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Tetchy さんのレビュー一覧

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レビュー数1418

全1418件 1101~1120 56/71ページ

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No.318:
(3pt)

なぜ高評価なの?

書評家諸氏の方々が云う「驚嘆の結末」とは一体何なのだろう?

何故この作品はそれほど評価が高いのか?

▼以下、ネタバレ感想
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弓形の月 (双葉文庫)
泡坂妻夫弓形の月 についてのレビュー
No.317:
(4pt)

意外な感じがします。

またもややってしまった…。この睡魔をどうにかしてくれ!
前半は特に眠気もなく、快調だったのだが、後半の4日間はもうほとんど脳が寝ていた。従って物語が流れるままを追う、何ともつまらない読書になってしまった。

さて本書はハメットには珍しくフーダニットをメインとした謎解きのミステリであり、探偵もニックのノラの明るい夫婦が務める軽妙な仕上りになっている。所謂ハメットらしさが一番希薄なのだが、あのハメットがこんなのも書いていたのを知るには絶好の一作ではなかろうか。
影なき男 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ダシール・ハメット影なき男 についてのレビュー
No.316:
(10pt)

昭和の短編集だが中身は予見的。

珠玉の短編集である。「法月綸太郎の冒険」に匹敵するクオリティを持つ。
まず目次を開いて並んだ諸作の題名を見て感じたのは江戸川乱歩へのオマージュかという事。実際最後の2編は乱歩作品の本歌取りであった。
だが何にも増して驚嘆させられたのはその先駆的題材である。
昨今巷間を賑わしているストーカー犯罪、キレる若者による突発的犯行。“昭和62年”の時点でこの“平成の世”の社会の歪みを予見していたかのようである。恐るべし、島田、流石は島田と褒め称えよう!

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展望塔の殺人 (光文社文庫)
島田荘司展望塔の殺人 についてのレビュー
No.315:
(5pt)

ちょっとだけマシかな。

内容はよくあるダメな男(この場合は少年だが)が自分の身に降りかかった災難を打破するために一念発起し、新たな自分に生まれ変わるといった常道を踏襲しており目新しさは特にない。
強いて云うならば今までのクーンツ作品感じてきた「何故こういう事になったのか」という理由が曖昧だったのに対し、今回は明瞭だった事(ロイの性格の事ね)。また、ロイからのコリンの逃亡劇も迫真物だった。
闇の囁き (光文社文庫)
ディーン・R・クーンツ闇の囁き についてのレビュー
No.314:
(3pt)

作者自身、途中で背負い投げ?

柔道をテーマにミステリが書けるかを主題にしたかどうかは判らないが、恐らくは織口哲という一人の武士を主役に所謂立身伝みたいなものを書いてみたかったのではないだろうか?
しかしプロットは上滑りしているような感じで、特に登場人物の相関が何ともまあ、少女漫画的である。織口哲のストイックさ、実直さは今の我々にないものであり、ある意味ハードボイルドかもしれない。
だが、作者は最終的に本作が失敗作だと自覚したのではあるまいか?結末を読むとどうもそう思えてならない。
旋風 (集英社文庫)
泡坂妻夫旋風 についてのレビュー
No.313: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

奇跡の小説

ストーリーやプロットに驚嘆はない。もうこれはひたすら文章構成に全てがある。
これは推理小説界のみならず、文壇史上最高の仕事だと云っても過言ではないし、また歴史に残る一作と云ってしまいたい。
日本語の持つ二面性を巧みに利用して行間さえをもトリックにしてしまう技の冴え!何処までこの作者は行ってしまうのだろうか!?頭の中身はどんな風になっているのだろうか?小説にはまだこんな奇跡を起こす事が出来る、そんな無限の可能性を感じさせた一作だ。
生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術 (新潮文庫)
No.312:
(5pt)

