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モーダルな事象
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モーダルな事象の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.23pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全20件 1~20 1/1ページ
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北川アキがいくら何でもバカすぎる キャラ設定だとしてもちょっと酷く書かれすぎてる それを差し引いても星5個 | ||||
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新品同様で、小説も期待通りの面白さでした。 | ||||
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序盤から怪奇で猟奇的な幻想が描かれ、ズシリと重い読み応え。作者の分身のような桑潟の自虐的な俗物ぶりと、この奇妙な幻想の乖離が生々しく、続いて起きる殺人の謎も到底一筋縄ではいかないと予想させた。そして探偵役のジャズシンガーが登場するが、作者の名作「鳥類学者のファンタジア」のヒロインフォギーがゲスト出演して大いに盛り上がった。個人的にはこの時点で5評価でも良いと思ったくらい。彼女と別れた夫との「元夫婦探偵」が良い味を出しており、ラストで復縁を果たしたらしい2人にエールを送りたくなった。 時空を超えた戦争犯罪が現在にも落とす暗い影や世界の根源に関わる物質などは「鳥類学者…」や芥川賞受賞作「石の来歴」を想起させ、読み応え十分の大作だけに、読んでいて楽しくなる軽妙な語り口は何よりだった。この作者にしか書けない、重層的なミステリの傑作である。 | ||||
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奥泉光の文筆家としての力をいまさら事細かに説明する必要があるとも思えませんが、変わらず読み応えがあって優れた作品だと思います。同じ主人公の「クワコー」が登場するとはいっても、続篇『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』とはかなり質が異なる作品で、全くの別物と思った方がいいと思います。個人的には断然こちらがお勧めですが、娯楽としては『桑潟幸一准教授〜』の方が気楽だと思いますので、嗜好や気分によってわけてみてください。本作を読まなくても『桑潟幸一准教授〜』は楽しめますし、逆に本作にはまると続篇は物足りない可能性があります。 本作の魅力は、評論よりの文学研究にとりつかれたかのような主人公「クワコー」の観念的世界の展開にあると思います。何が現実で、何が妄想なのか。あるいは、どこまでが健全で、どこまでが病理的なのか。この小説は物語世界で「クワコー」の感じる「意味」や「意識」の問題として、世界観の倒錯を追体験させるような力があると思います。「クワコー」の捉えた世界こそが「現実」に他ならないのではないか、と感じさせてくれるのは、奥泉の筆力あってのものと思います。ある程度読者は選ぶと思うので、文学評論なども好きな人にお勧めしたいです。 かといって、ミステリーとして破綻しているわけでは全くありません。諸橋倫敦と北川アキとの元夫婦が、あくまでリアリスティックかつユーモラスな世界観の元で事件の真相に迫っていくので、「クワコー」の倒錯との対比もまた本作の魅力だと思います。 | ||||
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クワコーの惰弱っぷりが半端ではなく、頑張れ頑張れと応援するうちに物語はミステリーの枠を越え超然とした形状を成し、爆笑と瞠目が一体になった読書体験ができる。ミステリーとしても素晴らしいし、なにより下品だったり高貴だったりするジョークのセンスが抜群なので、電車で読みながら、笑いをこらえて非常に楽しめた。しかし、本の裏のあらすじ紹介、中盤以降の展開までバラしすぎじゃないか!?これからもクワコーの活躍を、もっと読みたいよ!! | ||||
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先に『桑潟幸一のスタイリッシュな生活』を読み、面白かったので第一作を読んだのだが、主人公が同じなだけで全く違う小説と考えた方がいい。アトランティスの謎という壮大なスケールあり、三流大学教員の悲哀あり、盛りだくさんだが、最終的な謎の解決まで一気に長編を読ませる筆力はさすが。しかし、第三作は第二作の路線で行ってもらいたい。 | ||||
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意味もなく分厚い本が好きではない。本書を手に取ったとき、その厚さに眩暈がした。第一章だけ読んでお茶を濁そうとしていた。しかし、あれよあれよという間に読み進んでしまった。話の紡ぎ方がとてもうまくて好きだ。何本かの糸が紡がれて、だんだん太い糸になっていくのが好ましい。小説はストリーでなく、文章そのものを読むのだというくだりも好きだ。一冊にものすごい知識が詰まっている。その知識の源は深くにあり、まばゆいばかりだ。こんなに様々なものを織り込んでしまって、次回作用の引き出しには大丈夫なのかと心配してしまう。 ところで、著者は、他人の不注意よるミス多いことに一家言ある人物ではないだろうか。なぜなら「多くeasy miss 叱る」からである。わかる人だけ笑って下さい。 | ||||
