に仕上がっている。 古代チェスを題材にした『象を飛ばした王子』は、6編の中では最も“おとなしい”作品と言えるだろう。だが、ゴータマ・シッダールタの一人息子の王子 ラーフラが古代チェス=チャトランガに込めた平和への思いが心を打ち、切なくも癒しの傑作となっている。 最終章『原爆の局』は、表題作である『盤上の夜』の対をなす作品である。ストーリーが整理されておらず、今一歩わかりにくい部分はあるが、作者の志の高さがあらわれた作品と理解したい。 いずれにしろ、次回作を期待させる怪作にして快作だ。 | ||||
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書名の「盤上の夜」は最初の囲碁の話のタイトルですが、将棋の「千年の虚空」について 書きます。といっても将棋の細かい対局内容は出て来ません。 2作ある囲碁は巻末でも多くの参考文献が示されているし、 麻雀は著者本人も詳しいらしく逆に、ルールを知らないと読み進められませんが、 将棋の話の「千年の虚空」は書下ろしで、参考文献もなく、 「王位リーグに旬が過ぎたダメ棋士が入っている」という前提のようですが、ありえないし、 王位リーグを指しているプロが、アマ初心者のように、攻撃の要の駒が角で両取りされるのを 見落とすなんてこともありえないので、 著者は将棋を知らず、なのに将棋編が入っているのは 「囲碁や麻雀のゲーム連作集を作るのに将棋も入れた」という動機のようですが、 (逆に言えば、将棋のルールを知らなくても読める) しかし小説としては大変高度で奥が深く、 「コンピュータと対戦する」という場面も出てくるので、将棋ファンも読む価値があります。 もちろん他の作品は名作揃いで、どれもそのまま長編にしてもよかったほどの濃密ぶりです。 素晴らしい才能だと思います。 | ||||
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囲碁・将棋・麻雀・チェッカー・チャトランガ...の「対局」をテーマに多様な物語が紡ぎ出されています。 それら盤上遊戯と人類は数千年のつきあいがあり、その歴史の中で多くの天才が全智力・全生涯をかけて挑んでもきているわけで、そう思うとこういう文学の試みはこれまであまりに少なかったと言ってもよいのではないですかね。 1作1作、全く違った趣向(というか、奇想)が凝らされています。 なんでこのラインナップで、チェスではなくチャトランガ(古代チェス)なのか? と思ったら、そこにもとっておきの奇想が。読んでのお楽しみです。 | ||||
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心の嘆きを書いてみました。 最近の受賞作よりも、この候補作品の方がずっと面白かったです。 次回作に期待。 この人は近々取ると信じています。 | ||||
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囲碁とか将棋とか麻雀を囲んだとき、そこには一つの世界ができているのかも。 その世界を上手く小説にしたような短編集です。 私はどのゲームもほとんどやったことがないのですが、おもしろく読めました。 SFであり、エンタメであり、純文学でもある。 いい意味でSFを裏切っていると思いました。かといって、やっぱりSFとしかいいようがないのですが。 なにかおもしろい謎があるわけでもないのに、ぐいぐい読みました。 キャラクタにも質感があってよかったです。 直木賞候補と聞いて興味本位で手に取ったのですが、あたりでした。 | ||||
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確かに、アイデアは凄い。しかしもっと凄いのは、そのアイデアを使って描かれた登場人物たちの情念であり、またそれを過不足なく作品化した著者の筆力である。小さなゲーム盤の向こうに宇宙を見てしまう勝負師達の妄想力であり、それを読者に追体験させるために丹念に積み上げられた伏線である(なかなか博覧強記)。そこに無いものが見えてしまう→サイケデリックな作品集と敢て呼びたい。 古代インドのチェスに材をとった「象を飛ばした王子」が、最も大きな世界を文章の背後に幻視させてくれた、本書に於ける白眉だと思うが、他の5編もいずれ劣らぬ出来で、この粒の揃い方は驚異である。 個人的に残念だったのは、麻雀のルールを知らないため、「清められた卓」の闘牌部分が珍紛漢紛だったこと。そういう意味では、読者を選んでしまう、かも(笑)。あと、“編集”に属する事柄だが、各短編最後の行のすぐ後ろに参考文献リストが並ぶ構成は、余韻を殺して興醒めという気がしなくもない。 直木賞は、 「『だってこれ、SFだろう』『そう。SFですからな』『SFだものなあ』……」(筒井康隆『大いなる助走』より) という理由で落ちちゃったのかなぁ。 | ||||
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この物語の主人公たちのほとんどは天才か奇人かにしか転びようのない人達、という天才で奇人な人達。 囲碁、チェッカー、麻雀、古代将棋、将棋、五つのゲームを題材に短編集だがひとつの壮大な物語を読んだかのような読後感だ。 これがこの人の処女作みたいだけど期待せずにはいられない。ファンになった | ||||
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第1回創元SF短編賞の特別賞(山田正紀賞)。 大賞の「あがり」はライトノベルの波も感じさせる今っぽい王道作品だったのに対し、こちらは旧来の語り口で、囲碁、将棋、麻雀、チェッカー…とボードゲームを通じて「神」と「人間」の関係を語る意欲作。 受賞作は「囲碁」を語った冒頭の一遍のみなのでしょうが、そこから連作短編として他のゲームに広げていった手法が素晴らしいです。書いた作者と書かせた編集者、実にいい仕事! また「あがり」が研究室という狭い世界から物語が広がっていかないのに対し、こちらは「盤上」という極小のスペースから物語がどんどん飛び出していく。世界との接点のとらえ方が真逆なようで似てる。読み比べも楽しいです。 もっともっと大きな物語が紡げる人でしょうし、まだ荒削りなのもこれからどんどんこなれていくはず。次回作にも期待感がふくらみますね。楽しみに待っています。 | ||||
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