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悪の教典
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悪の教典の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全492件 461~480 24/25ページ
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独特の感性がある貴志祐介氏の作品がでました。 ワクワクしながら読ませて頂きました。 ハスミンこと蓮美聖司という一高校教師の物語である。熱血教師もどきのストーリーか?いや計算高い世渡り上手? あるいは、こういう先生、いそうだよね?と思いながら読み進めていくと、どんどん展開が怪しい方向へ進む。 怪しいというより、ハスミンのバックグラウンドが明らかに成っていくにつれ、おどろおどろしく、グロテスクに化学反応を起こしていく。 なんとなくタイトルに沿っていく流れ・・・。前半クライマックス近くで、んんん・・・・とある一面が加速する。 下巻でどう展開していくのか?期待している部分と読まなければよいのかなぁという感情が交錯する。 | ||||
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貴志作品ということで楽しみにしていた。上下巻で結構な分量だが、あっという間に読了。単純に面白かった。一部矛盾点やつっこみたいところがあったが、全体としてよくまとまっていると思う。 ただ、クレムゾンの迷宮のような、追い込まれる恐怖が感じられず残念。上下でなく、上中下の3巻として、後半のシーンは被害者1人1人の恐怖をじっくりと描いて欲しかった。 また、ぜひ続編を出して欲しい。蓮見が何らかの方法で社会に紛れ込み、完全に擬態する。そして、今回のキーパーソンとなった2人を追いつめていくような・・・ この作品、映像化して欲しい。主人公蓮見はオダギリジョー。教頭先生は竜雷太。猫山先生は唐沢寿明。柴山先生は柳沢慎吾。そして体育教師は元極真世界王者の八巻健二。あーみてみたい。 | ||||
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性善説で運営される学校に、究極の利己主義犯罪者が忍び込んだら…という着眼点はよかった。舞台となる学校で、蓮見が好き放題やるようすは、本の外から覗き見る分には、ある意味愉快だ。しかし性善説が基本の学校にしては、悪辣な教師が多すぎないか?デフォルメにしてはやや芸がない感じ。保健の先生がセクシーとか、理科の先生が気味悪いとか、固定イメージが多すぎる。生徒はあまり個性がないのに多すぎて、だれがだれか混乱する。 だけど蓮見の暴走を見届けたくて、上巻は一気に読んでしまった。 | ||||
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面白かったのだが、ラストがまとまりすぎていて、作り物の印象を受けてしまった。もちろん小説というものはフィクションなんだけど、読者が途中で冷めてしまうような。。。「青の炎」のトリックを実際に行うと失敗するように、今回も後の批判(凶悪事件が起こった際にホラー小説が悪いんだ云々という間抜けな論調)を避けるかのように、ラストの刑事が小活躍する。そして大した盛り上がりもなく終わる。映像化されるのは間違いないが、原作のままでは観客は納得行かない気がする。才能のある作家だと思うので、ジャック・ケッチャム的な、あまりの破壊力に読者が圧倒されるしか無いという作品を次作は期待したい。 | ||||
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全体的にはサスペンスが効いていて、怖さを感じながら一気に読むことができた。ほとんど抵抗する術を持たない凡庸な教師や生徒しかいない片田舎の学校に、超利己的な殺戮マシーンを放り込んだらどうなるかという設定は面白い。そんな絶望的な状況にあって、どうやって怪物に対抗していくかが話の盛り上がりの要因になるのだけど、数少ない対抗馬が現れてはすぐ消えてしまうのが惜しかった。普通に一方的な戦いになるのは芸がない。個人的にはもっとやられる側の抵抗を描いた場面が欲しかった。また、それによって蓮実の天才性の説得力も増したと思う。(釣井などはあまりにあっけない)登場人物が、学校という舞台で登場人物も多いことから仕方ないのかもしれないが、少し一面的で薄っぺらく感じた。(美術教師などは無策で従順すぎてバカにしか見えない)そして大殺戮のあとの「脱出」「証拠探し」がカタルシスというのは何とも物足りない。期待していた展開(弱者の抵抗)と、作者の描かんとしたこと(蓮実という怪物)とのズレが、エンディングに集約されていた気がする。「蓮実の内にある善の声」みたいな伏線が結局未消化のままだったが、まさかパート2をやるつもりなのでは。やめた方がいいと思う。 | ||||
