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本好き! さんのレビュー一覧
本好き!さんのページへレビュー数336件
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ビジネスの世界で躍動する男たちの熱いドラマ。
著者の作品は一言でいうとそう表現できるものが多いと思いますが、まさしく本作はその一文にピッタリです。ロケットエンジン部品を製作する中小企業のアツイ社長を中心に、数々のトラブルに巻き込まれながら自分たちの信じた方向へ社員一体となって突き進む。行く手には会社の外のみならず、社内からも反抗分子が現れて、この先どうなるのか?とハラハラさせてくれます。果たして自分たちが同じような境遇になった時にどうするか?となると甚だ自信はないですが、読後の爽快感は本作はもちろん、著者の作品には必ずと言っていいほど味わわせてもらえます。 とにもかくにも、悲願の直木賞受賞おめでとうございます。 |
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タイトルどおり、旅情サスペンスです。
焼死した老夫婦、猪苗代湖畔で心中した老夫婦、捜査の途中で会った怪しい夫婦... 彼らの謎を追ううち、意外な事実が明らかとなる!と、まさしく2時間ドラマのタイトルになってます(^^; 福島県の山間の路線を舞台にした旅情サスペンス。こういった作品といえばあの大御所作家を思い出し間sが、彼には及ばずともなかなかに旅情あふれる佳作だと思います。元福島県民の私になじみの路線ということもありますが、さりげなく名産品(?)も織り交ぜたりして、全体的にほんわかした印象を残しながら、また登場人物もやさしさをかもし出しながら、そして季節感を充分に描きながら、そして老人介護の問題に関するメッセージも少し伝えながら、ゆったり感さえ感じさせるミステリでした。 |
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細川政元という名前は聞いたことがあるようなないような。”もうひとりの信長”というキーワードが気になって本書を手に取りました。ほとんど知られていないその存在は、まさしく信長を彷彿とさせてくれます。「聡明丸」と呼ばれた幼少期からその奇才(鬼才?)ぶりが発揮され、41歳で家臣に殺害されるまで、実に個性的な人物が描かれています。
修験道に入れ込み、生涯、妻を持たなかった彼の生き方は、正直、何を考えているのかよくわからないのですが、それには深いわけがありそうです。はっきりとした理由は明らかにされませんが、それだけに読者にいろいろと類推をさせてもくれます。何かしらの意図をもっていたことは充分うかがえます。姉・洞松院もうまく描かれていて、この姉に対する政元の言動からもそれは考えられます。 本書で細川政元という人物のほんの一部分が垣間見えたような気がしますが、それにしても著者は普段注目されないモノ・コト・ヒトにスポットライトを当てるのが実にウマイですね。 |
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団地を舞台に人間関係の闇の部分をさらっとエグった10編の短編集。
どれも団地・集合住宅に住んだ経験がおありなら、多かれ少なかれ自分と重ね合わせることができるでしょう。 こういう自分もこの奇妙な人間関係の渦に巻き込まれてきましたから。 10編の中でも、表題作のほか、「隣人」「花笑み」「迷子」はお気に入り。 |
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ドラゴンウィルスによる竜脳炎の流行で大勢の犠牲者が出てパニックに陥る中、奇跡的に生存者となった3人には奇妙な後遺症が。
手を使わずに物を動かせたり、他人の過去や未来が透視できたり、自らが若返ったり... なんとも奇想天外、荒唐無稽なストーリーで、アクションアニメに出てきそうな展開ですが、そこはさすがの夢人さん、確かなプロットで笑わせ、考えさせ、ホロッとさせてくれました。 またメディアや警察権力に対するメッセージも盛り込まれ、現実感はほとんどないのですが楽しくワールドにはまりました。やはり夢人さんはこれくらいのぶっ飛び方でちょうどいいと思います。(確かに好き嫌いが分かれるかも知れませんが) |
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まず最初に感銘を受けたのは、キリスト教の世界をベースに違和感なくミステリ小説が描かれていること。
「イエスの涙」でも感じたことですが、ミステリの基本がすんなり溶け込んでいる。これは著者の力量はもちろん、この世界のもつ神秘さなどもあるのでしょうか。 本作ではマリア様の本当の姿を知ることができると同時に、終盤の演奏会の場面を通して心が安らぎを与えられる、神父の教えを請うたようなさわやかさが漂う作品です。 「イエス」「マリア」と来て、第3弾をぜひ早いうちに出してほしいと思います。 |
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高校生が引き起こした妊婦連続殺人をベースに、人間の「悪意」をこれでもか、と押し付けられた。読後感はあまりいいとはいえないけど、それが著者の思惑であれば本作ほど人間の裡にあるドロドロしたものを表現した作品はないでしょう。
これまでに読んだ著者の作品と比べると、少々期待はずれな感もあったが、人間のイヤ~な部分をあえて堪能したければオススメの一冊。 |
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京都の老舗鞄店で実際に起きた相続問題をモデルにした著者ならではの作品です。
この作品は同名の短編集の1編ですが、実際の事件をもとに、親子の間の骨肉の争い(?)を 短編に凝縮されてます。 個人的にはもっともっと掘り下げて長編として発表してほしかったというのが本音ですが、 短編でも著者の思惑はよ~く伝わってきます。 他にも元銀行員である著者が、その経験を充分に活かして短くも読み応えのある作品が揃っています。 |
