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写楽 閉じた国の幻



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写楽 閉じた国の幻の評価: 3.54/5点 レビュー 81件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.54pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全81件 61~80 4/5ページ
No.21:
(4pt)

「続編」ありきかな

島田荘司の写楽ものということで読んでみました。氏の作品だけあって素直に面白いです。
ページ数は多いですがグイグイ読ませます。
ただ、風呂敷をひろげたままで終わっている感は否めません。キャラクター、エピソードいずれもです。
単行本にしては珍しくあとがきがありますが、そこに書かれている出るかもしれない「続編」が是非必要な作品だと思います。
写楽 閉じた国の幻Amazon書評・レビュー:写楽 閉じた国の幻より
4103252316
No.20:
(4pt)

とにかく長いです

初めは悲しく暗い話が続くが、その後は写楽探しの推理が、ある面淡々と続く。とにかく長いというのが読み終わっての感想だ。
 
現代と江戸時代が交互に描かれたりして、ミステリーとその解答編といった感じだ。

ただ、著者もあとがきで書いているように、初めの悲劇的な話などは生かされていない。あまりに写楽のなぞにのめりこみ過ぎたそうだ。

写楽の正体の指摘にはとても説得力がある。写楽が消えたなぞかよくわかる。トリックではない島田荘司ワールド全開といったところだ。
写楽 閉じた国の幻Amazon書評・レビュー:写楽 閉じた国の幻より
4103252316
No.19:
(3pt)

図版を載せるべき

「このミステリーがすごい!2011年版」で2位の評価と浮世絵好きなので
読んでみました。一番思ったのは「文字で絵を語る」難しさです。
例えば「写楽が描く鼻」はこうだ、「耳の描き方」はこうだという場面で
図版が示されていれば一目瞭然なのに何とも歯がゆい思いをしました。
私は家にある画集をかたわらに「なるほど」と納得できましたが、文中にある
作品等も知らないとピンとこないだろうなと思います。
せめて、この小説の中で重要な作品は巻頭に写真を載せるとかすれば
より多くの、浮世絵に詳しくない人もわかりやすかったと思います。
さらに、作中に出てくる文書の一部もあたかも登場人物と同時に見てるかの
ように載せるとかしても面白い。型破りな写楽を語るなら、型破りな小説に
したっていいと思います。

「現代編」「江戸編」と交互に語られますが、どちらか一方だけでも
良かった気がします。江戸編が唐突に始まった時は面喰いました。
ノンフィクションのような現代編の後に、江戸編が始まると何故か嘘臭い
本当に空想じみた違和感がありました。最初から江戸だけの時代物なら別です。
この構成には難を感じました。読後、回転ドアや離婚危機のエピソードが
必要だったのか?疑問です。
写楽 閉じた国の幻Amazon書評・レビュー:写楽 閉じた国の幻より
4103252316
No.18:
(3pt)

図版を載せるべき

「このミステリーがすごい!2011年版」で2位の評価と浮世絵好きなので
読んでみました。一番思ったのは「文字で絵を語る」難しさです。
例えば「写楽が描く鼻」はこうだ、「耳の描き方」はこうだという場面で
図版が示されていれば一目瞭然なのに何とも歯がゆい思いをしました。
私は家にある画集をかたわらに「なるほど」と納得できましたが、文中にある
作品等も知らないとピンとこないだろうなと思います。
せめて、この小説の中で重要な作品は巻頭に写真を載せるとかすれば
より多くの、浮世絵に詳しくない人もわかりやすかったと思います。
さらに、作中に出てくる文書の一部もあたかも登場人物と同時に見てるかの
ように載せるとかしても面白い。型破りな写楽を語るなら、型破りな小説に
したっていいと思います。

「現代編」「江戸編」と交互に語られますが、どちらか一方だけでも
良かった気がします。江戸編が唐突に始まった時は面喰いました。
ノンフィクションのような現代編の後に、江戸編が始まると何故か嘘臭い
本当に空想じみた違和感がありました。最初から江戸だけの時代物なら別です。
この構成には難を感じました。読後、回転ドアや離婚危機のエピソードが
必要だったのか?疑問です。
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4103252316
No.17:
(5pt)

