(短編集)

日影丈吉 幻影の城館



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    初公開日(参考)2016年05月
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    短編集

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    日影丈吉 幻影の城館 (河出文庫)

    2016年05月07日 日影丈吉 幻影の城館 (河出文庫)

    折口信夫が、江戸川乱歩が、そして澁澤龍彦が種村季弘が絶賛した、郷愁の作家の最高傑作集。「オウボエを吹く馬」「変身」「匂う女」「異邦の人」「歩く木」「ふかい穴」「崩壊」「蟻の道」「冥府の犬」…下町物、明治大正エロティシズム、“春日検事の事件簿”シリーズより、台湾物…の、多様な読み味の全11篇。異色の幻想・ミステリ作家の面目躍如!(「BOOK」データベースより)




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    No.3:
    (5pt)

    古くて古い

    新刊で購入したのに中古本を手にした如し味わい。風俗習慣が古いのでやはり作品は古臭い。もはや昭和は時代小説の香りがしたり。
    でも現代作家には描けない当事者としての観察を同時体験できる。
    ええもんですな、スマホのない時代は。
    探偵もユルユルと業務にいそしめた。
    もしも日影先生が存命ならばこの世情をなんと描きせしめたか。想像するのみにある。
    日影丈吉 幻影の城館 (河出文庫)Amazon書評・レビュー:日影丈吉 幻影の城館 (河出文庫)より
    4309414524
    No.2:
    (4pt)

    幻想+探偵+モダン=日影丈吉

    探偵ものと幻想小説の風味が絶妙に混ざり合った作風が、日影作品の特徴かもしれない。
    谷崎潤一郎や江戸川乱歩と同時代の作家だが、非常にモダンな感じがする。谷崎や乱歩が探偵小説を書いても「情念」が主役になることが多いように私などは思うが、日影丈吉はその中に冷徹な視線を感じられてスッと腑に落ちるところが好きだ。
    本書は短編集だが、編者の好みか日影作品の傾向かわからないが、妖婦ものの割合が多かった。

    「匂う女」
    思春期にさしかかった少年の目を通して見た話。
    舞台は新宿区神楽坂の上。その荒物屋に居候している女は人殺しの科による刑期を終え出所して来たものだった。この女をめぐる男たちの妄想と事件が絡んで謎が深まっていく。
    ファムファタール幻想が緻密な構成で描き出され、読者も妖しく芳しく後ろ暗い気持ちに引き込まれてゆく。

    ある所で「男はどうしてこんな妄想をしてしまうのか?」という問いに橋本治が「男とはそういう生き物なんだ」と答えていてやけに納得した事がある。まだ髭もはえないようなのから人生の黄昏時にあるのまで皆同じ幻想の中にある。
    ところが女は。
    女はしっかり生活している。幻想は幻想なのだと裏書きしている作者の冷めた視線にモダンな気風を感じる。

    『オウボエを吹く馬』
    古典的探偵ものだが詩的な美感が横溢する作品。オウボエの音色について子爵夫婦が語り合う所が特に美しい。

    ネタバレ>>読了後しばらく反芻していてハッと思いあたった事がある。
    「彼」が犯人を襲った動機がついに語られなかったこと。そして犯人に不信感を抱いたであろう百合ちゃんの心情も同じく伏せられている。
    この二人の間にあったと思われる純粋で切ないストーリーは、文字にすると陳腐化してしまいそうだ。そして作者はそれを文字にせず、読者が上記の謎を追って自身の頭の中で物語を編み上げるよう誘導したのではないか。読者に「読む」よりも「読み解く」快感をサーヴィスしたのだとしたら・・・丈吉って凄い。

    『変身』
    シニカルなショートストーリー。クリスマスイブの夜のくたびれたパティシエが語り手というのが洒落てる。
    壊れた天使を見て逃げた女は、自分の隠しておいた秘密を突きつけられ慄いたのだろうか。方々でパティシエは知らぬ間に神の伝令役を勤めていたのかもしれない。いや、キッチンで天使を量産していた彼は、キリストそのものだったのかも。だとすると、彼の誕生日を祝う街の乱痴気騒ぎをご本人がウンザリ眺めているって面白い。
    多くを語らず、こんな妄想をおこさせる余白が巧みに仕込まれている丈吉作品はイカしてるなあと思った。

