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ドグラ・マグラ



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ドグラ・マグラの評価: 3.96/5点 レビュー 504件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.96pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全504件 401~420 21/26ページ
No.104:
(5pt)

脳髄は〜物を思うに〜物を思うにはあらず〜

ドロロの脳髄〜♪本作品は筋肉少女帯のいくつかの曲のモチーフになっていますね。
読み始めた印象は、よくあるサイコサスペンスかな?と思っていると、途中から唯物科学へのアンチテーゼに基づく学術論文や文語調の資料などの果てしなく冗長な「作中作」が本編ストーリーそっちのけで始まり、それが延々と続きます。本書は日本三大奇書、読んだら精神に異常をきたすと言われることから、最後までこの調子で意味不明なまま終わるのだろうか…もう読むの止めようか?と思いつつ読み進め、ようやくその自己満足的長文から開放されるや、ストーリーは急展開。鮮やかなトリックの種明かし、膨大な量の複線回収、どんでん返し、衝撃のクライマックスと、一気に読ませてくれます。しかし重要な謎は放置され、考察の余地が残る所は好みが分かれるかなと思いました。
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)より
4041366038
No.103:
(2pt)

私はごめんなさい

これを読もうと思ったきっかけは漫画「悪の華」の単行本の作者の青春記で知り、日本三大奇書という響きにうたれ読んでみようと思った。
つかみは非常に良かった。良質な映画のような・・。
しかし中盤から徐々に独特な感じに・・チャカポコチャカポコ・・。
途中から投げ出したかったが、折角だから最後までと、意地で読破したが、途中心折れ掛けたせいもあり正直私には理解できなかった。
何方かが「途中の手紙やらは飛ばしてでもいいから最後まで読んでみてほしい―」というレビューを拝見したが、いいアドバイスだと思った。
ただそれほど本を読んでいるわけでもないくせに、日本三大奇書とかいうフレーズに反応してしまう私のようなミーハー読者にはおすすめしない。
ドグラ・マグラ (ハヤカワ・ミステリ 276)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (ハヤカワ・ミステリ 276)より
4150002762
No.102:
(5pt)

何故踊る

なかなかそれが面白かった。
精神か らがおかしくなるとは言われいるが、そんなことは無い。
なにりいろいろ な視んでてさわるのが面白かった。
なかなか面白かった。
 なこよりこの作者は天才だとおもった面白かった。
なによりあれは反対側からがす ばいの創作の性だと言えてだろう。
ろぐアッタが真夜 ニ のトケイだろうというだろう。之 縫っておみて良い。
第三者だろう。

気になってるのでしたら買ってみればいいと思いますよ。好みはかなり分かれますね。
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)より
4041366038
No.101:
(5pt)

これは良い物だ

これを読むと精神に異常をきたす・・・
後半を読み終えると謎も解けますが、
自分の中では一応納得しています。
一応と言うのは、全編を通しての理解度が足りないと感じるからですが。

精神に異常をきたす、と言うのは、この手の本に足を突っ込み、
この手の本ばかり読みあさる様になる。
それはそれでダメとか言うつもりもありませんが、
想像してみてください。
こういう奇書と言うか怪書と言うか、そんな本に囲まれて
ただひたすらに黙々と読んでいる・・・
傍目から見ると明らかに異常な雰囲気です。
この文章はそれを言いたかったのだと判断しています。

確かに万人向けではありませんし、難解な物でもあると思いますが、
そういう言い回しの本はこれだけではありませんし、他にたくさんあります。
ただこの本が精神異常やその実験体を取り扱っている為に、
そういう事が言われる様になったのだと思います。
テーマの重さ、とりわけ日本人にはタブーだとされている分野での話でもあるからです。
ですが、一度じっくり読んでみるのも良いと思われます。それだけの価値はあると思います。
ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)より
4041366046
No.100:
(1pt)

