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薬指の標本
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薬指の標本の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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人に勧められたので読んでみた。「博士の愛した数式」の小川さんの作品。 清涼飲料水の工場で働いていた主人公は、機械に薬指の先を挟んでしまった事を機に仕事を辞める。しばらくしてから地元を離れ、標本室で働き始め、雇い人で標本職人の弟子丸氏と恋仲のような関係になる。そこでは持ち寄られる標本も様々だし、標本の方法も様々だった。有機物や無機物、はては音やヤケドなどを標本しに来る人がいる。ある種の嫉妬心から、主人公は自分のなくなった薬指を標本してもらおうとするが、そこで話は終わる。ふわふわした話が好きな人は好きかも。 | ||||
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内容は云々言うまでもありません ショップの対応はとってもよかったです。 | ||||
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ちょっと変わった世界を描いた芥川賞作家、小川洋子の中編小説集。 「薬指の標本」 人々が思い出の品を標本にしてもらいにやってくる「標本室」。 そこで受け付け事務として働く「わたし」は、標本技師の弟子丸にほのかな興味を覚えていた。 そんある日、わたしは弟子丸からぴったりと合った靴をプレゼントされる。その日以来、二人の関係は近づいたように見えたのだか……。 「六角形の小部屋」 水泳教室で一緒になった「ミドリさん」に興味を覚えたわたしは、ある日、帰りがけらしい彼女の姿を見つけてその後を追う。 やがて、たどり着いたのは木でできた六角形の柱が置いてある一室。わたしはそこでミドリさんからそれが「語り小部屋」という名の、人が独り言を言うための場所だと教わり……。 すごく変わった世界観の中で日常の風景が広がる。 っていうのは、現代小説において、ひとつのパターンになっている感がある。 川上弘美、多和田葉子、松浦理英子、いしいしんじ。みんなこのパターンを描く名手だ。 小川洋子さんの作品を読むのは初めてなので、彼女もそのパターンの一人、とは決して言い切れないが、 少なくともこの作品は、明らかにこのパターンの範疇に入る。 その中で重要になるのは「それをどう描くか」ということだ。ここに作家の個性が出る。 この人の場合は、丹念に描写すること、その一点をすごく大切にしているように思えた。 細かいとか執拗とかとはまた違う、不思議な丹念さ。そこから滲み出てくるものが作品を形作っている。 僕はとても苦手だ、と感じ、事実読んでいてすごく長く思えたが、 こういうのが大好きな人もきっといると思う。それくらい「独特」だし、面白い小説だとも思う。 もしかしたらこの小説は、とても女性的なのかもしれない。 そう言えば、このパターンを得意としている作家には女性がとても多い。 そう考えると、余計に女性的に思えてくる。 なんにしても、とても興味深い作品だった。 ちなみにこの作品を元にした外国映画も作られている。 興味のある方はそちらもぜひ。 | ||||
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初出92年で文庫化は97年。小川さんの本はあまり読んだことがなかったので読んでみる。 設定がブローティガンの愛のゆくえに似ていてるな、というかマンマだな、 (小川さんも影響されてると言ってたし、意図的なのかもしれない) と思いつつ読んでいくと、どうも出てくる人物、物語の流れが類型的というか女版オタク的と言うか。 途中、突然男が女に靴をプレゼントするシーンがあるのだけど、そこで読むのやめようかと思った。 (なにが「まあ、ぴったりだわ!」だよ。苦笑した。) ヲタク的妄想恋愛小説の女の子版に、口当たりの良いホラー幻想要素を組み合わせた、そういう感じである。 思わせぶりに靴屋のオヤジが登場するのだけど、ここも悪い意味であざとい。 ピアノとか火傷の少女とか雲母の結晶とか、ここらへんの登場してくる品もいかにもと言った感じであざとい。 要するにこれを読んでも新しい何かが得られるわけでなく、 いや、幻想小説として読めばいいんだろうけど、 中高生女子あたりを狙った雰囲気系恋愛小説の域は出ていないと思う。 ただ文章はうまいし携帯小説を読むよりは全然マシである女子向けメルヘン。 そう.そう、メルヘンなんだよこれは 「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」って男の人にキリッとした顔で言ってほしい女子向け。 | ||||
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不思議な空間で起こる不思議なこと どちらの話も同じテーマで描かれていると思う。 若干のオカルト的な話と 若干のファンタジー的な話 読み終わった後に感動はなかったので 僕の評価は 星3つ(It's OK) | ||||
