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(短編集)
光の帝国 常野物語
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光の帝国 常野物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全86件 21~40 2/5ページ
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久しぶりに恩田ワールドに浸れました。 ものすごく環境設定とストーリーが立っていて、物語にのめり込みました。 やはり、小説はストーリーが立ってると、想像力がかきたてれていいですよね。 わたしにも「大きな引き出し」があっていろんなものを「しまう」ことができればいいのに…。 常野の人たちは存在したのかも?しているのかも、と信じてみたくなります。 けれど、わたしたちの先祖たちも、特殊能力がなかったとしても こんな感じで、一族でひっそりと暮らしていたのかもしれません。 「光の帝国の中に、私は相違するイメージを再現した。つまり夜の風景と白昼の空だ。風景は夜を起想させ、空は昼を起想させる。昼と夜のこの共存が、私たちを驚かせ魅惑する力をもつのだと思われる。この力を、私は詩と呼ぶのだ。私はいつも夜と昼へ関心をもってきたが、決してどちらか一方を好むということはなかったからである。」 ルネ・マグリットの代表的な作品でも「光の帝国」というものあります。 初めてこの作品の題名を見た時、まずはマグリットの不思議な絵を思い出しました。 昼と夜が一つの絵の中に共存している作品です。 本来あるべき環境や文脈から切り離して別の場所へ移し置くことで、画面に異和感を生じさせる表現手法、なんだそうですが…。 お互いに異なる要素、1つの空間に同居しているものの常識的に考えるとおかしな要素が並存状態にあるイメージ。 この作品も、一族と普通の人たちとの共存もそんな感じで表現しているのかな、と思いました。 | ||||
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大人になってから読んだのですが、とても面白かったです。 子どものころ読んでいたら、また違った感想かも? 活字なのに漫画を読んでいる感覚です。良くも悪くも。 | ||||
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学生の頃、教育実習で中学(確か1年生だった)の国語の授業に参加していた時 教生から生徒へオススメの本を紹介してくださいと言われ 自分が何の本を紹介したか覚えてないけど、 一緒に実習に参加していた友人がこの本を挙げていたのは覚えている。 当時、恩田陸の名前は聞いたことはあったけど、一冊も読んだことなかった。 あれから数冊恩田作品を読んだし、友人もその頃すでに数冊読んでいた。 その中でも、この本を友人がオススメしていた理由が読んでみるとよくわかる。 これ、中学生が読んでも絶対おもしろい。 普通の人たちに埋もれてひっそり暮らすちょっと不思議な能力を持った一族という設定。 少年マンガや、少女漫画なら『花とゆめ』連載マンガの設定にありそうなファンタジックな世界観。 色々な人物が入れ替わりで主人公になり それぞれの話が少しずつリンクしていく連作短編という形態。 長編に読み慣れてない人にも溶け込みやすく、 且つ、次はどうなるの?って先を急ぎたくなる楽しみも味わいやすい。 短編集の中で、私が好きだったのは「オセロ・ゲーム」。 有川浩の自衛隊三部作のようなファンタジックさと緊迫感 詳細は語られていないが、過去にも未来にもドラマがありそう。 著者があとがきで、元は長編を予定してたと語っているのも頷ける。 この「常野物語」は、シリーズ化しているので、続編で「オセロ・ゲーム」の続きを読めるといいな。 | ||||