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久々の貴志祐介氏の作品ということで上巻に続き一気に読み切ってしまったが読み終わった後どうも違和感の残る作品であったことは否めない。まあその理由は主人公蓮実の上巻からの綿密な計画の上での様々な悪事を働いてきた流れの中で最後の大量殺人はあまりにも唐突で安易な展開であったことも1つなのだが個人的にこの作品での一番の不満は「蓮実が作中で死ななかったこと。」であるように思う。容姿端麗で頭脳明晰、生徒達からの人望もただならない反面、人を陥れたり殺したりすることに何の抵抗も無い裏の顔を持つこの主人公がどんな展開であれ最期には何か大事なものを発見して死んでいくような展開を期待していたのでやはりそれが個人的にこの作品に対して最もすっきりしない部分である。まあ初めて読む際には最初から最後まで惹きつけられる展開で読み切れるとは思いますが読み終わった後大小物足りなさを感じる作品であることは確かだと思う。 | ||||
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この上巻ではあまり残酷な場面はないのですが、ハスミンのキャラは立っているし学校の中でうまく立ち回ろうとしている時点で感情がないという帯のタイトルは可笑しいと思いますが一気に読ませてしまう筆力は流石と感じます。感情がないというよりは文中にもあるように他者を受容して共感出来ないという福祉の社会で1番重要なことが欠如している人間として捉えたほうがいいと思いました。カラスを悪の象徴としたカバーも秀逸だと思います。下巻は地獄の謝肉祭、殺戮大感謝祭の如く貴志氏のエンタメワールド炸裂。惜しむらくは名作バトルロワイヤルに比べて生徒ひとりひとりの背景の描き方が浅かった事とハスミンを脅かすような強敵がいなかった事。でも十分面白かった。間違っても今年の本屋大賞にノミネートされる事はないでしょうが。 | ||||
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貴志さんの作品は好きで全て読んでいますが、こればかりはダメでした。主人公の性格や設定、生徒たちの会話がギャルゲのように甘ったるく非現実的で、物語から完全に浮いています。とくに主人公は…物凄く申しわけないのですが、設定も性格も厨二病と紙一重。現代を舞台にした物語のはずが、異能系ライトノベルや鬼畜系エロゲのテキストを読んでいるかのような気分にすらなりました。貴志さんの作品の欠点として・学生(とくに高校生)のリアリティがない・女性(とくに主要登場人物)の描写がワンパターン・コメディシーンがまったくおもしろくないというのが挙げられますが、今作はそのすべてを含んでしまっていました。逆に言うと、大人の男性が主人公で、暗くよどんだミステリを書かせたら、貴志さんの右に出る作家はなかなかいないんじゃないかと思います。厳しい評価になってしまいましたが、けして駄作ではありません。ですが読み進める手が止まらなくなることは上下巻合わせても一度もありませんでした。これは貴志さんの作品では初めてのことです。また『黒い家』や『クリムゾンの迷宮』のような、文庫1冊でもズシリと読めるミステリを書いていただけることを切に望みます。 | ||||