最高の歴史ミステリー

島田さんの小説は初めて読みましたが、本当に面白いですね。歴史にあまり興味のないわたしでも、つい引き込まれました。考証もすごいし、ストーリーも秀逸。文章力があるのもわかるのですが、最近読んだ神崎和幸のデシートのほうが文章力はありました。新人作家の神崎和幸でもデシートぐらいのものが書けるのだから、島田さんにはもっと上を目指してほしいです。でも「写楽 閉じた国の幻」は本当に面白かったです。
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4103252316
No.16:
(4pt)

見事な歴史考証とエンタの融合

もしかしたらこの作品は、従来の島田ファンには受け入れられないきらいも少なからずある。しかし長年に亘り収集した綿密な歴史考証に、著者本来のエンターテイメントというスパイスを振りかけ、そして最後は圧倒的な筆致によって、最後まで息の抜けない快作に仕上がっている。 パズラーの良作が息を潜めている昨今、著者には従来のようなベタベタの本格推理を上梓して欲しいという希望はあるが、この作品も島田荘司の記念碑的名作になる事は間違いない。
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4103252316
No.15:
(4pt)

極論すればこれは島田荘司の写楽の研究本だ。

私のようなかつての島田荘司のファンにとっては、 賛否両論あることだろう。人によっては認められないものかもしれない。それほどまでにスタイルが違う。極論すればこれは島田荘司の写楽の研究本だ。東州斎写楽は日本美術史上、最大のミステリーだ。突如として現れ、活躍した期間はわずか10ヶ月。そして忽然と姿を消す。写楽という絵師に関する記録は何も残っていない。文献はもとより噂話の類いもないのだ。他の絵師達はこのようなことはない。有名無名を問わず、おおよその素性や絵師になるまでのエピソード、風貌、人柄、性癖までも大なり小なり後世に伝わっているのだ。このようなものがないのは写楽ただ一人。写楽がどういった人物なのかは完全な謎である。本書はその「写楽探し」が題材だ。浮世絵研究家・佐藤貞三が、この「写楽探し」に挑むのだが、佐藤は島田荘司その人だ。彼は今回自分では敢えてミステリを作らず、既にそこに存在して誰も解き明かせなかったミステリに挑むことにしたのだ。立てた仮説を検証し壁にぶち当たり、それを突破したと思ったら、また新たな壁が立ちはだかる。まさにスクラップ&ビルドだ。そしてこの「写楽探し」の旅は、かつて誰も想像しえなかった結論へと着地する。「本格ミステリー宣言」を掲げた島田荘司でなければこの視点はなかったかもしれない。学術書ではないゆえの自由な発想と着眼点は、しかし説得力がある。このイマジネーションこそが、本書の高評価の理由だろう。全体としての出来はよくはない。元々彼は直観型の作家であり、最初に入念に計算して書くタイプではないだろうし、しかもこれは週刊誌の連載ものだったから、余計にまとめるのが大変だったのだろう。息子の回転ドア事故の裁判の結末も、肉筆画の謎すらも解明されておらず、明らかに何かの伏線であろう美貌の東大教授の存在もなんら理由を持たせず、お預け状態。本書だけではまだ道半ば。小説としてはまだ完成されていないのだ。課題は次に持ち越された。が、私は充分価値あるものだと思う。
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4103252316
No.14:
(5pt)

今年の本屋大賞の本命

大力作。本作の詳細なバックグラウンドと緻密な論理構成は、おそらく美大卒の本格推理作家である氏以外には書けないだろう。もちろん「物的証拠」は存在しないわけだが、示された「状況証拠」には、一点の曇りもないように思われる。しかも、後書きを読むと(最初に読まないこと。ネタばれです)、本編の証拠集めの進行が実際の作者の執筆経過にも存在したことに驚く。本筋は見事と言うほかない。惜しむらくは、作者の思い入れの故か副筋があまりに饒舌で、優れた推理小説の条件である「一見無関係に思われるエピソードが最後に収束する」あの快感がない(例えば「回転ドア事故」のエピソードは、工学部教授を登場させる伏線でしかないように思われる)。後書きによれば、こぼれたエピソードは続編で書かれるそうなので期待したい。今年の本屋大賞の本命の一つと思うが、副筋の弱点を克えて余りある本筋の見事さをどう評価するかで、意見は分かれるだろう(もちろん筆者は「余りある」と思っている一人である)。
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4103252316
No.13:
(2pt)