つまらない

本書籍は読み上げた後の爽快感や万人受けを求める作品ではないのは明白です。
それらを考慮しても面白くはない。

精神異常とそうでない者の区別はつけられない。
通常、ロボットと違い何らかの他者との差異があり、結果性癖や大なり小なりの異常的行動は万人に見られる為、万人が精神異常。

まぁ、こんなゴタクを永延と飽きる程に記載されており、脳に関する独自理論を永延と記載されており、読むに耐えない苦痛の書籍である。
勿論、それだけでは無く主人公の思考の中や思いを呟く形式で話しは進行していく。
まさに奇書である事には違いはないが、これが愉快・面白い・深いとは異なる。

永延と一つの簡素な事項の話しになれば人間の本質的な事まで理論を深く深く追求し長ったらしい文章として展開しているのだが、これを「深い」と感じさせるのは錯覚だろう。
単に話をゴチャゴチャグチャグチャに独自の偏見理論展開を強引に永延と苦痛を伴う程に展開しているに過ぎない。

個人的にこの書籍は深い・考えさせるような書籍ではない。文字の言い回し様々な奥深い理論を見受けると大半が深く考えさせられる本だと錯覚を起こすだろうが、これはそうではなく一つの事項を無駄に苦痛を感じる程に文章展開を行い読んでいても苦痛すら感じさせる書籍。

私としては評価に値しないと思う。

文章の構成そのものも、素人レベル。
奇書故に構成を無視してグッチャグチャに意図的に構成していたとしても、小説や読み物としては最低レベルで構成から内容まで滅茶苦茶故に奇書として有名になっただけであり、内容としては読むに値しない。

本書籍を拝読して深いとか考えさせるとか、こんな文章で感化されてしまう読者が大変気の毒に思う。

本書籍は奇書であるのは間違いはなく、それ故に有名だが読み物としては最低レベルであろう。読むだけ時間の無駄であろうし、時間を割いて閲覧する価値はない。
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)より
4041366038
No.99:
(4pt)

内容は良かったけども・・・

小説の内容は良かったです。
文句のつけどころもないと思います。

しかし、購入して届いた本の表紙の部分が汚れており、大変不快になりました。
よって★−1とさせていただきます。
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)より
4041366038
No.98:
(5pt)

音楽的

音楽的である

リズムがすばらしいので、グイグイ読めてしまう

それにしても、夢野久作の写真を見たかい?

まあイケメンというのか奇怪というのか、

ああゆう顔の人っているよね

お前のとなりに
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)より
4041366038
No.97:
(5pt)

テクストの多様体。

今更言うまでもない傑作。
 いくつかの殺人事件が出来事の核に置かれ、その事件の犯人解明が物語の推進力であるからには、これを「探偵」小説、あるいは「推理」小説に分類するのは当然ではあるのだが、しかし一方でそうした分類にとって決定的な問題点をも持つのが本書である。すなわち一般に、推理小説では「解決に至る手がかりはすべて示すこと」及び「地の文には嘘を書かないこと」という暗黙のルールがある。しかし、『ドグラ・マグラ』では地の文に(物語の推進者=作者のものである)客観的視点と(主人公の)主観的視点とが混在し、手がかりは犯人指摘の後に「実は……」という形で示される。それゆえ真っ当な「推理小説」ではない。だからといって断じて駄作ではない。それどころか上記のルールを遵守し、文体を整理したならば本来の眩暈のするような「味」が失われてしまうだろう。
 しかもそれでいて「果たして真の犯人は誰か?」が明らかになり、その動機が示された後に読者は衝撃をもって気付くのである。手掛かりは物語の始まりに大書されていることに!

