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連続殺人鬼 カエル男
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連続殺人鬼 カエル男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.68pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全203件 201~203 11/11ページ
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最近の紹介本の中では、ひさびさの大ヒット予感の傑作ミステリです。 類型としては、サイコサスペンスで、シリアルキラーを描いた作品なんで、ありがちといえばありがちです。しかし、異常なまでのリーダビリティの良さと、現実に起こったいくつもの事件(光市母子殺害事件や神戸の酒鬼薔薇聖斗事件などなど)や社会的テーマを惜しげもなくガジェットのように放り込んで、最後の最後でジェフリー・ディーヴァーばりの大ドンデン返しを連発してくる力業の連発を可能たらしめる筆力は、はひさびさに「会心の一撃」的な作品」と作家に出会ったと感じた一冊でした。 劇場型のハラハラドキドキの映画的なミステリが好きな方には、文句なくお勧め致します。 ネタバレにならないようにあらすじを紹介しますと、ある日、入居者の少ないマンションの13階の非常階段に、女性が一人吊されているのが発見されるところから物語は始まります。裸に剥かれ、口からフックをつけてつり下げられていた女性の身体には、その死体をカエルに見立てた、子供が書いたような犯行声明のメモがくっつけられていました。そして数日、今度はスクラップ工場ではトランクに詰められた老人の死体が、スクラップ機にはさまれて人間ジュースの一歩手前の状態で発見されます。勿論、そこには再び同一人物による犯行声明がありました。 自分たちのすぐ近くで起こる猟奇的な殺人事件。犯人の異常さに声を飲む警察と市民。テレビのコメンテーターの発言にも感化されて、人々周囲のは精神異常や過去にそういう病を発症したものを狩りだそうとジワジワとパニックに陥っていきます。警察も、そうした人々のチェックに動き始めます。そうした警察の捜査をあざ笑うように、ついには三人目の死体が発見され、町は混乱と恐怖に支配されてゆきます。。 狭い町内で繰り返される異常な連続殺人と、犯行の影に見える精神異常の気配。俗に「39条」と呼ばれる刑法39条の心神耗弱な状態での免責に対する問題提起と、パニック映画的な混沌の中で走り回る肉体派の刑事のタフネスぶり。読みどころが満載のこの作品は、そのぶん逆にツッコミどころも満載なのですが、それでもその勢いとパワーに圧倒されることは間違いがありません(冷静になって振り返ると、主人公の刑事はあまりにもどんくさいし、登場する精神科医たちは神のごとく絶対的な能力を持っているし、、)。 解説によれば、著者の中山七里さんは「このミステリーが凄い」で一年に二作がダブルノミネートされた実力派ということで、それも納得の一冊でした。ちなみに、その時に大賞となったのが「さよならドビュッシー」です。 | ||||
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いい意味でこれが本当に『さよならドビュッシー』や『おやすみラフマニノフ』を書いた著者の作品なのか!と思いました。新たな一面を見る事が出来てとてもよかったです。 | ||||
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幼い子供がカエルを弄ぶように、被害者を残忍非道な方法で「吊るす」、「潰す」、「解剖する」、「焼く」という連続殺人を犯す通称「カエル男」を扱った小説。これに幼少期のトラウマ、イジメ問題、知的障害及び社会復帰問題、刑法第39条問題、"恐怖"が人間心理に及ぼす影響などを重層的に描いた作品。描写力も確かで特に前半は読み応えがあった。社会・心理問題に関する調査も行き届いていて、上記の筆力と相まって作家的力量を感じる。特に、身近な"恐怖"が日常を狂気に変えるという趣向が目を引いた。4件の猟奇的殺人が市全体をパニックに陥れるという着想を掘り下げれば、より充実した作品になったと思う。 しかし、私はてっきり連続殺人事件よりも、上記の社会・人間心理問題に焦点を絞った作品なのかと思ったのだが、ミステリ的趣向にも意を用いていたようだ。これが後半のドタバタ感を招いていると思う。作者は"恐怖"、特に狂気がもたらす"恐怖"を主題としたサスペンスとドンデン返しを狙ったようだが、サスペンスと言うよりはファースの趣きが強かったし、ミステリ的アイデアはクィーンとクリスティの著名作品をべースにした印象を免れない。結末もW.カッツの著名作品を想起させる。主人公の刑事の思考力が余りにも幼く、その代わり肉体はマクレーン刑事並みと言う設定も頂けない。折角の問題提起や筆力が活きていないと思う。 一つの作品に多量の要素を持ち込もうとして消化不良になってしまった感がある。メインテーマが霧散している。特に、ミステリ的趣向に関しては工夫の余地が大いにあると思う。冒頭で述べた様に、問題提起力・作家的力量はあるのだから、テーマの絞り方や構成を練る事で今後が楽しみな作家だと思う。 | ||||
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