時間の無駄

写楽探しを題材にした680ページを超える大冊小説である。写楽の正体を決定付けるような証拠は現在ないが、太田南畝の著書などから阿波藩の能役者斎藤十郎兵衛説が有力と考えられている。作者はこれを否定し、新説を唱える。十郎兵衛の周りには絵を描いた痕跡が全くない、というのが否定の大きなポイントになっている。したがって、新しい写楽候補には絵を書いた証拠・痕跡を示さなければならない。著者も写楽の肉筆画らしい資料が出てきた所から話を始める。絵の中の文字を手がかりに正体が絞り込まれていく。だが途中でその資料は怪しい資料ということになり、写楽の活動期間に焦点を当てて、新写楽説を作り上げていく。この新候補が絵を描いた証拠をどうやって示すのだろうと期待して読み進めた。ところがその期待は見事に裏切られる。最後までその新候補が絵を描いていたという痕跡は示されない。これでは斎藤十郎兵衛説の否定はなんだったのか。所詮小説ではあるのだが、こういう題材を取り上げる以上、嘘でもいいから納得性のあるストーリーを展開して欲しいものだ。ましてや著者は納得性が命の推理小説の世界の人なのだから。ついでにもう一つ文句を言うと、この本の最大の欠陥は同じ話題を似た表現のままダラダラ繰り返すことだ。オリジナルは月刊誌に連載されたということだから、単行本にする段階で重複を省き整理統合するのは作家として最低限の義務だろう。著者は後書きの中で、紙幅の制限にため語り尽くせなかったと書いているが、680ページもあるのだよ。冗長な部分を削れば十分書きこめたはずだ。よって、この本はお勧めしない。時間の無駄である。
写楽 閉じた国の幻Amazon書評・レビュー:写楽 閉じた国の幻より
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No.12:
(4pt)

さすがの筆力、ですが…

しょっぱなからぐいぐいと引き込まれていきます。写楽にも北斎にも歌麿にもたいして興味はなかったんですが、この分厚い本を数時間で一気に読ませてくれる先生の筆力はさすがです。写楽にこんな謎があったことすら知らなかったので、謎があると知れただけでも一つ賢くなれました。…が、いかんせん、あまりにも悲劇的な主人公の物語と、写楽の謎解きの展開が、もう一つうまく絡んでいるとはいいがたいのが気になります。主人公の物語がどうなったのか気になりながらいつのまにか写楽の謎解きへ引き込まれ、ふいに現実に戻って、え、あ、そういえばそっちどうなったの、と思わされたのもつかの間、また再び江戸の世界へ引きずり戻される、といった感じで、その違和感は最後まで解消されることなく、先生ご自身が続編の存在をおっしゃられている。これは、小説の構成としてはどうなんでしょう…色々と大人の事情もあるのでしょうが、やはり読者としては、最高の形に練り上げられた島田ワールドを見てみたかったのでそこだけが残念でした。とりあえず今は続編が楽しみです。
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4103252316
No.11:
(4pt)

さすがの筆力、ですが…

しょっぱなからぐいぐいと引き込まれていきます。
写楽にも北斎にも歌麿にもたいして興味はなかったんですが、
この分厚い本を数時間で一気に読ませてくれる先生の筆力は
さすがです。
写楽にこんな謎があったことすら知らなかったので、謎があると
知れただけでも一つ賢くなれました。

…が、いかんせん、あまりにも悲劇的な主人公の物語と、
写楽の謎解きの展開が、もう一つうまく絡んでいるとはいいがたい
のが気になります。
主人公の物語がどうなったのか気になりながらいつのまにか
写楽の謎解きへ引き込まれ、ふいに現実に戻って、え、あ、そういえば
そっちどうなったの、と思わされたのもつかの間、また再び江戸の
世界へ引きずり戻される、といった感じで、その違和感は最後まで
解消されることなく、先生ご自身が続編の存在をおっしゃられている。
これは、小説の構成としてはどうなんでしょう…
色々と大人の事情もあるのでしょうが、やはり読者としては、
最高の形に練り上げられた島田ワールドを見てみたかったので
そこだけが残念でした。

