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Tetchy さんのレビュー一覧

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レビュー数1426

全1426件 1101~1120 56/72ページ

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No.326:
(4pt)

読み手として未熟でした。

結局の所、ハードボイルドについて云えば、そのストーリーもしくはプロットの妙もさる事ながら、その纏う雰囲気、文体にのれるかのれないかによる所が大きい。
心情の判らないサム・スペード物に比べれば今回のコンチネンタル・オプ物は主人公の内面に当たる所があり、今までのハメット作品の中ではのれた部類に入るのだが、正直云ってやはり物足りない。
コンチネンタル探偵社がオプを中心にチームワークで事件に当たるのは(私の中で)今までになくフレッシュな感覚があるのだが、その分登場人物が多過ぎて訳判んなくなってしまった。う~ん。
コンチネンタル・オプの事件簿 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
No.325:
(8pt)

島田荘司のショートショートが読めるのは本書だけ!

これは珍しい!島田荘司のショートショートなんて初めて読んだ。従来書いているミステリとは違い、論理的帰結のない、SF小説というか幻想文学めいた内容であるのは興味深い。つまりいわゆる幻想的・魅惑的な謎の下地がここにある。
その他の短編も島田荘司ならではの着想がやっぱり面白い。ページを繰る手がもどかしいとはこのことで、その疾走感はたまらない。
名作名高い「糸ノコとジグザグ」もメタ御手洗物でなかなか良かった。
改訂完全版 毒を売る女 (河出文庫)
島田荘司毒を売る女 についてのレビュー
No.324:
(7pt)

安心印のミステリ。

キャラクターに魅力があるとそれだけで作者の勝ちは決まったものである。私の場合はそれに文体が加わってくるのだがこのギデオン・オリヴァーシリーズ、いやアーロン・エルキンズ一連の作品群の醸し出す独特のユーモアとウィットに溢れた作品は本当に毎回心地よく愉しませてくれる。
またミステリを読む楽しみの1つに自分の知識を増やしてくれる事というのがあるが、この骨の専門家のお話にはその辺が横溢しており、かつ全体のユーモアのスパイスとして十分に活かされているのが良い。
眠気のせいで物語に没入できなかったこともあったが、今回も十分満足できた。
洞窟の骨 (ミステリアス・プレス文庫)
アーロン・エルキンズ洞窟の骨 についてのレビュー
No.323:
(7pt)

期待したものの、何か違ってました。

前半、軽妙なリズムで話が流れて、主人公ネド・ボーモンの曲者振りがいかんなく発揮され、かなりの手ごたえを感じた。特にネドが敵役のシャドの手下達にリンチを受けるシーンは徹底した第三者視点の描写ながら、その執拗な攻撃に身震いを起こしてしまった。
だが後半になると、人物間のドロドロした話となり、いささか辟易してしまった。
ガラスの鍵 (創元推理文庫 130-3)
ダシール・ハメットガラスの鍵 についてのレビュー
No.322:
(1pt)

残念な作品だ。

結局、この物語で語りたかった事は何だろう?
不可能状況、不可解状況を作り出すためにわざわざ登場人物達を歪曲したような感が強く、興醒めした。
物語を語るのなら、例え登場人物に通常考えられないような奇癖、性格を持たせても、納得できるような描写、説明が必要である。現実にありえない事でもそれを思いつき、理論立てた作者の力量に感嘆するのだが、本作にはそれが皆無である。だから真相を明かされても、ご都合的だと思われ、カタルシスがないのだ。
あ~、とても残念だ。
囁く影 (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-8)
ジョン・ディクスン・カー囁く影 についてのレビュー
No.321:
(8pt)

解ってても心が引っ張られる。

俺は女に弱い。
特に明るい女に弱い。

事件には派手さはないが奇矯で、解決は実にアクロバティックであり、つまり島田荘司色を今回も見せてくれるが、それよりも茂野恵美の存在である。
最初の登場シーンから、このキャラが物語の情の部分を支えるキープレイヤーなのだとは承知していたが、頭が判っていてもやはり心が動くのである。これは『異邦の騎士』の石川良子に一脈通ずるものがある。
やはり島田氏はこの上もなくロマンティストなのだ。

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灰の迷宮 (光文社文庫)
島田荘司灰の迷宮 についてのレビュー
No.320:
(7pt)

