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本好き! さんのレビュー一覧

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レビュー数332

全332件 121~140 7/17ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.212:
(8pt)

呼吸する町の感想

某乳酸菌飲料の女性配達員をモデルにしたどこかほのぼのする連作短編集。いつもニコニコと元気な彼女たちもそれぞれに事情を抱えており、それが描かれた作品ですが、そんな彼女たちの息遣いが聴こえてきそうな「呼吸する町」というタイトルは実に秀逸。
特に最後の章「リセット」はミステリ色も濃いが、私自身も経験したエピソードもあり、心に響いてきてジ〜ンとくるお話でした。
うちの職場にも彼女たちがやってきていますが、これまで見向きもしなかったので、これを機に売り上げに少し貢献してあげようかな、とも思えるようになる作品です。
呼吸する町
黒木渚呼吸する町 についてのレビュー
No.211:
(8pt)

罪と祈りの感想

久しぶりの貫井徳郎。罪を犯すとはどういうことか、貫井さんのわかりやすい筆致で淡々と進んでいく。わかりやすいのはいいのだが、貫井作品特有のユーモラスさ(私はそういうイメージをもっている)は影を潜め、重苦しさだけが全体を覆っていて締め付けられる思い。また意外さもないので読後感はイマイチ。確かに巧妙なタッチで貫井ワールドからは逸脱してはいないけれど……要は誘拐ミステリの要素が大半を湿るが、それ自体は普通の誘拐モノ。昭和天皇の大喪の礼とリンクさせたところは社会派ミステリ好きにとってはポイント高いか。
次回作ではもう少し明るく笑いの漏れてくるような、ホッとするのをお願いします。
罪と祈り (実業之日本社文庫)
貫井徳郎罪と祈り についてのレビュー
No.210:
(9pt)

壁の鹿の感想

ミュージシャンであり小説家である黒木さんの処女小説、当初はCDアルバムの付録となっていた連作短篇。しかし、あなどるなかれ、その完成度はハンパない!
鹿の剥製と話ができる主人公たち。それだけ聞くとファンタジーそのものだが、荒唐無稽というなかれ。初めはファンタジーとして読み進めていくが、終盤からミステリー、ホラー色が濃くなり、人生を見つめ直していくストーリー展開。そのポイントポイントで話ができる鹿の剥製が重要な位置を占める。
初めての小説でこれだけの作品が書ける著者。彼女が生み出す音楽とともに小説も大いに期待できる。
壁の鹿 (講談社文庫)
黒木渚壁の鹿 についてのレビュー
No.209:
(7pt)

名残の花の感想

天保の改革ののち、歌舞音曲などを厳しく取り締まり市民を苦しめ「妖怪」とまで呼ばれた鳥居耀蔵。幽閉を終えて帰って来た江戸は東京と変わっていた… 
一新を経て世の中の変化に戸惑っていたのは鳥居のみならず、彼を取り巻く能役者も同じ。彼らの境遇がよく描かれており、当時を忍ばせる時代背景もよくわかる。
できれば、鳥居耀蔵が幽閉に至った取り締まりぶりが詳細に描いてあるとさらにその時代の混乱がわかったかも。
鳥居耀蔵を取り巻く能役者たちの奮闘ぶりはよかったが、耀蔵の「妖怪」ぶりに期待していたので、そのへんは物足りなさを感じた。
名残の花 (新潮文庫)
澤田瞳子名残の花 についてのレビュー
No.208:
(10pt)

下山事件 最後の証言の感想

昭和史に残る最大のナゾ多き事件。その事件に関わっていたかも知れない人物の孫にあたる著者による渾身のドキュメンタリー、語られていることはほぼ真実に近いのでしょう。これを読めば下山総裁は自殺だなんて到底思えない。それで一応片付けられているのは戦後の昭和を動かしていた政府の闇がありありと顔を見せているのです。昭和史の、特に戦後史を学ぶに実に有益なノンフィクション。
下山事件完全版―最後の証言 (祥伝社文庫 し 8-3)
柴田哲孝下山事件 最後の証言 についてのレビュー
No.207:
(8pt)

金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲の感想

私にミステリの面白さを教えてくれた横溝正史、彼が生み出した名探偵・金田一耕助。日本を代表する名探偵をめぐる9人の作家によるアンソロジー。それぞれに特徴があって面白かったが、飄々としていてユーモラスなキャラクターからか、思わずクスッと笑ってしまう話が金田一のキャラと合っているようで、特に男性作家の作品が面白かった。近田一や金・田・一トリオも変化球で良かったけど、トリを飾る赤川さんのはさすが。
ちなみに私の好きな横溝作品は、ミステリにめざめるきっかけとなった「犬神家の一族」。(メジャーすぎてスミマセン!)
金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲 (角川文庫)
赤川次郎金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲 についてのレビュー
No.206:
(9pt)

