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(短編集)
花まんま
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花まんまの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.41pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全87件 61~80 4/5ページ
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味わいの異なる粒ぞろいの短編が詰まっています。 大阪が舞台のお話が多いのでそこに住んだことのある人なら 「わかるわかるこの感じ」 と思えるエッセンスがあちこちにちりばめられていて思わずにんまりしてしまいます。 表紙が不思議な絵なので怖いお話かと思っておそるおそる読み始めたのですが、悲しくて、優しくて、あたたかいエピソードが子供の心に戻してくれるようでした。 気持ちがすさんだりいらいらした時にお気に入りの一編を読み返すと心が穏やかに静まるそんな本です。 | ||||
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子供と思われていても、大人には気付かれない内に成長した“感情の襞”があります。友達にも親にも言えなかった葛藤、屈折した感情、微妙な分別を、大人になって述懐した様な体裁で、「あの頃、語彙が少なくて表現出来なかった感情」が描かれています。 穏やかな文体なのに、切ない・痛い・恥ずかしい・不思議、いろいろな感情を惹き起こされました。 一編・一編が素晴らしいのですが、私のお気に入りは「妖精生物」です。 良い本に巡り合えました。お奨めです。 | ||||
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この短編集の主人公は何れも子供で、舞台は大阪の下町だ。時代は昭和40年代頃だろうか。 どの作品においても主人公の少年(少女)は、日常生活において何かの拍子で異界の物体や現象に接し、一生忘れえぬような不思議な出来事を見たり、経験することになる。 この作者の作品は、都市伝説セピアに引き続いて2作目となるが、前作と同様にその不思議な世界に引き込まれて一気に読んでしまう。そしてその世界の出来事があたかも自分自身に起きたように、自分の少年時代の懐かしい記憶と痛みが甦ってくる不思議な感覚を味わうことになる。 | ||||
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昭和の大阪にある下町で起こった不思議な六つの話。それぞれ主人公達が大人になった現在から回想する形で話は進んでいく。 どの話にも不思議なコトが起こるが嫌な不思議さではない。作者が登場人物の視点をちゃんと描き、昔実際にあった差別や物売り、怖いと思っていた話…それらをうまく使って表現してくれているからだと思う。 お勧めは「トカビの夜」「花まんま」「凍蝶」です。切なくてでも暖かくて、好きです。中でも凍蝶の鉄橋人間の部分が印象的でした。 「妖怪生物」は誰もが持っている人間の怖い部分を表現しています。もし自分が主人公と同じ立場なら、同じことを思うかもしれない…正直怖かったです。 短編なので、短編嫌いな方には軽い読み物と思われるかもしれませが、話の一つ一つはしっかりしているので、私はけっこう好きな作品です。 子供の頃はああだったなとか、あんなことが好きだったなとか忘れていたコトを思い出させてくれました。直木賞に納得! | ||||
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朱川作品を読むのは2度目、「わくらば日記」を読んで、ぜひ例の直木賞受賞作も、と思い読みました。 いや、「わくらば日記」もそうでしたが、この方の描写は実にすばらしいと思います。 行ったこともない大阪の地、しかも現代ではないその世界を、見事に私の頭のなかに送り込んでくれました! 表題作「花まんま」は、ほんとうにあっためられました・・こころ。 「トカビ」「妖精生物」他、全作不思議な、ノスタルジックな世界を創りあげていたと思います。 | ||||
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昭和の大阪の下町を舞台に、子供の視線から描かれた、少し不気味ででもとてもあたたかい、そんな小説でした。 私は大阪に行ったこともないし、昭和30〜40年代のことも知りません。 ですが、この小説を読むと、とてもなつかしく感じました。集合住宅、差別、学校、小さい頃信じていたもの、不思議なものたち、そして怪奇現象。 花まんまを読んでいると、あっ、こうゆうこと昔やったな、とか、昔は信じててコワかったな、とか思い出します。 今とは違う、せまい下町の世界。 けれどそこで繰り広げられる話は、人と人との関わりが強く浮き上がってきていて、とてもおもしろいのです。 短編集なのですが、読み始めると面白くてとまらなくなってしまいました。 日本人のこの世代を本当に生きた方でないとこの小説は描けないと思うし、実際にこの時代に少年時代を過ごした方々に特に読んでもらいたいと思いました。 漫画・20世紀少年の少年時代の描き方とちょっと似てるなって思います。 やっぱり日本っていいですね!昭和! | ||||