 また、「キチガイ地獄外道祭文」のあの辻説法のリズムは――文字のみによって表現されているにもかかわらず――しばらく耳を離れないほどである。さらには歌あり、論文あり、映画あり、警察調書あり、多様な「テクスト」を織り交ぜた、文字通りの「テクスト」によって構築される、胸が震えるような壮大な伽藍。その中心に安置されているのは、考えず、夢を見るだけの「脳」である。

 文庫版『ドグラ・マグラ』は様々な出版社から発行されたが、最も素晴らしいのは米倉斉加年のイラストが表紙のこの角川文庫版である。
 彼のイラストを表紙とする角川文庫版夢野久作作品全10作の復刊を強く望む。

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)より
4041366038
No.96:
(1pt)

よく十年も費やしたものだ

近年色んな分野でオマージュ作品が増えており、ますます「ドグラ・マグラ」の価値が高くなったと思います。

で、その内容は……そんなに難しくないように思われます(中途半端な言い方をしているのは完璧には理解してないと思うから。いや理解したくない。ショックが大きくなりそう)。
ウソとかホントとか読者に判断させて、最後の多義的解釈の部分(と思われる)でストーリー全体を読者に判断させる(作らせる)ってところでしょうか?

「ドグラ・マグラ」中に「ドグラ・マグラ」解説シーンがあります(このシーンにもウソを含むと思われる)が、そういう小説で好きになったものって今まで無いですね。「人間失格」や「こころ」に比べたらマシですけどやはりこれも好きになれないです。
その解説シーンで「ドグラ・マグラ」は、とある一人の天才が書いた、ということになってますが(これもウソなのか?)、どちらかっていうとパカです。キ〇ガイです。
素人が書いたような下手糞な文章(ワザとなのか?)に、チャカポコ入って、古文っぽいもの入って、ひたすら読みづらいです。単純な話を兎に角グチャグチャにしたかったみたいですね。構成も下手糞でやたらと長いです。簡単に3回以上読めないです。いや3回以上読ませるものじゃないですね。しかも、初読の段階である程度は予想がつくようになってます。
“エロ・グロ作品である”とかもその“解説シーン”で予告するもんだから“バイオレンス”とか“スプラッター”とか“SM”“拷問”“圧死”とかかなり期待してたのですが……エッそこも嘘?戸惑面喰?

私は初読の段階で、胎児の夢の後がよく分かんなかった(滅茶苦茶詰まらなくなるし……)ので胎児の夢の後の部分が重要かと思いましたが……多分そこが戸惑面喰?それほど意味は無いようです??胎児の夢までが本題のようです???
主人公(と思われる)の“私”が「私が呉一郎なのだ……」とか「これが胎児の夢なのだ……」とか言ってるのも戸惑わせるための台詞でしょうか?

何回か読んでるうちに「そんな簡単なものなのかなぁ」って感じで、どちらかと言えば、初読の段階でどっかに突き落とされたような感覚の方が、気持ちぃです。

同じ作者の作品なら「氷の涯」や「冗談に殺す」「空を飛ぶパラソル」の方が好きです。

それに日本三大奇書なら「黒死館殺人事件」の方が狂います。間違いない。
ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)より
4041366046
No.95:
(1pt)

素人作家?

近年色んな分野でオマージュ作品が増えており、ますます「ドグラ・マグラ」の価値が高くなったと思います。

で、その内容は……そんなに難しくないように思われます(中途半端な言い方をしているのは完璧には理解してないと思うから。いや理解したくない。ショックが大きくなりそう)。
ウソとかホントとか読者に判断させて、最後の多義的解釈の部分(と思われる)でストーリー全体を読者に判断させる(作らせる)ってところでしょうか?

「ドグラ・マグラ」中に「ドグラ・マグラ」解説シーンがあります(このシーンにもウソを含むと思われる)が、そういう小説で好きになったものって今まで無いですね。「人間失格」や「こころ」に比べたらマシですけどやはりこれも好きになれないです。
その解説シーンで「ドグラ・マグラ」は、とある一人の天才が書いた、ということになってますが(これもウソなのか?)、どちらかっていうとパカです。キ〇ガイです。
素人が書いたような下手糞な文章(ワザとなのか?)に、チャカポコ入って、古文っぽいもの入って、ひたすら読みづらいです。単純な話を兎に角グチャグチャにしたかったみたいですね。構成も下手糞でやたらと長いです。簡単に3回以上読めないです。いや3回以上読ませるものじゃないですね。しかも、初読の段階である程度は予想がつくようになってます。
“エロ・グロ作品である”とかもその“解説シーン”で予告するもんだから“バイオレンス”とか“スプラッター”とか“SM”“拷問”“圧死”とかかなり期待してたのですが……エッそこも嘘?戸惑面喰?

