陶芸家・長倉英臣の父の一周忌で、石黒義彦は英臣の娘・智子と再会する。

きみが先祖から受け継いできたものの正体が知りたい―都内の小さなPR会社を経営する俵谷慎介のもとに、郷土史家を名乗る老人がふいに現れた。

定年を迎えたり、親しい友人が亡くなったり、親やきょうだいの法事に集まったりするとき、ふと胸をよぎるのは、幼かった頃のことや、最も輝いていた時期のことだ。

これが最後の仕事と思い決めて、危険な犯罪に走った初老の男が辿ってきた人生(「トマト」)など、七本の短篇を収録。

女生徒との恋愛がスキャンダルとなり、都内の名門校を追放された元教師。

無茶苦茶な誘拐事件だった。身代金が金塊二トン(時価32億)。

悔いてはいないが、そろそろ残された旅を急がなければならない。

「おふくろに届けてくれ」坂倉博光は、そう言い残して数日後、謎の死を遂げた。託されたのは位牌だった。

『唐獅子硝子』―遺品整理のお礼にアールヌーヴォー期のガラスレリーフを貰った洛鷹美術館の澤井は、ひと商売思いつく。

弟は三年前、本牧埠頭に沈んだ愛車の中で発見された。腹をえぐられて死んでいた。

海峡で消息を絶ったのは、弟に船長を任せた船だった。乗組員は全て死亡したと聞く。

真っ暗な穴のなかへ落ちてゆく夢を見た。青函トンネルを走る列車で目覚めた時、彼は自分自身を失っていた。

湯原直子がある邸から持ち帰った稀覯本は、直子の勤める古書店の客磯部の蔵書から消えた品だった。

ボクサー崩れの酒井は、恩人・津村のパチンコ店で働く釘師。

川崎で起きた殺人事件の現場に遺されたDNAが指し示すのは、十八年前に代官山で起きたカフェ店員殺人事件の“冤罪”の可能性……。

第六協洋丸、仮想敵国の領海に接近するためのスパイ船。柏木はその仕事を好まず、親友・成瀬に船長の座を譲った。

「極道は身代金とるには最高の獲物やで」。大胆不敵な発想でヤクザの幹部を誘拐した三人組。

生き急ぎ、駆け抜けてきた。

美人局のはずだった。だが、頭の弱い女が誘い込んだのはヤクザで、相棒の男が凄んでも脅しが効かない。

トンネルを抜けると緑濃い山を背景に美しい里が現れた。浅茅が原だ。

遺跡で起きた殺人。

大阪府警薬物対策課の桐尾と上坂は覚醒剤密売捜査の最中、容疑者宅で想定外のブツを発見した。

刑務所帰りの旧友と再会し、執拗につきまとわれる滋郎。愛する家族を守るため、言うなりに金を払うのだが―(「再会」)。

大阪府警捜査一課”黒マメ”コンビvs稀代の知能犯。圧巻の警察ミステリ! 三協銀行新大阪支店で強盗事件が発生。

その誇りに、囚われるな―。鉄砲百人組の老武士、山岡晋平。

見上げた空は果てしなく高かった。都会での華やかな暮らし、想い続けている人の横顔が、ふわり浮かんだ。

ささやかだが平穏な暮らしが、その日、失われた。怪しい男たちが訪れた時刻から。

神山佐平は、やむなき事情から家中の者を斬り、無断で江戸へ帰ってきた。わずか二年前に仕官したばかりだった。

直木賞作家の本領発揮、ユーモア全開の警察小説 大阪府警捜査一課の文田巡査部長と総田部長刑事――通称“ブンと総長”は、名神高速道路で起きた乗用車爆破事件の現場に来ていた。

眼に入った物をかぞえずにいられない計算症の青年や、隣人のゴミに異常な関心を持つ男など、現代社会が生み出しつづけるアブナイ性癖の人達。

雪の札幌。

金なし、腕力なし、逃げ足速し。詐欺師よりも口達者、ハッタリと機転だけは天下一品。

建設コンサルタント・二宮啓之が、産業廃棄物処理場をめぐるトラブルに巻き込まれた。依頼人の失踪。

まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。

猟奇的な連続殺人の真相は?初期作品の中でも異彩を放つ、濃密な犯罪小説。

民族の悲願、独立国家の樹立を求めて暗躍する中東の少数民族クルド。

六本木のコンプレックスビルで開催される国際映画祭。

いやはや、とんでもない女と組んだものだ…。ハッタリと出まかせには自信があるが、相方は一枚も二枚も上手。

かつてベトナムの逃亡米兵を国外脱出させた川久保は、極秘依頼を受けた。

大阪の工事現場で発見された、男のバラバラ死体。首は腐敗、脚はミイラ化という奇妙な姿に、府警一課の刑事たちも困惑する。

若い女性と燃えあがるような情交を愉しむ。妻の体の奥底まで追求する。

リベンジポルノの相談が大学院生の綾子から村野ら支援課に持ち込まれた。

幻の初期作品集!ミステリ、恋愛ホラーなど多彩な物語!容疑者を追い続ける老刑事、胸を打つ10の物語。

スーパーの親爺。ヤクザからは足を洗った。

初老の介護士・三谷孝は、対人関係能力、調整力、空間認識力、記憶力に極めて秀でており、誰もが匙を投げた認知症患者の心を次々と開いてきた。

宅配業者を装い、若い女性を狙った猟奇的な殺人事件が発生した。

衝撃だった。ここまで悲惨な状況だとは思ってもみなかった。

疫病神・ヤクザの桑原保彦に頼まれ、賭け麻雀の代打ちを務めた建設コンサルタントの二宮啓之。

東京近郊にある共同農場の農場長・尾関譲に、ベトナム人ロアンから電話があった。

元警部補の青野は仕事先でトラブルに巻き込まれ、殺人容疑者として追われる羽目に。

冷たい雨の夜だった、池内峻介は傷ついた女を拾った。彼女は江田美也子。

血が湧いている。いや、蠢(うごめ)いている。

バブル経済絶頂期、大学生の大江波流と鷹西仁は、政治家と小説家になる夢を語り合う親友同士。

少年が大人へと成長する過程で経験する様々な心象風景―村祭りの一夜。祖母の入院。

「疫病神」コンビ、待望の復活。