それは令和のことでした、
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八つの短編集。正直、読後感は余り良くは無い。まず、冒頭の内容からして気持ちが悪く、「こんな事を題材にするのか?」と訝ったが、しっかりと読めば著者の訴えたい事も理解できる。 1.彼の名は DQNネームとかキラキラネームとか呼ばれる名前が溢れている昨今。ジュリアとかアリスと言った欧米系の名前に漢字を当て嵌めるのは昭和の頃からあったと思うが、今は連想ゲームの様にその漢字のイメージから本来読まない(読めない)「読み方」をさせている例も多いと聞く。 本作に内在しているのは、タイトル通り主人公の名前に関する叙述トリックも有るが、携帯電話に写メと呼ばれる機能が付き、SNSが当たり前の時代になってデジタルタトゥーと呼ばれる個人の恥ずかしい写真を後先考えずに拡散されてしまっている現状への警鐘だと思う。毒親という要素も少し入っている。 2.有情無情 幼児誘拐の絡む話し。もう一つは幼児への性的虐待。高齢のおばあちゃんと呼ばれる人たちがスーパーなどで幼い子供を連れた親子の子供の方に笑顔で話しかけているのはよく見かける光景だが、全く同じ気持ちで話しかけているおじいちゃんと呼ばれる人たちの場合だと、母親の方が露骨に嫌な顔をしているか困った顔をしている光景もよく見る。 昔の様に単に子供好きというだけでは済まされない男性陣の悲哀が、この物語に語られている。良かれと思ってやった行動が裏目に出て、トラブルに巻き込まれるのはもう御免だと思って避けたら事件が起こってしまった。そんな話し。 3.わたしが告発する! 引きこもりの話し。現在10代20代の話しだけでは無く、40代50代の引きこもりも何万人(何十万人?)という単位で存在する令和の日本。この短編でも語られているが、経済力が落ちたと言われても、まだまだ引きこもりを養える経済力がそれぞれの家庭にあると言う事。 北海道で起こった事件もそうだが、親が引きこもりの子供の要求を全て呑んでしまうから、引きこもりはいつまでもぬるま湯から出てこない。そのくせ、自分の趣味の分野では外出したりする。 健常な生活をしている兄弟はたまったものでは無い。そんな話し。ストーカー気質の人物についても書かれている。 4.君は認知障害で これは昭和の時代からもあったのだが、大学進学の為に上京したは良いものの大学生活に馴染めずに学校に行かなくなってしまう。 一方、ネットの時代ではネトゲ廃人と呼ばれるような、オンラインゲームにどっぷり浸かってしまう人たちも大勢いる。 また、認知症も大きな社会問題となっている。徘徊老人は昭和の頃からの問題だが、令和の時代は独居老人が増え、今後も加速度的に独居老人が増えていく。ネトゲと認知症の独居老人の話し。 5.死にゆく母にできること 毒親の話し。今思えば、自分の幼馴染の母親も毒親っぽい側面があったのかも知れない。この短編では一人娘に過大な期待をしてしまう毒親だが、自分の知り合いの様に兄姉が期待通りにいかないと、一気に末の子供に過大な期待をよせてしまう事例も多いと聞く。 子離れが出来ない親がいる一方、親離れが出来ない子供、または双方で子離れ親離れしていない親子の行き着く先の一つが、この短編の結末なのかも知れない。 6.無実が二人を分かつまで 自らの意思でエリート街道から外れる人。明日の金では無く今日の金が欲しい人、訳アリでまともなバイトさえ出来ない人を選んでこき使う悪徳業者。不法滞在の外国籍の人。LGBTの様に多様な性的思考を持つ人。 この短編のオチは叙述トリックだが、「なるほど、だから〇〇出来ないのか」と、誰でも思いつく解決策をしない理由が二重に面白かった。 7.彼女の煙が晴れるとき この短編にも現代社会の闇は含まれていると言えば含まれているが、本書内の他の短編と比べて現代社会の闇よりは叙述トリックの仕掛けの方が強い。 8.花火大会 短編というよりはショートショート。良い友達に出会えて良かったね、といった所か。 以上8編の短編集だが、幾つかは実際に起こった事件を連想させられる。核家族というのは昭和の頃から言われてきたが、それが進むと多くの独居老人となり、一方少子高齢化の波は子供への甘やかしの危惧が指摘される。外国からの技能実習生(と、実習先からの逃亡による不法滞在)も少子高齢化による働き手不足。 少子高齢化によって起こる様々な問題点を一つの短編の中に複数内在させて、幾つかの短編は叙述トリックでオチにつなげる。 叙述トリックの面白さと、現在社会の抱える少子高齢化の闇の部分を上手く描いている。 | ||||
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本はそれなりに厚みがあるが、そのわりにサクサク読めた。 短編一つ一つが、バラエティに富んでいて、それなりに驚きもあり、飽きさせない工夫が凝らされているためだろう。 中には、え?そんなオチ? ここで終わり? みたいな話もあったが、全体的に文章の運びとか語り口がスッと入り込みやすかったのが良かった。 今の時代ならではの様々な問題をうまく物語に落とし込んでいる印象。心震わされたものはなかったが、どれもディテールが細かいので、ありそうな話と思わされた。特に、「有情無情」の話は、転がり落ちるような悲劇で、あまりにも救いがなさすぎて、後味が悪過ぎたがその分自分の中ではインパクトがあり、誰にでも起こりうる怖さがあった。 一点、各タイトルが、一部を除いて、読み終わってもなぜこのタイトルなんだろうとわかりそうでわからず、考えさせられる。自分の読解力の問題かとは思うが、そこもまた一興。 当たり外れはあるが、やはりこの作家さんは今後追って行きたいと思った。 | ||||
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平成や昭和でなく令和の物語なので‥基本的に救いがありません。つい魔が差し、罪を犯した登場人物たちの悲喜交々。 題名に仕掛けがあり、ラストのどんでん返しでその意味が理解できる作品がほとんどです。ミステリーとしての派手さは無いものの、エピソードや台詞回しがリアルで、ついつい引き込まれて読んでしまいます。 読み終えて一番感じたのは、令和においていわゆる「完全犯罪」は、ほぼ不可能かも?ということでした。必ずどこかに綻びが生じ、詰みます。よほど自信がある人以外は、犯罪には関わらない方がいいですね。 | ||||
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個人的な感想ですが、ちょっと非現実的かと感じました。 | ||||
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ジェンダー、児童へのわいせつ、スマホゲーム依存、毒親、同姓婚、ヤングケアラーなど、令和の時代だからこその問題を集めた短編集。 どの話も著者らしく、一癖あって楽しめた。 個人的には「君は認知障害で」、「彼女の煙が晴れるとき」が好きだった。 「君は認知障害で」は、大学に行かずゲーム依存になってしまった男が、スマホゲームをしながら歩いていて認知症の老人とぶつかる話。ちょっと魔が差したことが大きな事件に発展していくのだが、最後はよく考えられた終わり方だったと思う。お父さんの話もよかったが、女性弁護士の弁舌も好きだった。 「彼女の煙が晴れるとき」は、ウイルス性感染症の影響により倦怠感が残って不登校になった女子高校生と、トラックドライバーの男と一緒に暮らす女性の話。喫煙が大きなテーマになっているが、それ以外にも令和らしい仕掛けがあり、読後感もよかった。 「無実が二人を分かつまで」もおもしろかったが、ここで終わり?という感じの終わり方だったのが残念だった。 | ||||
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