私は初読の段階で、胎児の夢の後がよく分かんなかった(滅茶苦茶詰まらなくなるし……)ので胎児の夢の後の部分が重要かと思いましたが……多分そこが戸惑面喰?それほど意味は無いようです??胎児の夢までが本題のようです???
主人公(と思われる)の“私”が「私が呉一郎なのだ……」とか「これが胎児の夢なのだ……」とか言ってるのも戸惑わせるための台詞でしょうか?

何回か読んでるうちに「そんな簡単なものなのかなぁ」って感じで、どちらかと言えば、初読の段階でどっかに突き落とされたような感覚の方が、気持ちぃです。

同じ作者の作品なら「氷の涯」や「冗談に殺す」「空を飛ぶパラソル」の方が好きです。

それに日本三大奇書なら「黒死館殺人事件」の方が狂います。間違いない。
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)より
4041366038
No.94:
(5pt)

胎児よ、胎児よ、なぜ躍る、母親の心がわかって、おそろしいのか

この巻頭文からして、尋常じゃない世界観にぶち当たってしまったと思った。

キャッチコピーどおり『精神に異常をきたす』とまではいかないが、
読み終わるまで、ドグラ・マグラの円環から抜け出せなくなることは間違いない。
ひょっとしたら何週かしないと抜け出せないかもしれない。

どのレビューを読んでも、「要約は不可能」と書いてあった理由が読んでわかった。
舞台は精神病院。
記憶を無くした青年と、一人の天才奇人学者の学説の綴る、
胎児の夢から数千年の歴史を遡る壮大なSF小説、ホラー小説、かつ推理小説、かつファンタジー小説である。
かといって難解なわけではなく、昭和10年代の作品とは思えないほど読みやすい。
それだけ内容を把握しても、肝心な部分やニュアンスはサッパリ説明できない。
結局、「ドグラ・マグラ」は「ドグラ・マグラ」であるとしか言いようがなかった。

挿入歌(?)「キチ○イ地獄外道祭文」は、精神病院の患者虐待の告発戯曲。
34ページも続く上にともかく内容も単語もエグい。
アマゾンレビューで書いたら、削除確定なおぞましい単語ばかりが出てくる。
それにもかかわず、言葉のリズムは美しく、頭に音楽が勝手に浮かんでしまうのだ。
酔うはミュンヘン、歌うはウィンナ、踊るパリーや居眠るロンドン♪スチャラカ、チャカポコ、チャカポコ、チャカポコ、チャカポコ……

チャカポコ、チャカポコ、チャカポコ……
(注意:読み終わってから数日間は、脳内がスチャラカチャカポコします)
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)より
4041366038
No.93:
(5pt)

そもそも文体が好き

表紙が淫猥で怪しい上に話しの起から狂ってますが、あの独特な文体に感銘しました。 どちらかと言えば海外小説の文体に近いからかも知れませんが、現代でも十分に通用する程です。 話しも狂ってながらも芯も通ってます。 是非ともオススメします
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)より
4041366038
No.92:
(4pt)

驚きの導入

ご存知の方もいると思うが、本書は、日本三大奇書の一つとうたわえれるほどの奇書である。
本作品は、好き嫌いがはっきりと分かれる本なので注意が必要である。
本作品は青空文庫でも読むことができるので、
そちらで少し読んでから、購入されると良いだろう。
この作品の導入(書き出し)には驚いた。
気味が悪く、奇妙としか言いようのない書き出しである。
若林教授の説明より、設定を把握することができるが、
不安な気持ちになる。
上巻は、正木教授が残した資料の途中で終了するが、
読者は気がおかしくなるような感覚になることだろう。


ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)より
4041366038
No.91:
(4pt)

まさに奇書!

