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グランド・ミステリー
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【この小説が収録されている参考書籍】
グランド・ミステリーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.38pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 1~20 1/2ページ
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とても面白かったです。 | ||||
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ちょっと凝りすぎでは?と言いたくなる程の展開です。作者の構成力に才能の高さを感じます。わたし的には2人の女性たちがより魅力的に表現されると完璧なんですけど。 | ||||
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まだ「吾輩は猫」「雪の階」に次いで3作目なので奥泉作品は初心者です。結論からいうと、「雪の階」同様にこの作品もすばらしかったです。 まずはプロローグで、佐世保に停泊中だった水雷艇「夕鶴」で起きた火災事故の様子が語られます。徹底して調査が行われましたが、結局「火災の原因は遂に不明とせざるをえない」という結論に。これがまず第1の謎です。 そして第1章、主人公の加多瀬海軍大尉が先任将校を勤める潜水艦「伊24号」と、18機の戦闘機を搭載した航空母艦「蒼龍」が太平洋を航行しながら、真珠湾攻撃に向かって邁進する高揚した内部の様子が描かれます。ここで起きる第2の謎は、「伊24号」から潜水艇で出撃予定で戦死することが明白な兵から預かった遺書が盗まれたこと。 第3の謎は、「蒼龍」の整備兵川崎が船内から自殺とも取れる不可解な失踪を遂げたこと。 また、第4の謎は、「蒼龍」の花形戦闘機パイロット榊原大尉が攻撃の後、無事帰還したにも関わらず、到着と同時に青酸カリを飲んで、または飲まされて死んでしまったこと。 最後までこれら4つの謎が伏線となって複雑にからみあい、様々な出来事が起こり、また解明されていきます。 実はこの第1章を読み通すのが一番大変でした。戦局を説く硬質な文章、軍隊内の序列や規則、専門用語混じりの戦艦や戦闘機のメカの説明と整備の様子など排気ガスと揮発油の臭いが漂ってきそうな硬い雰囲気で、機械にあまり関心のない自分には読むのが結構苦痛でした。が、ここがすべての始まりだと思いがんばって読み通しました。真珠湾攻撃の手に汗握る迫力シーンもあるので、戦闘ものが好きな方はむしろわくわくすると思います。 第2章「東京1943」では、加多瀬大尉の妹、範子が参加するギリシア語文献を読む読書会から始まり、がらっと変わっておっとりして浮世離れした雰囲気になります。以後、話はこの範子の恋愛模様と、榊原大尉の服毒死を探る加多瀬大尉と2人をめぐる話が交互に進行します。 元気で現代的な範子は「雪の階」の女性カメラマン千代子にキャラクターがよく似ています。一方、得体が知れず官能的な榊原大尉の未亡人志津子は、これもまた謎めいた伯爵令嬢惟佐子に似ていると思いましたが、奥泉作品ではこういう2タイプの女性がよく登場するのでしょうか? 後半、ミッドウェー、レイテ、ソロモンと悪化するばかりの戦局を背景に、ますます戦いに突き進む陸軍と、停戦を図りたい海軍との軋轢が描かれます。 それに関わってくるのが海軍から資金が流れているらしい国際問題研究所。そこで「未来を予言する」ことを研究しているというどこか狂気じみた加多瀬のかつての同期。そこに関わる自称作家、暗躍する亜細亜通商の社長で範子と婚約することになる彦坂など、怪しく個性的な人物が多数登場。 時間が前後し、ある時勢が異なる時間へと繋がり、パラレルワールドのような2つの世界がからみあい、話は魔術的な様相を帯びてきます。 結局片方の運命が現実となったのか?それとも2つは平行して存在しているのか?このあたりは頭の中でしっかり2つを区別して読まないと混乱すると思います。思わず南米のマジックリアリズム作家や夢枕獏の「上弦の月を食べる獅子」などを思い出しました。 途中、厳しい現実から目をそむけてただ日々の快楽を追い、日常に堕している現代の日本人を情けないと批判する文章が出てきて、言いたいことはわかるのですが、小説で作者に説教されたくない自分はこの部分はいらないと思ってしまいました。 戦時中、お国のためにと無謀な戦争に向かわされ、悲惨に死んでいった兵たちの様からは戦争というものの無意味さがひしひしと伝わってきます。が、最後は希望のある終わり方になっていて、後味はいいのでご安心を。どうしたらこのような力作が書けるのか、超人的なパワーが必要だと思います。すばらしい作品でした。 | ||||