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面白いと聞いて手に取ったのに、「帝国」の二文字から受けるカタそうなイメージに惑わされてしばらく放置。 なんだか「帝国」とくると、謀略とか策略とか暗躍とかそういう印象があってめんどくさいなぁ、と。 物語の雰囲気は真逆でした。 どことなくノスタルジックなお話から幕をあける短編集は、都会の片隅にあるちょっと不思議な小料理屋さんのお話だったり、「いつ裏返されるのか?」という恐怖と背中合わせの日常を戦うお母さんのお話だったり、戦時中だったり、時代も切り口もカラーもばらばらなのに全てのピースが常野という糸でつながってすごく大きなお話になっています。 わー、なんかすごいの読んじゃった。 初読みだったんですが、恩田陸さんてどんな小説家さんなんだか、さっぱり分からなかったという小説でもあります。 だーっと気負わずに読めてしまうのに、最後まで読んでから一番最初の一番のんびりとした春田家エピにしか出てこない少年の名前が「光を記す」という名前だと思い当たった時、春田家のご両親が彼の名前にこめた思いの大きさがずっしりときました。 もっと長編で読みたい。 個人的にはチェリストの律くんのお話が一番好き。 | ||||
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光の帝国 ー常野(とこの)物語ー 題名がとても堅苦しそうでしたが、作者の不思議な世界観に引き込まれる作品です。10の短編からなり、いずれも短くて読みやすいです。1つ目の短編「大きな引き出し」でいきなり涙をもらいました。小学生の国語の問題集に一部掲載されていたを読んで、続きが読みたくなり購入しました。 | ||||
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汚い世界のうつくしい人たちのお話集。自分が大人になったからかもしれないけど、社会が荒れてきているように感じでしまう今日この頃。 人ってもっと優しかったような気がするんだけど、社会全体がギスギスしてしまってきているような気がしてくる。 大人になる過程で人の汚い部分や寂しい部分に触れざるを得なくなって汚い部分ばっかり目につくようになっているのかもしれない。 朝の通勤電車や駅のホーム。無言で人を押し込み、無言で人を押し出す。一言言えばいいのに。満員電車でたまたま体がぶつかっただけて舌打ちするサラリーマン。人ってもっと優しいんじゃないのかと思う。寂しい。 そんな自分もギスギスしてしまっていたり、人を恨んでしまうこともあって、そんなトゲトゲしい自分に気付いた時にはギスギスしないように意識することにしている。 とはいっても優しくない自分がいることにも気付かされる。 優しいけど、なんだか、厳しさを感じざるを得ない大人向けの物語。 普通の人は持っていない力を持っている常野の人たち。常野は遠野物語を意識しているのだと思うのですが、別のお話。 普通の人たちは持っていない力を持つ優しい人たち。彼らが普通に暮らしていくには社会はトゲトゲしい。 気づかないうちに彼らを傷つけているのかもしれない。 他の人に寛容にならないことはいろんなものを失っていることと等しいのかもしれない。優しい物語が優しい心に語りかけてくれる一冊。 【引用】 ニッポンはミンシュシュギの国なの。ミンシュシュギということは、つまりぃ、他の人よりも余計なものは持ってちゃいけないってことなの。 「常野」というのも、常に在野であれという意味らしい。権力を持たず、群れず、地に溶け込んで、という主義 僕たちは、無理やり生まれさせられたのでもなければ、間違って生まれてきたのでもない。それは、光が当たっているということと同じように、やがては風が吹き始め、花が実をつけるのと同じように、そういうふうに、ずっとずっと前から決まっている決まりなのだ。 | ||||
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本作は「常野」とよばれる、ある一族を描いたシリーズの 記念すべき第一作目となっています (第二部:蒲公英草子 第三部:エンド・ゲーム) 三冊はどれも独立したお話として読むことができますが こちらは、短編をいくつかまとめた形になっているため 読みやすいかと思われます 不思議な力を持つ一族が その能力のために、迫害を受けたり 捉えられて殺されてり・・・ とにかく悲しくなる悲劇の歴史がちりばめられています もちろん、フィクションのお話ですし 常野一族はいません しかし、実際にこんな一族が 日本にはいたのかもしれない そんな気がしてなりません 悲しいような、暗いような 話の筋やオチはわかったんだけれど なにか釈然としない もやもやとする・・・そんな なんとも言い難い気持ちになる小説ですが これが恩田陸ワールドです!(笑) これにはまったら、もう抜け出せません 彼らの苗字や持ち備えた能力から 関係図を整理しながら読むとおもしろいですよ! 第二作からは 明治から戦後まで時代が飛んだり かと思えば第三作は現代を舞台にしたり、と 一族の歴史が バラバラのパズルのピースを一つずつ見ているような 感覚に陥ります 私はこの小説で 恩田さんの世界にはまった読者です | ||||
