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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数681件
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文庫本にして5冊に及ぶ大作、社会派人間ドラマです。
この作品は犯人探しの物語ではない。 この作品における作者の主眼は、凶悪事件被害者遺族の悲しみ、苦痛と、事件が社会に与えた影響かと。 理不尽に傷つけられ人生を狂わされた人達、苦悩する警察、群がるマスコミ。 主犯であるピース、ピースに利用されたヒロミ、ヒロミを救おうとしたカズの同級生3人。 彼らが主要登場人物であるが主役ではない。 作者は、彼ら3人以外にも、事件に関係する数多くの人間を取り上げる。 そして、その人物達も、必要以上と思える程に掘り下げる。 主役級と思えるくらいの膨大な字数、ページを裂き、背景を与える。 それで、このような長編になってしまったように思えるのだが、その効果は絶大。 直接的に描かずとも間接的に、犯人の狡猾さ、卑劣さが浮き彫りにされ読み手に伝わってくる。 そして、犯人側の背景が明らかになっても、遺族の苦悩、悲哀を克明に記述しているからこそ、読み手には犯人に対して同情の余地を感じさせない。 これ以上ない「悪」の描き方だったのではないかと思う。 この作品は映画化もされたが、作者の意図を表現するには、キャスティングのバランスが悪かった。 主役はピースではないのだから。 読み応え十分でお薦めも出来ます。 ただラストに関しては不満です。 知的、狡猾、卑劣、冷酷・・・物語前半で植え付けられたピースに対するイメージと大きく乖離します。 たから「模倣犯」というタイトルも、個人的にいまいちしっくりきていません。 自爆という手段を選んだ映画版の方がピースらしかったように思えるのが何か歯がゆい。 |
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タイトルはかっこいいんですけどね。
兎に角個性的過ぎです。 多くの方が言うように、句読点は少ない、改行をしない。 客観的な考察などは殆ど省略。 そしてカタカナ言葉連呼でアメリカンな乗り。 で、主人公の「またしても唐突に俺は閃く」が登場して急展開。 何というか、余りにも独りよがりで突飛な閃きで、最早一人ツッコミ一人ボケの世界。 読み手に推理させる暇も与えないというより、読み手を完全に置いてけぼりにしている 作者の計算づくだろうが、これを「圧倒的文圧とスピード感」と取るか、「投げやりなだけ」と取るかは読み手次第だろう。 低俗な暴力描写、言い回し、汚い言葉遣いが多く、学校関係者やPTAからは、間違いなく「有害図書」に認定されるはずだ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
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もっと固い感じの作品なのかと思っていたのですが、基本的にはコメディタッチで軽い雰囲気です。
舞台はアメリカ。 日本人とは少々かけ離れた死に対する考え方や薀蓄が展開されますが、軽い語りがそれを退屈させない効果をもたらしている。 ただ、余りに多い横文字の登場人物の把握に苦しみ、また翻訳調の文体にも苦しみと、その世界に入り込むまでのハードルはかなり高目かも。 「死者が蘇る」という荒唐無稽な現象を前提とした舞台設定。 論理が尊重される推理小説において、それを根底から覆さんとする、リアリティのない言わば超常現象ありきで語られる作品。 これを単なるホラーにもSFにも転ぶ事なく読ませるには、生半可な内容では納得してもらえないところだが、この作品は、このナンセンスな現象を、恐怖を煽るためではなく、何とロジックを成立させるための道具として見事に当て嵌めてしまっている。 宗教がらみで多分に哲学チックな殺人動機など、日本人には中々理解しづらいところはあるのですが、「どう回収するつもりなんだろう」という読中の疑問を想定以上の手法で解決してくれた作者のうまさは、そんな事など忘れさせてくれました。 軽いノリから一転、エンディング近くなってからの、切ない雰囲気もいい感じでした。 正直「異端」です。 しかし、スルー出来ない作品の一つなのではないかと。 |
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【ネタバレかも!?】
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【ネタバレかも!?】
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【ネタバレかも!?】
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完璧。
まず「全ての謎が、実はたった一つのある事実に気付きさえすれば、綺麗に解けてしまう」という構成が秀逸です。 探偵役が、その「事実」を明かす前に、ご親切にも全ての謎が羅列されます。 その数なんと37個。 「見落とすなよ」と言わんばかりの作者の自信。 読者を挑発しているようにすら感じたのですが、兎に角、怒涛の勢いで解明されていく様子は爽快です。 その「事実」を隠蔽するため、冒頭からある人物のある性癖の記述で強烈にミスリードさせておいて、更に怪奇描写を絡めて読み手の視点を逸らせたりと、その技巧も素晴らしい。 また、全ての謎が解明されても、1つの結論に帰結する訳ではなく、犯人を特定するには至りません。 トリックが解明されたら必然的に犯人も明らかになるといった「並の」作品とは違うのです。 この作品は、ラストが物凄い事になっているのですが、これにより、読み手に熟考する暇も与えない、しかし納得のいく、どんでん返しの繰り返しを可能にしています。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「叙述トリック」「意外な犯人」ものの代表といえるこの作品。
初読でしたが、犯人は既にわかっていたため、「伏線読み」を楽しむ事にしました。 想像以上に、伏線と思わせる箇所が多く、面白かったです。 「知人の心配」をしているようで実は「自分の心配」だったり、巧みに読者を騙しているような箇所もありましたが、中には、「これ書いたらバレるでしょ」というレベルのものまで多数あり驚きました。 そんな派手な伏線も、犯人を知らないで読んだとして、気付いたという自信は勿論ありませんが・・・ 再読しなければ面白さがわからない作品かもしれません。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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加害者は必ず悪なのか、被害者には本当に落ち度はないのか。
ある殺人事件を通して「悪人とは」を問う作品です。 主人公の清水祐一は、石橋佳乃を殺してしまいます。 作者は読み手に対し、佳乃に関して、被害者ではあるものの「嫌な女」という印象を与え、祐一には、加害者ではあるものの、同情の対象となり得る、不器用で寂しい人間という印象を与えています。 更に九州弁?が彼の素朴さを強調します。 しかし、マスコミは、祐一を凶悪犯として報道します。 また被害者、加害者の周囲の人間の視点から、事件の及び祐一という人間の「虚像」を作り上げていきます。 彼は「悪人」というレッテルを貼られます。 このギャップの大きさに、多くの読み手は祐一に肩入れしてしまうはずです。 作者の印象操作が非常に効果的です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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