とりあえず今は続編が楽しみです。
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No.10:
(3pt)

江戸編の登場人物の躍動感に比べ・・・

読む価値はあると思います。しかし、要の部分は全体の1/5ページに満たないのではないか?とも思われ、ページをパラパラ進めて、「おっと、ここだ」という風に、言わば「参考書読み」の本でした。それにしても、江戸編の登場人物の躍動感に比べ、現代編の登場人物については、寸劇の台本を読まされているような感じでした。
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No.9:
(3pt)

江戸編の登場人物の躍動感に比べ・・・

読む価値はあると思います。
しかし、要の部分は全体の1/5ページに満たないのではないか?とも思われ、ページをパラパラ進めて、「おっと、ここだ」という風に、言わば「参考書読み」の本でした。
それにしても、江戸編の登場人物の躍動感に比べ、現代編の登場人物については、寸劇の台本を読まされているような感じでした。
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4103252316
No.8:
(5pt)

面白かった

今まで読んだ写楽もので展開されてる説の中では最も説得力があるのではないかと思いました。写楽の正体に興味がある人は読んで損はないと思います。
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4103252316
No.7:
(5pt)

通説への異論は思想であり人生観である

迷路「写楽探し」を解く方法論の原点Keyは、作者が描き出す板元:蔦屋重三郎の心意気にあり。主人公佐藤が、あるきっかけから、「Fortuin in,Duivel buitenn」(オランダ語)「フォーチュン・イン、デヴィルズ・アウト」(英語訳)「福は内、鬼は外」(和訳)・・・18世紀後半の大江戸で「福内鬼外(ふくうち・きがい)」と名乗ったある著名人を追うことから始まる「写楽探し」は、とてつもない結論への序章だ。何という壮大な、「通説」への異論の体系! 何という「開かれた」思考回路! もちろん島田説に脱帽し納得もしてしまふ。「専門家の写楽学」への挑戦であり、もちろん小説を超えて通用する説であり、在野の「学」の意地である。                                                                                      けれども、島田説は、あれかこれかの謎解き選択に核があるではない。そこにあるのは、世の「通説」に、異を唱える者の・それに抗う者の、孤立無援の立ち位置だ。それは、謎解きを超えた生き様なのだ。選択ではなく、異次元への跳躍・「閉じた」発想からの跳躍なのだ。「通説」(この場合固有名詞の如何を問わず、「写楽」は絵師の誰かに違いないという通説)が生まれ、支持され、学ばれ、市民権を得てきた、その「閉じた」構造総体を相手に立たねばならないのだ。「通説」を生み出し、保障し、定着させる力・・・、「あれ」だ。己を論ずるに、友・環境・学校・親・・・幾多の他者が必要なように、列島古代史を論ずるに、古代東アジアの地政学的俯瞰が不可欠なように、「写楽探し」には、当時の社会と世界、「閉じた国」からの跳躍が求められたのだ。それにしても、作者の積年の慧眼と執念に思わず拍手した。作者は読者に、不遇と悲哀を甘受する「在野的学び」と「異論」の原点、「閉じた国」の闇を解く思考回路をこそ、この「写楽探し物語」と島田版:蔦屋重三郎像から提示している。「写楽探し」は実は何探しなのか? への考えが、読む前と読後で違うと読者が感じるならば、作者の目論みの九割は成功しているのだ。そして、ぼくはそうした読者であった。もっとも、島田説が学術的評価(多数派になれと言いたいのではない。心ある識者からの評価も生れて欲しいと思っている)に耐え得ると直感してもいる。
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4103252316
No.6:
(5pt)

今年いちばん! 爽快。

寛政六年に出現し、わずか十ヶ月だけ存在した謎の絵師、写楽。 昔から、有名な絵師の別名であるとか、違う職業や身分の故に、本名を明かせなかったのではないか、とか、風説は様々あるが、確定的なもの、説得力のあるものはないといって良かろう。 「写楽は誰か?」わたしも持っているそんな割りきれない気持ちを、本書がスッキリさせてくれた。 なァるほどね!  著者は長い間温めていたらしいが、いちばんの決め手はオランダ商館員の江戸訪問が寛政六年であったことだ。しかし、連載当初まで著者は、その確認ができずにいたらしい。 これには驚いた。 全部を引っくり返してしまう事実を、確認せずに連載を始めてしまう、なんて確信犯的行為をよくやれる、と驚いた。 そのせいだろうか、いきおいと緊張感を感じる一冊だ。 このような驚きとともに、気持ち良い読後感が後に残った。 主人公の個人的環境なんて全く興味ないので、著者は心残りだそうだがわたしは「要りません」ともうしあげたい。
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4103252316
No.5:
(5pt)

一気読み!