檸檬の棘の感想

孤高のミュージシャン、そして小説家。
音楽好きで本好きな私にとって、これ以上ないものを提供してくれる黒木さんの作品をまずは最新作を読んでみた。
「父」という存在がこれほどまでに主人公・栞に影響を与えていたのか。父を亡くしてそれほど経っていない私にも父とは?家族とは?と考えさせてくれる問題作です。冒頭のエピソードが結構エグく迫ってくるし、ヤなやつが次々出てくるので、全編こんな感じ?と思ったが以外に軽く進むし、途中、黒木さんの曲の歌詞も出てきて思わずニヤリとしたりして読みやすかった。次は作家デビュー作を読んでみよう。
檸檬の棘 (講談社文庫)
黒木渚檸檬の棘 についてのレビュー
No.205:
(9pt)

鴨川食堂まんぷくの感想

毎度おなじみのストーリーながら、食堂を訪れる依頼客のエピソードと、こいしの京女ぽさ、流の食に対する取り組み方はいつもほっこりさせられる。「たらこスパゲティ」の元アイドルのエピソードでは、グループにいるときはチヤホヤされて有頂天になっていても、いざ年をとって人気が下降線になってみると何も取り柄がなくなってしまった哀れな姿をまざまざと感じてしまった。現実にもほら…
「カツ弁」、「かやく御飯」の章も感慨深く、これまでの5巻以上に「家族」をテーマに胸を打つエピソードが多かったように思う。
さて、「まんぷく」となったからにはもう終わり?それともまだ続くのかな?だとしたらなんという副題が?
鴨川食堂まんぷく (小学館文庫)
柏井壽鴨川食堂まんぷく についてのレビュー
No.204:
(9pt)

ノワールをまとう女の感想

女性主人公はお手の物(?)の著者ならでは、西澤奈美がかっこいい。ステレオタイプという意見もあるが、ミステリに登場する女性はこうでなきゃ、という感想を持った。AIやフェイクニュースなど最近のトレンドをもりこんだのは賞を意識した面もあろうが、さすがうまい作家だと思った。乱歩賞も令和になり様変わりしてきたか。
欲を言えば、もっと大掛かりな捕物帳でもあれば読み応えも増したかもしれない。次回作に注目。
ノワールをまとう女 (講談社文庫)
神護かずみノワールをまとう女 についてのレビュー
No.203:
(9pt)

一八二六番目の鏡像の感想

小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」掲載の短編。
タイトルから「鏡地獄」を連想したが、全く異なる内容。鏡がベースにはなっているが、戦争末期の空襲や工員として駆り出される女生徒など、戦時文学としてもグッとくるストーリーになっている。
でもやはり、乱歩へのオマージュということであれば、著者なりに「鏡地獄」からこの作品に昇華したんでしょう、収録作品の中では(乱歩を抜きにしても)読み応えあり、読後感のよい作品でした。
斉藤詠一一八二六番目の鏡像 についてのレビュー
No.202:
(8pt)

九三式の感想

小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」収録。
収録作品の中では最も乱歩からは離れた印象が残った。
冒頭に出てくる帝銀事件とストーリー全体とどう関係してくるのか?読み進めるうち、以外なところでつながってきたが…
「QJKJQ」や「Ank」に見られるような著者独特の世界観は他には見られないものであると改めてかんじた。
佐藤究九三式 についてのレビュー
No.201:
(8pt)

パノラマ・マシンの感想

小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」収録の短編。
町中で拾った不思議な機械が繰り広げる不思議な世界。
SFミステリというか、アニメチックな作品。妖しい場面は乱歩らしさも感じられた。私自身、この機械を手に入れたら奈落の底に落ちて行くんだろうなぁ……
呉勝浩パノラマ・マシン についてのレビュー
No.200:
(8pt)

館の中の散歩者の感想

小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」収録。
もろ「屋根裏の散歩者」。小説誌の企画で描かれた乱歩へのオマージュといったところだが、いい意味でも悪い意味でも、乱歩の世界をどっぷり表現している。個人的には嫌いではないし、この妖しい乱歩ワールドを著者なりに表したらこうなったということなんでしょう。
下村敦史館の中の散歩者 についてのレビュー
No.199:
(8pt)

プシホロギーチェスキー・テストの感想

小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」掲載の短編。
タイトルは「心理試験」の意。著者ならではのロシアを舞台に乱歩の世界を融合したSFチックな作品となっている。
ロシアと乱歩がどこでどうつながるか?と考えながら読んだが、なるほどそう来るか、と納得。逆にいうとそうせざるをえなかった、ともいえる。

