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本好き! さんのレビュー一覧
本好き!さんのページへレビュー数329件
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近々新居を購入予定で、間取り図を見る機会が増えているので興味をもちました。
最近はやりのいわゆる「事故物件」モノではなく、ある「家」に代々伝わる呪いにまつわるミステリ。 間取り図から家にまつわる謎の儀式につなげるあたり、うまくつくられた作品です。不思議な間取りから、あれこれ推理していく展開が興味深く、実際の図面でもなぜこの間取り?などと考えを巡らせたくなりました。 ライトノベル的な小説でわかりやすく、若年層にもウケているようで、書店でも本書を手にとる人をよく見ます。あまり活字が得意じゃない人でも読みやすいんじゃないでしょうか。 |
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丁寧な書きぶりと、しっかりしたプロットは健在。警察署内で起きた窃盗事件が思わぬ方向へ向かっていく、警察内部の闇の部分をうまく表現していると思う。似たような事件が実際に起きても不思議はないような。
ただ、「孤狼の血」シリーズのガミさんや日岡に比べると、登場人物たち黒瀬や泉にしても魅力はややダウンし、ストーリー的にも少々地味なイメージさえ残る。最終盤は安っぽい2時間サスペンスのような展開になったのが残念。 |
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女手ひとつでたこ焼き屋を切り盛りする十喜子、十年ぶりに姿を現した息子とプロレスラーの嫁、手のかかる子供。十喜子を取り巻く商店街の人たちなど、地元出身で大阪を知りつくす著者ならではの大阪人情物語。
十喜子の一生懸命さと庶民的なおばちゃんらしさが全編に伝わり、応援したく(たこ焼き屋に行って見たく)なった。かの名曲のタイトルを拝借しているが、これもなるほど感が。 全編的によき大阪を感じさせるほんわかドラマでした。これぞホンマの大阪人情。 |
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ほっこりストーリーも8巻目ですか。
今回はコロナ禍にもかかわらず、思い出の食を求めて様々な人がやってきますが、期待を裏切りません。 特に「ピザ」の章は少し変化球できました。ともすればワンパターンにハマってしまうところを違う視点できたところは考えられてるなと思います。家族をテーマにしたグッとくるストーリーが毎回珠玉です。また、妙齢の客達のキャラクターがストーリーに華を添えています。セレブで名を馳せている人の幼少の頃の苦労話は胸を打ちます。 |
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オリジナル・ストーリーとして制作された映画のノベライズなので、柚月さんの「孤狼の血」3部作とは別物として読むべき作品。
原作は柚月さんでも、ノベライズは別の人。 映画版のためか、ストーリーは迫力があって楽しめるが、どこか安っぽさは否めない。柚月さんの原作3部作をすべて読破している身としては物足りなさが。 それに前作の映画は”ガミさん”こと大上刑事の存在感が抜群だったので、彼がいないとなるといくら日岡が活躍しても…というのはある。 その辺を「狂犬の眼」「暴虎の牙」はしっかりカバーしていたんだけれど。 まぁ、上林とチンタのキャラで成り立っている作品ですね。 ともかく、映画は映画として楽しませてもらいましょう。 |
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麻薬密売や臓器売買といえばミステリには今や定番化しているだろうが、佐藤氏の手にかかれば一筋縄ではいかない重厚な物語になる。
残虐なシーンがたびたび現れるが、独特な文体で淡々と進んでいくとページをめくる手が止まらないというのもわかる気がする。 登場人物が人間的なようでいて、なんだか残虐なだけの殺戮マシンになっているようで、怖さが募る。でもかといって残念さはない。 特に印象に残っているのは、コシモのいろんな意味での異常さと、リベルタのやさしさかな。 本作を読んでいる最中に直木賞受賞の朗報。とにもかくにも、いろいろ意見が取りざたされているようですが、受賞おめでとうございます。 初ノミネートで受賞も勲章です。 |
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安吾の名作として名高い本作。登場人物が多くて読みにくいという声もあるが、あの時代にこれだけのものが書けたことは驚嘆。よっぽど探偵小説が好きだったんだな。登場人物の個性が光っている。