サーヴィス満点です。

良くも悪くもサーヴィス精神旺盛である。畳み掛けるようにこれでもか、これでもかとばかりに山場を積み重ねていく。
主人公に他の皆とは違う特異性を持たせるのがクーンツの特色だが、『殺人プログラミング』同様、その根拠というか蓋然性はいまいち説得力に欠ける。そこが瑕と云えば瑕だが、これだけエンタテインメントしてれば良しとしよう。
闇の殺戮 (光文社文庫)
ディーン・R・クーンツ闇の殺戮 についてのレビュー
No.319:
(4pt)

読み手である自分の知識の無さが悔しい。

この評価は単に面白くなかったという訳ではない。あくまで自分の好みと合わなかったまでの事である。
というのも余りにも本格的過ぎて、出てくる名詞が十分理解できなかったことが大きい。また物語の焦点となる写楽への言及がなかなか始まらなかったこともやきもきさせられた。
ともあれ、写楽を通じて江戸風俗を蘇らせる事も作者の意図する所であるだろうし、作者の趣味をそこここに万遍無く導入させたかったのであろう。しかし、この作品をああいった形で結ぶのは素晴らしい。
写楽百面相 (創元推理文庫)
泡坂妻夫写楽百面相 についてのレビュー
No.318:
(3pt)

なぜ高評価なの?

書評家諸氏の方々が云う「驚嘆の結末」とは一体何なのだろう?

何故この作品はそれほど評価が高いのか?

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弓形の月 (双葉文庫)
泡坂妻夫弓形の月 についてのレビュー
No.317:
(4pt)

意外な感じがします。

またもややってしまった…。この睡魔をどうにかしてくれ!
前半は特に眠気もなく、快調だったのだが、後半の4日間はもうほとんど脳が寝ていた。従って物語が流れるままを追う、何ともつまらない読書になってしまった。

さて本書はハメットには珍しくフーダニットをメインとした謎解きのミステリであり、探偵もニックのノラの明るい夫婦が務める軽妙な仕上りになっている。所謂ハメットらしさが一番希薄なのだが、あのハメットがこんなのも書いていたのを知るには絶好の一作ではなかろうか。
影なき男 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ダシール・ハメット影なき男 についてのレビュー
No.316:
(10pt)

昭和の短編集だが中身は予見的。

珠玉の短編集である。「法月綸太郎の冒険」に匹敵するクオリティを持つ。
まず目次を開いて並んだ諸作の題名を見て感じたのは江戸川乱歩へのオマージュかという事。実際最後の2編は乱歩作品の本歌取りであった。
だが何にも増して驚嘆させられたのはその先駆的題材である。
昨今巷間を賑わしているストーカー犯罪、キレる若者による突発的犯行。“昭和62年”の時点でこの“平成の世”の社会の歪みを予見していたかのようである。恐るべし、島田、流石は島田と褒め称えよう!

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展望塔の殺人 (光文社文庫)
島田荘司展望塔の殺人 についてのレビュー
No.315:
(5pt)

ちょっとだけマシかな。

内容はよくあるダメな男(この場合は少年だが)が自分の身に降りかかった災難を打破するために一念発起し、新たな自分に生まれ変わるといった常道を踏襲しており目新しさは特にない。
強いて云うならば今までのクーンツ作品感じてきた「何故こういう事になったのか」という理由が曖昧だったのに対し、今回は明瞭だった事(ロイの性格の事ね)。また、ロイからのコリンの逃亡劇も迫真物だった。
闇の囁き (光文社文庫)
ディーン・R・クーンツ闇の囁き についてのレビュー
No.314:
(3pt)

作者自身、途中で背負い投げ?

柔道をテーマにミステリが書けるかを主題にしたかどうかは判らないが、恐らくは織口哲という一人の武士を主役に所謂立身伝みたいなものを書いてみたかったのではないだろうか?
しかしプロットは上滑りしているような感じで、特に登場人物の相関が何ともまあ、少女漫画的である。織口哲のストイックさ、実直さは今の我々にないものであり、ある意味ハードボイルドかもしれない。
だが、作者は最終的に本作が失敗作だと自覚したのではあるまいか?結末を読むとどうもそう思えてならない。
旋風 (集英社文庫)
泡坂妻夫旋風 についてのレビュー
No.313: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

奇跡の小説

ストーリーやプロットに驚嘆はない。もうこれはひたすら文章構成に全てがある。
これは推理小説界のみならず、文壇史上最高の仕事だと云っても過言ではないし、また歴史に残る一作と云ってしまいたい。
日本語の持つ二面性を巧みに利用して行間さえをもトリックにしてしまう技の冴え!何処までこの作者は行ってしまうのだろうか!?頭の中身はどんな風になっているのだろうか?小説にはまだこんな奇跡を起こす事が出来る、そんな無限の可能性を感じさせた一作だ。
生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術 (新潮文庫)
No.312:
(5pt)