    「夜の演技」
    姉妹のそれぞれの質(たち)というものが悲劇へと行き着くわけだが、最後の1ぺージ、それまで女の目線で進んでいた話が男の目線に切り替わった途端に、世界の認識がクルリと変わる。そこが快感。

    「異邦の人」
    墨田区押上らへんを舞台にした話で興味深く読んだ。現在はスカイツリーが建っているあたりだ。
    大正時代の風俗が面白い。中流からちょっと場末感のあるあたりの人や場所が混在して交わりあっている。その生活の手触りや臭いがありありと刻まれている。
    圭三という地まわり(遊郭に群れ集う男衆)と彼の話に群がる男が「噂の女」を見つめる視点と、探偵役の乙島がてらいなく真相を解き明かす視点の違いにまた注目した。「匂う女」と類型のモチーフだ。
    それにしても本人を目の前にして好色な妄想を逞しくする様を隠そうともしない。近代人は自我と他者の間の垣根が異様に低かったのだろうか。西洋化される前の日本はそうだったのだろうか。これも興味深い。

    「歩く木」
    登場人物の名前が素敵だった。真言[まこと] 。小学一年生の男の子の名前だ。美鳥[みどり]。真言の伯母さん。ちょっと気が変になっているようだ。
    気が変な人が複数出てきてそちらに気をとられていると、最後に探偵が暴いた真実によって本当の修羅を抱えていたのは誰か明るみに出る。その人物の視線でこの家の中を見回すと・・・ゾッとする。真言くんの行く末も。衛が家を出たのもようやく腑に落ちる。

    「ふかい穴」
    「匂う女」に共通するモチーフ、毒婦への少年の憧憬。こちらの方がエロチシズムが強い。
    衛生博覧会で男女の文身の皮膚を見るところ、それがのちに物語の入口だったのだな、と思い至らせる語りの効果など、周到な語り。

    「崩壊」
    この物理現象はなんだったのか?彼が感じている強い圧迫と監禁は、物理現象であると共に政治的立場、精神的環境とも同調している。
    須田が見ている世界を誰も共有できなかった。しなかった。彼は異国でひとりぼっちの囚われ人だった。終焉を告げに来た鳥は、異国の女だった。クールな読み口がいい。

    「蟻の道」
    「肌が甘い」と言われる女の影がチラチラと見え隠れする。もう何度めの登場か、ファム・ファタール幻想と裏腹な女性のリアル。
    台湾に駐屯する兵士たちの生活や西田の手紙には、著者自身の経験や感想が織り込まれているのかもしれない。
    面白かったのは、下士官の部下いじめの理由について語り手が考察するところ。規律いのちで異常な厳しさを部下に対して発揮するよりも、個人的恨みで嫌がらせのために部下に辛く当たる方が、安心感があるというくだり。思想統制により心が縛られてゆくことを恐怖するつぶやき。
    ミステリっぽい展開だが、本作の魅力は台湾に駐屯する兵隊たちの日常。前線から遠く弛緩した常態。けれども戦況は明らかに日本の敗北に向かって進行している。その誰にも言えぬ焦燥感。ピイ屋を軍医が検疫するシーンなどもあり興味深い。

    11本中では迫真の緊迫感と異様なリアリティに興奮した「崩壊」がベスト。次が台湾に駐屯する日本軍の人物描写が見事な「蟻の道」。解説によると2本とも台湾が舞台らしい。日影自身の台湾での兵役経験が、細かなところにリアリティを持たせているのか、際立って立体感のある感触だ。
    解説の阿部日奈子が「日影作品の女はいささか類型的だが」と書いていて確かにそう思うが「男の夢の中の女」の裏側に「女という役割を課せられた人の現実」も描かれていて腑に落ちるものだった。
    日影丈吉 幻影の城館 (河出文庫)Amazon書評・レビュー:日影丈吉 幻影の城館 (河出文庫)より
    4309414524
    No.1:
    (5pt)

    バラエティ豊かで面白い

    ホラーやミステリーっぽい雰囲気の短編集。舞台は戦前戦後から最近のものが多いです。
    王道の推理物から切ない雰囲気の話、不思議な話、SFっぽい話まで、バラエティ豊かな話ばかりでとても面白かったです。
    今後日影丈吉の本がもっとたくさん出てくれたらいいなと思います。
    日影丈吉 幻影の城館 (河出文庫)Amazon書評・レビュー:日影丈吉 幻影の城館 (河出文庫)より
    4309414524



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