すみません。

本当に運が悪い。仕事の忙しさに押し潰されてボロボロの読書だった。会社のパソコンが壊れたのも大きな原因だし、御蔭で何が何やらさっぱり理解できなかった。
名作の誉れの高い本書をこういう形で読了してしまうとは、一生の汚点である。表面を撫でただけのような浅薄さが残っているだけで何ともいえない喪失感がある。
仕事がプライヴェートにまで波及してきてしまった。全くあってはならない事だ。内容についての感想よりも以上が正直な感想だ。
血の収穫 (創元推理文庫 130-1)
ダシール・ハメット血の収穫(赤い収穫) についてのレビュー
No.311:
(4pt)

非常にご都合主義なストーリー展開。

状況を盛り立てる為のホラー性は無論だが、御都合のいいストーリー展開にも辟易である。
ただこの作品、続編がありそうな気配もあるが、どうだろうか?

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闇の眼 (光文社文庫)
ディーン・R・クーンツ闇の眼 についてのレビュー
No.310: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

メインの謎よりもあの人が気になる!

G・K・チェスタトンの『ブラウン神父』シリーズと並び称されるほど、世評の高い本書は、私の期待値が高過ぎたためか抱いた感慨は世間のそれとは隔たりを生じてしまった。
1つ1つの短編については、今になってみれば過去の名作へのオマージュのように受け取れなくも無い。特に最後の「黒い霧」はブラウン神父の「青い十字架」の裏返しといった作品である。ただ真相解明に至った時のパンチ力が無い。理路整然とし過ぎているのだ。
しかし、私の本シリーズへの関心はもっと別の所にある。各編に登場する「三角顔の老婦人」、この人は果たして何者なのかという事である。

亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫)
泡坂妻夫亜愛一郎の狼狽 についてのレビュー
No.309:
(10pt)

物語の疾走感に打ち震えました。

まさに私をして、これがクーンツなのかと驚嘆させられた一作。初の「クーンツ体験」としてこの作品を読んだ事を実に幸運に思う。
内容は正にこれぞエンタテインメントとばかりに畳み掛ける活劇のオンパレードである。男やもめの獣医の再婚話と村人に起きたごく小さな災い事という静かな立上り方からソーンズベリの狂気の度合いと呼応するように徐々に加速度を増していく筋運びは職人技の一言に尽きる。
特に以前評判になったサブリミナル効果を’77年に主題として扱っているあたりにクーンツの先見性をまざまざと見せ付けられた。いやはや流石はクーンツである。
殺人プログラミング (光文社文庫―海外シリーズ)
No.308:
(8pt)

マルタの鷹の正体とは?

エラリー・クイーンやエルキュール・ポアロ、さらにHM卿が活躍していた時代にサム・スペードのようなリアルな探偵が出てきたことは正に衝撃だったろう。事件を解決して自らの何かを失う探偵なぞ当時の本格派の探偵にいただろうか?
社会の裏側で生きる者たちに対抗するには探偵それ自身がその手を、その身を汚さなければならない。己が生きるためにはかつて愛を交わした女でさえも売らなければならない、こんな探偵は存在しなかったはずである。
生きることのつらさと厳しさ、そして卑しさをまざまざと見せ付けた本書は、自身が探偵であったハメットでなければ描き得なかった圧倒的なまでのリアリティがある。
故に本書の軸となる黄金の鷹像の存在が妙に浮いた感じを受けるのである。
マルタの鷹は何かの象徴か?マルタの鷹は存在したのか?私にはマルタの鷹が誰もが抱く富の憧れが生み出した歪んだ幻想だと思えてならない。
マルタの鷹【新訳版】 (創元推理文庫)
ダシール・ハメットマルタの鷹 についてのレビュー
No.307:
(7pt)

漠とした余韻の正体とは?

本作のメインとなる殺人事件は、実はさほど興味深いものではなく、真相もショッキングではあるが、私自身が予想していたそれとほぼ同じだった。だが読後の余韻は漠とした何かを残した。
菊池刑事の、木山法子が瀕死の重体であるにも拘らず、傍にいられない無念さか、古川教諭の、生徒を思う心か、鳥越ゆかりの孤独か、それ以外かどうか判らない。それらは所謂ステレオタイプな設定だと思うからだ。
しかし、何かは確かにある。

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Yの構図 (光文社文庫)
島田荘司Yの構図 についてのレビュー
No.306:
(7pt)

多様化した現代ではもう驚かない?

