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灰色の虹



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【この小説が収録されている参考書籍】
灰色の虹
灰色の虹 (新潮文庫)

灰色の虹の評価: 3.95/5点 レビュー 44件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.95pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全31件 21~31 2/2ページ
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No.11:
(4pt)

灰色の世界

読了して本を閉じたとき、ふと頭を過った。“江木は何色の世界を生きてきたのだろう”その答えは有無をいわず“灰色”だろう。しかし、必ずしもそうではない。江木にはかつて、“虹色”の世界を垣間見た瞬間があったのだ。最後の章を読んだとき、震えた。江木の恋人は一体どんな想いを抱いているだろうか。そして、家族。山名。江木本人──。考えずにはいられなかった。冤罪とは一体なんだ。当人にとって、生き地獄でしかないだろう。現代社会に生まれた凶器、それが冤罪だろうか。社会的にも、精神的にも、身体的にも腐蝕し尽くし、絶望の淵へと追いやる。その絶対的に勝ち目のない状態で、江木が選択できる唯一の手段は、復讐しかなかったのか……。 貫井徳郎さんの作品は深く考えさせられる。迷わず5星をつけたいところだが、トリックスター貫井としての奇抜さが見られなかった点とPAST3における書き込み不足は否めない。よって限りなく5に近い4、と評する。
灰色の虹Amazon書評・レビュー:灰色の虹より
4103038721
No.10:
(5pt)

やはり面白い

丁寧に書き込まれた人物像で、僕にもこんな面があると思った。
長さを感じられないいい作品です〜
灰色の虹Amazon書評・レビュー:灰色の虹より
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No.9:
(5pt)

文句のなしの傑作

伊佐山刑事だけではなく、やる気のない弁護士、
それに自分の思ったとおりに決めつけてしまう検事。
これを読んでいて腹も立ちましたけど、
物語にはどんどん引きこまれました。

登場人物たちのエピソードを描き、
そこに復讐の殺人事件を盛り込んでくる構成
が良かったと思います。
暗く思い作品ですが、貫井徳郎はいいですね。



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No.8:
(5pt)

良い作家さんに出会えました!

この作品は、身に覚えのない殺人罪で有罪判決を受けた一人の青年の人生がどのように激変していくか?を描いています。
私は今まで、テレビなどで冤罪のニュースを見るたびに「やってもいない罪を何故自白してしまうのか?」ということが不思議でなりませんでしたが、この小説を読むとこういうことが実際にも何件もあったのかもしれないな〜と少々恐くなりました。最高裁で有罪判決がおりるまでの展開は、自分も主人公と一体となって追い詰められているかのようで息苦しくなり、時々、「小説だから!フィクションだから!」と自分に言い聞かせながら読みました。

この小説で私が一番良いと思ったのは、主人公の青年だけでなく、警察官、検察官、弁護士、裁判官、目撃者・・・など登場人物の一人一人を丁寧に描写しており、各人物の人となりが細かくありありと浮き上がってくる部分です。誰か一人が物凄い悪者だったわけでなく、それぞれの少しの強引さ、怠慢さ、小心さ、などが積み重なっていった結果、一人の人間をメチャクチャにしてしまうほどの悲劇が生まれてしまった過程がよく分かり作品に厚みが出ていたように思います。

ラストはどのようになるのか?気になってページを捲る手が止まらず、ドンドン読み進めましたが、事件の真相は普通に読めば分かるものであり、アッと驚くようなところは特になかったです。またやはり作品の性質上、めでたしめでたし!と全てが解決してスッキリと終わるというわけではないので、読後もいろいろ考えてしまうかもしれません。しかし、久しぶりに中身の詰まった犯罪小説を読んだな〜!という充実感が確かにありました。

私は貫井徳郎さんの作品はこれが初めてだったので、「あぁ!出会えてよかった!」と素直に思いました。他の方のご意見を見ると良作が他にもたくさんあるようなので、これからしばらくの間は、貫井さんの他作品を片っ端から読んでみよう!と楽しみです。


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No.7:
(4pt)

もう一ひねり欲しかった

冤罪と復讐の物語です。

描き尽くされた感のある題材ですが、貫井徳郎氏の筆はひと味違います。
冤罪被害者の物語と、冤罪を作り出した側である刑事、検事、弁護士・・・それぞれの物語が折り混ざって描かれ、その一つ一つの物語が短編でも良いくらいにストーリー性があって、全体として奥行きが出ています。

人物のキャラクター像が精緻に作られていて、抜群のリーダビリティでページをめくる手が止まりません。さすがミステリー界期待の星です。

とはいえ、ラストがもう一つでした。完全に予想通りの展開で、貫井氏ならではのトリックに欠けました。エピローグも平凡でもう一ひねりを望んでいた私は肩すかしをくらった気分。まあ、純粋に小説としての完成型を求めればこういう帰結になるのだとは思いますが、トリックスターの貫井氏らしさが欲しかったと思います。
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No.6:
(5pt)

初めてのレビューです

重いテーマですが、じっくり読む価値有りです。

虹が灰色に、まず江木雅史に同調しました。
初出の名前には、ルビがあるから印象に残るのでしょうか。ストーリーを間違えて読み進めたくなくて、ついつい読み返してしまいます。

