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死者の長い列



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死者の長い列の評価: 4.55/5点 レビュー 11件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.55pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全11件 1~11 1/1ページ
No.11:
(5pt)

死刑廃止論者ってのはすげーな。

孤独が服を着て酒場を彷徨い、教会やホームレスに1ドル札をばら撒いていたスカダーが加齢のせいかエレインの調教のせいかどんどんその魅力が薄まっていく。以前のしけた事件への異常なまでのこだわり、のめり込みはもうここにはない。警官を辞めるきっかけとなった少女の話も出てこなくなって久しい。何がそうさせたのだろうか・・・を考えるために書かれた小説なのかなと思ってしまう。
死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
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No.10:
(5pt)

忘却もいいもんです

未読のスカダーシリーズを買おうと思ったらアマゾンの購入履歴が表示されました(これに何度救われたことか)。
 すべての本棚はとっくに二重置きになっていたので、捜索に手間取りましたがどうにか発見し、再読を開始しました。
 驚いたことに、こんなにおもしろい筋立てなのに、まったく記憶がよみがえりません。ミック・バルーが戦没者碑を見に行くシーンで何故本筋と関係ない雑談部分だけ、読んだ覚えが鮮明にあるのだろうと不思議に思ったくらいです。
 ここまで忘却力が進んでいるとは思いませんでしたが、考えようによっては自宅の蔵書を読み返すだけで1年間くらいは楽しめるわけで、これはこれで喜ぶべきことかもしれません。名作は2度美味しい。
死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
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No.9:
(5pt)

丁寧な描写

とても面白かったです。この面白さは本格推理云々と言うよりも、キャラクターを丁寧に描いているからだと思います。私には「八百万の死にざま」以降最も面白い作品です。
死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
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No.8:
(5pt)

粗筋は記憶していたが・・・

大昔に読んだミステリ本を、我が家の押入れの中から探し出し読むのが癖になり今回は、ローレンス・ブロックの1994年の作品マット・スカダーもの『死者の長い列』(A Long Line of Dead Men)を読むことにした。
 本書の奥付で1995年刊行された本であるから読んでからすでに18年もの時が過ぎ去っていることになる。
 が、タイトルを見たら、本書の結末までやデティールなどは記憶してはいなかったが、毎年一回だけ集会を催すという変なクラブのメンバーが不自然な死を迎えていくのに不安になった会員の一人がマット・スカダーに調査を依頼して始まることだけは記憶していた。
このクラブの歴史がキリスト誕生以前まで辿れるかも知れないなどという設定は、少々荒唐無稽に感じながらも読みはじめたのであるが、あのフリーメーソンやアメリカの有名大学にもこのようなクラブが現存していることなど思い浮かべながら、ま〜深く考えずこの物語に入りこむことにした。
 この風変わりな事件を設定した『死者の長い列』という作品を何故ブロックが書いたのか?、実はブロックは、レックス・スタウトの作品で活躍する名探偵ネロ・ウルフの大フアンであり、「贖罪連盟」なる団体のメンバーが次々に変死し、そのつど復讐を暗示する詩が届くという事件『腰抜け連盟』というスタウトの作品に触発されたのだろうと、巻末の解説で法月綸太郎氏が書いていた。
 評者が先に読んだ『泥棒は抽象画を描く』の解説で杉江松恋氏もこのことを詳しく解説していて、「もしローレンス・ブロックがDNAを引き継いでいるとすれば、ジョン・ディクスン・カ−ではなくレックス・スタウトのDNAであろう」、と書いていた。
 本書では、酒を断ったのち55歳になったスカダーは相変わらずAAに通いながら事件に対峙する姿を著者ならでの筆致で描いて読ませてくれる。
 さすがに昔読んだ本だから読み進みながら事件の進む方向も観えてきたものの記憶にないところも多くあり、たとえばスカダーの友人ミックの営むバーで、雨の降る夜長を彼と語り明かす場面などは記憶になく初めて読むような新鮮さを味わいながら読んでしまった。
 物語にあまり関係のない寄り道のような場面ではあるが、死というものについて語り合う二人の言葉の意味深さがミステリという読み物を超えたところにあり、さすがブロックならではの巧みさに感じ入ってしまったのである。
 ミックのバーで毎日二パイントのビールを飲みながら日長過ごす老人ドハティが、かってはアイルランドRICの戦士だったことを語りながら、「スキベリーンの殺し屋、エイモンド・ドハティは、バーのストゥールに坐って、時間が自分のまわりを通り過ぎてゆくのをじっと見ているわけだ。あの爺さんは、ゴールウエイ・ローズ(この老人が前に通っていて潰れたバーの名前)よりも長生きをした。いや、おれたちよりも長生きをするんじゃないか?あの小さな帽子をかぶって二パイントのビールを飲んで」彼はそう言ってウイスキーを口にふくんだ。「まさに死んだ男たちの長い列だな」とミックが語っているのが、本書のタイトルともなっていることから、評者には特に印象に残ったシーンであった。(P349〜P366)
 先に読んだ『泥棒は抽象画を描く』で登場する泥棒探偵バーニーとは180度異なるキャラクターである無免許探偵スカダーものを久しぶりに楽しませてもらった。
 

