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博士の愛した数式
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博士の愛した数式の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.32pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全704件 381~400 20/36ページ
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世の中にはいろいろなことがあります。楽しいことばかりじゃなくて、どちらかというと嫌なことや、理不尽なことに振り回されることが多いです。その反動で、つい身近な人、友人や家族や、同僚に冷たくあたってしまったりすること、ありますよね。でも、人はそんなに悪いことばかり考えているわけではありません。人をおとしめようとか、自分を優位にしようとか、もちろんそんな人はいるけれど、大多数の人は温厚で、善良で、人の不幸を楽しんではいないのです。それを感じさせてくれるのが、この本の登場人物である博士だったり、ルート君だったり、家政婦さんだったり。この本は、人の持つ温かさを思い出させてくれます。人が持つ善良な部分を確認させてくれます。人っていいもんだなあと、しみじみ思わせてくれます。もちろん気休めにしかならないかも知れません。人の感じ方は十人十色。ただ、もしあなたが人を信用できず意地悪で嫌な人間になりそうだったら、少し読んでみてもいいんじゃないかなあと思います。大きな事件もなく、淡々と流れていくストーリー、特別感動的でもないけれど、読み終えて、じんわりと心が和んでくるお話です。 | ||||
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映画のポスターを見ていたのでこの小説が小学生にわかるのだろうかと思い、読みました。結論はイエスでした。博士、ルート、作者が求め、あらわす愛情がどの場面にも単純に分かりやすく、出題しやすい内容だと思いました。最近人気の出題傾向にあてはまる小説だとおもいました。 | ||||
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ベストセラー小説だけあって、読みやすく、いやみのない読後感。博士と私とルート、そしてそれをつなぐ数式や数字の美しさ・・・・。 数学は、もともとそれ自体に美があるが、それをうまく使って小説を構成しているのは、さすがという感じがする。 しかし、あえて難を言うとすれば、登場人物それぞれが余りに純粋で心優しく、作り物のような感じが強いこと。もともとリアリティーを要求するようなタイプの小説でないことは十分にわかっているつもりだが、少したいくつな感じもした。 | ||||
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数学に恋して、蜜月な研究を続け、そして今は80分しか記憶が持たない先生は、やさしい。毎朝突きつけられる「僕の記憶は80分しかもたない」という自分の書いたメモ・・・毎朝の繰り返しを限られた過去の記憶といとおしい数学の中で静かにはじめる。家政婦とルートは先生に対し、敬愛と愛情、そして友情を持ち、彼らも本当に優しい人たちだ。周囲の第三者も優しい無関心を装うまた優しいひとたちなのだ。そして、日々はなにげなく続いていく。忙しくしているとなにげなく通り過ぎていってしまう、夏の日差し・雨の匂い・蝉の声・過ぎていく季節を彼らは惜しむべくすごしていく。私にとっては、数学はこの3人をつなげるための絆であり、重要な共有すべき秘密に思える。そして第4の登場人物である未亡人の先生に対する情感も傍線ではありながら、とても染み入るものがあった。後々まで残る柔らかい感触。人はどんなときでも幸せにすごしていくことができると感じられる秀作。 | ||||
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数字というのは、無味乾燥な存在だ。値切りは数字ではなく、人間関係だ。数字は感情をもたない。数字は絶対だ。数字は空気を読むことはしない。冷徹だ。しかし、そういう数字という存在も、人の想い一つでまったく異なる顔を見せるようになる。感情豊かな存在になる。人間らしい輝きをみせる。そういうことが書いてある。虚数に対する温かさはどうだ。なんであんなに優しくなれるのか。素晴らしい一冊だ。著者の念入りな取材の成果といえばそれまでだが、題材に息を吹き込み、生命を与えたことにエールを送りたい。すばらしい。 | ||||
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数学が苦手なので、興味はあってもなかなか手を伸ばすことができませんでしたが、文庫化をきっかけに読んでみました。するとどうでしょう。今まで無機質で冷たいイメージしかなかった数字が、どんどん美しくて温かいものに見えてくるではありませんか!気難しい数学者が、実は子どもをとても愛しているというギャップが、この作品に何とも言えない魅力を与えていると思います。文学と数学というかけ離れた2つの世界が融合されて生まれた、一見奇妙ではあるけど、とても心温まる作品です。 | ||||
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決して豊かではない母子家庭の親子が、ふとしたきっかけで未知の世界へ足を踏み入れる。そこは秩序と調和と混沌が混じり合った美しい世界であった。その世界の住人である記憶障害の天才数学者「博士」に誘われ、未知なる世界を冒険しながら、互いの世界の価値観を分かち合い、家族としての情愛を深耕していく・・・こんなふうに読めました。すごくファンタスティックな物語です。 | ||||
