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薬指の標本
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薬指の標本の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全85件 61~80 4/5ページ
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独特な感性の幻想的な話でした。私には、難しくて、感情移入して、読めませんでした。それだけ、個性的な本なのだと思います。なかなか読みすすめられませんでした。 | ||||
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標本、それは何のためのものなのでしょう。 展示も販売もしていない、 依頼主が自分が預けたものの標本を「見る」ために 再び訪れることもない、製作者のコレクションでもない。 身の回りからそのものの存在を隔離してしまう作業、 それは、忘れたいから、というわけではない。 主人公は言います。 「標本にするってことはつまり、 いつまでも自分の中に閉じ込めるってこと。」 自分の“外”に閉じ込める、 そのことが“内”に閉じ込める作用になる。 「標本室の内側にいる限り、すべてが解放されているんです。」 この物語の中では、標本箱の中では、 存在と喪失、自由と拘束、内側と外側、被害者と加害者、 そういったものが矛盾しています。 視線と触覚が同じ比重をもっている、という著者の特徴も見られます。 そして体の部分を一つずつ失っていく主人公の体験は 残酷で、官能的でもあります。 読み進めていくと、 標本箱の中を覗いているのか、標本箱の中から覗いているのか、 不思議な陶酔感に溺れてしまいそうです。 ですから、例えば、雨の日。 雨の檻で“外”に出られなくなった日に、 家の“中”で読むことをお薦めします。 | ||||
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芥川賞を受賞した「妊娠カレンダー」以来久しぶりに、この作家の作品を読んだが、非常に幻想的な作品になっていて驚いた。 この本には、「薬指の標本」「六角形の小部屋」の二作品が収められているが、「薬指の標本」の方が「The Ring Finger」のタイトルでフランスで映画化が進んでいるという。 何となく標本作りのアシスタントとして働くことになった少女が主人公である。その主人から与えられた靴が、次第に少女を飲み込んでゆく。薬指を標本とする決意をするところでこの作品は終わるが、一人の人間が消えてゆく、そんな感覚を持たせる作品である。 このニ作品に共通するのは、個人の待っている悩み、弱点、気にかかっているところを「標本」にして、「小部屋」で語ることによって、その個人の人生から消し去ろうと言う試みである。しかし、そんなことは出来る筈もなく、もしそうしたければ、その人間自身が消え去るしかないということだろう。 なかなか面白い本だった。 | ||||
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てっきり少しゾッとする作品だと思っていた。 題名や表紙やあらすじをよんで。 実際読み終わってみると、「薬指の標本」「六角形の小部屋」、 どちらの物語も静かな時の流れと静かな愛がそこにあって なぜかココロが休まった。 | ||||
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残酷な愛、失われる身体・・これぞ小川洋子という作品。 恋愛小説なのかホラーなのかわかりませんが、私には凄く怖かったです。 ただ、ラストがくどい。 行方不明の女性がぞろぞろ出てきているとの記述があった時点で、 主人公の運命はみえみえです。 「保存液の中にいる私を大事にしてくれるだろうか」など、 ストレートに己の行く末を説明しない方が良い。 もっともっと微妙な愛ですから。 | ||||
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静かな情景の中に広がるひとつひとつの言葉や人物の動きが、在るようで無い独特な雰囲気を出していて、 音が聞こえてきそうだったり、その世界に吸い込まれてしまいそうだったり。 | ||||
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小川洋子が描く世界は奇妙で静かな気配が立ち込めている。ぼくは村上春樹が描く短編小説とその世界の雰囲気が似ていると思うのだが、みなさんはいかがだろうか? 題名になっている「薬指の標本」は、古い古いアパートを利用した「標本室」が舞台だ。標本というコトバから思い浮かべるようなモノたち以外にも、世界に存在するあらゆるモノ(モノじゃない場合もある)を標本技師は標本にする。そこで働くことになった女性の数奇な運命とは・・・。収録されている、もう一篇「六角形の小部屋」も不思議な話だ。木で組み立てられた六角柱の小屋がある。中には天井からぶらさがるランプと造り付けのベンチ(お尻があたる部分が丸く凹んでいる)があるだけ。ささやかなきっかけから、ここに通うようになった女性。そこで一体何が起こるのか。オモシロコワイ魅力的な作品集である。 | ||||
