陶芸家・長倉英臣の父の一周忌で、石黒義彦は英臣の娘・智子と再会する。

悔いてはいないが、そろそろ残された旅を急がなければならない。

きみが先祖から受け継いできたものの正体が知りたい―都内の小さなPR会社を経営する俵谷慎介のもとに、郷土史家を名乗る老人がふいに現れた。

ただひとりの肉親だった祖父を目の前で殺害された渋木祐介少年の生活は、その日を境に一変した。

女生徒との恋愛がスキャンダルとなり、都内の名門校を追放された元教師。

これが最後の仕事と思い決めて、危険な犯罪に走った初老の男が辿ってきた人生(「トマト」)など、七本の短篇を収録。

弟は三年前、本牧埠頭に沈んだ愛車の中で発見された。腹をえぐられて死んでいた。

見上げた空は果てしなく高かった。都会での華やかな暮らし、想い続けている人の横顔が、ふわり浮かんだ。

ボクサー崩れの酒井は、恩人・津村のパチンコ店で働く釘師。

生き急ぎ、駆け抜けてきた。

初老の介護士・三谷孝は、対人関係能力、調整力、空間認識力、記憶力に極めて秀でており、誰もが匙を投げた認知症患者の心を次々と開いてきた。

大阪府警薬物対策課の桐尾と上坂は覚醒剤密売捜査の最中、容疑者宅で想定外のブツを発見した。

海峡で消息を絶ったのは、弟に船長を任せた船だった。乗組員は全て死亡したと聞く。

無茶苦茶な誘拐事件だった。身代金が金塊二トン(時価32億)。

第六協洋丸、仮想敵国の領海に接近するためのスパイ船。柏木はその仕事を好まず、親友・成瀬に船長の座を譲った。

芸術院会員の座を狙う日本画家の室生は、選挙の投票権を持つ現会員らに対し、露骨な接待攻勢に出る。

若い女性と燃えあがるような情交を愉しむ。妻の体の奥底まで追求する。

まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。

新宿・アンダーグラウンドを克明に描いた気鋭のデビュー作!おれは誰も信じない。女も、同胞も、親さえも…。

古美術でひと儲けをたくらむ男たちの騙しあいに容赦はない。

真っ暗な穴のなかへ落ちてゆく夢を見た。青函トンネルを走る列車で目覚めた時、彼は自分自身を失っていた。

民族の悲願、独立国家の樹立を求めて暗躍する中東の少数民族クルド。

その誇りに、囚われるな―。鉄砲百人組の老武士、山岡晋平。

神山佐平は、やむなき事情から家中の者を斬り、無断で江戸へ帰ってきた。わずか二年前に仕官したばかりだった。

結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件に遭遇する。

湯原直子がある邸から持ち帰った稀覯本は、直子の勤める古書店の客磯部の蔵書から消えた品だった。

少年が大人へと成長する過程で経験する様々な心象風景―村祭りの一夜。祖母の入院。

ささやかだが平穏な暮らしが、その日、失われた。怪しい男たちが訪れた時刻から。

人は、死んだらどうなるの?―いなくなって、それだけなの―。その会話から三年後、凰介の母は病死した。

冷たい雨の夜だった、池内峻介は傷ついた女を拾った。彼女は江田美也子。

幻の初期作品集!ミステリ、恋愛ホラーなど多彩な物語!容疑者を追い続ける老刑事、胸を打つ10の物語。

大阪の私立晴峰女子高校では、理事長の酒井が学校法人を私物化していた。

刑務所帰りの旧友と再会し、執拗につきまとわれる滋郎。愛する家族を守るため、言うなりに金を払うのだが―(「再会」)。

雪の札幌。

「おふくろに届けてくれ」坂倉博光は、そう言い残して数日後、謎の死を遂げた。託されたのは位牌だった。

添木田蓮と楓は事故で母を失い、継父と三人で暮らしている。

トンネルを抜けると緑濃い山を背景に美しい里が現れた。浅茅が原だ。

倶知安町郊外の古い廃工場の中、背中に強い衝撃を受けて関口啓子は倒れた。気がついたとき一人の男が…。

直木賞作家の本領発揮、ユーモア全開の警察小説 大阪府警捜査一課の文田巡査部長と総田部長刑事――通称“ブンと総長”は、名神高速道路で起きた乗用車爆破事件の現場に来ていた。

大手農機メーカー勤務の原田亮平は、暴力への衝動を身の内に秘めたタフな男。

「極道は身代金とるには最高の獲物やで」。大胆不敵な発想でヤクザの幹部を誘拐した三人組。

警視庁犯罪被害者支援課――犯罪被害者の家族などの心の支援を行うセクション。 帰庁の時刻となった頃、電話が鳴った。

刑務所で作られた椅子に奇妙な文章が彫られていた。

建設コンサルタント・二宮啓之が、産業廃棄物処理場をめぐるトラブルに巻き込まれた。依頼人の失踪。

バブル経済絶頂期、大学生の大江波流と鷹西仁は、政治家と小説家になる夢を語り合う親友同士。

盗聴専門の探偵、それが俺の職業だ。目下の仕事は産業スパイを洗い出すこと。

福岡で資産家の女児誘拐事件が発生。県警捜査一課刑事・皆川は、身代金を奪った犯人を追い詰め溺死させてしまう。

なにがあった? なにをした? どうして追われている? 警察から追われ、刺客に命を狙われながら、白馬岳を越えて日本海を目指す。

新宿で10年間任された酒場を畳む夜、郷田克彦は血染めのシャツを着た少女を店内に匿った。

六本木のコンプレックスビルで開催される国際映画祭。

元警部補の青野は仕事先でトラブルに巻き込まれ、殺人容疑者として追われる羽目に。

大阪府警捜査一課”黒マメ”コンビvs稀代の知能犯。圧巻の警察ミステリ! 三協銀行新大阪支店で強盗事件が発生。

川崎で起きた殺人事件の現場に遺されたDNAが指し示すのは、十八年前に代官山で起きたカフェ店員殺人事件の“冤罪”の可能性……。

昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。

かつてなくリアルに描かれる捜査の実態と癒着、横領、隠蔽、暴力、…日本警察の真実のなかにあぶりだされる男たちの強烈な光と闇。