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本好き! さんのレビュー一覧

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レビュー数336

全336件 181~200 10/17ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.156:
(9pt)

江戸川乱歩名作選の感想

名作選というだけあって、傑作選とあわせて読むのが乱歩の入門編といったところ。「陰獣」は後世に語り継がれる作品といわれ、完成度が高い。また、個人的には「石榴」「押絵と旅する男」「踊る一寸法師」がお気に入り、どれも乱歩を表すグロテスク、淫という単語が浮かんできて、乱歩の世界にどっぷり浸かれる。
余談ながら、乱歩の世界観を見事に音楽と融合させた、その名も「人間椅子」というロックバンドの曲を聴きながら(「陰獣」という曲もある!)読めば、もうドロドロの底なし沼から這い出せなくなること必至!?
江戸川乱歩名作選 (新潮文庫)
江戸川乱歩江戸川乱歩名作選 についてのレビュー
No.155:
(8pt)

エロスの記憶の感想

9者9様のエロスの形。色々な形を楽しめるが、タイトル通りの「エロス」を感じさせてくれるのは…
小池真理子、石田衣良、山田風太郎の三作品。
特にトリを飾る山田作品は、前半どぎつめエロス、後半マンガチックで笑える。
石田衣良作品は思わず同じ体験をしてみたいというエロ願望を抱かせてくれ、小池作品は大人のエロスの世界を垣間見ることで、このアンソロジーのトップにふさわしい第一の部屋。
他のはさして印象は薄かった。野坂昭如はなんだかよくわからんままに読み終わってた(; ꒪ㅿ꒪)
エロスの記憶 (文春文庫)
小池真理子エロスの記憶 についてのレビュー
No.154: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

リーチ先生の感想

絵画にまつわるミステリのイメージがあったが、今作は陶芸を題材に、感動的な作品を堪能しました。
バーナード・リーチに師事した沖亀之介(架空の人物)の青春物語といったところ。彼のリーチ先生に対する情熱と葛藤。
これは何か一つのことを成し遂げようとする若者に勇気を与えてくれるのでは、とも感じた。
登場してくる実在の人物たちも魅力的です。武者小路実篤や志賀直哉も出てきて思わずニンマリ。
リーチ先生
原田マハリーチ先生 についてのレビュー
No.153:
(8pt)

秋山善吉工務店の感想

タイトルからして、工務店を舞台に繰り広げられるトラブルに善吉爺さんが飛び回る…と思いきや、秋山家の人々に降りかかる困難に善吉爺さんが胸のすくような解決をもたらす。前半はそういう展開で、別に善吉爺さんが大工である必要は…と、タイトルにやや違和感を感じる。
後半は秋山家の主・史親が自宅の火災で亡くなった真相がもたらされ、終わりよければ全て…の読後感。
30年以上前に亡くなった私の祖父も大工をしていて、昔を思い出して最後はホロッとする場面もあった。どことなく「静おばあちゃん」の男版といったところも。
秋山善吉工務店
中山七里秋山善吉工務店 についてのレビュー
No.152:
(9pt)

東京二十三区女の感想

東京中に蔓延している怨念。それを追い求めて女フリーライターが23区を巡る。それぞれの区に秘められた歴史や代表的な名所を紹介するガイド的な役割と長江流ホラーが合わさって一気読みでした。23区民ならぜひ読んでおきたい一冊。
今回は板橋、渋谷、港、江東、品川の5区だけでやや消化不良。ぜひ23区コンプリートを期待します。
私の住んでいる区も未登場なので。
東京二十三区女 (幻冬舎文庫)
長江俊和東京二十三区女 についてのレビュー
No.151:
(7pt)

暗闇のアリアの感想

自殺、自殺、自殺。これほどまでに「自殺」という活字が登場する小説もそうないのではと思う。ヤクザが参上なさって、なんとも虚しさを感じた読後感。
でもモアレ縞などの印刷に関する薀蓄や、謎の解明に奔走する様子など、真保さんらしさは出ていたので安心感はあった。でもあまりヤクザは前面に出てほしくなかったなあ…
暗闇のアリア (講談社文庫)
真保裕一暗闇のアリア についてのレビュー
No.150:
(7pt)

