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本好き! さんのレビュー一覧

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レビュー数329

全329件 41~60 3/17ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.289: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

蒼天の鳥の感想

実在した人物を主人公に、史実を織り交ぜながらぐっと引き込まれるミステリを創り上げてくれた。自分好みで乱歩賞の中でもトップクラスの読後感。これまで知らなかった田中古代子・千鳥親子の活躍と行末。作中、二人の存在感が素晴らしいだけに、最後は涙なしでは読めなかった。
それでも、この二人の功績を知ることができたのは大きな収穫。親子揃って夭折したのは残念至極だが、母親の古代子はもちろん、7歳というあまりにも短い人生において、子供とは思えないほどの作品を遺した娘・千鳥の功績はこれからも語り継いで言ってほしいものである。
蒼天の鳥
三上幸四郎蒼天の鳥 についてのレビュー
No.288:
(9pt)

たゆたえども沈まずの感想

著者は史実とフィクションを巧みに織り交ぜた作品創りが実にうまい。架空の人物である加納重吉が実在していたかのように存在感を示している。
また、テオとフィンセントの兄弟愛も読み応えがある。
ただし、特に前半部分では登場人物たちに感情移入出来なかったのが残念。キャラクターが独りよがりすぎたか。後半になってようやく感動を覚えるようになった。
たゆたえども沈まず
原田マハたゆたえども沈まず についてのレビュー

No.287:

水葬 (徳間文庫)

水葬

鏑木蓮

No.287: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

水葬の感想

惜しくも今年(2023年)亡くなった著者の作品を久しぶりに手に取った。限界集落を題材に生命とは?を考えさせてくれる良質のミステリー。
セリフの部分が多く、それによってストーリーを進めていくイメージが少し気になったが、徐々に真相がわかってくるにつれ、どこか現実に起きていても不思議はない気持ちにさせてくれたし、早く続きが読みたい!とわくわくさせてくれもした。事実。著者の作品はともすると(テーマ的に)地味な印象があるが、それはそれで著者の持ち味であると思う。
今後新作が読めないのは残念ではあるが、生命の重さを実感させてくれる作者に巡り合えたのは貴重な経験である。
水葬 (徳間文庫)
鏑木蓮水葬 についてのレビュー
No.286: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

蝶々殺人事件の感想

「本陣殺人事件」と並び称される本作であるが、個性的な金田一耕助と比して、由利麟太郎はその知名度といい、どうしても地味な印象が残る。でも、本作はあらゆるトリックやミステリの要素を取り入れ、鮮やかであった。コントラバスに詰められた死体というシチュエーションもとある作品からのヒントを得ているとのことで、あの時代にこれだけの作品が創れるのはさすがその名を知らぬ者はいない横溝。
しかし、横溝作品を読んだの何年ぶりだろう。読んだことのある横溝作品はいずれも金田一耕助ものであったことに今気づいた。由利麟太郎も忘れずに!
蝶々殺人事件 (角川文庫)
横溝正史蝶々殺人事件 についてのレビュー
No.285: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

空想の海の感想

11編の趣の異なる短編たち。
「海」で不思議な感覚を覚え、「髪を編む」で笑わせてもらい、
「耳に残るは」で背筋を冷やしてもらった。
「御倉館に収蔵された12のマイクロノベル」で唸らせていただき、
「この本を盗む者は」のスピンオフ「本泥棒を呪う者」は最も感動をくれた編。もう一度「この本を盗む者は」を読んでみようか。
そして「緑の子どもたち」で爽やかさを感じるうちに本作を閉じた。
改めて著者のバラエティ溢れる作品群に没頭できる数日間だった。
空想の海
深緑野分空想の海 についてのレビュー
No.284: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

