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隠された帝 天智天皇暗殺事件



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隠された帝 天智天皇暗殺事件の評価: 4.50/10点 レビュー 2件。 Dランク
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No.1:
(7pt)

隠された帝 天智天皇暗殺事件の感想

現在の事件と歴史の真実を並行して進めながら解決に導く構成はいつもながら。

現在の事件を並行させているのは 高木光琳のまねなのか、それとも歴史の真実を暴くストーリーだけでは、読み手を疲れさせたり、飽きさせる。その配慮のためなのか、単に職業作家として頁数を稼ぐためなのか、どちらにしても 歴史部分以外は余談でしかないので、本題にのみ焦点を合わせる。

今回のテーマは、天智天皇の死にまつわる歴史の前後に起こった史実と異なる事実を予想する作品となる。

このあたりの時代がテーマになると、物証となるものが文献以外に無いために 学者もその物証と歴史の流れの齟齬を埋めるのに四苦八苦しているであろうが、もしその物証なきこと イコール事実ではない、という言い切りが出来れば、向上心のない職業学書としては それほど楽な職業はない。

井沢はよくこの点を浮き彫り師にて、否定するのだが それでも切り崩せないのは それほどに抵抗勢力が強いということか。

日本の大学生が勉強しない理由の一つに、この現実性が伴わない学会全体を取り巻く排他主義があるのではないだろうか。

井沢の推理は、全てが彼個人のオリジナルではなく、大半が一般人の研究をかき集め、そこから新論を打ち立てる手法で、要は大部分がぱくりである。ただし、否定ではなく正しいと思えば堂々とパクり、そこからさらに昇華させるさまは、ある意味あっぱれである。

ということは、前おきはそこそこにして、本題にはいる。

当作は天智天皇の死にまつわる歴史の前後に起こった史実と異なる事実を予想する作品となる。

暗殺されたとする理論を打ちたて、そのなかで誰がなぜ殺したを追求していくなかで、兄弟寺の延暦寺と三井寺の確執、近江京から平城京から平安京への遷都理由、日本書紀・古事記の嘘、百人一首の第一番歌(天智作)が貧乏臭い訳、天皇陵が京都山科とぽつんと片田舎にある理由、当時の中国(唐)、韓国との外交関係(任那、新羅)、天皇の諱、諡(持統、継体など)、日本最大の池があった巨椋池の謎と、ひとつの嘘(天智の死)のほころびからどんどんと話を広げていくさまは圧巻とも言える。

メインテーマの暗殺の首謀者の結論部分が不明瞭でこじ付け感があったため、評価は低めしたものの、古代の息吹きが感じられる秀作であった。  了

とも
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