『乱れからくり』と並んで初期の泡坂の代表作と評される本書は、やはり時代の流れか、当時の読者諸氏を唸らせた衝撃はもはや薄れてしまっていた。価値の多様化が顕著になった昨今では、特に奇抜さを齎さなくなってしまった。

しかし、それでも尚、作者は手練手管を使って読者を煙に巻く。

しかし本作を読んで痛感したのは、時代がオープンになればなるほど、我々の常識が崩され、謎という暗闇が小さくなってしまう事だった。

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湖底のまつり (創元推理文庫)
泡坂妻夫湖底のまつり についてのレビュー
No.305:
(5pt)

上手く読み取れませんでした。

この小説で語られるべき主題、もしくはコンセプトが今一歩理解できていない。
本書で語られるストーリーは、妻の失踪までの経緯を軸とした1つと山梨のある土地で起きた殺人事件の真相を追う刑事の物語が平行線を辿り、そしてある一点で交錯し、そしてまた平行を保つ。それは再び交点を結ぶような予感を漂わせて物語は唐突に終わる。なぜなら全てが語られた今、そこから先は語るに無意味なのだからだろう。
しかし、この物語、この構成を以ってして作者が何を語りたかったのか、未だに判らない。

一方本書に収録されている「かげろう飛車」は所謂暗号小説である。
泡坂作品の特徴の1つに「言葉遊び」が挙げられる。回文、仕掛本、ダブルミーニング、アナグラムと多種多彩である。ただそういった趣向を凝らした場合、その仕掛に膨大な労力を注ぎ過ぎて肝心のプロット、ストーリーがやや浅めであることは否めない。
本作もその例に漏れず、ややパワー不足といった感は確かだ。
ただ、暗号となる手紙の内容と全体のストーリーがマッチしているのは流石で、短編であるがゆえに冗漫にならなかったのが救いだ。
斜光―昭和ミステリ秘宝 (扶桑社文庫)
泡坂妻夫斜光 についてのレビュー
No.304: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(1pt)

合わないんだよなぁ、やっぱり。

いやいや、フランスのミステリ(文学?)というのはリアリティを持たすためにそれが実際の出来事であったかのように作者本人まで登場する。そういった趣向と物語の性質がやはり自分の好みに合わない。何度も新訳出版されている歴史的価値の高い本書もまたそうである。
ただ、後に『13日の金曜日』シリーズの“ジェイソン”や『エルム街の悪夢』シリーズの“フレディ”に代表される怪人物の源流を作った功績はやはり意義あることだと思う。特に怪人エリックがその醜さゆえに愛されなかった苦悩を吐露する所など、怪人であることの哀しさを含ませてその造詣に膨らみを持たせていることは「ルルー、只者でなし!」の感もあった。
が、やはり自分には合わなかった。
オペラ座の怪人 (角川文庫)
ガストン・ルルーオペラ座の怪人 についてのレビュー
No.303:
(5pt)

案外普通の短編集でした。

ヨギ ガンジー物の次作『しあわせの書』をして傑作たらしめたのはストーリーテリングではなく、その本の持つ特異性であった。次々作『生者と死者』もまた然り。つまりそんな遊び心を持たせていない本書は純粋に物語で勝負したわけだが、それがために決して逸品とは云い難い。何しろ主人公のヨギ ガンジーと参王 不動丸、そして最後の2編で合流する本多 美保子のキャラクターに寄っ掛かり過ぎなのだ。
これは泡坂が、種々の妖術がトリックである事を披露する事を目的とした、手慰みの作品集だと断言したい。
ヨギ ガンジーの妖術 (新潮文庫)
泡坂妻夫ヨギ ガンジーの妖術 についてのレビュー
No.302:
(7pt)