小説 星守る犬の感想

原作者・村上氏によると、実際にあった事件がモチーフになっているらしい。犬好きなら感動的な作品ではあるが、後味はあまりいいとは言えない。亡くなった当人たちの本心も分からずに第三者がきっと幸せだったろう、と考えるのはどうも…
そういったことを美化したような印象も残る。現実的なことを考えると、そんな美しい話ではなさそうだし。
小説 星守る犬<新装版> (双葉文庫)
原田マハ小説 星守る犬 についてのレビュー
No.283: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

風神雷神の感想

原田マハ版「風神雷神 Jupiter,Aeolus」との読み比べでわかる謎の絵師・俵屋宗達の作家ならではの宗達論。原田版は歴史青春小説なのに対し、柳版は本格的歴史小説といえるか。
評論的な部分もあって、史実に近いのかとも思える。それもあってかところどころに横文字が出てくるのがやや気になった。
でも、ラストに向けてドラマチックになるのはこちらが上か。
本阿弥光悦、出雲阿国、烏丸光広らとの出会い・絡みは面白かった。
風神雷神 (上) (講談社文庫)
柳広司風神雷神 についてのレビュー
No.282:
(8pt)

上水流涼子の究明: 合理的にあり得ない2の感想

比較的コミカル系のシリーズ第2弾。わかりやすいストーリーで、重いテーマが多い著者にしてみれば、閑話休題的な軽妙感。できれば重厚感のある作品の方が著者の長所が出ているとは思う。
TVドラマ化されているが、もしこれが、ドラマ化を前提に書かれたものだとすると、個人的には残念ではある。
合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明
No.281: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

D坂の殺人事件の感想

創元推理文庫の乱歩全集にある挿絵は、昭和いや大正感が出ていて、乱歩の世界にどっぷりつかれる。一見何が描かれているのかわからないところがGood。
明智小五郎が初登場する「D坂の殺人事件」をはじめ、「虫」「石榴」を読めただけでも本書を手にとって良かったと実感。
D坂の殺人事件 (江戸川乱歩文庫)
江戸川乱歩D坂の殺人事件 についてのレビュー
No.280:
(9pt)

戦火のオートクチュールの感想

ブランドには興味がないが、謎多きココ・シャネルと彼女を絡めた完成度の高い歴史ミステリーとして、本作は史実を絡めたその本質を極めていると感じさせる。
ココ・シャネルやヒトラーが生きた時代の混沌も彩りを添えて、戦時中と現代を巧みにつなぎ合わせたところも実にドラマチック。
戦火のオートクチュール(祥伝社文庫さ24-1)
佐野広実戦火のオートクチュール についてのレビュー
No.279: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ラブカは静かに弓を持つの感想

音楽小説とスパイ小説の融合。主人公・橘はどこか「ピアノマン」の雪祈に似た雰囲気を持っている印象を持ったが、音楽をやる人間はこのキャラクターが似合うのか。音楽教室の仲間や浅葉先生もそれぞれいいキャラクターで音楽好きには納得の作品。
ラブカは静かに弓を持つ
安壇美緒ラブカは静かに弓を持つ についてのレビュー
No.278:
(8pt)

春の物語: 3分間ノンストップショートストーリー ラストで君は「まさか!」と言う12の感想

命名!「童話ミステリー」
ラストで「まさか!」とまでは言わないけど、どこかホッコリするお話が詰まっています。
なかでも「マスクの笑顔」「片割れ雛」「キミの名は……?」「卒業式の前日」「きみがこぼした花」は思わず笑みがこぼれてきます。癒やされたいときにオススメの25篇。
ラストで君は「まさか! 」と言う 春の物語 (3分間ノンストップショートストーリー)
No.277: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

数学の女王の感想

爆弾事件といつテーマ自体に目新しさはないものの、なかなかによく練られているし、女性作家ならではの視点で場面、台詞などがきめ細やか。
数学を物語にはめ込んでいくなら、いっそのこと何やらややこしい数式を散りばめて、トリックなり事件解決に繋がる暗号のようなものにしていくと「数学」というものが生きたかも。
数学の女王 道警 沢村依理子 (講談社文庫)
伏尾美紀数学の女王 道警 沢村依理子 についてのレビュー
No.276:
(9pt)