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青髭的ミステリアスな作品。 主人公の女性は、 標本製作の助手のバイトを始める。 その“標本の館”は 昆虫や花、葉といった代物を扱うのではない。 ある少女は、火事で家族を失い 焼け跡に生え残っていた3本のきのこを 標本にしたくてやってきた。 ある女性はピアノの音。 靴磨きの男は死んだ小鳥の骨。 標本にできないモノはない。 そして、 一度標本化されたモノは 再び手にとって懐かしんだりされることもない。 標本師の弟子丸氏は言う。 標本の意義とは、 封じ込めること 分離すること 完結させること ヒトはその目的のために 標本の館を訪れるのだ。 日々の受付事務を独りで淡々とこなしながら 時折訪れる弟子丸氏との密会を 楽しみにする主人公。 ある時弟子丸氏から赤い靴を プレゼントされ、 どんな時も必ず身につけているように 命じられる。 まるで脚の一部のように ぴったりとした靴。 靴磨きの男はそんな彼女に忠告する。 靴が脚を侵し始めている 靴を脱ぐように勧める男に対し 主人公は言う。 「根本的で、徹底的な意味において 彼に絡め取られているんです」 そしてそんな彼女の状況は 顔に火傷を負った少女が “火傷”を標本にしてほしい、と 願いやってきたコトで変わってゆく。 弟子丸氏とともに、 標本室に消えていった少女。 彼女はどこにいったのか。 そして、 それを目撃した 主人公は何を決断するのか・・・ 趣ある外観、内装で、 優しい光の差す館の描写に対し、 弟子丸氏とのやりとりや 密会の場、セックスの情景は ひやり、としていて さるきち身をこわばらせる。 ちなみに、この作品 映画化されているらしい。 さるきちはコワくて独りじゃ観れなそう。 もしも、 もしも、この標本の館が実在していたら、 さるきちは過去の“事件”の記憶を 標本しに訪れていたのだろうか。 そうしたら 摂食障害を発病することはなかったのだろうか。 そんなことを考えた。 | ||||
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事故で薬指が欠けてしまったことが原因で職場を辞めた「わたし」が 次に見つけた働き先は、標本作りをするところだった。ここを訪れる さまざまな人たちは皆、思い出の品々を持ち込んでくるのだが・・・。 表題作を含む2編を収録。 どんなものでも標本にしてしまう弟子丸氏。そこで働く「わたし」は、 いつの間にか弟子丸氏に愛情を感じてしまう。だが、彼の心が分からない。 自分を見てほしい。振り向かせたい。その思いが「標本」と結びついていく・・・。 その過程は、読んでいてぞくぞくする。表題作「薬指の標本」は、不思議な 世界をのぞいているような作品だった。もうひとつの「六角形の小部屋」も 独特の雰囲気だった。懺悔室のようだが、そこは単なる「語り部屋」なのだ。 だが、そのひと言では片付けられないものがその部屋にはある。狭い部屋の 中には別の世界が際限なく広がっているようだ。ラストに感じる喪失感が 心に残る。どちらも作者の感性が光る作品だった。 | ||||
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不思議な感じで話に引きずり込まれ、最後まで苦にならずに読み終えましたが、どうも村上春樹女バージョンって感じが拭い切れませんでした。 村上さんの本は、生々しさ、というのを読んでいていつも感じる感覚なのですが、「薬指の標本」もそんな感じでした。 読んでいて不快ではない、その生々しさが次へ次へと読み進める動力にもなるのですが。一緒に収録されている「六角形の小部屋」と、ともに不思議な感覚がいつまでも残るような、そんな作品でした。 | ||||
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同じ著者の「妊娠カレンダー」に比べると、かなり現実からちょっとふみだした別の世界の出来事のような、不思議な雰囲気が漂っています。 そんな、現実味の薄い設定の中で、女の子の感情は、たぶん多くの人が理解できるような気がします。個人的には「妊娠カレンダー」の、現実がちょっとずつずれて、きしんでいくような話が好きなのですが、この本も、もっと若い時に読んでいれば、ずっと共感できたような気がします。 | ||||
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小川さんの作品には、いつも冷めた生々しさを感じる。 苦手な時もあれば、平気な時もあり、自分の女性である部分のバイオリズムで読んでいる気がする。 しっとりした皮の服を素肌に着ているような、魂にペッタリ貼り付いていつの間にか癒着している…という感触。表題作「薬指の標本」はそんな生々しさが出がちな作品だったような気がするが、「六角形の小部屋」は冬の夜のように静かに、凍みるように感じた。 | ||||
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