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貴志氏の出版された小説をすべて読了して、貴志氏らしさを良い意味で改めて実感ができた。レビューの評価に差があることに、愕然とするぐらいだった。貴志氏の過去作品と比べての評価なのか、この作品自体の評価なのか、他の作家と比べての評価なのか。僕は、この作品自体の評価としても、5つ星だと思った。この上巻で最も僕が怖いと思ったのは、人間の本質は表面でいくらでも隠せてしまえること。誰にでも仮面を持ってるとは思うけど、──だからこそ、怖かったのかな。例えば、好意を持ってる人が、上辺ではとても善人で、誰からも信頼され、安全を表面に纏っていても、本質は悪だとしたら。自分を齣のように見ていたら。 僕の周りの優しい表面を持った人たちが頭に浮かんで、怖くなった。緻密なプロット、無駄のない描写、後にキーワードに繋がる文面。読者を置いてけぼりにさせない、読みやすい書き方。内容にしがみついて、魅了されていく自分。上・下を続けて休む間もなく読んで、どれだけ緻密かつ巧みに書かれてるか解る。下巻の、キ●●●は、キチ●イです。レビューに解らないといったような感想があったので。 | ||||
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TVで司会の優香さんが「下巻は3時間で読んだ!」と絶賛していたので購入したものの、長い!!後で「新世界より」と同じ作者と知り、なるほどと思った。確かに「新世界より」よりは読みやすい文章、それにしても長すぎる!このエピソード要らないのでは?という所が多い気がした。作者はインタビューで、「過去の猟奇殺人の本を色々読み、サイコキラーの性格の共通点を探した。」と言っているが、そのせいで主人公{蓮実}の人格が一定しないのかと思える。何より本の帯にある「俺には感情が無いらしい」というのは全く違うじゃん!表紙のカラスもそれ程伏線がある訳ではないし。(そこがいいと言う方も有り)続編に期待してしまう。やっぱり長いのでしょうが。それにしても「キ●●●」が分からなかった。 | ||||
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過去の作品と比較するとあまりにもクオリティが低い。筆力だけで読むことが出来ますが、内容の陳腐さや発想の弱さが全体から見えます。貴志祐介という作家はこんなもんでは無いと信じている。好きな作家だからこそこの作品には星1つをつけようと思います。 | ||||
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貴志ファンとしては、新刊がでれば、飛びつくわけで・・・面白いとも面白くないともいえない・・・か?個人的には、やはり最後までぐんぐん読ませる力はすごいなと思いました。あっという間に最後まで読んでしまったし、あの分厚い上下巻ということをあまり感じなかったのは、さすがですね。 | ||||
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貴志祐介さんの新刊です。 表紙の黄色に黒いカラスのイラストが何とも不気味で 読む前から嫌な感じがしました。 そしてその通り、読み進みに連れて、その嫌な感じはどんどん膨れ上がって行きましたが、先が気になって本を閉じれない、つまりどんどん物語に嵌って行ってしまいました。 主人公の蓮実(はすみ)は今まで読んだ本の中でもトップと言って良いほど邪悪で冷酷極まりない人間(人と言えるのかすら疑問ですが) それ程までではないけれど、この本の中には嫌な教師、自己中心的な高校生等、嫌な人間が勢揃いしています。 けれど、そこにはきちんと「正義」を貫こうとする人もいて救われます。 6章434ページの長編ですが、文字の大きさ、会話の多さ、そして展開の速さで飽きる事無く一気に読めます。 下巻への期待が高まる仕上がりになっています。 | ||||
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夏の暑い時期に無性に本が読みたくなり、たまたま書店にて何気に手に取りました。 いつもならタイトルを見るだけで通り過ぎてしまうのですが(苦笑)。 それにしても随分と厚みがあり、しかも上巻・下巻にわかれているとは。 店頭にてざっと目を通してから「面白そう」と思い、とりあえずは上巻のみ購入しました。登場人物が多いので、主要人物の紹介ページはネット上だけでなく、本書に記載しておいてもらいたい気がします。そして心理学(テスト)の描写が長々と書かれていますが、もう少し荒削りでもいいのでは? その分、蓮見先生に重みを持たせて欲しかった。読んでいて、思ったのは「こういう内容は他作品にもあった・・・」という複雑な気持ち。 物語や設定は違えど、後から本書を読んだ身分としては、古典モノに勝るものはないのか?という念は残る。 しかし、それでも面白く一気読みしてしまった作品です。 | ||||