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既刊「記録された殺人」に未収録3作品を追加して再発。全9編からなる短編集。
全て80年代に発表されたものというから、岡嶋二人がデビューして間もない頃の作品集です。 時代が時代だけに設定などは古くささは否めないが、それでも文体や読後感は今読んでも違和感なく読めるところが岡嶋二人らしさか。 特に表題作は彼ら自身をモデルにした、一風変った作品。短編集の掉尾を飾るにふさわしい作品でした。 でもやはり、短編だと物足りなさが残ってしまうので、岡嶋といえば長編の方がいいですね。 |
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帰国子女の女子高生の学校生活にまつわるお話と、謎の黒人と一緒に外国人旅行客相手にガイドをして小銭をためている男。このどう繋がるのかよくわからないストーリーが最後に意外な点で結びついてくる。まさに貫井流の”どんでん返しに特化した”(ご本人談)作品。他の貫井作品と違って、かなり軽いテンポで話が進みますが、最終章で明らかになるテーマはやはり貫井流の重みさえ感じます。それを軽いタッチの比較的短い作品で表す、著者の力量に感動すら覚えます。
でもやはり著者の作品はテーマも内容もずっしり重~いものであってほしいというのが本音。 |
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著者のデビュー作にして、いろんな意味で奥の深~い作品だと思います。
三十路を間近にした主婦と男子中学生の奇妙な道行き。 これと同時進行で綴られる引きこもり中学生のネット生活。 中学生のネット犯罪は現実の世界でも珍しい話ではなく、この小説の正直な感想は、十分に起こりうるお話であるということ。それだけ中学生といえどもこの類の犯罪を起こしてもおかしくないほど恐ろしい世の中であること。 ストーリーも終盤になるに従ってその展開にハマッてしまいました。デビュー作にしてこれだけ引き込む展開が描けるのはなかなかに強者であると。 でも、主婦と中学生がハマッているネットヲタクの世界には全くついていけませんでした。。。著者もこういう分野でも活躍されてますけどね。 |
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ミステリの奥の深さを再認識した一冊。
世界中に蔓延する「十字架嫌悪シンドローム」とその謎を解明しようと奔走する神父。 自分自身が故郷が京都なので、そこを舞台としているところも懐かしさがこみ上げてきてほろっとしたところもありました。学生時代に出会った女性とのエピソードもどこか自分と重なる部分も。 物語後半からの急展開でミステリらしさが一層増してきますが、読後感は何かスッキリしたものが残ります。ある意味、キリスト教の教義を根底から覆すような展開とスッキリした読後感がうまい具合に融合している印象です。 |
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「長く孤独な誘拐」「二十四羽の目撃者」「光と影の誘惑」「我が母の教えたまいし歌」の4編からなる中編集。貫井徳郎は新本格の旗手として人気を不動のものにしていると言えますが、この4編を読めばなるほど納得できるでしょう。
4編が4編とも著者の特徴をよく表していると言えて、読み終わったあとの充足感というか、思わず「ほ~っ!」と感嘆の息を吐いてしまう”らしさ”がよく出ていて、これは他の作家ではそうそう味わえるものでもない。このうち「二十四羽の目撃者」ではこれまでと少々違う貫井徳郎を見せてくれたようで、ますます世界が広がっていくようです。 でも正直なところ、こういった中編・短編でも十分なのですが、著者の作品は個人的には長編の方がよりいいと思っています。長ければ長いほど、重ければ重いほど彼の特徴がはっきり表に出てくると。それだけ内容が濃くなるので、長所が表に出やすいというところでしょうか。 |
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巻末の解説で児玉清さんが歯を食いしばって泣いた、と書かれていて、何を大げさな!と思っていましたが、読み終わったら本当に涙が出てきて、最近にない感動作でした。
戦争モノは久しぶりに読みましたが、生き証人たちの証言はそれこそ実際の経験者に話を聞いても同じようなことを話すのではないかと感じたし、その内容たるや、教科書やテレビのドキュメント以上に戦争の悲惨さ、軍部のバカらしさが伝わってきました。 結末もミステリらしいものが味わえて納得の一冊です。 |
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TVドラマ「外交官・黒田康作」の原作ということですが、ドラマの方は一切見ていません。従って比較などはできませんので、あしからず。
真保作品全体を通してみても、本作も真保裕一らしさは十分に出ていると思います。 人物の心理描写、登場人物が置かれている状況描写の細かさ。 しかし、少々堅苦しさというか、いい意味でのサスペンス的要素はしっかりあるものの、盛り上がりに欠けるきらいがある。クドさも感じた。もう少しサプライズがあってもよかったのでは、という気はします。 |
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京都を舞台に女刑事が活躍します。
私も京都の出身(なんと著者は私の学校の先輩!!)なので、懐かしい地名や京言葉(京都弁やおへん!)がふんだんに使われて、好感が持てます。 ミステリとしても、かなり地味な展開ですが、まずまず納得のいく結末です。 あとは主人公の女刑事・片岡真子にもう少し魅力があればなおよかったのですが... 主人公刑事を女性にした効果が少し希薄だったような気がするのがマイナスポイントです。 |
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