Wonderful Storyの感想

犬を擬人化したお話よりも。犬そのものというよりは「犬」の文字がついた所での青春ものよりも。ちょっとエッチなバター犬?が登場するお話よりも。彼女に振られ犬に見つめられる悩みをもった男のお話よりも。パピーウォーカーをテーマにした横関犬さんの作品が最も「感動」というものをもたらしてくれたようです。犬好きにとっては「感動」をもたらしてくれる物語を期待したけど、やや物足りなさの残るアンソロジーではありました。これなら先日読んだ「猫は見ていた」の方がずっと心をうつ内容でした。
Wonderful Story
伊坂幸太郎Wonderful Story についてのレビュー
No.149:
(10pt)

甘い罠の感想

「甘い罠」というタイトルからどっぷりミステリ小説を思い浮かべるが、これはいわば日本人の「食」のあり方を考えた食の文化論小説ともいえる。
女性を中心にブームとなっている糖質制限ダイエットをテーマに、大変勉強になる小説です。間違ったダイエット法に警鐘を鳴らすだけでなく、日本人の「食」の文化史を掘下げた奥の深さもうかがえる。どこか「美味しんぼ」に「料理の鉄人」の要素を加えたようなストーリーでもあります。
タイトルの「甘い罠」の意味が分かったとき、真の「食」のあり方が見えてくるかも知れません。
甘い罠 (講談社文庫)
鏑木蓮甘い罠 についてのレビュー
No.148:
(9pt)

雪の香りの感想

全体的な感想としては、京都の観光ガイドブックのような部分も多い。これは否定的な意見ではなく、京都の名所の情景を表すことで”純愛”ミステリ的性格を浮きだたせるものとして受け取れる。私は京都人でありながら、知らなかったところも出てきて、勉強になりました(汗
雪乃の性格云々の意見もありますが、悪くないですよ。こういう女性に惹かれる男、いますよ。(私にはムリですが。。。)
塩田作品の特徴として、地の文と会話文のギャップ(会話部分はほとんど漫才調!)が却って面白い。関西弁だからかもしれないが。
著者の「書き終えたくなかった」というコメントは読了後、なるほどなと納得できる言葉でした。
京都人なら必読の書です。

雪の香り
塩田武士雪の香り についてのレビュー
No.147:
(8pt)

あなたならどうするの感想

懐かしの昭和歌謡を題材にした短編集。ではあるが、舞台はほぼ現代。その辺に違和感を感じたが、言える事は昭和も平成も(おそらく次の時代も)男と女の愛憎は変わらないということ。どの章もやや同じような男女が出てくるような感じがしたが、それぞれの曲を思い浮かべながら読むとしっくりハマっていることに気がついた。
あなたならどうする
井上荒野あなたならどうする についてのレビュー
No.146: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

ルビンの壺が割れたの感想

なるほどなるほど。要は大ドンデン返しの結末ということで、これが普通の小説なら何ということもないが、Facebookによる往復書簡型式になっているのが雰囲気を出しているといえます。初めは和やかなのに、半分を過ぎたころから何やら不穏な空気になるのがかえって心地よささえ覚える。そして最後は…
でも巷でいわれているほどの衝撃度はなかったなあ…
ルビンの壺が割れた (新潮文庫)
宿野かほるルビンの壺が割れた についてのレビュー
No.145:
(9pt)

検索禁止の感想

前半の「都市伝説」の数々は興味深かった。ネットの世界でどんな状況になっているのか知りたくなって思わず検索してしまった。その結果…
名作ホラー映画の題材となった実際に起きた事件。実際の事件だけに胸糞悪くなるのは必至。読んでどうなっても知らないよと注意喚起しておく。
全体的に面白かったが、やはり自著のPRは不必要とは言わないまでも、ほどほどにしておいた方が…
検索禁止 (新潮新書)
長江俊和検索禁止 についてのレビュー
No.144:
(8pt)