上巻の謎が解き明かされてきくが、
それが、本当なのかどうなのか、
夢であるかのような感覚に陥る。
最後まで読み終えると、
本作品は、十人十色、さまざまな解釈がなされると思う。
そこが著者の狙いなのであろうか。
そういった意味で、「奇書」である。

本作品は、好き嫌いがはっきりと分かれる本なので注意が必要である。


ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)より
4041366046
No.90:
(4pt)

からかうような多重幻魔感

ドグラ・マグラというのは、目くらましとか戸惑いとか幻魔術とかそういったたぐいの意味です。主人公は、記憶喪失のまま精神病院で目覚めますが、その主人公の記憶回復をめぐって正木博士と若林博士という二人の怪人が主人公を幻惑していきます。主人公は呉一郎という青年による殺人事件の鍵を握っている・・・として。なにしろ主人公は自分さえ誰だかわからないので、この二人の話だけから事の次第を推理するしかありません。特に、正木博士は、饒舌に語りますが、途中で「・・・というのはウソで」みたいなことをいうので、困惑させられます。しかも、それがウソとは限らず実はやっぱり本当かもしれないという不安定感があり、狂人の不安感を疑似体験させるような多重の幻魔感があります。
 この精神の不安定感、なにをもって「自我」を確立するのか、という心理の迷宮を構成していく上でポイントとなるのは「脳髄は物を考えるところにあらず」「胎児は進化の夢を見る」「心理は遺伝する」という思想(アイディア)です。すなわち、細胞の一つ一つに思考めいたものがあり、脳髄はその細胞思考の交換器にすぎない、実際、脳髄を持たない原始的な動物はたくさんいる。また、人間の胎児は、その成長過程において魚のような姿をとったりしながら人間らしくなっていく(エルンスト・ヘッケルという学者の説を下敷きにしているといわれる)。これは胎児が「進化」を再度体験しているのであり、この進化再体験により先祖やもっと古い動物的感覚が細胞のような微細な単位で遺伝、すなわち、心理遺伝していく、という論法です。呉一郎は、唐代の画家である呉青秀(フィクションの人物)の子孫であり、この呉青秀が残した絵巻物を見ることにより、呉青秀による「妻殺し」の強烈な記憶が再現され、凶行に及んだ・・・ようですが、では、呉一郎と私はどういう関係にあるのか、というどこまでも推理小説的な奇書です。夢野久作に理解のあった江戸川乱歩でも「わからん」とサジを投げたそうです。わかりにくいのですが、比類ない魅力があります。もしかしたら、今の日本の独特のマンガ文化に一定の影響を与えたのではないかと思われるような思想的革新性・斬新さがあります。不思議な本ですし、このような革新的で現代的とすら思われる本が1935年という古い時代に登場しているのもどこか異様です。
ドグラ・マグラ (ハヤカワ・ミステリ 276)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (ハヤカワ・ミステリ 276)より
4150002762
No.89:
(5pt)

