幸せな四人家族の長女として、何不自由なく育った弥生。ただ一つ欠けているのは、幼い頃の記憶。

複雑な家庭環境の中、これまで会わずに育った「兄妹」が出会った瞬間から恋を育む──。

これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。

妹の死。頭を打ち、失った私の記憶。

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う――。

私の衝動的なプロポーズに対して、長い沈黙の後とかげはこう言った。「秘密があるの」―。

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。

村内先生は中学の臨時講師。言葉がつっかえて、うまくしゃべれない。

専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。

双子のミミとこだちは、何があっても互いの味方。

五年前に使われたきりであちこち古びてしまったピンクのウサギの着ぐるみ。

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。

この世で最も恐ろしいことは、自分が自分でなくなってしまうこと――。

長谷川初実（ハツ）は、陸上部に所属する高校1年生。

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。

宇宙基地に連れてこられたミノルとハルコは、奇妙な”電波幽霊”の正体を突き止めるため、基地隊員のキダ、特殊ロボットのプーボとともに広大な宇宙空間へと旅立った。

「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。

ブックス・カフェやまざきは、本が読めるカフェスペースが人気の、商店街の憩いのスポットだ。

記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。

この世の物とは思えない奇妙な恋の物語 22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。

僕たちは双子で、僕たちは不運で、 だけど僕たちは、手強い 双子の兄弟が織りなす、「闘いと再生」の物語 常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。

その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。

箱根駅伝を走りたい―そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。

娘の緑子を連れて大阪から上京してきた、「わたし」の姉でありホステスの巻子。

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。

武蔵を心の師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。

三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。

今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろう―たぶん。

神よ、なぜ応えてくれないのですか?私はその答えを『沈黙』の中で雄弁に語り尽した。明かされる『沈黙』秘話。

「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。

連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。

汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう―中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児は、占い師の予言を通じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀に従って都へ上った。

妻・夏枝が逢い引きをしている隙に3歳の娘を殺害された辻口は、夏枝への復讐のために、密かに当の殺人犯の娘・陽子を養女にする……。

些細な事件が大騒動に発展していく、パニックコメディの大傑作！ 一億の契約書を待つ生保会社のオフィス。

いつになったら、私は自由になれるのだろう。恋愛小説の最高傑作。

母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。

一九七〇年の夏、海辺の街に帰省した“僕”は、友人の“鼠”とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。