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彼の作品はちょっとひねりがあって面白い。 図書館で見つけて古書で購入しました。綺麗でした。 | ||||
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経年劣化も見られましたが、それなりに綺麗な状態でした | ||||
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奥泉作品は『雪の階』に次ぐ2冊目である。 物語は太平洋戦争の口火を切った真珠湾攻撃から始まり、東京1942年、ミッドウェー、東京1943年、ソロモン、鎌倉、硫黄島と続いていく。登場人物も多く、話も複雑で、巻末の三浦しをんの解説で述べられる「作中で引用される(架空の)書物」「第一の書物」「第二の書物」を区別しながら読まないと、何が何だかわからなくなる。 話の中心にあるのは海軍で起きた毒死事件だが、その背景や当時の軍に所属していた人々の心中、銃後を支える庶民の暮らしぶりなどさもありなん、という感じで描かれていて面白い。この辺りは『雪の階』よりも濃度が濃い気がした。特に主人公の妹は活発で魅力的なお嬢さんだ。彼女の出番はそれほど多くないが好きなキャラクターであった。英文学の知識を基にした彼女を慕う男性とのやりとりは微笑ましい。 奥泉作品は読み終わってもなんだかまた読みたくなる感じが不思議だ。お腹いっぱいなのにお代わりしたくなる感じ。たぶんこの作品も読み直すことは確実だが、その前に他の奥泉作品に手を付けようと思う。今のところ日本の作家の中では一番好きだ。 | ||||
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活字がビッシリ詰まった超大作だが、意外なくらい読みやすく、さまざまなジャンルを詰め込んだ面白さを十分堪能する事が出来た。解説のように何度も読み返す気力は私にはないが、十分その価値はあると思われる重層的な作りで、感心仕切り。 登場人物が二度の生を生きると言うSF的仕掛けで、虚実が見えなくなる迷宮のようなこの大作だが、最後を締め括ったヒロインのエピソードが素晴らしく味が良い。残酷な運命に翻弄される人々の中、彼女が最後に残された希望の灯火だったのだ。戦争の時代をしなやかに強く生き抜く彼女の姿に、現代日本の希望を重ねるのはうがちすぎだろうか。 | ||||
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真珠湾攻撃での潜水艦と言うあまりなじみのない舞台での話に構えていたが、すぐに引き込まれて読書スピードが上がった。東京に舞台に変わってからは、まるで夏目漱石ばりの文章で味わい深く、純文学とSFとミステリーを融合したようなストーリーに、傑作の予感が漂う。読むのに難渋はしないが、ガッチリと重厚さを感じさせ読み応え十分だった。下巻にも大いに期待。 | ||||
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綿密に構想されたプロット。資料を丹念に読み込んだ情景描写、例えば真珠湾奇襲の顛末。それぞれユニークな登場人物。3日かかって読み通した。近作「雪の階」に匹敵する傑作。 | ||||
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「神器」に比べると、人物描写に長足の進歩がみられる一方、軍関係のアヤシゲな陰謀や研究は健在。SF描写も冴えます。また「神器」と違い銃後の描写が充実しており、その分物語が重層的になっている点も見過ごせません。潜水艦搭乗員たちの描写もよく、特に木谷中尉は好感が持てます。 | ||||
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単行本初版刊行時に購入して読みました。題名が気に入ったからです。何の予備知識もありませんでした。読み始めると、自分は空母の甲板に風を受けて立っていました。それで十分です。解決なんて野暮です。 | ||||
