諏訪徳雄は、コンピュータおたくの四十男。ある日突然、妻の沙夜子がコツコツ貯めた一千万円の貯金とともに蒸発してしまった。

家庭教師・鷲津兵輔が、生徒として引き受けることになった女子高生の乾倫子。

“四ヶ月の浮浪者生活で、イクオの服装はそれにふさわしく汚れていた。かなりの異臭が立ち昇っていた。

マリーは泣きそうな子供のような顔をした。「なにする!」圧しころした声で言った。

天使のような容貌と肉体を持ちながら生まれつき生理がない人妻・涼子は、大学の後輩の大島に好意を寄せられ、凌辱されてしまう。

白称モデルで、過食嘔吐を繰り返す宮島弥生は、カルチャーセンターの小説講座に通う作家志望の女性。

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。

公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。

記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。

南シナ海の烈風。眼下で砕ける三角波。

朝子は、活気あふれる19歳のロックシンガーだ。ライブで人気を集めるバンドを率いている。

五十八歳にして初めて子を得た小説家・愛葉條司。「家族クソ食らえ」の條司だが、子育ての喜びを知り、のめり込む。

無活用ラテン語で書かれた小説『猫の下で読むに限る』で道化師と名指された実業家のエイブラムス氏。

昔、英国人一家の別荘だった、今では荒れ放題の洋館。高い塀で囲まれた洋館の庭は、近所の子供たちにとって絶好の遊び場だ。

「バカ」海底に置き去りにした女に向かって、伊禮ジョーはひとこと呟いた。

望むことは、罪ですか？　誰もが顔見知りの小さな町で盗みを繰り返す友達のお母さん、結婚をせっつく田舎体質にうんざりしている女の周囲で続くボヤ、出会い系サイトで知り合ったＤＶ男との逃避行──。

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。なおも修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜の限りを尽くす。

雪深いホテル。古いダンスホール…地方でくすぶる従業員カザマは、梅毒と噂される盲目の老嬢ミツコに出会う。

深夜2時、渋谷。少年院から出たばかりの貢は、北勢会のチンピラを蹴り上げていた。

桜町は、いま渋谷・道玄坂でルシファーというバーをひらいている。

戦慄のバラバラ殺人―汚れた言葉とともに全国で発見される沢野良介の四肢に、生きる者たちはあらゆる感情を奪われ立ちすくむ。

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。

哀しく、それでいて熱い旋律。沢村がつま弾く音に、麗子が目を付けた。

2500万年前のガニメアン宇宙船が 現代の太陽系に帰還―― 不朽の名作が新版＆新カバーで登場 『星を継ぐもの』シリーズ第２部 木星の衛星ガニメデで発見された2500万年前の異星の宇宙船。

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。

夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。

ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。

冥王星の彼方から届いた謎の通信 送信者はいったい何者か？ 不朽の名作が新版＆新カバーで登場 『星を継ぐもの』シリーズ第3部 冥王星の彼方から、〈巨人たちの星〉にいるガニメアンの通信が再び届きはじめた。

「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。

雅子、43歳、主婦。弁当工場の夜勤パート。

事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか―。

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。

自分は少女誘拐監禁事件の被害者だったという驚くべき手記を残して、作家が消えた。

レーザーディスクのように輝く絹織物―。

時は戦国、下剋上の世。京都・相国寺近くにある三好家の屋敷に、その男はいた。

北から南へ、そして南から北へ。

夫が突然、逝ってしまった。残された妻、敏子は59歳。

保険外交員の女が殺害された。捜査線上に浮かぶ男。

若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。

不自由な日常から、自由な世界へ。オートバイを愛し、野宿旅を続けている人気作家が、その思想と実践について語る。

琵琶湖のほとり、田圃の真ん中で派手なネオンを輝かせる雄琴のソープランド街。

長く続いた戦争のため、放射能灰に汚染され廃墟と化した地球。生き残ったものの中には異星に安住の地を求めるものも多い。

もう許していただきたいのです。負けを認め、教子が祈りを捧げた朧の息子・太郎。

「―― 大きい俺や小さい俺、青空に円形に展開、みな、くわっとした格好で中空に軽くわなないている ――」。

映画化もされた第135回直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』の多田と行天が帰ってきた!相変わらず、汚部屋清掃、老人の見舞い、庭掃除に遺品整理、子守も料理も引き受ける多田便利軒。

いちばんの快感は、他人の意思、あるいは意志をねじ曲げることである。

やんちゃが少し過ぎた俺は、祖父の差し金でマンションの管理人見習いに。だがそこは、「なんでもアリ」の殺し屋専用住居だった。

新宿・アンダーグラウンドを克明に描いた気鋭のデビュー作!おれは誰も信じない。女も、同胞も、親さえも…。

俺は、住み込みの牛乳配達員として働きはじめた。「暴力太郎」と渾名される筋者と付き合うようになり、生活は次第に乱れてゆく。

玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。

五歳のころ、放浪癖のあった父親と同居することになり、程なく、花村少年の地獄の日々がはじまった。

長谷川初実（ハツ）は、陸上部に所属する高校1年生。

錬金術の秘蹟、金色に輝く両性具有者(アンドロギュノス)、崩れゆく中世キリスト教世界を貫く異界の光……。

橋岡恒彦は「名簿屋」の高城に雇われていた。名簿屋とは電話詐欺の標的リストを作る裏稼業だ。

東京のはずれに位置する‘まほろ市’の駅前にある便利屋「多田便利軒」に舞いこむ依頼はどこかきな臭い。

出産を控えた姉に毒薬の染まったジャムを食べさせる妹…。