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(短編集)

邪馬台国はどこですか?



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【この小説が収録されている参考書籍】
邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

邪馬台国はどこですか?の評価: 7.22/10点 レビュー 18件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.22pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全9件 1~9 1/1ページ
No.9:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

これもまた歴史

地下1階にあるカウンターのみのバー『スリーバレー』に通う常連3名。某私立大学教授の三谷氏にその美人助手、早乙女静香。そして雑誌のライターで在野の研究家宮田。
この3人が一同に会する時、宮田が常識を覆す珍説が開陳し、喧々諤々の歴史談義が花を咲かす。

本書は発表当時『このミス』でも8位にランクインするなど、予想外の好評を以って迎えられた連作歴史ミステリ短編集。

5W1Hで語られる歴史の謎6編―正確に云えば4編目の“WHAT”は動機を尋ねているから“WHY”と同じなのだが―。歴史は覆されるとは別な意味で使われるが本書は正にこの言葉がぴったりの逸品。

今までそういう風に教わっていた事は実はよくよく考えてみるとおかしな部分がある、というのは良くある事で、本作は誰もが常識、通念として捉えていた歴史的事実に潜む矛盾に論理の一突きを食らわす知的興味溢れる歴史ミステリだ。

歴史学者や考古学者、古典文学研究家など、古代史に携わる人々によって確立されてきた歴史的事実。しかし実はこれらが口承や伝聞でしかないことも確かで、それが恰も既成事実として語られ、いつの間にか我々の常識になっている。それはやはりその道の権威ほど通説、定説に目を眩まされてしまうからだ。
象徴的なのは表題作と3編目の「聖徳太子はだれですか?」だ。

日本史の研究者達は昔から伝わる書物を解明の手掛かりに歴史の謎を探る。つまりそこに書かれている意味を見出す事で歴史の空白を埋めていく作業を行うわけで、つまり歴史書の類いを鵜呑みにしがちである。
しかしこの2編では邪馬台国について書かれている「魏志倭人伝」を、聖徳太子の事が書かれている「日本書紀」の記述を疑う事でそれぞれの真相に迫っていく。これら2つの書物は学校の教科書にも出ている有名な物で、これを疑うという行為自体、かなりの冒険的なのだが、本書の面白さはそういった権威を疑い、覆す事にある。

また面白いのは日本語の意味の解釈の仕方によって事実の捉え方が変わることだろう。なるほど、日本語の意味が時代と共に変わっていっているのは知られているが、現代の意味で紀元前や1000年以上前の記述をそのまま訳すとまったく違った解釈になる。これが本作での肝である。

仏陀が王族の息子と捉えられていた事実は、学校に通っているという事実から王家の者ならば自宅に先生を呼びつけるはずだという常識的観点から矛盾するし、卑弥呼が占いによって人心を惑わせていたという記述は「惑わせる」という言葉は昔は「摑む」、つまり信頼を得ていたという意味だったということで卑弥呼の統治に対する印象がガラリと変わる。

これら珍説を肯定するために書かれたたった50ページ前後の短編に注ぎ込まれた知識の膨大さ、調査内容の豊富さを考えると作者鯨氏が費やした時間と労力に賞賛を贈らざるを得ない。本書で検証されていくプロセスは世に知られる歴史書の数々に記載された記述はもとより、在野の研究者や作家たちの検証結果にも及び、単に読者へ驚きをもたらすためだけでは済まされない物がある。なんとも誠意溢れる仕事だ。
恐らく作者の本懐はそういう裏方仕事を想像せずにただ愉しんでもらえればそれでいい、それだけかもしれないが、私はこれを面白かった!だけで済ますことが出来ない。
巻末に記された各短編における参考文献の数は最低でも5冊を数える。短編1作を著すにしては異例の数だろう。

しかし作者の本質がここにあるのならば、この調査自体は生みの苦しみではなく、自らの知的好奇心の探求と自説の啓蒙というカタルシスを得るがために行った、実に楽しい頭脳労働だったのではないかという気がする。
在野の一研究者であった鯨氏が満を持して放った論説集。正直云えば最後の方の作品には息切れを見え、完成度は落ちると感じたが、私は十分に愉んだ。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.8:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