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これはなかなか宝石箱のよう…手を拡げすぎたため、不思議感が増して特殊な作品集になりました。 超能力を持つ常野の人たちをめぐる連作ですが、ランダムに読んでも十分に楽しめます。 私のお気に入りは、大きな引き出し、二つの茶碗、歴史の時間、黒い塔などです。 | ||||
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『常野物語』という副題は勿論『遠野物語』を踏まえたものであるだろうし、実際続く長編『蒲公英草子』では柳田国男の名前が登場するし、久美沙織の解説においても柳田国男『遠野物語』に言及されている。従ってこのことは確かなことだろう。しかしそれよりも気になるのは『光の帝国』というメインタイトルの方である。解説の久美沙織は「帝国軍と反乱軍だか革命軍だかがさんざんドンパチやりながら、最後はやっぱ光が勝つ」ような物語を想像したようだが、此方が連想したのはルネ・マグリットの手になる、まさに『光の帝国』という一連の絵画作品である。 画面下半分に、闇に沈んだ家並みがある。街灯が一つ、ポツンと灯っている。しかし空は青く、白い雲が浮かんだ昼の明るさである。夜と昼の共存、マグリットはそんなテーマで幾つもの作品を描き、それらを悉く『光の帝国』と名付けた。不思議に静かな印象を受けるその絵が、この物語を読んでいる間頭を離れなかった。 作者がマグリットの『光の帝国』について知っていたか否かは不明である。が、この物語にも「不思議な力を持つ人々の、普通の人々との共存」というテーマが読み取れるわけであって、それゆえマグリットの作品が実に似つかわしいこともまた、確かなことではないだろうか? そもそも何故タイトルが「帝国」なのか? そのことを考えたとき、作者もまた、マグリットの作品を知っていたのではないかと勘ぐりたくもなるのである。 後のシリーズのプロローグとしての位置にある短編集。 | ||||
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はじめて恩田陸さんの小説を読みましたが 『光の帝国』というタイトルと 不思議な能力を持つ一族という設定から 五木寛之の『風の王国』の類に属するもの という印象を受けながら読んでいました。 構想と流れはもちろん違いますが 底に流れるテーマの一つは 案外近いところに ある書のように思います。 何百年も生きているツル先生を象徴的な長に据えながら 「常野」一族は 現実社会といろいろな接点を もちながら みな何かの役割を背負っています。 お話は ファンタジーだったり 東北地方のもつ不可思議な 世界を彷彿とさせたり ミステリアスだったり それぞれの短編が 独立していたり 思いがけなく続きだったり・・ 読者をいつの間にか「常野」の住人にしてしまう魅力が 満載です。 | ||||
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なんとなく手にとって読み始めましたが、こんなにおもしろいとは!超能力や不思議な力といったのが好きな人ははまります。海外ドラマ、ヒーローズのような感じ。でもジーンと感動する物語がいくつもあり胸が熱くなりました。一気読みしてしまいました。また読み返したいと思える作品です。 | ||||
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後半、常野の子供たちが孤立していく部分では涙が止まりませんでした。 この頃の恩田さんの作品は素晴らしいものが多く、たくさん楽しませていただきました。 近年(5,6年?)に発表された作品は、全く面白くなくなってしまったので残念です。 私の感覚のせいかもしれませんが、最近この作品を再読してみて改めてこの頃の作品は(MAZEや木曜組曲・・・)いいと思います。復活していただきたいです。 | ||||