 
  
 
 

死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
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No.7:
(4pt)

スカダー もう終わりなのかな

一気に55歳に老けてしまったスカダーは、もはや今夜の宿や明日の食事の心配は無く
エイレインとの仲も堅く進展しちゃって、危険な男の魅力はどこに行ってしまったって
読者はまごついていると思う
たとえるならば、リーサルウェポンのメルギブソンもシリーズが進むにつれおとなしくなったし、
感じ的には、フィリップマーロウが最後のプレイバックでやけに変わってしまったことを連想した

推理物としては少々古臭い クラブの設定ですが、さすが面白くて最後まで飽きさせられなかったです
死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
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No.6:
(5pt)

ミックとは対極の分身キャラ、レイ・グルリオウ登場

今回原書を読むために、あんちょことして再読、現在償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)が上梓されて間もないため容易に入手することができます。原書A Long Line of Dead Menは口語が多用されこれまでの作品に比べて難しい印象でした。ミックの口調に英国表現が多い点に気が付いたのは原書ならではの発見でした。英語の学習教材としては不向きではありますが、面白いものを使って英語に触れていたいことから、原書と並行読みしています。

本作では、以後の作品でもキーマンとなるレイ・グルリオウが登場します。身長6フィート3インチ(約190センチ)レールのように痩せており年齢はスカダーの9歳上(当時の設定で64歳)。彼は世間から注目を集め、誰も弁護を引き受けないような重罪の被告人の弁護を引き受け、無罪を勝ち取ってしまう敏腕弁護士です。一般人からすると過ぎた正義を実行する彼は、多くの反発も買っています。その意味で当初スカダーもいい印象を持っていませんでしたが、会って話をしてみると「正義」に対する考え方が意外と近いことに気づきます。それを共通項として、スカダーのダークハーフ、ミック・バルーの対局のスカダーの分身として以後の作品に登場します。ミックはスカダーをして「ミックは私の実在しない兄か、私の分身なのか」と言わしめるほどの重要キャラですが本作以降、それに次ぐ存在感を持っていきます。

スカダーシリーズはゲストスターのキャラが立っていてもそれ以降まったく現れないことが多いのですが、気が付くと常連になっており、いつ登場したかが分からないというパターンも少なくありません。そのため覚書として残しておきます。
死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
4576022040
No.5:
(5pt)

ミックとは対極の分身キャラ、レイ・グルリオウ登場

今回原書を読むために、あんちょことして再読、現在償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)が上梓されて間もないため容易に入手することができます。原書A Long Line of Dead Menは口語が多用されこれまでの作品に比べて難しい印象でした。ミックの口調に英国表現が多い点に気が付いたのは原書ならではの発見でした。英語の学習教材としては不向きではありますが、面白いものを使って英語に触れていたいことから、原書と並行読みしています。

本作では、以後の作品でもキーマンとなるレイ・グルリオウが登場します。身長6フィート3インチ(約190センチ)レールのように痩せており年齢はスカダーの9歳上(当時の設定で64歳)。彼は世間から注目を集め、誰も弁護を引き受けないような重罪の被告人の弁護を引き受け、無罪を勝ち取ってしまう敏腕弁護士です。一般人からすると過ぎた正義を実行する彼は、多くの反発も買っています。その意味で当初スカダーもいい印象を持っていませんでしたが、会って話をしてみると「正義」に対する考え方が意外と近いことに気づきます。それを共通項として、スカダーのダークハーフ、ミック・バルーの対局のスカダーの分身として以後の作品に登場します。ミックはスカダーをして「ミックは私の実在しない兄か、私の分身なのか」と言わしめるほどの重要キャラですが本作以降、それに次ぐ存在感を持っていきます。

スカダーシリーズはゲストスターのキャラが立っていてもそれ以降まったく現れないことが多いのですが、気が付くと常連になっており、いつ登場したかが分からないというパターンも少なくありません。そのため覚書として残しておきます。
死者の長い列Amazon書評・レビュー:死者の長い列より
4576951599
No.4:
(4pt)