No.198:

澤田瞳子

No.198:
(9pt)

蠅の感想

講談社「戦国の教科書」収録の短編。著者初の戦国ものであるが、宗教勢力の統制を進める豊臣秀吉より方広寺大仏殿の造営を任されていた高野山の僧・木食応其を主人公とする当時の宗教思想をテーマに描かれている。古代史ものが多いイメージがある著者だが、それ以外の時代であってもその時代を生きた人たちの生き様はしっかりと伝わってくる。地震の被害から喫緊の対応を迫られる人たちの描き方がインパクトを与える。収録作品の中でも最も心動かされる一品。
澤田瞳子 についてのレビュー
No.197:
(9pt)

おまえの罪を自白しろの感想

誘拐がテーマとあって、全編にわたって漂う緊迫感は圧倒的。
真保さんの名作「誘拐の果実」を凌ぐほど。
孫娘を誘拐されて、あたふたする政治家の様子は、政治家嫌いにとっては溜飲が下がる思いさえした。それは事件の真相が判明しても変わらなかった…かな?
改めて真保作品の圧倒的筆致に感動。
おまえの罪を自白しろ (文春文庫)
真保裕一おまえの罪を自白しろ についてのレビュー
No.196:
(9pt)

もういちどベートーヴェンの感想

岬洋介の司法修習生時代を描いており、もともとはそちらの道に進むはずがピアニストを目指すこととなったきっかけがわかる作品になっている。
前半は修習生がどのような指導・実習を受けて法曹の世界へ進んでいくのかがわかる。実際の事件を取り扱ってその世界の厳しさ・むずかしさを体験できる。
後半からはあるきっかけを元にピアニストを目指すスイッチが入ってしまい...
当シリーズのお楽しみのひとつであるピアノ演奏シーンは後半にたっぷり用意されていて、前半の音楽ミステリらしからぬ展開をしっかりいいい払拭してくれる。
実際の事件を解決に向かわせるミステリの核の部分がやや物足りない気がしたが、いずれにしてもこのシリーズ、演奏シーンがとても爽快なので、岬の現在なども取り上げて続けていってほしいです。

もういちどベートーヴェン
中山七里もういちどベートーヴェン についてのレビュー
No.195:
(9pt)

東京二十三区女 あの女は誰?の感想

前作は5つの区の薀蓄をミステリ仕立てで展開、今作は続編として4つの区の章からなっています。池袋のポルターガイスト、東向島の消えた小説家、立石様の奇跡、将門の首塚…
後のニ区(葛飾、千代田)がなかなかに練られているなと感じたのは、なんでも願いを叶える「立石様」を家族の絆を結びつけたこと、そして将門の首塚の伝説とこのシリーズの根幹の部分をうまく関連させて、意外な形でシリーズ3作目を期待させていること。さすがは業界人、と言わせるほどの作風は自然と次も読まなくちゃ、とのめり込ませてくれました。23区ガイド的なのは今回も健在ですが、ミステリとしてもしっかり成立していると思います。
ところで、まだまだ私の第二の故郷であるあの区は出てません。あの区のどんな謎と薀蓄を披露してくれるのか、楽しみです。次回作に登場するか?

東京二十三区女 あの女は誰? (幻冬舎文庫)
長江俊和東京二十三区女 あの女は誰? についてのレビュー
No.194:
(8pt)

盤上に散るの感想

「盤上のアルファ」と比して、幾分シリアスかと思うが、セリフは充分に関西人のノリで期待どおり。いわゆる人探しミステリと言えるが、対局のシーンを期待するとやや残念なところも。最終盤に準備されているが、途中は将棋をテーマにしていることを忘れてしまう場面もあった。でも、前述のシリアスさというのは、☗将棋☖を通じて"昭和"を描いたと思しき作りになっている点は評価↑↑
文庫版の石橋蓮司さんとの対談は、ドラマ版を見ていないのでなんとも…(ドラマ版は、舞台を関西から首都圏に変えている点でアウト。なので見る気起こらず。)
盤上に散る
塩田武士盤上に散る についてのレビュー
No.193:
(9pt)

常設展示室: Permanent Collectionの感想

他の作品とはやや趣が異なるけれど、心が温まる極上のアート短編集です。中でも「群青」「デルフトの眺望」「道」は特にオススメ。
どれも心温まる、感涙のストーリーですが、「デルフト〜」は私の義父も介護ベッドで寝たきりになった末に亡くなり、しかも「真珠の首飾りの少女」が好きだったので実体験とのかぶりにジンとくるものがありました。
「群青」「道」も情景がしっかり心を動かしてくれます。
常設展示室: Permanent Collection
原田マハ常設展示室: Permanent Collection についてのレビュー