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本好き! さんのレビュー一覧
本好き!さんのページへレビュー数25件
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幕末の横浜を舞台にした恋愛ミステリーと位置づけするとしっくりくるか。ラシャメンとして生きる女性の恋愛とミステリの部分がイマイチな気もしたが、乱歩賞受賞作としての完成度は充分なものがあると思う。個人的には評価はイマイチにしたが、設定もよく練られており、同時受賞の「フェイクマッスル」と引けを取らない作品になっていると思う。次回作はどのようなものに出会えるか。
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タイトル(原題:Collector)からして、アートミステリーかと思いきや、スパイ小説のようなストーリー。アートの部分やクラシック音楽を取り上げたところにはホッとするも、正直期待はずれ。フェルメール「合奏」も結局行方不明のまま。でもロシア×ウクライナ情勢がメインになっているのはリアリティあり。登場人物には肩入れできなかったが、イングリットは魅力的だった、かな?
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いわゆるオカルトではなく、考えていたものとは違った新たな100通りの「幽霊」の概念をこれでもかと提供してくれる。生物のみならずものに宿る魂も。人が営んできた様々な行い。まさにいろいろところから生みだされた「幽霊」を100通り見せられた後に、これまで描いていた幽霊観に新たなものが加わったような気がする。新たな百物語の誕生か。
ただし、オカルト的でない分、日本的な、あるいは怪談的な物語を期待する方には不向きか。幽霊というより、原題どおりゴーストと言った方がその意味に広がりを感じられるかも。 |
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大田道灌といえば、江戸築城で有名だが、応仁の乱を凌ぐ「享徳の乱」をはじめとする大乱に関わっていたことはあまり知られていない。(複雑すぎて取り上げにくいか?)そこに目をつけた著者が複雑混迷の大乱を、道灌を通じて大作を作り上げた。あまりの複雑混迷さでわかりにくいことこの上なく(一人の人間が2つも3つも名前を変える)エンタテインメント性に欠け、読了まで時間がかかってしまったが、こういった物語を完成させる、何かとこだわりをもつ著者の力量にはただただ脱帽。
歴史小説にも実績を作ってきた著者、次は誰を取り上げるか? (最後に登場する人物が意味深) |
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普段はあまり手にしない類の作品だが、タイトル当てということで閑話休題的に読了。○○○○○○○○は終盤にはわかったし、普通に読んでいれば判明しやすいでしょう。
それにしても気になったのは、嫌悪感をもたせるほどの軽さと下ネタ的情景!やはり結局のところ普段あまり手にしない作品のひとつでありました。おそらく高い確率で吝作品はこれが最初で最後。 |
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佐藤憲胤時代に描かれた幻のデビュー作。「QJKJQ」「Ank」以前ということで、青臭さもあるものの、その独特な世界観のきざしは見える。純文学のカテゴリに入るようだが、いやそんなはっきりとした所に収まるような単純な世界ではない。ギャンブル小説のようでそっくり嵌っているわけでなく、あえてジャンル分けしているにすぎない。ジャンルを作るとすれば、佐藤究というジャンルで特異なる個性を噴出し続けるだろう。
上の2作以前ということで、点数的な評価では低めだが、他にマネできないであろう、この世界。しっかり見守っていこうと思う。 |
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天保の改革ののち、歌舞音曲などを厳しく取り締まり市民を苦しめ「妖怪」とまで呼ばれた鳥居耀蔵。幽閉を終えて帰って来た江戸は東京と変わっていた…
一新を経て世の中の変化に戸惑っていたのは鳥居のみならず、彼を取り巻く能役者も同じ。彼らの境遇がよく描かれており、当時を忍ばせる時代背景もよくわかる。 できれば、鳥居耀蔵が幽閉に至った取り締まりぶりが詳細に描いてあるとさらにその時代の混乱がわかったかも。 鳥居耀蔵を取り巻く能役者たちの奮闘ぶりはよかったが、耀蔵の「妖怪」ぶりに期待していたので、そのへんは物足りなさを感じた。 |
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自殺、自殺、自殺。これほどまでに「自殺」という活字が登場する小説もそうないのではと思う。ヤクザが参上なさって、なんとも虚しさを感じた読後感。
でもモアレ縞などの印刷に関する薀蓄や、謎の解明に奔走する様子など、真保さんらしさは出ていたので安心感はあった。でもあまりヤクザは前面に出てほしくなかったなあ… |
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犬を擬人化したお話よりも。犬そのものというよりは「犬」の文字がついた所での青春ものよりも。ちょっとエッチなバター犬?が登場するお話よりも。彼女に振られ犬に見つめられる悩みをもった男のお話よりも。パピーウォーカーをテーマにした横関犬さんの作品が最も「感動」というものをもたらしてくれたようです。犬好きにとっては「感動」をもたらしてくれる物語を期待したけど、やや物足りなさの残るアンソロジーではありました。これなら先日読んだ「猫は見ていた」の方がずっと心をうつ内容でした。
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日本人刑事と韓国人女性刑事のコンビが繰り広げるアクション、というとカッコイイけど、前半はお互いを嫌い合うばかり、セリフもイヤな感じしか残らず、やや冗長も感じさせる。後半はそんな嫌い合うコンビがそれでも協力しあうように。なぜ??と思わせられることも。
全体的に軽くて(これが著者の特徴でもあるが)、表面的、薄っぺらさも感じさせられた。(ももクロや少女時代が出てきた時には正直ドン引きした) でも後半のスリリングさはよかったです。 この軽さは著者でないと味わえないんでしょうね。 |
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「戦場のコックたち」や「オーブランの少女」と読んできた後に、本作を読むとかなりイメージが違うことに気がつく。