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表題の「薬指の標本」も同時収録の「六角形の小部屋」も密室系の話で、登場人物は主人公とその相手だけという感じに、とても限定されています。いずれのストーリでも、その密室が一種の「癒し」的役割を担っているのですが、甘~い表層的な癒しとは違って、ちょっと倒錯した感じがあります。作者の説得力ある筆致のせいか、ありえないストーリと設定の連続にもかかわらず、妙にリアルなものを感じてしまいました。 | ||||
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この著者の作品で始めて手にとったです。ちょっとミステリアスな感じで、淡々と物語が展開する。内容はよく考えたら現代版「青ヒゲ?」って感じなんだけど、恋をすると人は盲目になりそして自分の進むべき道というのを少しずつずれた方向へと進んで行ってしまうものなのかもしれないと思ったりしました。それでも主人公は最後まで自分の意志をしっかりもって行動している点で恋に溺れるのも悪くないのかもしれないと感じた作品です。文章はとてもキレイにさらさらと流れるような展開なのでとても気に入りました。 | ||||
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現実にはありえないような内容で、そこに出てくる周りの人々は何か不思議な感じのする方たちばかりで・・・。 私は「不思議な感じの本」を読みたくて、この本を買いました。 でも私は、なにやら全てが中途半端に終わってしまった気がします。 全てを追求するつもりも、追及するような本でもないと思います。 しかし、別に書かなくてもよさそうな余分な設定や、『不思議な感じ』を出すためだけに描かれたような物があり、それがとても邪魔でした。 主人公の女の人にも感情移入できるどころか、本に出てくる『不思議な感じの人々』に対して主人公とは全く違う感情を抱きました。 本を読んでいて最後の方はもう飽き飽きしていて。 でも私は「買ったら最後まで読まないともったいない」的な考えなので頑張って最後まで読み干しました。 終わった瞬間「やっと終わった!!」という、悪い意味での開放感を感じる本も珍しいんじゃないかと・・・・。 この本の中に、一度も「面白い」と感じたところはありませんでした。私は初めて小川さんの本を読んだんですが、文章が全く好きじゃありませんでした。 その理由も込みで、星ひとつ・・・・。 小川さんの本は多分この先買わないと思います。 間違って買っちゃったってことはあるかもしれませんが。。私は今まで読んだ本の中で一番と言っていいほど受け付けなかった本だったので、「万人受けする本ではない」と思ってください。。 でも小川さんの本がお好きな方は「この本好き!」と思うかもしれませんけれど。 | ||||
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この作品はどことなく同著者の作品「ドミトリイ」に似ていると感じた。両作品とも読み手のとり方によっては恐怖小説とも、わけのわからない話とも取れる。ちなみに私は前者だが... 明確な解答を作中で残さない分、想像力を掻き立てられる。 火傷の標本を作りに言った彼女は、いったいどうなってしまったのだろう? 薬指の標本を作りに向かう主人公はどうなってしまうのだろう? | ||||
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「薬指の標本」と「六角形の小部屋」が収録されています。ふたつとも不思議な癒し商売が出てきます。これはそんな商売に関わる不思議な物語です。心の中に渦巻く、決して心の中だけじゃおさまりきることのできない様々な感情。小川洋子さんは透明感あふれる文体でそれを包み込んでくれました。この不思議な世界の不思議な雰囲気は、もっともっと味わってみたいです。 | ||||
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小川洋子さんの小説をはじめて読みました。 読んで受けた印象は、懐古的で甘美で切ない感じ。 決して体験したことのない(体験するはずがない)話なのに、懐かしい感じ。 残酷な場面であるにもかかわらず、グロテスクな印象は残らず、かえって甘美である。 小説に良くあるような劇的なことがおきたわけじゃなく、ちょっとしたことなのに切ない。 この切なさは、舞台が多少の非現実を含んでいる(標本室や語り小部屋)のに、私たちに身近な感情である。 このような逆説的な不思議な世界観を持った小説が美しく感じるのは、 作者の小川洋子さんの文体が透き通っているからだろう。 作者の他の小説も読んでみたいと思った。 | ||||