悪夢のような作品

奇妙なタイトル。人を食ったようなペンネーム。そして複雑怪奇なストーリー。
 夢野久作畢生の大作『ドグラ・マグラ』は、もはやミステリーの域を超えた古典と言ってもいいほど知名度の高い作品であるが、これを最後まで読破し、しかも完全に理解したという読者は多くはないのではないだろうか。そしてその責任は少なからず作者の方にもあると思う。
 オープニングの異様さは今でも全く色あせることはない。ブーンという音と共に話者は密室の中で目が覚める。ここはどこなのか、自分はだれなのか。やがて隣の部屋から聞こえてくる女性の悲鳴。翌朝若林鏡太郎なる法医学部教授が彼を訪れ、ここが九州帝国大学の精神病科の病室であること、悲鳴をあげた美しい少女が彼の許婚であること、そして彼がここにいるいきさつを語り始める。その中で彼の主治医である正木敬之なる精神病学教授がクローズアップされてくるが、今から一ヶ月前に自殺したという正木教授の研究室に案内された彼は、そこで様々な資料を目の当たりにする。
 そこまではよい。否そこまでもかなり冗長な部分はあるのだが、作品の個性ということで許すことはできる。しかしその部屋で彼が資料の一冊を読み始めてからが異様に長い。物語中の時間が停止した状態のまま、結局上巻は終わってしまう。実に上巻の半分以上は物語内を流れる時間から隔離された脳髄論、遺書、記録映像、新聞記事、等々で埋まっている(しかもそれが下巻でもしばらく続く)。
「これを書くために生きてきた」と夢野久作自身が言っており、また実際構想十年執筆十年計二十年もの歳月をかけ、書き上げてまもなく死んでしまったこの作品に対する夢野の思い入れが生半可ではなかったことは、行間からもひしひしと感じられる。しかしその思い入れが、不幸なことに読者への配慮を忘れさせることになってはいないだろうか。ストーリーの複雑さよりも長すぎる挿入部を投げ出さずに読み通せるかどうかが、この大作を攻略するための最大の鍵になりそうである。
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)より
4041366038
No.88:
(5pt)

終わらない悪夢

『ドグラ・マグラ』には章がない。おそらくは作品自体の構造のみならず作者の意図による演出でもあろうが、そのことが難解な作品をさらに読みづらくしている。上巻の半分以上を埋めている脳髄論、遺書、記録映像、新聞記事、等々は下巻に入っても続き、物語内の時間はしばらく停止したままである。ようやく話者がわれにかえり時間が流れ始めたと思ったとき、話者に話しかけてきたのはさっきまで同じ研究室にいたはずの法医学者若林鏡太郎教授ではなく、あろうことか一ヶ月前に自殺したはずの精神病学者正木敬之教授であった。彼によれば若林教授は嘘をついているのであって、今日は遺言書が書かれてから一ヵ月後の十一月二十日ではなく、研究室内のカレンダー通りの十月二十日であるという。さらに正木教授は自分と若林教授との戦闘状態を話者に説明し、どちらが勝つかはひとえに話者の記憶が戻るか否かにかかっているという。
 それでなくても記憶を喪失して混乱しているのに、話者は二人の教授のあいだで翻弄されることになるが、それ以上に翻弄されるのは読者である。正木教授と若林教授のどちらの言い分を信じればいいのか? 話者である少年は何者なのか? 話者と瓜二つの少年の登場、正木教授による離魂病の解説などによって、謎は深まるばかりである。
 普通のミステリーであればいわゆる名探偵が登場し、快刀乱麻あらゆる謎を一刀両断に解決してくれる。しかしこの作品はそうはいかない。名探偵はどこにもいないし、そもそも話者が精神病院にいる時点で、読者は話者の言葉さえも鵜呑みにすることができない。そして実際最後の最後で、読者は話者からも裏切られることになる。客観的な解答は最後まで与えられない。
 解説でなだいなだも書いているが、この作品は失敗作であると思う。もっと短くシンプルに仕上げることもできたはずであろう。だがもしもこの作品が成功していたら、すなわちもっと短くシンプルに仕上げられていたら、おそらくこの作品はとっくに忘れ去られていたに違いない。原爆に破壊されたことによって今日まで生き永らえている原爆ドームのように、夢野久作の狂気に破壊されたことによって今日まで読み継がれている廃墟的な作品である。

ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)より
4041366046
No.87:
(5pt)

これも胎児の夢?

長編を読了し、レビューを書きたくなった。
過去のレビューを見てみると

読了すべき:そう、とにかく長い、しかし読了後は・・
場面が浮かび上がる:そう、正木博士の、部屋の間取りが見えるようだ・・
いつのまにかドグラマグラを読んでいる:そう、いつの間にか読んでいた・・
この世はすべてキチガイだらけ:そう、全てが夢ならば・・
別に読んでもキチガイにはならない:そう、この程度の内容は、考えている人は考えている・・
60年以上前に書かれたとは:そう、すごいと思うが、考えられない内容ではない・・
表紙は内容と合っていない:そう、けど相応しい表紙すら思い浮かばない・・
読み手すべての感想が違う:そう、過去のレビューを読むと、私が書きたい事はすべて書いてある・・

ん?これは・・正に胎児の夢?