「写楽もの」と言うのでしょうか。東洲斎写楽の謎を取り上げた先行作品は数多く存在し、高橋克彦のデビュー作『写楽殺人事件』、明石散人の『東洲斎写楽はもういない』などが有名ですね。それだけ歴史ミステリーとして魅力的なわけで、島田荘司が取り上げれば面白くならぬわけがない… との期待は裏切られませんでした。提示された大きな謎に小さなヒントが散りばめられていき、時に巧みなミスリードも。「次は一体どうなる?」という興味が途切れることなく、700ページ弱の大作を一気に読ませます。現代篇に、蔦屋重三郎等が登場する江戸篇を絡めたサンドイッチ状の構成も、生き生きとした台詞回しと相まって効果を発揮しており、私はこの「島田説」にすっかり納得してしまいました。学術的なフォローと、続編に期待したいところです。
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4103252316
No.4:
(5pt)

一気読み!

「写楽もの」と言うのでしょうか。東洲斎写楽の謎を取り上げた先行作品は数多く存在し、高橋克彦のデビュー作『写楽殺人事件』、明石散人の『東洲斎写楽はもういない』などが有名ですね。

それだけ歴史ミステリーとして魅力的なわけで、島田荘司が取り上げれば面白くならぬわけがない… との期待は裏切られませんでした。

提示された大きな謎に小さなヒントが散りばめられていき、時に巧みなミスリードも。「次は一体どうなる?」という興味が途切れることなく、700ページ弱の大作を一気に読ませます。

現代篇に、蔦屋重三郎等が登場する江戸篇を絡めたサンドイッチ状の構成も、生き生きとした台詞回しと相まって効果を発揮しており、私はこの「島田説」にすっかり納得してしまいました。

学術的なフォローと、続編に期待したいところです。
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4103252316
No.3:
(5pt)

最も説得力のあるかつ魅力的な写楽の正体!

日本美術史上永遠の謎である「写楽は誰なのか?」について、最も説得力のあるかつ魅力的な回答が描かれている。「ダ・ヴィンチ・コード」にも似たスケール感あるのミステリーだ。作者の20年にわたる構想と時空を超えた筆の展開力にぐいぐい引き込まれていく。684頁の大作であるが、一気に読めた。人生の苦悩を背負っている主人公とそれを助ける美貌の大学教授らによって、現代の謎解きが進む。それを江戸時代で実証するように、蔦屋重三郎などの浮世絵工房の面々がドラマを展開する。写楽の正体である人物の仮説は、行きつ戻りつしながら証明されていく。寛政6年5月という鍵になる年代が、種々の資料で特定されていく過程が特に面白い。古代の化石の年代が放射性炭素年代測定法でデジタルに測定されるようなスピード感がある。本書によって写楽の謎は解けるが、物語としては未完であり、続篇を期待せざるを得ない。お奨めします。
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4103252316
No.2:
(5pt)

写楽の、とんでもない正体。

私は日本美術史にうとくて、北斎と歌麿の違いさえもあやふやでしたが、とても楽しく読めました。序盤の主人公に降りかかる悲惨すぎる境遇に、さすが島田荘司は、こういうのを書くとうまいなあ、と感心しました。中盤、従来の説を丁寧にふるいにかけ、オリジナルの発想が徐々に塗り固められていく高揚感…あまりにも面白くて一気読みです。終盤は、江戸時代の人間の、『世を変えよう』という心意気に涙。そして明かされる写楽のあまりにも意外な真相に、身体が震えるのを感じました。写楽問題に詳しい人なら、この説の傷を指摘することもできるでしょう。だからこそ、写楽に詳しい人にも、詳しくない私のような人にも、ぜひ読んで欲しいです。最高の、歴史ミステリですよ。
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4103252316

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