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最後に笑った男



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最後に笑った男の評価: 6.00/10点 レビュー 2件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(5pt)

あまり面白くなかった

人が多すぎ。

わたろう
0BCEGGR4
No.1:
(7pt)

まさにスパイゲーム!

CIAとKGBの共同作戦と云えば同作者のFBIとモスクワ民警のコンビ、ダニーロフ&カウリーシリーズを想起させるが本書はそれに先駆ける事12年前に書かれた作品。CIAとFBI、KGBとモスクワ民警といった違いはあるものの、恐らくはダニーロフ&カウリーシリーズの原型となる作品なのかもしれない。

さてこの水と油とも云える2大諜報組織の長を務めるのはCIAはジェームズ・ピーターソン。大統領から直々に作戦の指揮と失敗した時の全責任を負うことを担わされた男。そして彼は長官の地位と引き換えにバラバラになった家族を抱えている。

家庭を省みない夫に愛想を尽かし、日々のパーティの繰り返しでアルコール依存症となった妻ルシール。

優秀な成績を修めて大学を卒業しながらも今や法の目を潜り抜けて犯罪を繰り返し、新聞紙上を時折賑わせている息子ポール。

新興宗教のコミューンに入り、消息不明の娘ベス。

KGBとの合同作戦と云う前代未聞の大プロジェクトを抱えながらも家族の問題にも目を向けなければならない境遇を背負っている。

片やKGB議長のディミトリー・ペトロフは政敵リトヴィノフの執拗な攻撃を疎ましく思いながらも自分の地位を維持している実力者。かつて世界的バレリーナ、イレーナ・シニヤフスカヤとの情事に溺れていたが、彼女の亡命を機に縁が切れるや否や愛する妻ヴェレンティーナを癌で喪った男だ。彼の唯一の弱点は今もまだ未練の残るイレーナへの想いだ。

そして初の米ソ共同作戦のメンバーに選出された面々は以下の通り。

CIA側は宇宙センターで働いた実績のある科学者マイケル・ボウラー、聖職者になる寸前で工作員となったヘンリー・ブレイキー、ヴェトナム戦争で代位級の勲功を立てた陸軍将校ハンク・ブラッドリーとその部下たち。

KGB側はドイツ人の血を持つソヴィエト宇宙探査本部から転身した科学者ゲルダ・リンツ、ロシア正教の司祭を祖父に持つウラジミール・マコフスキー、KGB工作員の長官で自身の自慢の部下をチャドの秘密基地潜入作戦で3人も喪い、復讐に燃えるオレグ・シャラコフとその部下たち。

彼ら彼女らで編成されるチームは大きく分けて3つ。

まず典型的とも云えるのがブラッドリーとシャラコフをリーダーとして構成される軍隊で基地を武力で制圧するチーム。

もう1つはボウラーとリンツで構成されるロケット技術者を装ったボンからの査察団として内部からの破壊工作を行うチーム。

最後の1つは異色で聖職者の血筋を持つブレイキーとマコフスキーのチームは司祭を装って枯葉剤と青酸を村々に盛ってこれらの災いが基地からもたらされていると風評を流して外部から打ち上げを妨害させるチームだ。

そしてこれらのチームは通信衛星打ち上げ妨害にそれぞれ成果を挙げて近づいていくが、あと一歩のところで失敗に見舞われる。

本書が発表された1980年当時の世間一般のモサドに対する知識がどれほどだったか解らないが、やはり世界の諜報合戦の主役はCIAでありKGBであったことだろう。そしてジェイムズ・ボンドで有名なイギリスのMI6がそれに続く世間で知られた諜報組織だったのではないだろうか。

しかし一方で原題“Misfire”もまたフリーマントルらしいダブルミーニングを孕んだ皮肉な題名である。
ここでいう“不発”は米ソ共同作戦の失敗を意味しつつ、通信衛星打ち上げの失敗をも意味している。読み進むにつれてその意味が変わってくる抜群のタイトルだ。

個人的にはいぶし銀の活躍を見せるCIA副所長ウォルター・ジョーンズがアカデミー助演男優賞を与えたいくらい気に入ったキャラクターだった。

なお前書きでフリーマントルは本書で書かれた中央アフリカに作られた民営企業数社による通信衛星打ち上げ会社は実在すると述べている。2020年現在も存在するかは不明だが、宇宙を制する者が世界を制するとしてスターウォーズに目を向けていた世界はこんな仇花をも生み出していたことに改めて驚愕する。

国対国ではなくテロ対国家という敵の構図が変化した現代、再びこのような形で争いの火種を生む民間企業が生まれていないことを強く望みたい。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S

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