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スパイたちの遺産



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【この小説が収録されている参考書籍】
スパイたちの遺産
スパイたちの遺産 (ハヤカワ文庫NV)

スパイたちの遺産の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

巨匠、衰えず

2017年、86歳になったル・カレが発表した新作長編。なんと、「スマイリー三部作」に決着をつける後日談という、大胆な作品である。
フランスの田舎で隠遁生活を送っていたスマイリーの愛弟子ピーター・ギラムは、英国情報部からロンドンに呼び寄せられ、冷戦時代の作戦で死亡した情報員の遺族から訴訟を起こされようとしていると知らされる。しかも、情報部だけでなく、スマイリーとギラムの個人的な責任も問われるおそれがあるという。作戦の詳細について、情報部から厳しく問いただされたギラムはやむなく、かつて隠しておいた作戦の資料を情報部に渡すことになった。資料に残されていた記録、ギラムや関係者の記憶が重なりあったとき、作戦に秘められていた真実が明らかになった。
手に汗握る情報戦が展開されたスマイリー三部作の裏に、何が隠されていたのか。巨匠は、大昔の作品のプロットや登場人物を巧みに動かしながら、冷戦時代とはまったく異なるスパイ小説を完成させた。情報戦のスリルとは異なる、冷酷で厳しいスパイの哀しみが胸を打つヒューマンドラマである。
スマイリー三部作時代からのファンはもちろん、ル・カレは初めてという読者も十分満足できるだろう。オススメだ。

iisan
927253Y1

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