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貴志の本と言うだけで、内容をほとんど知らず、購入した。面白くないかどうかと言えば、面白い。ゆっくり読もうと思っても、結局目が離せず、1日で読み切り。しかし、その面白さは小説に求められる静かな深い感動ではなく、気晴らしのアクション映画のような、見た後に軽く後悔するような、飲み会での哄笑のような、そんな面白さでしかなかった。話の切り出しに登場した表紙のカラスと北欧神話のエピソードも物々しい印象を残しただけで、完全な尻切れトンボ…。これほどまとまりを欠いた筋立ては、最近読んだ本ではちょっと見当たらない。思いつきがまとまらないまま、次の奇抜な思いつきが現れる感じで粗と雑のみがたらたらと続くというのが正直な感想。これが下巻で一層強くなるのだから、痛い長編小説であった。貴志の本ということでなければ、間違いなく下巻は買わなかった。他の三つ星レビューも、よく読めば実質一つ星。貴志の著作の中では最低だが、他の作家と比べれば、まず3つ星はくだらないということか。しかし、あくまでも貴志に対する感想として記すなら、過去最低の出来栄えであり、星は一つしかつけられない。 | ||||
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10年来のファンです。久しぶりの長編なので期待しすぎだったのかもしれません。これまでの作品と変わらず一気に読めたので、話自体は面白かったと思います。しかし・・薀蓄のために登場人物が動かされているような感じを受けました。過去の作品では薀蓄がアクセントとして利いていたため、話中のイベントにリアリティを持たせる役割を果たしていたと思うのですが、薀蓄が多過ぎてかえって現実味が希薄になってしまい最後まで話に入り込めませんでした。また、薀蓄→殺人→薀蓄の高速ループが続くため少し疲れてしまいました。同じ理由でメリハリを欠いていた点も少しつらかったです。登場人物が多すぎたのかも。次回作への期待が一段と高まりました。 | ||||
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表紙と帯のコピーに惹かれて購入しました。上下巻で結構の厚みがあったものの3日間で読破。読みやすかったのですが、内容としては少々薄く感じました。貴志氏前作の「新世界より」が独特な世界観を構築していて重厚な物語なのに比べ、この作品はかなり軽い。それに加え粗が目立って、かなりの突っ込みどころがありました。善良で有能な教師の化けの皮が剥がれていき、冷徹で狡猾な悪の姿が現れる。という展開はとても面白いのですが、どうも犯人の行動が不自然でリアリティに欠けていました。知能が高い割には動機が幼稚で、犯行の際には運任せにしてるように感じます。冷酷で残忍、用意周到という設定の割に刹那的行動が目立ちボロが出まくる。殺戮に至る犯人の考えも、天才的な悪魔というよりただの狂人に近いです。また犯人の心理描写で、恐怖感より嫌悪感が強く感じられるというのも残念でした。更に学校内の生徒及び教師の言動と行動が単純過ぎます。それによって魅力的人物が少なく感じ、感情移入出来るキャラもいませんでした。全体的に粗が多く、不可解な箇所も目立つ作品です。迫り来る恐怖、という点では「クリムゾンの迷宮」「黒い家」の方が数倍は怖くて面白いですね。とはいえ下巻の大量殺戮における迫力は流石といえるもので、生徒の攻防戦には息を呑むものがあります。「バトルロワイヤル」が好きな方にはお勧め出来るかもしれないです。貴志氏のファンでは無い限り単行本を買うのは避けた方が無難でしょうが、読んで損がある作品ではありません。 | ||||
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綾辻行人の『殺人鬼』と、宮部みゆきの『模倣犯』を足して2で割り、それを原案に大石圭か吉村達也が執筆した……って感じです。つまり、貴志祐介らしさがない。生まれながらの天才で、欠落した感情を高度な論理的能力で模倣するという、人工知能ロボットのような英語教師、蓮見聖司。そんな彼が、欲望に任せ、しかしながら計算的に、殺人を含む残虐な手段を用いながら生活する日々を描いた上巻と、とあるピンチを切り抜けるために、最短最速の手段を選んだスプラッターな下巻の二部構成。読後、あまりのブッ飛びぶりに、後頭部がジンジン痺れました。しかし、それは面白さから来る余韻ではなく、慣れない地獄絵図を見た疲労によるものだと思う。