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ゼヒゼヒお勧めの一冊。数字の美しさと。博士の優しさを分けてもらえた。博士と家政婦さんとその息子ルート(博士命名)のお話。博士もルートもなんと阪神ファン。随所に阪神がちりばめられているの。掛布の文字も出てくるし。アタシも阪神ファン!『ゼロ』について、想い続けられるね。今。私。ふわふわっとした浮いてる感じで。一気に読みきっちゃいました。そして、な・き・ま・し・た。数学の専門書もパラパラと手にとってみたり・・・。できちゃうかも。 | ||||
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時間も場所も忘れて一気に読んでしまった。たとえるなら、普段目にしている景色を、きらきらと輝かせる朝露のような。私たちの視界に、一人ひとりの人間の、温かく、ときに切ない想いをそっと柔らかく添えるような、優しいストーリーだ。淡々とした文章に、これだけ心を動かされたのは初めてで、こういう作品もあるんだ、と驚いた。忘れられない一冊になりそうだ。 | ||||
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良い作品だ。心に響くものを感じたときに一つの真実を知ったと言って良いならば、この物語は私が知らなかった真実を含んでいる。現実と真実とは意味が違うように虚構でこそ伝え得る真実もある。自ら発想し他者に伝えたいと願う「真実」を表現する手段として、例えば作家が脳に汗を噴出させながら作り上げる「虚構」を舞台として、そこでの登場人物に表現させるというのがあるのだろう。純文学といわれるカテゴリーでは、この手段がよく見られる。そして虚構であることの言い訳(説明的文章)を決して加えない(加えなくて済む)ことこそが、「真実」の物語としての必要条件といえるかもしれない。この物語は、芥川龍之介を読むような味わいがある。が、昨今の芥川賞受賞作が言い訳付き虚構の感があるのに対して、久しぶりに優れた虚構性に触れた思いがある。 | ||||
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「記憶ができない」という設定は、もちろん最初から最後まで変わることは無くて救いが無いなーと思って読みました。でも、そんなことは超越して人を想う心とか、愛することとかは、ずっと信じていたいと思わず感じる作品です。悲しくて泣くとかではなく、自然と涙が込み上げてきて、読後に清涼感を感じることができる作品です。かなり好きな一作です。 | ||||
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家政婦さん目線で書かれていて、最初はぎこちなかった博士との関係が徐々に深いものになっていくのが読んでいてすごく、暖かな気持ちにさせてくれます。特に中盤からは、博士の病気を忘れてしまうくらいに幸せそうです。 しかし、家政婦さんとその息子が3人の思い出を作っていくにもかかわらず、博士だけは違うという現実が、ものすごく恐ろしいです。 暖かな気持ちになる一方で、ものすごく胸を締め付ける作品でした。 | ||||
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作者小川さんと、数学者の藤原さんの対談をまとめた『世にも美しい数学入門』を先に読んでいたのですけれども、やはり、順序はこちらが先の方がよかったようです。 数学と野球を題材にしながら、老数学者「博士」と、家政婦「私」とその小学生の息子「ルート」の心の繋がりを描いています。 数字を相手にしている博士は、思慮深く遠慮深い人でした。「自分が生まれるずっと以前から、誰にも気づかれずそこに存在している定理を、掘り起こすんだ。神の手帳にだけ記されている真理を、一行ずつ、書き写してゆくようなものだ。」と言っていることから分かるように、神の前に跪くように数字に向かっているからかも知れません。 博士はまた、子どもを大切にする人でありました。だからこそ、博士と家政婦である私の息子ルートとの接点ができるようになったのです。 私とルートも、博士を大切にしていました。80分しか記憶がもたないため、何度も繰り返される博士の話に対して、たとえどんなに聞き飽きていても、誠意を持って耳を傾ける努力をしていました。「私たちさえ黙っていれば、博士は失ったものの存在について知ることもなく、何も失っていないのと同じになるのだ。」というのです。 博士と、私とルート。互いに謙虚さをもち、感謝の念をもち、連帯感のような思いやりをもって生活していました。 温かさを感じることのできる作品でした。 | ||||
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「完全数」だの「素数」だの、小難しい専門用語や、ときおり数式がでてくることもあったが、数学が苦手な私も、物語の中の「私」同様、毛嫌いすることなく、すんなり受け入れられた。 博士が私の数学の先生であったなら、きっと私は数学が得意になっていたに違いないと思った。 『80分しか記憶がもたない』という博士は、「数字」をこよなく愛し、そして子供を大切にした。 子供がいない場所では無作法な博士も、子供の前では行儀良かった。可愛がるばかりではなく、諭すように叱ることもあった。子供はそれを素直に受け入れていた。 そして、子供を褒めるのも上手かった。考えている子供に正解を言うことはしなかったし、考えて自分で答えを見つける楽しさを教えることが特に上手かった。 親はこうあるべきなのだな、と思った。 「数字にはリズムが大切なんだ」という博士のように、この小説を評価するならば、物語の展開がまるでひとつのリズムを持っているかのように、スムーズに運ばれる。 数学が苦手な人、子供への接し方に悩んでいる人、さまざまな人に読んでもらいたい作品だと思った。 | ||||