自分もグラス片手に読みたくなる一冊

「仏陀が悟りを開いたのはいつ?」「邪馬台国があったのはどこ?」「聖徳太子とは何者?」「信長はなぜ打たれた?」「明治維新が起きたのは何故?」「キリストはなぜ蘇った?」
バーのカウンター席にて行われる歴史の謎の議論……という形式の連作短編で、「死なないミステリ」どころか「事件すら起こらないミステリ」そもそもこれをミステリと呼んでいいのかさえ微妙です。

誰もが知っている一般常識ながら、謎の残るこれらの議題に、これまでにない「な、なんだってー!」といいたくなる新解釈が提示され、突拍子も無い意見であるのに、どこか説得力があり、納得してしまいそうになります。より詳しい知識のある人なら「いや違う!」と反論したくなる部分も多いのでしょうが、この物語はあくまで「飲みの席」での会話だということを念頭において、自分のグラス片手に楽しむのがいいのかもしれません。

以下個別ネタバレ感想です。

▼以下、ネタバレ感想

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マリオネットK
UIU36MHZ
No.7:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

邪馬台国はどこですか?の感想

ただただ呆れて、そして面白い。
小説は人を楽しませなくてはならないです。
考えさせたり、反省させたり、そういうための小説というのは本来は邪道ですよね。
そんな開き直りが聞こえてきそうです。

でもまぁ、嫌う人もいるかもしれませんね。

absinthe
BZLMTCHK
No.6:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

邪馬台国はどこですか?の感想

殺人事件は起こりませんが、実に楽しめるミステリィーです。
「邪馬台国はどこにあったのか?」等の歴史上の謎を、歴史の有識者達がバーで激論をかわしあう形式で進みますが、本当に歴史の真実はこうだったのではと思ってしまうほどの説得力や夢がある回答にたどり着きます。歴史に詳しくないと騙されてしまいそうです。。。
まさに都市伝説的な作品です。

フレディ
3M4Y9ZHL
No.5:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

知識を要する

人物の掛け合いが魅力。一見突飛な意見も、考え方、言い方で事実のように感じてしまう「巧さ」に満足。
しかしある程度の歴史の知識がないとピンとこない内容もあるため、退屈してしまうかも。
歴史好きにおすすめ。

hiro-m
4K1CCRGG
No.4:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

邪馬台国はどこですか?の感想

タイトルにある邪馬台国はどこか?のほか、、
ブッタは悟りを開いてない。イエスの復活の真相とは?など、
歴史で見知った内容を別の解釈で解き明かす小説です。

よくある「本当はXXXだった」系の歴史の解説書とは違い、
軽妙なバーでの会話の手掛かりから真相を導き出す流れのテンポが
ミステリの終盤における真相の謎が解かれる気持ち良さを受けました。

現実では的外れな解釈であるかもしれないですが、
想像に富んだ解釈と理論的な展開でミステリを感じたのが見事でした。

egut
T4OQ1KM0
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

「邪馬台国はどこですか?」はどうですか?

「邪馬台国」東北説、聖徳太子の正体、光秀の信長に対する謀反の真相などなど、興味深いテーマを鯨氏独特の解釈で、”バー”での会話を通して痛快に展開します。
宮田六郎の解説はそれなりに納得できてしまうから不思議。歴史好きなら、そういう考え方もあるのか!と納得のストーリーですが、何かが足りないと感じてしまうのはやはりその荒唐無稽さから来るのでしょうか。

本好き!
ZQI5NTBU
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

邪馬台国はどこですか?の感想

歴史は苦手。でもそんな人こそ面白くなる歴史ミステリとの紹介で読んでみました。確かに邪馬台国とか聖徳太子とか織田信長とか馴染みのあるものなので読みやすいですね。
本当かどうかは置いておいて気軽に楽しむ分にはアタリ。

ゆー
98N04ZLM
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

歴史が面白く感じた1冊

歴史が苦手なんだけど友達に薦められて手に取った1冊。
疑問もなく教えられて信じていた歴史も別視点で読まされると本当にそうかも!?と思えてくる。
苦手だった歴史がこんなに面白く読めるとは思わなかった。

おでこ
TQNSF8KY

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