伊佐山の馴染み、矢沢の妻、石嶺のこだわり、他にも目撃者・母・父・姉そして由梨恵と思いが幾重にも寄せられて、読んでいる自分も苦しくなります。

不謹慎ですが、怜さんには会いたいと思いました。
真相の解明を、とても山名ひとりに任せてはいられない心境です。

初レビューで恐縮ですが、ご参考になれば幸いです。
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No.5:
(4pt)

貫井さんらしい作品

「慟哭』以来ほとんどの作品読んでいます。読みやすく、もっと売れて良い作家だと思いますが
暗い作品が多いからかなあ。今回も、暗く、救いようのない悲しい話です。<冤罪>がテーマとなっていますが
それを暴くことではなく、主人公が何度もあがいても罪人に認定されていく過程は、実際の冤罪もこんな感じで起こるのかも、
と考えさせられます。特に自分の勝手な推理をもとに主人公を追い詰める刑事は、本当に怖い。もし自分が同じ立場なら自白してしまうかも、と
思わせます。追いつめる側と追いつまれる側の心理描写が、上手く感情移入しやすいところが、暗い話が多いのに貫井さんの作品を読み続ける理由かもしれません。今回4つ星にしたのは、今回はラストがもう少し、刺激が欲しかった、という思いがあったからです。

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No.4:
(4pt)

誰も信じてくれない孤独の闇から、いかに男が本当の殺人者に変貌したのか

冤罪の罪を着せられて殺人者になってしまった男が、理不尽な運命に復讐することを決意し、生きていく意味を見出そうとする。

冤罪の罪を着せられた男とその周囲の人間の心情がどのように変わっていったか、また結果的に冤罪であった事件に関与した刑事、検察官、弁護士がどのような心境で事件に臨んでいたのかが詳細に描かれていて惹きこまれた。

冤罪事件について、「明らかに証拠不十分で、こんなに簡単に冤罪になるのか」という思いもあったが、それは本書の主眼ではなく、誰も信じてくれない孤独の闇から、いかに男が本当の殺人者に変貌したのかに読み応えがあると思う。

ただ、最後の終わり方はあまりに救いようがなく悲愴なものだったと思う。また、結局真実が明らかにならずに残ってしまった部分があったのも残念だった。
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No.3:
(4pt)

もう少し深みを・・・

世界でも指折りの日本の犯罪検挙率。その中に冤罪がどれだけ
含まれているのかと思うと想像を絶する。
一番不幸な状態から、一番幸せだった時へと流れていくプロロットは
うまいなという感じがします。
しかし、登場人物一人ひとりに深みがなく…あまりにも悪人過ぎて
こういうのって殺されちゃうんだよね〜と どこか昭和的な感じがする。
いまの時代何が怖いかというと あからさまに嫌われている人物よりも
普通の顔をして、いい子にしているけれど裏ではとんでもなく狡賢い奴
が犯罪なり冤罪なりを策略してしまうのが怖い。
ここで復習という名のもとに殺された刑事、検事、弁護士はあまりに昭和的な
悪人である。
そこに古さと人物描写の軽さを感じた。もっと人間を観察してほしい。
今回著者の作品を初めて読みましたが、もう少し頑張って!
そうすれば次回作も買うよ!って感じですね。
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No.2:
(5pt)

重い内容ですがぜひ読んで欲しい一冊です

丁寧な文章が好きで最近欠かさず読んでいる貫井さんの新刊です。

今回の長編は、冤罪で人生の全てを失った男の復讐物語

強引に自白を迫る刑事、怜悧冷徹な検事、不誠実だった弁護士。
7年前、冤罪を作り出した者たちが次々に殺されて行く。

常日頃、私自身、この世の中で一番悔しい事は「冤罪」だと思っているので、
かなり興味を持って読めました。

日常の生活の中でさえ人から疑われたり、信じて貰えない事は悔しい事であるのに、
それが犯罪(殺人事件)での冤罪となれば、それ程悔しい事はないのではないでしょうか?

今回の主人公、江木雅史(えぎまさふみ)とその母の苦悩があまりにも辛くて可哀想で、
復讐自体は(殺人)は当然悪いことと思えても、肩入れしてしまう自分がいました。

人が人を裁く以上、刑事や検事、裁判官、そして目撃者は慎重に慎重を重ねて正義を持って
その仕事を全うして貰いたいとつくづく感じました。

貫井さんのいつもながらの丁寧な文体、そして細やかな人物描写、見事な構成には圧巻です。

もし自分が冤罪になったら…と想像しながら感情移入して読めた一冊です。
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No.1:
(5pt)

厚い、重い一冊

厚い、重い一冊。そしてそれに違わぬ読み応え。ただし読後感はよくない。
「悪人」と似てるかな?
特に最後の3ページ、このありふれた日常のしかし永遠に失われた輝かしさに
胸ふさがれ鈍い痛みにじわじわと涙がわいた。
この感じ、この、どうしようもないやるせなさ。

ただ、これだけ厚くても重くてもなお、もっと描写があっていい、膨らませてほしかったとも思う。
特に自らも過去を背負いながら江木の心に迫ろうとする山名、
そして逮捕された犯人の叫びには、もう少し厚みがほしかった。
灰色の虹Amazon書評・レビュー:灰色の虹より
4103038721

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