猫が見ていたの感想

昨今の猫ブームに乗っかって、気鋭の作家陣によるアンソロジーがお目見え。猫好きであるか否かにかかわらず、ジ〜ンとくるものや笑えるものまで、7編が取り揃えられている。
個人的には猫派ではないけど、胸にグッとくるものが好みなので、湊かなえ「マロンの話」、柚月裕子「泣く猫」、井上荒野「凶暴な気分」がベスト3。
巻末の澤田瞳子による猫小説紹介も必読。漱石先生のあの名作もいいけど、現代の猫モノも(ブームがどうのは置いといて)傑作が多いですね。

猫が見ていた (文春文庫)
湊かなえ猫が見ていた についてのレビュー
No.143: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

蜜蜂と遠雷の感想

クラシック音楽を題材にした作品は数多あれど、ここまで「音楽」に浸れる作品はないでしょう。全編に渡って高尚なクラシックを聴いている、あるいは聴こえてくる気持ちよさが本作にはあります。
またコンテスタントの4人(マサル、亜夜、塵、明石)はそれぞれに個性的な「アーティスト」であり、皆が各個の彩で読者を魅了させてくれる、これは著者のしっかりとした力量でしょう。
ピアノコンクールの「聴衆」の一人として、十分に楽しませてもらえました。
蜜蜂と遠雷
恩田陸蜜蜂と遠雷 についてのレビュー
No.142:
(8pt)

掲載禁止の感想

確かに前2作と比較すると、普通のミステリに近いものになっているようです。”長江色”は残しながらも、リアリティーが希薄かなと。
ただ、表題作は爽快感さえ感じるというか、さすがは”禁止”シリーズ、一番際立つ内容でした。
ところで”禁止”シリーズ、次回作はあるのでしょうか?
掲載禁止
長江俊和掲載禁止 についてのレビュー
No.141:
(9pt)

京都西陣シェアハウス ~憎まれ天使・有村志穂~の感想

有村志穂の特異な(?)キャラクターに◎!!
就活に失敗し続けるかたわら、シェアハウスの住人達に疎まれながら、救いの手をさしのべる優しさをあわせ持つ彼女のキャラを生みだした著者の手腕に感服。
相変わらず女性主人公の作品が多く、ある意味そっちの人??
と思ってしまいますが。
でも志穂みたいなのが身近にいたらヤだろうなァ…(; ꒪ㅿ꒪)
京都西陣シェアハウス ~憎まれ天使・有村志穂~
No.140: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

合理的にあり得ない 上水流涼子の解明の感想

これまでの骨太な作品から一転、軽めの短編で楽しませてもらいました。涼子と部下・貴山のコンビによる謎の解明。ほとんどIQ140の貴山の手柄によるところが多いようですが、どこか必殺シリーズを連想させるところもあって、気楽に読める作品です。
ところで、気になったのはこのタイトル。
「~的にあり得ない」というのは、アダム・ファウアーのベストセラー「数学的にありえない」「心理学的にありえない」を意識したものなのでしょうか??
合理的にあり得ない 上水流涼子の解明 (講談社文庫)
No.139: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

出版禁止の感想

読後感、最悪。
こき下ろされている理由、わかる気がする。
でもね。改めて構成というか、全体の流れを見てみると、
よく練られてるなという感想はあります。
いろいろ意見はあろうけど、そんな酷いレベルではないと。
これが現実だったら…と置きかえてみると背筋が凍りついて凍死寸前\(◎o◎)/!

出版禁止 (新潮文庫)
長江俊和出版禁止 についてのレビュー
No.138:
(9pt)

シマイチ古道具商 春夏冬人情ものがたりの感想

大阪・堺の古道具店を舞台に、実にほんわかと温かみのある物語が展開されます。古道具の知識もさる事ながら、それを通じて「家族」の意義を考えさせてくれる。
これまでスポーツミステリが主だった著者の新境地です。
余談ながら、古道具店の佇まいが、業種こそ違えどこか私の生家を思い出させてくれたのもよかった。
シマイチ古道具商: 春夏冬(あきない)人情ものがたり (新潮文庫nex)
No.137:
(9pt)

放送禁止の感想

こういう形のミステリ小説も充分アリだと思います。
映像版は見たことないですが、小説版だけでもたっぷり楽しめます。
収録されている3編は、結末が明らかにされておらず、解明は読者に委ねられている、思ったとおりだとすれば相当怖い〜(/ω\*)
放送禁止
長江俊和放送禁止 についてのレビュー