ガラスの村

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種別
長編
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2
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あらすじ

1976年08月01日 ガラスの村 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-8)

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評判

ガラスの村の評価:

7.00/10点 レビュー 1件。 C ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点7.00pt

ガラスの村の総合評価:

7.13/10点 レビュー 8件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

指定の条件による感想はありませんでした。

Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.7
(5pt)

アメリカへの失望と希望

エラリイ・クイーンが登場しないエラリイ・クイーンの小説、というのを初めて読んだ。最初はどうかなと思っていたが、予想外に面白かった。

閉鎖的な村で殺人事件が起こり、あらゆる状況証拠が外部から来た浮浪者に不利な中で、村人が一致団結する様子には、得もいわれぬ怖さがある。このまま放っておくとリンチにされるところを、登場人物の判事の機転で急ごしらえの村内裁判が開かれ、やがて…。
と、ストーリーを紹介しても仕方ないけれど、クイーンの小説の中では最も文学的な雰囲気のある作品だと感じた。いくつか印象に残ったくだりやセリフを挙げてみよう。

●「変わるということは悪いことじゃありません。でも結局、良いものはちゃんと生き残ります――つまり値打のあるものはね」(P42)

●「記憶というものは、あらゆる苦痛のなかで一ばん辛(つら)い苦しみです」(P104~105)

●人間というものは、たとえ民主主義のもとにおいても、暴民に堕落する傾向が多分にある。(P141)

●「彼らはたしかに間違っている。だが彼らは信念をもって、なすべきだと思うことをやっているのだ。しかしなにが正しいかを知りながらそれを守り続けないとすれば――そういう人間は失われた人間ですぞ」(P285)

●「貧しいものだけが与えることのぜいたくさを知るといったのはだれでしたかな?」(P308)

本書は、マッカーシズムが吹き荒れ、公民権運動の機運が高まっていた1950年代に書かれている。アメリカという国に不信感を覚えながらも、それでもクイーンはアメリカを信じていたのだと思う。だからこそ本書のラストシーンには、希望がある。
差別や偏見によって分断が進む今のアメリカも、似たような状況にあるのではないか。クイーンが現代に生きていたら、どんな小説を書くだろうと想像する。やっぱり、法治国家や民主主義には健全な自浄作用があることを期待せずにはいられないのではあるまいか。
ガラスの村 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-8) Amazon書評・レビュー: ガラスの村 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-8)より
4150701083
No.6
(5pt)

アメリカへの失望と希望

エラリイ・クイーンが登場しないエラリイ・クイーンの小説、というのを初めて読んだ。最初はどうかなと思っていたが、予想外に面白かった。

閉鎖的な村で殺人事件が起こり、あらゆる状況証拠が外部から来た浮浪者に不利な中で、村人が一致団結する様子には、得もいわれぬ怖さがある。このまま放っておくとリンチにされるところを、登場人物の判事の機転で急ごしらえの村内裁判が開かれ、やがて…。
と、ストーリーを紹介しても仕方ないけれど、クイーンの小説の中では最も文学的な雰囲気のある作品だと感じた。いくつか印象に残ったくだりやセリフを挙げてみよう。

●「変わるということは悪いことじゃありません。でも結局、良いものはちゃんと生き残ります――つまり値打のあるものはね」(P42)

●「記憶というものは、あらゆる苦痛のなかで一ばん辛(つら)い苦しみです」(P104~105)

●人間というものは、たとえ民主主義のもとにおいても、暴民に堕落する傾向が多分にある。(P141)

●「彼らはたしかに間違っている。だが彼らは信念をもって、なすべきだと思うことをやっているのだ。しかしなにが正しいかを知りながらそれを守り続けないとすれば――そういう人間は失われた人間ですぞ」(P285)

●「貧しいものだけが与えることのぜいたくさを知るといったのはだれでしたかな?」(P308)

