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(短編集)

七つの棺



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七つの棺の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

案外ミステリ初心者向けかも?

本作は当初「鮎川哲也と十三の謎」と題されたシリーズで『五つの棺』のタイトルで刊行された連作短編集だったが、文庫化になった際、2編足され、そして題名もそれに併せて変更された物。
デビュー作『倒錯のロンド』が凝りに凝った叙述ミステリだったのに対し、本作は実にオーソドックスな本格ミステリ短編集である。主人公は黒星警部で、本書が第1作目。この警部はシリーズキャラクターであり、叙述ミステリではない折原作品で主役を務める(全てではない)。

ただオーソドックスと書いているが、こだわっているのは全てが密室殺人を扱っている点だ。これは本歌取り(ほとんど題名のみだが)したジョン・ディクスン・カーの『三つの棺』に倣ったものと思われる。実際、収録作の一編には「ディクスン・カーを読んだ男たち」というものさえある。
七編全てを覚えているわけではないが、この「ディクスン~」と1編目の「密室の王者」は未だに覚えていた。前者は確か某F原S太郎氏のトリック暴露本シリーズと云われる推理クイズの1つに取り上げられていたように思う。
後者は“No Smoking”の意味が印象的で、これは未だに駄洒落で使っているくらいだ(厳密に云えば、若干違うのだが)。
本書で初登場した黒星警部にも実は特徴づけが成されてあり、それは本格ミステリ好きの警官で、特に密室殺人に目がないというちょっと御茶目な男である。したがって「密室」と聞くと居ても立ってもいられなくなり、さらに単純な事件でもわざと難しく解釈してあわや迷宮入りさせようとする、実際にいれば絶対に同僚にしたくない人間ではある。
この後、黒星警部のシリーズは主に長編が書かれ、短編は確か今の時点で『模倣密室』1冊しかないはずだ。個人的にこの本は楽しめたので、出来ればこの路線でまだまだ作者には短編を書いてもらいたいものである。

Tetchy
WHOKS60S

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