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70年代頃の大阪の下町を舞台に、子供の視点で描かれた、不思議な短編集。どの物語も心にじんわりと沁み入る。表題作「花まんま」は、とくに泣けた。「トカビの夜」、「凍蝶」では、差別問題も浮き彫りにしている。 6遍の中で私が一番好きなのは、「妖精生物」。この生物に触れると、甘美な感触が得られるのだ。少女がそれを寝たきりの祖母に試すという発想は、すごいと思った。これは参った!という感じ。そして、大人になった主人公が、私の体はあの生物に触れた時と同じ高みに昇ったことはないと、その感触を懐かしむ。主人公の母の選んだ道を通し、女性の生き方について考えさせられる、とても奥の深い物語だと思った。 さすが直木賞という感じですね。 | ||||
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2005年の直木賞候補作品をいくつか読みましたが、ダントツに面白かったです。 私のような素人目から見ても受賞は当然の結果かと思います。 文学的なことは良くわかりませんが、スイカに塩や、あんぱんに桜漬けをつけて食べる我々は、 物語に含まれるちょっとした『恐ろしさ』によって、話をより面白いと感じるのかもしれません。 普段、本等ほとんど読まない私に、本魅力を十分伝えてくれた一冊です。 内容に関してはネタバレになるので控えますが、ともすれば外国映画に押されがちな日本において、 このような日本人にしかない素晴らしい話を書く『才能』存在するわけですから、これからが楽しみでなりません。 | ||||
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大阪の下町を舞台にして書かれた6編の怪奇(回帰)小説。 昭和の30、40年代が舞台なので、似たような話を聞いたことがあるなーと懐かしさを覚えつつ読みました。 差別、生れ変り、困り者の叔父さん、露天商から買った怪しい物・・・等々。 ノスタルジックな短編集です。 | ||||
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少し不気味で、だけど懐かしく、読んだ後余韻が暫く残る。そしてまたもう一度読み返したくなる。そんな不思議な本です。 短編小説のオムニバス形式だから、読みやすいってのもありますが、一つ一つの話が丁寧でその時代を知らない自分でも頭に浮かんでくる・・・。情景が目に浮かび上がります。 儚げで切なくて、でもどこか力強さも感じられる。 時間を忘れて一気に読んでしまいました。 今の時代、どこかに置き忘れて来た人間の温かさを思い出させてくれます。 | ||||
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誰かに「面白い本ない?」と聞かれたら、最近なら一番にこれを推します! さすが直木賞、きらきらと輝く真珠のような、粒よりの名作短編集です。 どのお話も昔なつかしの大阪の下町を舞台にした、子供が主人公のちょっと不思議な お話です。幽霊(?)が出てくるお話、不思議な生物がでてくるお話、 「生まれ変わり」という概念が出てくるお話・・・。 どれもこれも不思議でありながらもSFっぽいタッチでは全くなく、 自然と主人公達の生活になじんでいるのです。 そんな「プチ不思議」とも言うべき出来事にぐいぐい引き込まれ、1編読み終わるまで ページをめくる手を止めることができません。 さらに、子供が主人公でありながら、身近な人の「死」や「差別」といった ちょっと胸の痛むトピックが必ずといっていいほどからんでいて、 せつない気持ちにさせられます。特に表題作の「花まんま」には登場人物たちの 優しさや家族を思う気持ちが涙なくしては読めない傑作です。 | ||||
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■第133回直木賞受賞作。6つの短編が収録されている。 ■「トカピの夜」は、60年代の大阪下町が舞台。小学校低学年をそこで過ごした主人公の思い出が描かれる。怪獣図鑑が取り持った在日朝鮮人兄弟との交流と、病弱な弟チェンホの死。やがて起こる不思議な現象の数々…。チェンホがトカピ(朝鮮に伝わるいたずら好きの子鬼)として一帯に現れたのだ。主人公は、差別問題を静かに見つめつつ、チェンホの霊に声援を送る。関西のお菓子の会社「パルナス」のCMソングの小道具も心憎い。私はこの1作で、もうメロメロにされた。 ■表題作「花まんま」は、年少の妹が「自分は彦根に住んでいたエレベーターガールの生まれ変わりだ」と言い出し、兄とその生家を訪ねる話だ。不憫な死を遂げた娘を思う親の心情と、妹の行動に隠された祈りが胸を打ち、これも涙腺をツンツン刺激する。 ■その他、遊び人だった叔父の葬式で起きた怪事を描く「摩訶不思議」、露天商から買った奇妙な生き物をめぐるにがい思い出を描いた「妖精生物」など、どれも大阪の下町を舞台に独特の味わいを醸し出す粒よりの好編が並ぶ。 | ||||
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私は関西出身ではなく、東京育ちで、昭和30~40年代の怪獣ではなくピンクレディーとキャンディ・キャンディで育った。 でも、なぜか40年代のあの雰囲気が好きで、しかもうっすら記憶らしきものもある。 タイトルの「花まんま」のフミ子ほどではないが、我が娘も2歳頃、「ずっと前、わたし髪の薄い太ったおじさんだったの」と教えてくれた。「学校の前の物売り」「異性と一緒に隠れたかくれんぼ」「お医者さんごっこ」「夕方の神社で見た不思議な人」・・・ 小学生の時の、人に言えないうしろめたいことや大人に言っても信じてもらえない不思議なこと・・・誰にも必ずあったはず。不況だと言われて久しい今にこそ、悲哀やいかがわしさを含んだ、あの昭和のシュールレアリズムを体験して、又は思い出して欲しい。 物や環境の豊かさに溺れるきる前の日本人は、一人が今より強くて、まんざらでもない。 | ||||