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大阪にある4流女子短大で日本文学を教えている桑潟幸一助教授、略して桑幸。 縁あって無名童話作家の遺稿の紹介文を書くが、これが出版され、ベストセラーとなり、一躍時の人となる。 しかし一方で、関係した編集者が次々と殺されて・・という(一応は)ミステリー。 導入部は「文学部唯野教授」のノリです。 サブタイトルとは正反対に、全然スタイリッシュでないどころか、小物感満載の桑幸が、時ならぬ名声に舞い上がり、周囲に起こる異変に無頓着なまま、事件の深層に引きずり込まれていきます。 謎解きをするのは桑幸と仕事で関わったライター北川アキと、その元夫の諸橋倫敦。 主人公たる桑幸の役割は、中盤以降、周囲に振り回されるピエロみたいな印象があります。 さらに話が進むと、桑幸はどんどん訳が分からなくなり、話はカオスの様相を呈し、いったいどうやって終わるんだろう、と少々不安になりました。 しかし謎解きはすっきり、分かりやすいです。 日本文学にアトランティス、新興宗教や製薬会社や古物商やら出版社やら、盛りだくさんな内容で、しかも600ページを越す大作ですが、上手く構成されていて読みやすかったです。 最後まで読めば、桑幸もただ振り回されていただけではなく、やはり主人公としての役割をちゃんと果たしていたのだと分かります。 | ||||
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最近、『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』なる新刊を出した著者の2005年の旧作。新作を読む前にこの旧作も読んでみたが、なにやら新作とは異なる雰囲気。勤めている大学は違うんだけど、同じ人なの?なんて疑問はあるけど、とりあえずは、まずこの旧作。 文庫判で600ページ近くにもなる分厚い長編。物語は、主人公の桑潟幸一助教授が、ひょんなことから、埋れていた童話作家の遺稿の紹介を依頼されたところから始まる。 依頼した編集者が殺されたことをキッカケに、主人公は、「アトランティスのコイン」をめぐる謎に巻き込まれていく。主人公のほかに、元夫婦探偵なんかも登場して、謎解きに加わり、体裁はまさにミステリ。これに日本文学近代史といった文学の匂いをさせながら、オカルトやホラーめいた感じも漂わせ、ミステリというジャンルを超えた感じのする小説で、まさに著者らしい小説。 一応、ミステリなので、謎も解かれていくが、決してそれが話の中心になることはなく、少しずつずれていく。読み終えても、なんだか、また謎の中に放り出されたよおうな感じが残る。不思議な読後感のある1冊だった。 | ||||
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名前は存じ上げてましたが、初めて読んだ奥泉 光 氏の作品です。 作風を知らず、奇妙な本の題名、奇妙な装丁、分厚い本、びっしり詰まった活字、ちょっととっつきにく本でした。 さえない短大助教授の日常が続きます。 文学界の実情がわかり、それはそれで面白いのですが、何処がミステリーなの ? って、戸惑います。 そして、途中で、これって、オカルト? と不安を抱きます。 ある程度進むと、謎が謎呼ぶ・・・というように引き込まれます。 緻密に考えられたストーリーのため、読み飛ばしができす、疲れます。 元夫婦の素人探偵、倫敦 と 北川エリのコンビが、いい味出してます。 読後の満足感はすごくあります。 すごい本を書く人がいるんだ・・・と感心するばかりです。 | ||||
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ミステリとSFと純文学が融合しています。プロットはロス・マクドナルドを彷彿とさせます。伏線の回収もきちんとされています。ジャンルを越えて本好きは必読の一冊。 | ||||
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全く著名でない童話作家の遺稿を「発見したことにしてくれ」と頼まれあれよあれよという間にプチ有名になるとある大学の助教授「桑潟孝一」 そして「アトランティスのコイン」をめぐる殺人事件を追及する素人探偵北川エリ。 この二組の狂言回しを交互に描いて、徐々に「アトランティスのコイン」をめぐる謎に肉薄する・・・・という骨組み。 で、この「桑潟幸一」が凄いセコくて情けなくて卑怯きわまりない男なんで、読者たる私たちは「なんだかなー」と思いながら読んでいくとですね・・・・。 最後の最後で、弱くて愚かで卑怯であるが故に反転して一挙に英雄と言って良い人間に変貌するのです。 これは凄いよ。 是非一読して頂きたい傑作です。 | ||||
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帯の惹句にもあるように、連続殺人、首なし死体、アトランティスのコイン、怪しげな錬金術、孤島の洋館、複雑な縁故関係、およそミステリの要素を何でも詰め込んだ作品です。 奥泉作品の中では、正統なミステリーに近い作品だと思います。 おどろおどろしい幻視など、ミステリとしては反則すれすれのギミックもあり、犯人はこいつだ、という場面でのカタルシスはあまりありません。 奥泉作品らしい、一ひねり効いた正統派(?)ミステリーです。 | ||||
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まず、この作品の前に「鳥類学者のファンタジア」を読むのが前提だが、それは本作をより面白く読むためであって、屁理屈をこねるためであってはならない。奥泉光の作品は、登場人物たちの大真面目なおかしさと、目まぐるしい舞台の移動、文章の勢いを楽しむのが正解のような気がする。時間のあるときに一気に行くべきだ(一気に読まずに済ませられる人は、相性が悪いと見る)。ジャズに詳しい方、多摩地域、特に中央沿線在住だと笑える頻度は確実にふえる。 芥川賞作家に理屈を求める読者がいるのが不思議でならない。 | ||||