鴨川食堂ひっこしの感想

鴨川食堂が上賀茂に移転!?これまでとは趣の違ったストーリー展開、今後はどうなっていくのか興味が唆られる。「鴨川食堂おでかけ」という初めての試み(ファンサービス?)や「産大」の登場で思わずほっこり。
上賀茂に移転した新・鴨川食堂の流・こいし親子の進化した姿を期待!
鴨川食堂ひっこし (小学館文庫 か 38-13)
柏井壽鴨川食堂ひっこし についてのレビュー
No.275: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

風神雷神 Jupiter,Aeolus の感想

アートミステリーの名手による感動の歴史青春小説。大半はフィクションだろうが、若き日の宗達や遣欧使節の少年たちが実際にそうだったかもと思わせるほどのリアリティで芸術を求めて命懸けの旅をする。旅の途中もさることながら、ローマにおける現地での絵画との衝撃の出逢い。シーンひとつひとつがまさに絵画的で、読んでいるこちらもそれを共有しているかのよう。
プロローグとエピローグに登場する望月彩。マハさんの分身かも、とも思わせてくれた。
風神雷神 Juppiter,Aeolus(上)
原田マハ風神雷神 Juppiter,Aeolus についてのレビュー
No.274: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

神様の絆創膏の感想

取ってつけたようなストーリーではある。これだけの材料をそろえたぞ、さぁ感動しろと押し付けられている感じはあった。でも、よく考えられた筋書きだし、生きる意味、宮司と男の子と猫がうまいこと配置されていて、ほっこりするシーン満載、本作の特徴ではあると思う。
個人的にも、それぞれの章の主人公にどこか通じるところがあったり、勇気をもらえたりして読んで損はない作品だと思いました。著者のこの路線、いいですよ、次も読みたいと思わせてくれました。
神様の絆創膏 (メディアワークス文庫)
村瀬健神様の絆創膏 についてのレビュー
No.273: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

なぜ「星図」が開いていたかの感想

初期短篇8篇からなる傑作ぞろい、昭和30年代初期ということを考えれば、今なお人気を博しているのがわかるというもの。「顔」や「張込み」といった映像化作品もいいし、個人的には本作最後を飾る「共犯者」は最高に面白かった。
長篇も短篇もやはり面白い作品揃いです。
なぜ「星図」が開いていたか (新潮文庫)
松本清張なぜ「星図」が開いていたか についてのレビュー
No.272: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

教誨の感想

テーマがテーマなだけに、非常に重いものが全体的に漂う。「約束」の真相はともかく、重苦しさに終始しても、最後は救われる。また、田舎町の閉鎖的な風土もよく出ていると思う。
東北を舞台にした著作が多い著者であるが、書くのがつらかったというのがよくわかった。

教誨
柚月裕子教誨 についてのレビュー
No.271: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

小説家の一日の感想

「書く」ことをテーマにした十編の短篇小説。短篇小説の名手といわれるだけあり、「書く」だけでもこれだけ多彩に描けるのかと感銘うけるし、情景が(良くも悪くも)まざまざと浮かんでくる。
個人的には「凶暴な気分」がお気に入り。仕事の鬱憤、誰でも溜まってますよね。「窓」は初めから最後まで、気分、悪。「小説家の一日」はシリーズ化を希望。
小説家の一日
井上荒野小説家の一日 についてのレビュー
No.270: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

残照の感想

やはり本城さんの競馬ミステリは面白い。
前半は競馬サークルの人たちの馬、競馬に対する思いが詰まったお仕事小説的な意味合いが強いが、後半になるにつれてミステリ色が濃くなっていく。
ミステリの部分は極オーソドックスだが、競馬に係る部分であの独特な世界の内面がよくわかってくる。馬という動物を扱うだけい、どんな社会よりも苦労が多い世界なんだなと思い知らされた。そして、あのラスト。ドラマチック。まさに残照。
残照
本城雅人残照 についてのレビュー