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超能力一族のお話って結構ありますが、岩明均の七夕の国と並んで、最高峰の小説だと思います。(岩明均は漫画家ですが。) あくまでも静かに。淡々とした語り口。詳しい背景が語られないので、何故?なぜ?と言った感じで引き込まれます。読むほどにその力と、背景が伝わります。あくまでも静かに、そして淡々と。 短編は、短編に終わっていません。それぞれのつながりがはっきりとした意思を持って、融合する。一つの方向を向かう。その周りに一つの世界を形成する。これこそがファンタジーだと思います。一つの流れ星が大きな姿を現して、静かに過ぎ去っていく感じです。 作者は、この手の短編の連続、違う場面の融合と言った古典的な手法を高めることに力を注いだ時期が間違いなくあると思います。このように渦を巻くように一つの方向に収束するこの作品で大きな成功を収めていると思います。 数列でも、∞になるとき、収束する方が発散するより、分かりやすいものです。 夜のピクニック、六番目の小夜子と読んで、この本を教え子に薦められました。全くイメージの違う、この世界。教え子と、この本を通じて、一つの世界を共有した感じでした。 世代を超えて、共感を呼ぶこの作品は、誰に勧めても喜ばれています。 静かなファンタジーをどうぞ。 | ||||
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東北地方をモチーフに、超常的な力を持つ一族のことが描かれる。 登場人物は一人一人魅力的だし、各エピソードも盛り上がる。 | ||||
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作中の「常野」は、著者の出身地でもある宮城県のどこかにある。 3.11の震災・大津波のあとで。なにかに導かれるように、本書を手に取った。 東北の人々の心が、まさに東北人である著者をして、息遣いとともに伝わってくるようだった。 不思議な能力が在るゆえに引き起こされてしまう死、絶望と、小さな希望。 その一々も、大いなる自然に抱かれながら、やがて、次の生へ輪廻していく―。 現代の東北伝説が、著者独得のやさしい語り口で展開している。 もっとも、古来偉大な自然に抱かれ、厳しい環境下で命をつないできた東北の人々には、ちょっと不思議な力が備わっていても納得してしまいそうだ。 さて2011年5月現在。東北の被災地からは、いまも他県へ避難・流出する人が絶えず、東北の人々はバラバラになっていく。ちょうど小説の常野一族が、散り散りになってしまったように。 しかしそれでも、東北というルーツに、誇りを持って生きて欲しいと願わずにいられない。 日本のどこかに埋もれながらも、常野一族はその素晴らしい力をひけらかすことなく、誠実に生き続けているのだから。 『・・・そして、いつかこのまばゆい光の生まれたところに、みんなで手をつないで帰ろう』 少年のお祈りが、いまは心に深く沁みる。 昔から、東北には浄土があるといわれる。 帰る日は、来るだろうか。 東北の人びとに想いを馳せ、あたたかい気持ちになれた物語。 | ||||
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恩田陸さん、凄いストーリー・テラーですね。 「才能は温泉のようなもので、有る所には有るけれど、無い所には無い。」という事を聞いたことがありますが、本当に温泉のような「創造力」の才能を感じました。 恩田さんはあとがきで、「ゼナ・ヘンタースンの「ピープル」シリーズのような話を書こうと思って始めた」と書いていらっしゃいますが(私はこのシリーズを知らないのですが)、私は「常野物語」を読んで、萩尾望都さんの「ポーの一族」シリーズを思い出しました。 ポーの一族はヴァンパイア、つまり吸血鬼なのですが、時代とともに変わりゆく社会の中で、人間と同じ形をしているが特殊な存在である自分たちを、その特殊性ゆえに目立たせず(目立つと抹殺されますからね)、生きていることの業と闘いながら、一族の血を絶やさず繋げていく・・・その感じが常野一族と重なります。 小説というのは、そもそもフィクションであり(ノンフィクションのものもありますが)、フィクションを書くには膨大な創造力が必要なのは言うまでもありませんが、ファンタジーになると、普通の創造力では行けない世界だと思います。 読者は全く現実世界と離れた場所に連れていかれ、逆にそこでしか表現できない「真実」を著者に見せられます。 「現実」が「真実」とは限らない。「真実」を知るために、敢えて「現実」と別の場所に行く。 普通の人間と違う能力を持つ人々の苦悩の中に、普通の人々が抱えている苦悩、社会の問題点が映し出されています。 また、全ての人間は「普通」ですが、逆に全ての人間は一人ひとり違うという点で「特殊」でもあります。 そんなことを感じながら、生きることの業を、特殊な能力を持つ一族を通じて、改めて考えさせられた物語です。 とにかく、話が面白かったです。 | ||||