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昭和の東京を舞台に、荘厳華麗な本格推理の大伽藍を構築し、挙げ句一瞬で全てを夢幻のうちに消失せしめた恐るべき傑作「虚無への供物」。中井英夫の探偵小説史上に燦然と輝く金字塔は、読者より、むしろ実作者にとって一層強く意識され続ける存在だろう。 新本格とうたわれる作家達の中にあって、少なくとも奥泉光にとって「虚無への供物」とは作家として一度はぶつからねばならない作品だったようだ。しかし、中井英夫の傑作に相応しいリスペクトはどうあるべきか。真面目な中井英夫の衒学、耽美、レトリックを、ユーモア、滑稽に置き換え、あの大傑作をなぞるようにキャラを動かして、奥泉らしい遊びを工夫しながら、反推理小説として知られた結末を彷彿とさせるオチにつなげた技ありの作。 作家的野心を漲らせながら、思いっきり本歌を遊び倒した「モーダルな事象」は「虚無への供物」が好きな向きには堪らないはず。また「虚無への供物」を読んだことがない人にはセットで読むことをお勧めしたい。本格好きなら至福の時間が得られるはず。 | ||||
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解説は何のために付け加えられたのか? この長すぎる物語にさらにページを加える必要があったのだろうか?それは、たとえば部分的に現出する漱石風の文体に何らかのエクスキューズをしたかったからなのか?分かりやすくいい文章の間に混入する、主語のなかなか現れてこない、読みにくい文章に文学的な意味があるとでもいいたいのだろうか? エンタテインメントに徹してほしいものだ。啓蒙してほしくなんかない。 | ||||
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今はやりの「本格ミステリ」の形式をとってテンポよくストーリーを展開させながら、現代の文学や活字文化に対する批評やパロディーの要素も盛り込まれています。お涙頂戴のベタな童話集に翻弄されるいまいち冴えない「普通の」人々。伝説のコインを巡って交錯する現在と過去、そして現実と幻想。「泣ける本」ばかりがベストセラーになる今日この頃ですが、こんなヘビーな本もあるものだとワクワクさせられる一冊です。特に活字を愛し、文学を愛でる方々にはたまらないでしょう。 | ||||
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私のようなマヌケな探偵小説読者は大いに啓蒙される巻末解説にあるように、松本清張が日本ミステリ(国産エンターテイメント)における「モダン」の開拓者であったわけだが、清張の問題意識が「動機」の重視、即ち「事件」が生成する場としての「社会」の小説への転写にあったとすれば、その「語り」の透明化は必然だったと納得できる。この対極にある「講釈師」としての語り手――テクストを紡ぎながら、その内部を闊歩する融通無碍な主体――は、つまりは己が「事件」を生成する場そのもので、しかし、この語り手は都合によって、ずーっと透明でいたり、半透明になったりする面妖なヤツでもある。 この不透明な語り手が媒酌人になって、60年代的「社会派」と80年代的「伝奇小説」は華燭の典を挙げる。読者は、桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活と、幻の童話作家の遺稿をめぐる殺人劇に東奔西走する元夫婦刑事の推理の一部始終を饗される。清張作品における「悪」のイコンが、黒のコインに変換され、フェイク・ヒストリーが接合される。かくして、歴史の(再)改変の、テーマが浮かびあがってくるのだ。――しかし、「猫」というヤツは、いつでも時を駆けるのだなあ。 | ||||
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『バナールな現象』の木苺を思わせるトホホな大学助教授、桑潟幸一。『鳥類学者のファンタジア』にて、主人公フォギーの友人としてちらりと登場した、北川“私の馬鹿心”アキ。物語はこの二人がそれぞれメインとなる二つのパートが、時に交錯しながら進行する。ミステリーの中核となるのは、黒い、ゴムのような材質でできた7枚のコイン。と聞いてピンときたあなたは立派な奥泉ファン。そう、毎度お馴染み“あの物質”が三度登場します(しかも今回はレシピ付)。またかよ! と思うのはまだ早い。今回は十八番であるメタ的演出もSF的道具立ても最小限に留め、著者自ら「ミステリ好きの人にちゃんと読んでもらいたかった」と語る通り、しっかり本格ミステリーとして仕上がっています。特に、桑潟助教授の身のまわりで起こる現実の事件が、もう一方の北川アキのパートで虚構のミステリーとして再構築されていく第2部は白眉。舞台は北海道、東京、大阪、京都、果ては終戦前夜の瀬戸内海と目まぐるしく移り変わり、登場人物もフォギー、トマス・ハッファー、野々村鷺舟など奥泉作品ゆかりの面々の友情出演(?)あり、しかも巻末には初心者のための奥泉文学入門と、過去の作品の解説まで付いてくる、まさに満足度120%、前作の消化不良を吹き飛ばす快作。読むべし! | ||||
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難解そうな印象を最初うけますが、読み始めると軽快。特に主人公の大学教授のだめぶりが素晴らしい。 本格ミステリ以外にも、トラベルミステリ、伝奇小説、島文学、幻想文学としても読める懐の深さ。 | ||||
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