新潮文庫版に収録の短編「アンゴウ」は戦争の悲惨さとどこかほのぼのさせる感動作。よくぞ組み入れていただきました。 戸川さんと北村さんの対談を読んで、作品世界の裏側がわかってなお楽しい。 |
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いつの時代になってもなくなることのない「いじめ」問題。今回も重いテーマを貫井流に取り上げた作品です。
重厚感のあるテーマを読みやすく描いたと思われるのは、”アニコン”を大量殺人現場に取り上げたところか。その辺に貫井流を感じさせます。 その他にも、自分と接点のあること、あまりないことについて人はどう関わるか、考えさせるところもありました。 事の真相については、そうなのかなぁ。。。という感想にとどまってしまい、読後感はどこか消化不良を感じるものでもありました。 でも、やはり貫井さんともなればこの重いテーマにずっしりとした警鐘を鳴らしたという点では成功しているでしょう。 いわれているほど悪くないですよ。この調子で次回作も重いものを持たせてくださいよ。 |
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昭和を代表する社会派ミステリの金字塔ともいうべき、傑作。といえるのは、昭和30年代にこれだけのミステリ作品が描かれ、今なお読み継がれる傑作となっていること。
今西刑事の執念の捜査、方言学、音響学、政界のウラ側までも上手く取り入れて、読み応え十分の作品に仕上げられたこと。上下巻に分かれる超長編になったのは、それだけ現実的には世の中簡単じゃないよ、と紆余曲折を繰り返す捜査やそれを攪乱する犯人のやり口を細かく描いた結果なのでしょう。採用されているトリックがどうのこうのと取りざたされることもあるようだけど、別に気にならなかった。 松本氏を代表する作品であるだけに、何度もドラマ化・映画化されているが、そのどれもが到底及ばない原作の力をよくわからせてくれた”昭和の社会派ミステリの最高峰”なのです。 追伸:「男の爆発」には笑いました(笑) |
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野球や競馬のミステリを読んできた本城氏の新境地か、ミュージシャンの世界を見事に描いた人間ドラマに仕上がっている。仲違いやドラッグなど、ミュージシャンあるあるな部分もあり、実際のミュージシャンたちも味わっている部分もあるのでは?とリアリティも窺える。
音楽を奏でるシーンも堂に入ってるんじゃないかな。歌詞もドラマチックな仕上がりですよ。音楽好きな私にも納得。 でもやはり本城氏の作品はスポーツモノがいいな、というのもホントのところ。 |
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直木賞受賞作「少年と犬」のステップとなったとも言える作品。犬好きな必読、女子中学生・雨音を取り巻く伯父・道夫や高校生の正樹が彼女の成長に手助けし、そして忘れてはいけないバーニーズマウンテンドッグのワルテルから大切なものを教わり自分自身を見つめて将来の姿を見出していくという、感動的な小説となっている。山岳小説の要素もあるが、犬小説としてのある種のパターンもあって、これはこれでひとつの小説ジャンルととらえる。道夫さんや正樹の言動、きれいな山岳・森のシーン、そしてラストは涙なしでは…
ひとつ気になったのは、ストーリーには関係ないけど、中高生にビールやワインを飲ませるところ。別に変な意図はないんだろうけどね。 |
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現実に起きた事件がもととなった作品であり、時代もあっただろうが協会側の狡猾さと、当時の日本の警察力の弱さを見事に描いた快作。
人物名や団体名は変えられており、多分にフィクションも交えているだろうけど、教会側の巧みな策略には警察のみならず、私も舌を巻かれる思い。 全編にわたり、作者の事件に対する思いが張り巡されている、最後まで気を抜けない物語だった。また、第1部の教会編、第2部の捜査編に分かれて 事件の書き方も作者のうまさが光っていると思う。 これが全くのフィクションだったらよかったのにとも思った。 警察のふがいなさに歯噛みすることしきりだったが、現代の未解決事件も同じようなことが起きているのではないかとも感じさせてくれた。 |