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不思議な力をもった人々を描いた連作短編集。 なにげないふつうの言葉をつかっていながら、イメージを広げる手腕は恩田陸の特質ですよね。素晴らしい。 | ||||
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初めて読んだ恩田陸の作品で、その後何冊か読んだ中でも最も好きな作品。 読みやすく、入り込みやすい。 不思議な現実感があって、本当にこういう人たちがいるように感じてしまう。 ちょっとした気分転換にオススメ | ||||
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作者は萩尾望都ファンで、とくに本書は『ポーの一族』に似ているという話を以前から聞いていて、一度読んでみたいと思っていましたが、今回読んでみて、成程、部分的には確かに似ていると思いました。 似ていると思ったのは「手紙」という話で、いろんな時代にあちらこちらの場所に出没するツル先生が、果たして同一人物だろうかという話ですが、これは『ポーの一族』の「ランプトンは語る」にそっくりです。 「いったい、日本中、どれだけの場所でこの先生は草履を履いて校長をしていたのだろう。」(「手紙」より) 「世界のどれほどの地域、どれほどの年代にわたって、偶然にもエドガー・ポーツネルという名が書類にちゃんと記されているのか?」(「ランプトンは語る」より) この相似は決して偶然ではなく、作者は『SF Japan』06年秋号での萩尾望都との対談で、「私は『ポーの一族』のなかで、とりわけ「ランプトンは語る」が好きなんです。」と語っていることからも、「手紙」の設定や上記文章の相似は、「ランプトン〜」を意識してのものであるのが明らかです。 また、「常野(TOKONO)一族」の母音も「ポーの(POONO)一族」とまったく同じです。 ただ、似ているのはここまでで、後はそれほど似ているとの感じはありません。 本書の中核は表題作「光の帝国」で、これは超感動作で、この話だけでも本書を読む価値はあろうというものです。 逆に他の話は今ひとつというか、中途半端な感じのものが多いのですが、「常野物語」というシリーズのようなので、本書の中の話の大半が序章のようなもので、これから物語が膨らんでいくのでしょうね。何にしても、続きもまた読んでみたいシリーズです。 | ||||
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不思議な能力を持った常野の人々にまつわる連作短編集。とはいっても、一話一話に終わりはなく、次を感じさせる構成になっています。何でも記憶できる春田一家、先のことが分かる美那子、200年も校長をやっているツル先生、自分の”飛ぶ”力を思い出した亜希子、裏返すか裏返されるかの戦いを続ける瑛子。これら、常野一族の能力はなんのためにあるのか。これから彼らはどう生きていくのか。話はどんどん広がりそうで、この先ずっとシリーズ化してほしいなあと思うような作品でした。 タイトルにもなっている「光の帝国」の章では、悲しい出来事に思わず涙ぐんでしまいましたが、最後の「国道を降りて・・・」は、常に在野にあれとあちこちに散らばっていった常野の人々が、これから徐々に居場所を求めて集結しそうな気配を感じさせるとともに、過去と現在がつながる不思議な因縁に少し心があたたまりました。最後は清々しい終わり方で、私まで心穏やかな常野の人々とふれあったような不思議な感覚が残りました。 恩田陸の作品は、いつもジャンル分けができないなあと思いますが、これもそうですね。ファンタジーという一言ではくくれない、奥の深い作品なんです。何度も読み返したくなる、ステキな作品でした。 | ||||
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