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死んだ山田と教室



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死んだ山田と教室

死んだ山田と教室の評価: 6.33/10点 レビュー 3件。 Bランク
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(8pt)

死んだ山田と教室の感想

2024年度のメフィスト賞受賞作。

読書前にあらすじを読んだ印象では、転生もので、転生先がスピーカーという面白い設定だな~、ぐらいの気持ちでした。しかし読み終えてみるとラノベによくある転生ものとは違い、奥深いテーマを持った作品だと感じました。個人的に感じたテーマは「思春期の悩み」、そして「生」と「死」についてでした。
ミステリー要素はほんの少しですが、男子高校生の学校生活を舞台とした青春小説となります。そのぐらいの気持ちで手に取ると良いです。

小説の傾向としては、文学小説に近い印象です。
男子高校生たちのノリが面白く、下ネタやくだらない話、そしてテンション高めの会話が絶妙に味を出しています。ここは好みが分かれる部分かもしれませんが、個人的には大いに楽しめました。彼らがバカをやっている姿が日常パートとしての平和であり、毎日の普通が「生」であるという事をワザとバカバカしく描いていると感じました。声だけの山田視点による同級生達とのやり取り、独り言のラジオパート、描き方が文学的で普段読むことが多いミステリーとは違う文章で面白かったです。

本書、実は昔からよくある「幽霊もの」の作品だと感じました。スピーカーへの転生や、男子高校生たちの会話が今風の雰囲気を醸し出していますが、昔からある地縛霊による幽霊もの作品のジャンルであります。
山田はすでに死んでいる為、学校を舞台にすると、卒業などを通じて必然的に「別れ」が訪れます。幽霊作品における別れの描き方。ここをどうするのだろうと読書の序盤から気になっていたのですが、その演出や構成、そしてテーマを文学的なタッチで見事に表現していた作品でした。
読後に著者を調べたところ、純文学を志している方だと知り、非常に納得しました。

下ネタもばかばかしいノリも狙い通り。その後に訪れる「死」というテーマとのギャップが強い印象を与え、効果的に心に響きます。高校生達との「仲間」と「生」に対する、スピーカー山田の「孤独」と「死」。その間に若者の喜怒哀楽の叫びが盛り込まれている感覚です。いろいろな側面から深く考えさせられる読書体験でした。読後感としては、少し気持ちが沈む部分もありますが、だからこそこの作品が読者の心に深く残る、独特の魅力を持っているのだと思います。

▼以下、ネタバレ感想

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