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『博士の愛した数式』を読んでから、この短編集を手にした。 期待を裏切らず、ありそうで絶対にない特別な空気があるように感じた。時間も感情もなにもかも、この空気に飲み込まれていく…感覚が研ぎすまされるような鈍化していくような、不思議な体験が出来た。題材はとてもSFちっくなのにそうは全く感じさせない。う~んこれもまた不思議。 | ||||
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短編集です。どの作品もすばらしいのですがこの表題の作品は特に印象に残るのではないでしょうか。作品の内容はさけて置きますが小川さん独特の残酷なシーンがはいっているのになのにその残酷さが美しく緻密な文体でこの作品は書かれています。 今度フランスで映画化されるので、予習に読んでみてもいいのではないでしょうか。 | ||||
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短編集です。どの作品もすばらしいのですがこの表題の作品は特に印象に残るのではないでしょうか。作品の内容はさけて置きますが小川さん独特の残酷なシーンがはいっているのになのにその残酷さが美しく緻密な文体で書かれてグロテクスさを感じさせないように書かれています。 今度フランスで映画化されるので、予習に読んでみてもいいのではないでしょうか。 | ||||
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「薬指の標本」という題にひかれて手にしました。そこに描かれる元女子用アパートメントを買いきった標本室という不思議な切り取られたような空間。どこといって特徴の無い、不可思議な魅力に溢れた技術士は夢のなかで誰もが一度は出会っているような「異性」の象徴のようでもあります。自由を望む反面どこかで圧倒的な力に閉じ込められたいと思う心理をくすぐられました。醒めない夢の中に閉じ込められるような魅力に溢れた短い時間を味わえます。 | ||||
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表題の薬指の標本と、もうひとつの話との二本立てです。 私は薬指の標本がお気に入り。 なんともいえない不思議な感じが独特?っぽい感じです。 ホラーでもないんだけど、なんだか少し怖さの入った不思議感です。 読みやすいし、実際おもしろいのでおすすめ。 | ||||
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読んでいる間中、静かな得体の知れない胸のざわざわが起きていました。 彼女の書く世界の中には、あたしたちにありそうな日常と、はるかに起こりえないような日常が不思議な空気の中で、見事に共存していて、初めて味わう感覚を覚えます。 絶対お勧めです!! | ||||
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この本に流れるどこか不思議な非現実的なようで堅実な空気は魅力的だった。思い出の品を標本にする仕事をする小さな作業所か会社が舞台でそこで受付をする女性が主人公だ。登場する人物は少ないが、謎めいた雰囲気がひきつけられる。思い出の品を標本にするといっても様々で人それぞれで他人にとっては何も価値の無い様なものでも本人にとっては値がつけられないものもあり、それを標本にしていつまでも保存しておきたいという心情はわかる。主人公の女性の目を通して語られるその日常もリアルな人間像があるようで面白かった。彼女のせつない恋の気持ちの揺れも伝わってきてまたいっそうせつなく、ラストはよりこちらの想像力を刺激され、軽い衝撃もあった。 後、一編の「六角形の小部屋」も謎めいた雰囲気と堅実な空気がありぐいぐいひきこまれた。恋愛中か後期の気持ちの変化、言い表しにくい相手に対する熱情は反対の気持ちが生まれる箇所が印象深い。不思議な六角形の小部屋について書くと話の興をそいでしまうので書かないが、こんな小部屋、世の中にありそうだけど鈍感な自分には気が付かないだけかもとも思えた。こちらも登場人物は少ないが謎めいたご婦人やら老婦人など著者はどんな年齢層の方もどこか気になる人間像として描かれる筆力があると思った。「六角形の小部屋」の読後は穏やかな安心感があった。 とにかく面白い一冊です。 | ||||
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