すみません。

本当に運が悪い。仕事の忙しさに押し潰されてボロボロの読書だった。会社のパソコンが壊れたのも大きな原因だし、御蔭で何が何やらさっぱり理解できなかった。
名作の誉れの高い本書をこういう形で読了してしまうとは、一生の汚点である。表面を撫でただけのような浅薄さが残っているだけで何ともいえない喪失感がある。
仕事がプライヴェートにまで波及してきてしまった。全くあってはならない事だ。内容についての感想よりも以上が正直な感想だ。
血の収穫 (創元推理文庫 130-1)
ダシール・ハメット血の収穫(赤い収穫) についてのレビュー
No.311:
(4pt)

非常にご都合主義なストーリー展開。

状況を盛り立てる為のホラー性は無論だが、御都合のいいストーリー展開にも辟易である。
ただこの作品、続編がありそうな気配もあるが、どうだろうか?

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闇の眼 (光文社文庫)
ディーン・R・クーンツ闇の眼 についてのレビュー
No.310: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

メインの謎よりもあの人が気になる!

G・K・チェスタトンの『ブラウン神父』シリーズと並び称されるほど、世評の高い本書は、私の期待値が高過ぎたためか抱いた感慨は世間のそれとは隔たりを生じてしまった。
1つ1つの短編については、今になってみれば過去の名作へのオマージュのように受け取れなくも無い。特に最後の「黒い霧」はブラウン神父の「青い十字架」の裏返しといった作品である。ただ真相解明に至った時のパンチ力が無い。理路整然とし過ぎているのだ。
しかし、私の本シリーズへの関心はもっと別の所にある。各編に登場する「三角顔の老婦人」、この人は果たして何者なのかという事である。

亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫)
泡坂妻夫亜愛一郎の狼狽 についてのレビュー
No.309:
(10pt)

物語の疾走感に打ち震えました。

まさに私をして、これがクーンツなのかと驚嘆させられた一作。初の「クーンツ体験」としてこの作品を読んだ事を実に幸運に思う。
内容は正にこれぞエンタテインメントとばかりに畳み掛ける活劇のオンパレードである。男やもめの獣医の再婚話と村人に起きたごく小さな災い事という静かな立上り方からソーンズベリの狂気の度合いと呼応するように徐々に加速度を増していく筋運びは職人技の一言に尽きる。
特に以前評判になったサブリミナル効果を’77年に主題として扱っているあたりにクーンツの先見性をまざまざと見せ付けられた。いやはや流石はクーンツである。
殺人プログラミング (光文社文庫―海外シリーズ)
No.308:
(8pt)

マルタの鷹の正体とは?

エラリー・クイーンやエルキュール・ポアロ、さらにHM卿が活躍していた時代にサム・スペードのようなリアルな探偵が出てきたことは正に衝撃だったろう。事件を解決して自らの何かを失う探偵なぞ当時の本格派の探偵にいただろうか?
社会の裏側で生きる者たちに対抗するには探偵それ自身がその手を、その身を汚さなければならない。己が生きるためにはかつて愛を交わした女でさえも売らなければならない、こんな探偵は存在しなかったはずである。
生きることのつらさと厳しさ、そして卑しさをまざまざと見せ付けた本書は、自身が探偵であったハメットでなければ描き得なかった圧倒的なまでのリアリティがある。
故に本書の軸となる黄金の鷹像の存在が妙に浮いた感じを受けるのである。
マルタの鷹は何かの象徴か?マルタの鷹は存在したのか?私にはマルタの鷹が誰もが抱く富の憧れが生み出した歪んだ幻想だと思えてならない。
マルタの鷹【新訳版】 (創元推理文庫)
ダシール・ハメットマルタの鷹 についてのレビュー
No.307:
(7pt)

漠とした余韻の正体とは?

本作のメインとなる殺人事件は、実はさほど興味深いものではなく、真相もショッキングではあるが、私自身が予想していたそれとほぼ同じだった。だが読後の余韻は漠とした何かを残した。
菊池刑事の、木山法子が瀕死の重体であるにも拘らず、傍にいられない無念さか、古川教諭の、生徒を思う心か、鳥越ゆかりの孤独か、それ以外かどうか判らない。それらは所謂ステレオタイプな設定だと思うからだ。
しかし、何かは確かにある。

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Yの構図 (光文社文庫)
島田荘司Yの構図 についてのレビュー