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ハードカバーで購入して以来、何度となく読み返した本。単行本化されたとしり改めて読むとやはり面白い! | ||||
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いろいろな美味しさが詰め合わせになっています。 1品めは。教授宅でのギリシャ古典サークル。漱石『吾輩は猫である』で苦沙弥先生宅に繰り広げられる高等遊民の集いの雰囲気が漂います。「二弦琴のお師匠さん」で『猫』ファンはドッと受ける。 2品め。金井美恵子か樋口一葉かというような「、」が続き、なかなか「。」にたどり着かない文体が一部に使われている。その風雅なリズム感は、言葉で綴られたフーガの楽章といえるでしょう。 3品めが、ミステリー味。伏線を律儀に回収する手際は気持ちいい。この部分は推理小説の文法をお行儀よく守っています。実際、クリスティの『○○で○○だ○』の中の短編に並ぶものがあるんですよ。(伏せ字にしてみました。戦時中の物語だけに!) 4品めはSFの味付け。作中の「1冊目の本」「2冊目の本」という言葉は、安部公房『第四間氷期』の「1次予言値」「2次予言値」を連想させる。しかし、「予言値」(値の1字が理系な雰囲気!)が電子計算機の出力で、あくまで人間の外側にあるのに対して、「本」は記憶という直接的な体験を指しているという違いがあります。 パジャマに着替えて、ベッドに入り、さあ寝るぞと思ったとたん、実はそれは夢で、実際はそこで目が覚めてしまい、何だか損をしたような気分になったなんていう体験はないですか? それと似た感覚だと思うのですが、身に覚えのない事柄を記憶しているという体験をする登場人物が出てきます。あたかも2つの世界が並列してあるような感覚らしい。 世界Aを「Aさんがαという事をし、かつBさんとCさんがβという事をした時空」と定義すると、「Aさんがαという事をし、かつBさんとCさんがΓという事をした時空」は、非Aの世界となります。 ある作中人物が、現実は1つではなくたくさんあるのかもしれん、みたいなセリフを言いますが、読者にとってはまさにパラレルワールドの断片を示されている印象があります。 すると、そんな多世界でミステリーの伏線の回収なんかできるのかと心配になります。実際、ある登場人物はその点を破綻させかねないセリフを言ったりもしています! 5品め…だっけ? 戦争の生理学。作者は子供時代に傷痍軍人を目にしたかもしれない最後の世代に属するようで、戦火に見舞われたことはないけれど、でも戦争の結果生まれた事物に直接触れることができる、そんな日常風景があったのではないでしょうか。 親戚の男性や、ギリシャ古典サークルのメンバーで記者志望の青年などの造形は、そうした戦争の余熱の中から生み出されたもののような気がします。 記者になった佐々木が言います。報道は事実だけではなく読者の心に働きかけるような言葉を伝えるべきだと。 ジャーナリズムがセンセーショナリズムにすり替わった瞬間です。 佐々木が言うのは戦意を高揚させる記事ということですが、現在よく見聞きする「元気をもらえる」というやつ、これも同じものじゃないでしょうか。 2011年3月11日の午後3時頃まで、日本は無縁社会でした。それが一夜にして、絆社会になりました。しかし現実の日本は何も変わっていません。市場をどこに求めるか、少子高齢化にどう対応するか、といった問題は解決されていません。 「無縁社会」から「絆社会」への、手のひらを返したような変わりようは大変に印象的でした。 世の中を一色に塗り込める言葉のいかがわしさを痛感した瞬間だったからです。 戦争の非倫理性を感じるのは平時だけです。戦争に巻き込まれた状態では、戦争はあって当たり前なものになるでしょう。 その当たり前という感覚は上から押し付けられるまでもなく、多くの人が日常として受け入れる。なぜなら現に自分が置かれている社会を否定し続けるより、追認し同化する方が安定感が得られ、社会人として当然と感じられるからです。そういう日常の心理を支えるのが、佐々木のいう、心に働きかける言葉です。 戦時中に限りません、スポーツニュースで「日本中が湧いた」的なフレーズはよく耳にします。 マスコミが人の心に働きかけようとする言葉をまき散らすようになったら要注意。 完食。ごちそうさま。満腹…ダイエットしなくちゃ。 | ||||