「アハハハハ、いかんよ!人に紹介するなんてできやしないぜ。この世が胎児の夢ならば、読む人は読むというわけだ」
・・アッ・・正木博士・・・
・・・ブウウウーーンンーーンンン・・・


ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)より
4041366038
No.86:
(5pt)

これも胎児の夢?

長編を読了し、レビューを書きたくなった。
過去のレビューを見てみると

読了すべき:そう、とにかく長い、しかし読了後は・・
場面が浮かび上がる:そう、正木博士の、部屋の間取りが見えるようだ・・
いつのまにかドグラマグラを読んでいる:そう、いつの間にか読んでいた・・
この世はすべてキチガイだらけ:そう、全てが夢ならば・・
別に読んでもキチガイにはならない:そう、この程度の内容は、考えている人は考えている・・
60年以上前に書かれたとは:そう、すごいと思うが、考えられない内容ではない・・
表紙は内容と合っていない:そう、けど相応しい表紙すら思い浮かばない・・
読み手すべての感想が違う:そう、過去のレビューを読むと、私が書きたい事はすべて書いてある・・

ん?これは・・正に胎児の夢?

「アハハハハ、いかんよ!人に紹介するなんてできやしないぜ。この世が胎児の夢ならば、読む人は読むというわけだ」
・・アッ・・正木博士・・・
・・・ブウウウーーンンーーンンン・・・

ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)より
4041366046
No.85:
(3pt)

1935年の作品という事実、という作品

何年も前から、角川文庫がプッシュしている本だったので気になっていたのですが、
これが戦前に書かれたものだと知ってビックリ! 本屋さんでパラパラめくってみても、全くそんな気配なかったのに!

 確かにガッツリ読んでみると、『外套』とか『あすこ』というフレーズが出てきたり、
デーモン閣下でもないのに1人称が『吾輩』だったりとかしますが、注釈がなくても理解できるし、
「現役の作家さんが10年前に書いたものですよ」と言われても違和感を覚えない、口語的な文体です。

 相当である時間の経過を感じさせないこの作品をスゴイ! スゴイ! と思っていて読んでいたのですが、

 正木博士の思想を記したとされる文章がダラッダラッダラッダラッ……
 ウィットに富みすぎているあまりに万人には判らないジョーク……?
 読みやすいなあ、と思っていると突如現れる、カタカタばかりの文章とか、昔の文語的な文章……?

 ただでさえ奇書とされているのに、ストーリーの把握を困難にさせる蛇足ばかり! 
 解説でも触れているのですが、そういうどうでもいい部分を削げ落としていけば、
上下巻にせざるを得ない程の紙幅にはなっていなかったと思います。

 そのどうでもいい部分も含めての、突飛な世界観だと言われればそれまでなのですが、
何度この作品からドロップアウトしようと思ったか……。何度つまらないと思ったか……。何度ブックオフに売ろうと思ったか(笑)

 なので評価も『★★★☆☆』にしましたが、この作品も、夢野久作という作家も、まだまだ過小評価されている気がしました。
通っていた高校に買わされた、日本を代表する作家を紹介した副読本にもこの人は載っていないし、
電子辞書の百科事典に記されたこの人の記述も短いものだし。母も「ユメノキュウサク? 誰それ?」と言っていましたし。

 この本がもう一度、色々な媒体で紹介されるようになって欲しいものです。
 そうだなあ……今売れっ子の若手女優が、この本の表紙をカメラに掲げて「この本大好きです!」って言ったら、
中高生はテレビに喰らいつくはずだ! とりあえずそこから始めてみて頂きたい(ニヤニヤ)。
ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)より
4041366046

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