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僕は恋愛したことがない、家族も表面的に意識的に愛情を感じない。 いつのまに、忘れてしまった感情を無意識の奥から思い出させて もらいました。 目標は結局、金で欲望を満たすなら、家族とか本当に好きになった 人を見つけ、その忘れていた感情を精一杯満たしたいです、それが一番幸せだと感じた一冊でした。 | ||||
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前に30、40代の人はハマります。とレビューされていますが まさにハマりました。その通りです。 私としても、ホラーではなくなぜか懐かしい切ない思いでのような 気がしてなりません。 どれも、根底には愛情があり、子供心の天使の部分ではない 罪深い部分が、描かれてあってズシンとくるものがあります。どれも好きですが、トカビの夜と花まんまは、胸が痛くなるような 愛情を感じて、ほんの少し泣きました。 送りん婆は、ドキドキものです。 全く損はない一冊です。 | ||||
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ノスタルジーあふれる作品集。テレビ番組やおもちゃの話など、30~40代の人は絶対にはまります。吉本的笑い話あり、ほろにがい話あり、悲惨な話あり、さまざまなストーリーですが、いずれも作者の語りのうまさにはうならされます。直木賞もむべなるかな、と思いました。 | ||||
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表題花まんまは、とても愛情あふれる涙の物語でした。人の魂は決して滅びない。そして、愛情も決してなくならない。私は本当に愛する人はこの世とあの世で2人だけでいいと思っています。亡くなった父親とこれから旦那になってくれる人と。だから、たとえ一緒に死ぬ事ができなくても、いつもどこで見守ってくれていて、何度でも生まれ変わって会いたいと思う。花まんまは愛するものだけがわかるサインなのだなあと思います。ホラーなんて言葉では、くくってほしくない一冊です。 | ||||
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今から30年ほど前、大阪の路地裏に暮らす子供達。 彼らが経験した“不思議”を綴ったノスタルジックホラー。直木賞を受賞した話題作ということで手にとってみましたが、 なつかしい香りのする、趣のある作品集でした。 ホラーと一言で言ってしまうのはもったいない。 この世には、目には見えず肉体も持たない“思い”だけが浮遊しているような存在が確かにあって、 やわらかい神経を持っている子供達だからこそ、それを敏感に感じられる。 この本の存在が、その目に見えないものを優しく肯定しているかのように感じます。大人になるにつれ信じなくなり、いつしか忘れてしまった ものがありませんか? 大人になった私達にそっと問いかけてくれる作品です。 | ||||
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まず昭和40年代を舞台にしているのがいい。日本が高度経済成長の真っ只中で、これから裕福になっていこうという過渡期。大家族から核家族へ、白黒テレビからカラーテレビへという時代。そんな時代だからこそ、その隙間に摩訶不思議なモノが存在するという感覚がある。過去と未来が同居している過去の方。近代的なビルの隣にある木造の古びた長屋。懐かしくもあり、寂しくもある、そして、そこには確実に不気味さもあるのだ。そんな感覚が小説全体を包んでいる。私もその時代に子供だったせいだろうか、非常に共感するところがある。また、個人的には何故か星新一や筒井康隆に通じるものも感じた。いくつかの短編の中でも「花まんま」は直木賞を受賞しただけのことはある。今までにはない感覚を堪能できた一冊だった。 | ||||
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大阪の下町を舞台に、それぞれの主人公の回想というカタチで物語が紡がれていく。ぼくは大阪府出身者でも関西に縁(ゆかり)がある訳でもないけれど、ひたひたとなつかしさのぬるま湯に浸るようなリラックス感を味わう。読者それぞれの幼少時代に住んでいた町に帰らせてくれる秘密の力をこの本は持っている。そこで語られている話は、信じられない人に「信じろ」と無理に強要することはさらさらないけれど、あってもおかしくはないですよね、とやさしく問い掛けてくる。ふと我に返り、そういえば、これまで誰にも話したことはなかったけれど、実はこんな経験をしたことがある。あれはいったいなんだったのだろう。少し背筋をヒヤリとするものが通りつつ、でもこそばゆい暖かさも同時に覚える・・・というような滋味あふるる読後感を持った短篇集。 | ||||
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