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太平洋戦争中、日本の軍隊で不可解な事件が頻発し・・・というお話。 ここでテーマにになっいる日本のダークサイドは学校等では習わない日本史最大の恥部だと思いますが、それを真っ向から捉えて900ページを超える超大作ミステリに仕上げて著者の膂力に脱帽です。かなりの長さにも関わらす、一瞬もつまらないところがなく最後まで一気読みできるところも驚嘆に値します。しかもただ、長いだけではなくこのテーマを扱うにはこの情報量、情緒量が必要だったという必然性があり圧巻です。 この手の日本乃至日本人を追及した作品では中井英夫の「虚無への供物」が今まで最高峰だと思ってましたが、この小説は「虚無への供物」も越えていると思いました。 ここで上に挙げた日本のダークサイドはあまりにも醜悪なので歴史や社会科の授業で教えないようですが、個人的にはこのことこそ教えるべきだと思いましたがどうでしょうか。そのほかにも最近の日本でよく問題になる日本男子の恥部にも若干ふれられておりそこら辺も含めてかなりの示唆に富む作品だと思いました。 警句や箴言に出てくるようなこ言葉も嫌味にならない感じで色々でてきて為になります。個人的には「生きようとすると殺される、死のうと思うと邪魔される」というのが可笑しかったです。 題名の由来になったと思われる絵画「グランド・オダリスク」について、何故この絵画を表紙にしたり、作中に登場したかを類推すると、日本の汚辱の歴史より私の裸体の方が美しいと嘲笑されているためではいかと考えましたが間違っているでしょうか。文章も読みやすいですが、通俗に流れず品格があり素晴らしいと思います。 一人の作家が一生かかって書けるか書けないかというぐらいの巨編。日本人、あるいは自分が日本人と思っている人は必読の戦史小説、推理小説史に残る大傑作。五段階評価なので★5つですが、十段階でも★10こ献呈したい作品。必読。 | ||||
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『モーダルな現象』でぎゃっと言い、『神器』で打ちのめされて久しぶりに奥泉節を読みたいと、わくわくしながらページをめくったのに、いまいち感が残ってしまった。漱石仕込みの落語的な少し砕けた文体は相変わらず健在だし、読みづらかった冒頭部分も読み進むと引き込む力もそれなりにあった、主人公の妹さんの暮らす昭和初年のアッパー・ミドルの世界の描写も何となく『細雪』調で良い(ついでに「海外商事交渉に強くて」「大阪控訴院の左陪席まで務めた」弁護士というくだりで、クスクス笑ってしまった。そうなんですこの弁護士さんがどんなリベラルな言動で、右翼青年の顰蹙をかっても、どっか右翼界の上層部から圧力がかかるから、彼は大丈夫なんですよ−これは「日本近代文学史」の基礎知識だけど)。 一人一人の登場人物も個性的で良いんだが、ストーリーが何となくちまちましてしまっている。『神器』ではもっと得体の知れない「死の世界」タカマガハラ=アトランティスにつながっているはずの、「国際問題研究所」がせいぜい麻薬取引やウラン密輸=原爆開発程度の仕事に従事する安っぽい悪の組織になっているものつまらない。紅頭中将の一派や昆布谷君の方の未来予知=「二重の生」のストーリーとのつながりが悪い気がする。顔振曹長だって本来キー・パーソンの一人になりそうなのに、生かし切れていない。 一番いただけないのはヒロイン志津子の変貌の必然性が全くわからないところだ(ここが二つの世界をつないでいるポイントなのに)。もちろん「必然性の無さ」そのものが必然である場合もあるが、これは奥泉作品の「必然性の無さ」の必然性が全く感じられない。文体、ストーリ、登場人物、描写、全てが奥泉作品としてまあ平均点をいっているのに、この不完全燃焼感は続編『神器』を前提にしているが故のことなのか。 ラスト・シーンは皮肉な批評を丸め込んでしまうさわやかさがあり(これがひとえに主人公の妹さんの「お人柄」なところはまいった。こんな人が居たなら、ぜひお嫁さんにしたい)これで全てよしといいたくなるが、最後のこのシーンに著者の意地の悪い謎かけが埋め込まれているような気もする。、 | ||||