女子高生が主人公だということもあるけど、軽いというか少女マンガの世界に入り込んだような印象を受けた。 主人公の”ネギ”や探偵役ともいえる”八女君”などはイキイキとしたキャラで好感が持て、ストーリーはまとまっているのでその辺はGood Job! 新興宗教団体と高校生たちが立ち向かうなど、荒唐無稽でマンガチックではあるけれど、最後はきちんと収束されていると思います。 でもやはり、著者のメリットは「戦場の~」や「オーブラン~」のような作品でこそ生かされると思うので、今後はその路線でお願いしたいのですが... |
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「殺意の産声」から文庫化にあたって「転生」に改題。どちらでもしっくりくる内容。
読んでいて、女性作家の作品?と錯覚するほど女性の立場に立ったようなストーリー。(女性読者が読んでどう思うかはわからないけど)それほど著者は女性の心を描きたかったのかな? 最近女性的な内容の作品が多いような気もする。ハートフルとか純文学ミステリとか名付けられているのは、この辺から来ているのかな? でもなんだか最初から最後まで2時間ドラマにもってこいな内容なのが気になった(いいか悪いかは別として)。 |
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海外の都市5ヶ所を舞台にした貫井さん流どんでん返しがつまった短編集。
実際に各所で取材を重ねて書かれた作品集だけに、貫井さん独特の世界が垣間見える。 でもストーリーとしては、仮に設定をそのままに、舞台を日本国内に置き換えても成り立ってしまうような印象を受けた。要はそれぞれのお国柄が希薄のような。 むしろ、取材旅行記として書かれた「あとがき」の方が面白かったかも。 |
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移動デリがこの小説の象徴となっていて、終盤の意外な展開に驚くことに。全体的に異様に軽い内容なのには少々辟易ぎみで(キャラ設定など)重厚な作品が好みの私めにはツライものがありました。でも最終盤においては、グッとくるところもあったのでまぁよろしいかと。
それにしても、イマドキの中学生ってここまで大人びているものなの!?(・◇・)アヤヤー |
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岬洋介の高校時代のいわゆるエピソード0。
ピアノの演奏シーンはまさしく珠玉の演奏を聴いているようで、このシリーズのひとつの見せ場・読みどころで、曲を聴きながら読むことをオススメします。 しかし、肝心要のミステリの部分は音楽とは全く関係ないところにあるのが残念(´-`) なんだか音楽ミステリでなくても、1作の物語が出来そうで、それこそ'どこかにベートーヴェン'が挿入されているような印象。 次回作に「もう一度ベートーヴェン(仮題)」があるそうで、そちらを期待しましょう。 |
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太宰治「晩年」...
一度使ったテーマを再登場させるのはいかがなものか…というのはあった。 個人的なことではあるが、このシリーズで、古書に関する薀蓄を数多く知りたいというのがあり、前巻まででも楽しませてもらったが、 「晩年」は既出であり、再登場させたのははネタギレ!?を思わせるものが正直あった。 でも、1巻通して太宰スペシャルだし、今回はじめて「晩年」を読んでみようと思わせたのも確かである。 ストーリーとしては依然面白いです。よく考えられていると思います。 五浦くんと栞子さんのラブストーリーの行方も気になるところですが、それはほんのサイドストーリー的に扱ってもらって、 次巻以降も古書にまつわる薀蓄&ミステリ全開でお願いしたいところです。 |
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本作を大幅改訂して刊行されたものが「迷宮遡行」。著者によると、”主人公を始めとする登場人物の設定、物語のトーン、発端と結末など、かなりの部分で変更があります。七割は新たに書き下ろした原稿なので、まったく別の作品と思っていただきたい”とのこと。
なるほど、完成度としては「迷宮遡行」に比べればやや物足りない感はある。 でもそれはそれで、別の作品として考えれば、十分成り立っている作品と言えます。 最後のどんでん返しは、初期の時点で貫井流が炸裂しています。 本作は「迷宮遡行」が出ている時点で絶版状態でしょうが、某古本屋で安価で手に入ったのはラッキーで貴重な買い物です。 |
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このミス大賞にて「さよならドビュッシー」と同時に最終選考まで残った「災厄の季節」(「連続殺人鬼カエル男」と改題して刊行)の映画化に向けて、その制作現場を描いた青春ミステリ。「ドビュッシー」は映画化が叶ったが、「災厄~」はその描写のエグさ故、不可能となってしまったことをこういった形で「実現」することを思いついた着眼点はさすが七里さんならでは。
ストーリー的には七里さんらしさは出ているが、登場人物が多く、セリフも多くて全体的にゴチャゴチャしたイメージが残念。 でも実際、どちらも映画化されて両者と比較、これが同一人物による作品か?と世間を驚かせてみたかったのは本音。 |
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読んでる最中、読み終わってなんだか既視感を感じずにはいられなかった。
冒頭の殺人現場、終盤の”格闘”シーン。「カエル男」によく似たシーンが。。。 ”格闘”シーンがなんともクドかったなぁ。 でも終盤に向かっての高揚感とラストの衝撃はやはり著者ならではの迫力がありました。 いわゆる「ウラ七里」の作品はこういったエグイシーンが持ち味の作品が多いのでしょうね。 「ウラ七里」のあとに口直しに「さよならドビュッシー」を始めとする「オモテ七里」を読むのがよいようで。 |
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代理出産ビジネスの闇を描いた、女性作家ながらなかなかに骨太なミステリーです。
いわくありげな中国人を巧に動かしている点もいい。 しかしながら、サブタイトルにある「蛭川タニア」のキャラクターがイマイチ解せない。 謎の女捜査官として、そのキャラはあまりにクールで共感が得られない。 サブタイトルに名前を出すならもっと前面に出せばいいのに。 テーマがよかっただけに少々残念なキャラ設定です。 |
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