本書は、マッカーシズムが吹き荒れ、公民権運動の機運が高まっていた1950年代に書かれている。アメリカという国に不信感を覚えながらも、それでもクイーンはアメリカを信じていたのだと思う。だからこそ本書のラストシーンには、希望がある。
差別や偏見によって分断が進む今のアメリカも、似たような状況にあるのではないか。クイーンが現代に生きていたら、どんな小説を書くだろうと想像する。やっぱり、法治国家や民主主義には健全な自浄作用があることを期待せずにはいられないのではあるまいか。
ガラスの村 (1960年) (世界ミステリシリーズ) Amazon書評・レビュー: ガラスの村 (1960年) (世界ミステリシリーズ)より
B000JANXVO
No.5
(3pt)

閉鎖的な村・・・

とても雰囲気のあるストーリー展開で、昔のアメリカの片田舎の小さな村で、村の主要人物の老婆が殺害される。とてもその当時の閉鎖的な、「よそ者」は信用せず、受け入れようとは決してしない。村人は皆、頑なで一方的に「よそ者」を犯人と決め付け、(ほぼ)村人だけによる裁判をしようとする。そこから探偵エラリーは今回は登場しないが、いつものエラリーにとって代わる役を「よそ者」の1人のジョニーが謎解きをしていく。この作品は、この小さな村の人々の背景や、村の情景など目に浮かんできた。☆3にしたが、気持ち的には☆3.8くらいです。
ガラスの村 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-8) Amazon書評・レビュー: ガラスの村 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-8)より
4150701083
No.4
(3pt)

閉鎖的な村・・・

とても雰囲気のあるストーリー展開で、昔のアメリカの片田舎の小さな村で、村の主要人物の老婆が殺害される。 とてもその当時の閉鎖的な、「よそ者」は信用せず、受け入れようとは決してしない。 村人は皆、頑なで一方的に「よそ者」を犯人と決め付け、(ほぼ)村人だけによる裁判をしようとする。 そこから探偵エラリーは今回は登場しないが、いつものエラリーにとって代わる役を「よそ者」の1人のジョニーが謎解きをしていく。 この作品は、この小さな村の人々の背景や、村の情景など目に浮かんできた。 ☆3にしたが、気持ち的には☆3.8くらいです。
ガラスの村 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-8) Amazon書評・レビュー: ガラスの村 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-8)より
4150701083
No.3
(4pt)

作家クイーンが、狂気ともいえる時代の中で、市民的自由の尊厳を訴えた作品

最初に読んだのは20代後半。当然ながら、本作の成り立ちというか、クイーンの意図も知っていたはずだが、当時は、単に“読んだ”だけだった。四半世紀ぶりに再読したのだが、当時読み落としていた部分に改めて気付かされた。

まず、ミステリとしての評価だが、それほどの作品ではない。クイーンの作品の全てを読んでいるわけではないが、代表作として挙げられる『Yの悲劇』や『ギリシア棺の謎』はおろか、国名シリーズのなかでも評判のよくない『アメリカ銃の謎』と比べても、見劣りする。探偵エラリー・クイーンが出てこないことも、その要因だが、全体に低調である。

ただ、訳者が「あとがき」で書いているが、本書に関してはクイーンの狙いは「別のところ」にある。
それを端的に表しているのは、主人公のシン判事が独立記念日に村の人々に話すスピーチだ(54〜57ページ)。それは当時アメリカ合衆国に吹き荒れていたマッカーシズムへの批判、市民的自由に対する攻撃への批判、もっと言えばアメリカ憲法の精神をないがしろにすることへの批判である。独立記念日という設定は、それと無縁ではあるまい。そして、このスピーチを聞いたばかりといっていい村人たちの変貌、要するに、リーダーの勇ましい発言に引きずられ、簡単に理性を失っていく姿も、クイーンが描きたかったものだろう。

原著では、どうなっているのか分からないが、11ページに「るつぼ」という言葉が出てくる。原著刊行(1954年)の前年、アーサー・ミラーが魔女狩りを題材にした『るつぼ』という作品を発表している。この作品も、マッカーシズム批判であることを考えると、この言葉を意図的に使ったような気がするが、どうなのだろうか。
ガラスの村 (1960年) (世界ミステリシリーズ) Amazon書評・レビュー: ガラスの村 (1960年) (世界ミステリシリーズ)より
B000JANXVO

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