歴史的名作よりもコチラ

正直云えば、歴史に残る名作とされている『黄色い部屋の謎』よりも数倍面白かった。短編であるが故、贅肉が削ぎ落とされ、主題が明確だったからだ(尤も、登場人物達の芝居がかった台詞回しは相変わらずだが…)。
各短編共、それぞれ持ち味があり、個性豊かなのだが、好みで選ぶとすれば「金の斧」と「蝋人形館」の2編。前者は結末が結構意外で現代ならば絶対に書けないオチだから。後者は、身震いするような蝋人形の描写と、皮肉なラストを賞して。
ガストン・ルルーの恐怖夜話 (創元推理文庫 (530‐1))
No.301:
(9pt)

全ては最後のために。

今この瞬間、7ツ星評価から9ツ星へと変わった。それはこの本の題名の真の意味が解ったからだ。
凄い!
久々のカタルシスである。
しかも本書が口述テープの体裁を採った理由もはっきりと解った。今にして思えば、こういう体裁を採る事が最も本書に相応しいのだ。

さて、内容は前2作のサンディ・スターンという敏腕弁護士とは打って変わって巨大法律事務所でいつ解雇されてもおかしくない凋落した弁護士が主人公として顧客の金を持ち逃げした弁護士を捜す物語。この主人公、実の息子や警察にオナニーを見られるほど、情けない。だがこうした自分を卑下する者の眼を通して捜査過程、また登場人物の掘り下げを行う事で、実は理想的な生活、何の支障もなく生活をしているかのように見えた各登場人物が実は自分と同じように何らかの影を我が身に落としているのだという事を、虚飾のヴェールを1枚1枚剥ぐように徐々に明らかにしていく。これは主人公がプライドを捨てているからこそ可能なことなのだろう。しかし悔しい事に、その内容を十分堪能するほどには、自分は成熟していない。何年か経て、再び本書を手に取るべきだろう。

最後の一行、「世の中には被害者しか存在しないのだ」これが本書の全てを語っている。

有罪答弁〈上〉 (文春文庫)
スコット・トゥロー有罪答弁 についてのレビュー
No.300: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

原題が素晴らしいので邦題が陳腐に感じます。

今までミステリとは、事件が起こり、その事件に関する犯人、動機、手法といった様々な謎を主人公とともに探り当てる、その過程を愉しむものだと思っていたが、本書を読んでいる最中はそういう風には思わなかった。
ミステリとはある事件をきっかけに、それに纏わる人々を活写し、またそれによって起こる登場人物達の様々なドラマを読み解く物なのだな、そういう風に感じた。
前者は「推理」小説であり、後者は推理「小説」となるのだろう。しかし本作はその双方の魅力を兼ね備えていた事を、結末で思い知らされた。
デイジイという人物の位置付けは結末に至る前には判ってしまったが、それでも尚、本作は面白い。
原題「ガンナーの娘にキスをする」その警句が「ガンナー」=「拳銃使い」=「サム・ホガース」という暗示めいた等式に歪められ、皮肉な響きを胸に残した。
眠れる森の惨劇―ウェクスフォード警部シリーズ (角川文庫)
ルース・レンデル眠れる森の惨劇 についてのレビュー
No.299:
(7pt)

吉敷と通子の序章

今回起こる事件が単に吉敷刑事と加納通子とを再開させるきっかけに過ぎない事からも判るように、あくまで主題は吉敷と通子の2人の関係の修復である。いや、正確には吉敷は通子の忌まわしい過去を取り払う憑物落しの役割を果たしている。
最近特に見かけない純愛を扱っているだけに通子の結婚恐怖症の重要なファクターとなっている麻衣子の自殺に関する解明が、どうも飛躍した発想に思えてならない。非常に勿体無いと感じた。
島田の提唱する魅力的な謎の提示とその論理的解明が仇になってしまった。そんな印象を覚えた。
羽衣伝説の記憶 (光文社文庫)
島田荘司羽衣伝説の記憶 についてのレビュー