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日本海軍の潜水艦と空母を舞台にした歴史ミステリー 1個人の視点から太平洋戦争を活写する戦記文学 戦争論と日本論を突き詰めた思想小説 さらに恋愛ありピカレスクあり 時代は太平洋戦争真っ只中 1/3くらいまではごくごく普通に展開するストーリーです(奥泉さんらしくない)が 鎌倉にある「国際問題研究所」が何をし研究しているところなのか 『未来を完璧に予想するんだそうだ』 から俄然面白くなります 小説の鍵は 同じ人生を二度繰り返す人々 登場人物たちの最初の人生を「第一の書物」とする 二度目の人生を「第二の書物」とする タイムトラベルするのではないものの第一の書物で得た未来の知識を生かして歴史の流れを変えようとする人物が登場する 第一の書物の物語と第二の書物の物語が時と場所を選ばず入れ替わる仕掛けはまさに奥泉マジック 複雑ではありますが他の作品と比べれば容易に合理的解釈が可能なものとなっています 奥泉入門書としてお薦めしたい作品です | ||||
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日本海軍の潜水艦と空母を舞台にした歴史ミステリー1個人の視点から太平洋戦争を活写する戦記文学戦争論と日本論を突き詰めた思想小説さらに恋愛ありピカレスクあり時代は太平洋戦争真っ只中1/3くらいまではごくごく普通に展開するストーリーです(奥泉さんらしくない)が鎌倉にある「国際問題研究所」が何をし研究しているところなのか『未来を完璧に予想するんだそうだ』から俄然面白くなります小説の鍵は同じ人生を二度繰り返す人々登場人物たちの最初の人生を「第一の書物」とする二度目の人生を「第二の書物」とするタイムトラベルするのではないものの第一の書物で得た未来の知識を生かして歴史の流れを変えようとする人物が登場する第一の書物の物語と第二の書物の物語が時と場所を選ばず入れ替わる仕掛けはまさに奥泉マジック複雑ではありますが他の作品と比べれば容易に合理的解釈が可能なものとなっています奥泉入門書としてお薦めしたい作品です | ||||
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海軍が舞台と聞いて、大した期待もなく暇つぶし感覚で読み始めたが、一気に読破してしまった。登場人物が魅力的なこと、いろいろな謎に満ちていること、そして何より文章力。ただ、すべての謎が解明されるわけではなく、エンディングは読み手の理解に任されている。読書に知識を求めるのではなく、現実を忘れさせる雰囲気を求めて読む方には、ぜひお勧め。 | ||||
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海軍が舞台と聞いて、大した期待もなく暇つぶし感覚で読み始めたが、一気に読破してしまった。登場人物が魅力的なこと、いろいろな謎に満ちていること、そして何より文章力。ただ、すべての謎が解明されるわけではなく、エンディングは読み手の理解に任されている。読書に知識を求めるのではなく、現実を忘れさせる雰囲気を求めて読む方には、ぜひお勧め。 | ||||
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同作者の『葦と百合』に並ぶ大作であり、傑作でもある。それらはともに、現代からは全く省みられることのなくなってしまった社会的理念が中心となっている。片方は左翼的理念であり、片方は汎アジア主義(というか戦前戦中のイデオロギー)である。そして、それらを過去の遺物と見なしてる我々にたいして、冗談じゃねえぞ、と。何軽々しく超えたつもりになってるんだよ、忘れてんなよ、そんなに過去のことじゃないだろ?と。直接こう描かれているわけではないが、これらの小説を読みながら響いてくるのは、そんな声なのである。なんて書くと、カシコまって読まれてしまいそうで、とにかく先ずは読まれることを目指す作者の意図に反するかも。だから言っておくと、そんな重いメッセージなど気にせずとも充分楽しめます。ストーリーの運び方には定評のある作者だし、たんに恋愛小説としてこの小説を非常に楽しんだ友人もいるし。何よりストーリーの面白さがあるからこそ、メッセージも入ってくるわけであって。けれどもやはり、この小説のもつ、われわれへの批判、現代日本への違和・異議、そういう部分こそが、この小説を一歩抜きん出たものにしている事だけは最後に言っておきたい。 | ||||
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