物足りない原因の一つは、サイコパス蓮見の緻密すぎる設定です。『黒い家』『クリムゾンの迷宮』『ISORA』などの貴志ホラーの他、上記の『模倣犯』などは、一応、登場人物の人格形成過程に触れる記述はあるものの、それを現在進行の狂気に直結させるには、かなり情報不足です。そこで読者は、“理解できない”という、動物の本能的な恐怖を味わうことになります。しかし本書の場合、蓮見の幼少〜渡米〜帰国と、それに伴う狂気の形成過程までを丁寧に描いているため、どんなに残虐描写でビジュアル的な恐怖を味わえても、“得体のしれない怖さ”は薄らいでしまっています。「蓮見がこうなったの分かるかも。しかし…」という“狂気の二番底”が欲しかったです。あと、不謹慎かもしれませんが……ヤるなら、最後の最後までヤり通してほしかったです。それでこそ、上巻帯に書かれた「ピカクレスロマン」を味わえたかもしれません(ホント不謹慎ですみません) | ||||
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できるだけネタバレしないように書いてみます。貴志祐介は著者買いを決めている数少ない作家なのですが、告白すると購入を何日か躊躇しました。教師の仮面を被った感情のないシリアルキラーが・・・という設定に陳腐な物を感じたためです。読み始めてからも、著者の意図的なスロースタート手法に気付かず、「こんな中途半端に歪んだ学園ドラマ書いてないで『旧世界より』を書いてくれよ」という、もやもやした思いを抱いていました。冒頭の蓮実は、生徒の人気を得たいがために小細工を弄する小悪党という印象だからです。しかし第二章の中盤あたりでしょうか、小細工どころか諜報機関の工作員顔負けの情報戦を冷徹に遂行する素顔が見え始めます。そして、、、「熟慮の末、やはり、この機会に●●を排除(パージ)することに決めた」この台詞に度肝を抜かれ、しばし笑いが止まらずに一時読書を中断しました。貴志ファンとしては、きたきたきた!と心拍数が急上昇。思えば、これが蓮実劇場開幕の瞬間でもありました。以降、下巻の最終ページまでノンストップ。面白くなったから大事にゆっくり読もうと思っても、無駄な抵抗。ページを繰る手が止まらない止まらない。読了後に思い返せば、蓮実の行動は熟考してそうで短慮だったり、周到そうで行き当たりばったりだったりするのですが、読書中は終始、蓮実に100%感情移入していたので、ほとんど違和感がなかったです。むしろ、生徒達の上辺だけの正義感や、どうせ土壇場で裏切るくせに仲間を思い遣るようなフリをする姿に嫌悪感を覚えました。倫理的な躊躇や束縛のない蓮実の行動は、すこぶる明快かつ爽快です。普段、物語を読んでいると主人公の中途半端なヒューマニズムに「?」を感じることが少なくありませんが、蓮実の論理展開や行動選択は違和感なくスムーズに頭に入るというか、同意できました。うん、そこではそうするよね、と。悔やまれるのは、彼ほどの逸材をもってしても、過去の成功体験に無意識に引きずられた挙げ句、学校という衆人環境の中で犯行を重ね、追い詰められた結果、終盤の「葉を森に隠す」という破滅的な選択肢に走ってしまったことです。まあ、その突き抜けた発想にまた大笑いしたんですけどね。何はともあれ、貴志ワールドに蓮実聖司という新たなアンチヒーローが誕生し、また続編を心待ちにする作品が増えたのは嬉しい限りです。著者を今後も心から応援していきたいと思います。また、この相当にタッチーな内容の作品を世に送り出した出版社の英断にも感謝します。今後問題になり、発禁になったりしないことを祈ります。 | ||||
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独特の貴志ワールドが、今回学校に展開されます。青の炎のようなストーリーを期待して読んだのですが、全く違いました。テンポ良く、あっという間に上下巻読みきりました。上巻での人物像には以前読んだ愛犬家連続殺人 (角川文庫)を彷彿させます。また意外な人物に意外な過去があり、飽きずに読めました。ネタバレになるのであまり詳しく書きませんが、犯人の生い立ちや正体をばらすのは、下巻の方がインパクトが有ったかなと思います。最後に作品は素晴らしいのですが、自分の貴志祐介氏の作品に対する高い期待値から4つとさせてもらいます。次回作で、また違う貴志ワールドを楽しみにしてます。 | ||||
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