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これまでの「戦場のコックたち」や「ベルリンは晴れているか」等とは全く異なる作風で、まさにジブリ映画を思わせる幻想的ファンタジー。本の世界に入り込むというリアリティとは真逆の世界を体験する少女がとても健気で好感度↑↑。
元来、私自身はこういった作品はやや守備範囲外だけど、いつしか物語世界にどっぷりハマって、自分も”本”の世界に入り込んでしまっているのに気づくことも。 基本的には普段の読書にリアリティを求める私ですが、たまにはこういう幻想空間を体験するのもいい、と感じさせてくれた。 しかし、ひるね伯母ちゃんは気持ち悪いな。。。 |
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前作「たこ焼きの岸本」でたこ焼き屋を営む十喜子の女子高生時代から進と結婚するまでの「エピソード0」的な第2巻です。
十喜子の病院勤務時代にはある「事件」も起きて、ミステリ要素も込められています。 前作にも増して、大阪人情、大阪の文化が織り交ぜられ、大阪下町の人たちの温かさがしっかり伝わってきます。少しでも大阪に縁のある人なら、これぞザ・大阪を(それも古き良き昭和の)感じることでしょう。 十喜子は進のようなちゃらんぽらんな男とよく結婚しようと思ったものですが、前作を読んでいれば納得はいくでしょうね。 |
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巷では猫ブームとやらで猫番組も多いが、やはり犬好きには犬小説。前作「ソウルメイト」と比して「命」に重きをおいたお話が多いです。
特に障碍をもった犬をテーマにしたものは、かつて私も脚の不自由な犬を飼っていたので感傷に浸っていました。 最後の章では、そんな彼らに逢ってみたくなる作品。あっちの世界で元気に走り回ってるかな。 |
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落語にはサゲが大事。破楽師匠が教えてくれたとおりに、見事に最後が決まっています。創作落語の「千歳飴」や刑務所の慰問など読みどころ満載で、まさに名人芸を堪能した気分。電撃文庫大賞の奨励賞を受賞したのも頷けます。「猫の恩返し」で涙腺崩壊です。
弟子入り志願する願もさることながら、破楽師匠の生き様に拍手! |
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認知症を題材にした前半、テロリストの暗躍の中盤、そして警察組織の闇をえぐった終盤。
この展開はミステリとして迫力あり。乱歩賞作としてはレベル高い。地味な前半から派手な中盤〜後半の様変わりには読み応えがあった。 選考委員が指摘するように、警察組織を勘違いしているには同意するが、フィクションだからいいか。 |
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生産者の立場から見た競馬を、リアリティ豊かに描いた感動作。さすがは元スポーツ紙記者、どこをとっても臨場感豊かに読ませてもらえた。生産者のみならず、調教師、騎手、馬主も実際こういうやり取りをしているんだろうなと思わせるし、結末はわかりながらも、感動に誘ってくれるのは競馬ファンならずとも納得の作品です。
帯に「ダービーのスタンドがファンで埋め尽くされる日が戻りますように」とあるように、1日も早く大勢のファンが生のレース観戦ができるようになるよう心から願っています。 |
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輪廻転生を題材にしたものは数々あれど、本作は著者のセンスのよさと読みやすさで感動的な一作。前世の記憶があるということがこれほどまでに不幸なことなのか、というのが全体に漂い、純愛ミステリといった風合いで、なるほど直木賞を獲ったのも頷けると感じた。輪廻転生は肯定も否定もしないがきっとそういう子供は実際いるのだろう、ただ上手く人に伝えられないまま大人になるにつれて忘れていくんだろうな、と思ったしだいです。
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確かに翻訳モノ独特の言い回しが気にならないこともないが、古典ミステリの名作には違いない。文句のつけようはないし、時代を考えればその時代にこれだけの構成でできることが称賛に値するといえるのでは。「多重解決」という手法も面白いし、「犯罪研究会」の面々も個性的。
貫井徳郎が本作を意識して「プリズム」(既読)を書いたときいて納得。 |
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