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博士の愛、数学の美しさ、ルートの賢さ。もう説明不要でしょう。難点:野球を`巨視の物理 つまり ニュートン力学`だけで捉えるのは、少しだけいきすぎ。参考資料:あだち充 作 『タッチ11』(新書版) 小学館引用 セリフ:「野球は数学じゃねえよな。」詳細:初版第19刷では、72ページの3コマ目。達也が孝太郎にいう。オススメ:特に指定しないがきっとみつかる。「量子論」について学ぶいい機会です。以上。 | ||||
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記憶が80分しかもたない数学博士と家政婦、その子供の間の関係を描いた小説であるが、読んでいると実にほのぼのとし時間がゆっくり流れている感覚を持った。通勤時間を利用して読んだが、通勤時特有の少しギスギスした気持ちから別世界につれてってくれて、自分を穏やかにしてくれるような小説であった。これまで数字や数式の美しさという事考えたことは無かったが、なるほどと思わせてくれたことも貴重だった。 | ||||
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小川洋子さんは この話を書いていたときに小さな子供を育てていて、洗濯物をたたみながら言葉を選んでいたとインタビューで読みました。 そして今同じように子世話中の私は 話の中の博士の言葉にとても勇気付けられました。 博士は、”子供は大人よりずっと難しい問題で悩んでいると信じて”いたり、”質問をされたら、正確な答えを示すだけではなく、質問した相手に誇りを与える”ことができたり、”子供を自分たち大人にとって必要不可欠な原子と考えたり”しているんです。1行の数式が度々登場して、それが博士の ”まわりと違って変なところ”じゃなくて、人間として”きまってるところ”を浮き彫りにしてくれて、小川洋子さんの中からでてきた言葉に癒されました。祈りというか、なんというか、感謝というか。 子育ての悩みはつきませんが、子供はもっと難しい問題で悩んでいると博士に言われると、そうですよね、と素直に謙虚になれそうです。 | ||||
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私は学生時代数学が好きだった。なぜならば、我々が習う数学には答えがあるからだ。答えを導き出すために考え出した数式は、それが正しければ必ず正解が求められる。間違った数式ならば、問題と違った答えが出てしまう。やり方は色々あるが、そのやり方が正しければ、どのやり方でも全て同じ解が導き出される。 この話の中でも出てきたが、ゼロという概念は数字があみ出されたかなり後になって、その概念が発見された。今となってはゼロが存在することは当たり前であるが、ある意味不思議なことである。数学というのは、簡単な今では常識であることを証明することが困難である。1+1=2を証明することに全力を尽くしている数学者がいたということを以前聞いたことがある。 数字というのは、非常に奥が深い。正直であり、神秘なものでもある。博士はまさに数式みたいな人である。記憶が80分しかもたないので、何度も同じことを聞く。1+1が必ず2になるのと同じように。そして純粋無垢である。 現代社会は数式で表されないことが多い。1+1が0になるときもあれば、3になる場合もある。でも、博士の世界は必ず2になる。犯されていない純粋な世界だからだ。そして、純粋に義姉を思う気持ちも、数式のようにいつになっても答えは変わらなかった。義姉は0や3に答えを変えようとしたが、博士の答えはいつも数式と同じ2であった。そして最後に義姉も1+1=2になったのであった。 | ||||
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僕は現代作家の作品は読まない。(海外作家と歴史小説は別だけど)なぜなら、そこに書かれている時代や風景が、あまりにも身近すぎてこそばゆい感じがするからだ。この作品は、単行本で出版されているときから、少々気になっていた。というのも、朝日新聞の書評に興味をそそられたからだ。しかし、「所詮、現代作家の作品」と頑固を貫いていた。そうこうしているうちに、寺尾聡主演で映画化されることになり、再び書店で平積みされだした。こうなると読まずには居られなくなった。実によい。小川洋子の作品はこれが初めてだが、厭味のない文調やストーリー展開の素直さ、そこに描かれている人物(博士、ルート、私)がいま目の前にいるような自然な描写にぐいぐい引き込まれていった。記憶が80分しか保てない博士が、毎日初対面の私やルートを慈しむ姿に親とは、夫とはと考えさせられる場面が多くあった。不覚、目頭が熱くなった。後世に残したい作品である。 | ||||
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数学者の博士と家政婦親子の交流の物語。わたしには面白かったが、頭から数学的なことが苦手な人には取っつき辛いかもしれない。 「落ち」がないということも、議論にはなるだろうか。わたしは落ちがあったほうが読了感が強いと思う。伏線らしき事項があるので、終り方を期待してしまった。いや、「これはこれでいいのです」という声が聞こえてはくるのですが。*2007年5月に映画を見ました。ルートが数学の先生になっているという想定は非常に効果的だと思いました。いい作品になっていました。 | ||||
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