更生したマット・スカダー

すっかり真人間になってしまったマット・スカダーに困惑。

この世の全ての罪と悪を、自分の責任であるかのように背負い込み、酒におぼれ、稼いだ金を教会に寄付し、さながら聖人か苦行僧のような生活を送っていたスカダーが、よくもここまで更生(?)したものだと感慨深くもあり、同時にどこか不安でもある。もはや教会には行かず、彼が殺した少女を思い起こすこともない。それはようやくにして彼が罪の意識から開放されたからなのか、それとも単に歳をとって忘れているだけなのか、ちょっと分からないのだ。
そして結末も、かつてのスカダーからは考えられないものだ。生と死、罪と罰、八百万の死に様を見続けてきたスカダーをして、選んだのがこの結末なのか。時には犯罪者を自らの手にかけ、「神の役割」を演じてきたスカダーが、ようやくにして「神のものは神のものに」返すことができたと解釈すべきなのか。この心境の変化は、ブロックのそれとも少なからず関連しているようで興味深い。
余談ながら、犯人特定の決め手となるある要素、マイケル・コナリーの某作品のそれとまるっきり同じである。でも、探せば別の小説にもあるようなネタだし、このくらいはご愛嬌かな。
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4576022040
No.3:
(4pt)

スカダーが変わる

久しぶりにスカダーシリーズを手にした。
退職、離婚、禁酒から年月を経て、スカダーの生活もだいぶ落ち着いてきた様子。ついに結婚までするのだから。スカダーの私生活の部分に、先ずは”おめでとうございます”と言いたい。風変わりな経歴の二人ではあるが、大人の落ち着いた生活になりそうだ。

さて、物語は”31人会”という変わった集まりの中で、連続殺人の疑惑が持ち上がるところから始まる。この会は、最後に生きていた一人が30人の若いメンバーを集めて存続してきたという。そして、歴代のメンバーはそれぞれ人生の”成功者”的な男たち。
大変に凝ったプロットで、捜査の途中に出てくる”常連”も”新顔”も、個性的。そして、犯人は意外で、時間をかけてメンバーを殺していく人物。
謎解きとしても、スカダーものとしても完成度の高い作品だと思う。ただ、犯人のキャラクターが若干薄いのが残念。そして、犯人への対処の仕方もどうかと思うのだが、どうでしょう?
死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
4576022040
No.2:
(4pt)

おいぼれ熊

スカダーシリーズの初期の頃とか知らなく、この一冊を手にとっていたらどうだったかな・・・本作中で調査対象の秘密の会のメンバーの人生と自分の過去から現在までを比較し、恋人である同居人に話すシーンを読むと過去の「飲んだくれるおっさん」が55歳にして立ち直ってしまう良い話になってしまったかもしれないな。少々のんだくれるため、安ホテルの家賃のために「人に便宜をはかる」が薄れて(スカダー自身はまだそのつもりだが)立派な推理探偵になっていく。教会に十分の一税を払わなくなって、コーヒにバーボンを入れなくなってどのくらいになるかと思いながら読ましていただいた。脇役の充実感もかなりなもの。私は、夜、自分自身で静かにした時間に「おっさん、少しは一緒に飲もうよ」と最近思ってしまう。ファンの一人です。
死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
4576022040
No.1:
(4pt)

創元スカダー文庫??

僕はここでスカダーもののレビューをいくつか書いてきたが、決まって「プロットはそれほど凝ってはいないが、スカダーの存在感で読ませる」という類の内容だったと思う。しかし、なんとなく読みそびれていた本書を手にしてびっくりー緻密なプロットに支えられた「本格推理小説」の様相を呈しているではないか!年に一度、秘密の会をもよおす31人の男たちーここからしてもう推理小説のノリだ。そのメンバーが30年かけて半数近く殺されていくという途方もないスケールの事件をスカダーが調べ始める。そんな状況でもスカダーの調査は相変わらずだ。そこらへんの混ぜ合わせ方が絶妙。これが同じブロックでも、バーニイのシリーズになると(たとえば「泥棒は図書室で推理する」)完全にパロディになってしまうのに、こちらはちゃんとスカダーものとして立脚している。わりあいと早くに犯人がわかってしまうのはご愛嬌だが、ミック・バルー(スカダーとのお喋りが最高)とAAの集会が重要な複線となっているところなど、ブロックのうまさには舌を巻く。そのほか、エレイン、TJ、「ハード・ウエイ・レイ」など脇を固めるキャラクターもしっかりと機能していて、初期の「ネクラなアル中探偵」の物語ーという範疇にはもはや収まりがつかなくなっている。
僕はその頃のほうが本当は好きなんだけどな。
死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:死者の長い列 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)より
4576022040

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