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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数681件
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【ネタバレかも!?】
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タイトルの「片眼の猿」は、1000匹中999匹が片眼の猿の国にいた両目の猿が、片眼を潰して仲間と同化したという寓話らしい。
個性や自尊心の重要性を問いかけると共に、障害者に対する偏見や差別といった不条理をテーマにした作品です。 扱っているテーマはこの作者らしく重目です。 しかし、作者の従来の作品に見られる暗さは影を潜めており文体も少々「軽目」です。 また、何人かの登場人物が常人離れした特殊能力を持っているかのように描かれており「シュール」な一面も見られ、まるで伊坂幸太郎氏の作品を読んでいるかのような印象すら受けました。 この作者の作品は、まだ数作しか読んでいないのですが、この作品は少し異端かもしれません。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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戦時下の日本において秘密裏に設立された、魔王・結城中佐率いるスパイ養成機関(D機関)の暗躍を描いた短篇集です。
その結城中佐だが、帝都物語・加藤保憲(というか嶋田久作)を彷彿とさせる表紙のイラストが何とも魔王という表現にイメージぴったりです。 最初の作品である「ジョーカー・ゲーム」を読めば、結城中佐及びD機関の異様さが朧気にも理解できるようになっていますが、D機関の色々な側面を見せるために短編集という構成は非常に効果的だったと思います。 メンバは「見えない存在」である事に徹するため、心理描写が殆ど無いのですが、それが独特の緊迫感を生んでいます。 人物造形が弱いとも言えますが、それがかえって魔王・結城中佐の存在を際立たせていると言えます。 面白かったですが、シリーズの第1発目という事で、導入部という意味合いもあるのでしょう、その分意外性は少なく、読後カタルシスを得られるかと聞かれると疑問です。 ただ設定自体非常に好みなので続編への期待は大きいです。 続編も短編のようですが、最終的には、結城中佐が窮地に追い込まれるプロットで、是非長編で読んでみたいですね。 |
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愚かにも自殺という選択で人生を終えた「神に選ばれし」4人が、天国に行くために100人の自殺志願者を救済するという物語。
彼らは、現世の人間からは透明人間の如く目に見えず、また物に触れる事すらできませんが、自殺志願者を発見でき、人間に憑依する事により思考をトレースする事ができ、メガホンを使って語りかける事によりある程度行動を操る事ができます。 オヤジギャグは満載ですし、4人が自殺志願者を取り囲み、メガホンで説得している姿を想像すると、最早コメディとも思えてしまうのですが、否!!、これは良質の社会派小説ですよ。 兎に角「神に選ばれし」4人のキャラクター設定が抜群です。 東大受験に失敗した19歳の青年、会社を倒産させてしまった零細企業の元社長、仕事と恋愛に行き詰ってしまった若い女性、そして鬱病のヤクザの親分。 金銭問題、会社や家庭での人間関係や処遇の問題、肉体的な問題、精神的な問題・・・などなど、自殺の原因は数多くありますが、住む世界、自殺した理由も全く異なる4人が、得意分野、不得意分野に上手く棲み分けされ、説得に際して存分に個性を発揮していきます。 それだけではなく、青年が「現在」、女性と元社長が「バブル直後」、ヤクザが「高度成長期」と、4人の死亡時期が異なっており、またキャラとその死亡時期が何とも絶妙で、物語にスパイスを効かせています。 たまに4人の議論がちぐはぐになったりするのですが、時代時代の人間の価値観や考え方の違いが表面化され、非常に面白いです。 中でもヤクザさんは、思考も単純で、言葉も汚く、ただ勢いだけで余り役に立っていないような気にもさせられますが、チームのムードメーカー的存在であったのは確かですし、実際のところ作者は、(自殺を多発させてしまうような)現代社会の矛盾に対しての怒りを彼に代弁させているような気がしました。 この作品にはほろっとさせられる箇所がいくつもありますが、ヤクザさんの言動によるところが多かった気がしますしね。 自信を持ってお薦めできる作品です。 |
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「メルカトルかく語りき」がアンチフーダニットに特化した短篇集だったのに対し、この作品はアンチミステリなのは当然の事、メルの鬼畜っぷりがよりクローズアップされた7つの作品からなる短篇集になっています。
重要なのは、この作品の中で発生する7つの事件は、作者がわざわざタイトルに示した通り、メルカトルと美袋のために用意された事件であって、島田潔や御手洗潔のために起きた事件ではないという事でしょう。 この辺、しっかり割り切って読めれば面白いといえるのではないでしょうか。 辻褄は(ほぼ)合ってます ところで、集英社文庫の表紙のイラストがメルのイメージなんでしょうか。 個人的には「メル=イケメン」という設定に一番驚愕・唖然としています。 チビ・デブ・ハゲのイメージしか持てていなかったので・・・ ▼以下、ネタバレ感想 |
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主人公は死神で、名前を「千葉」という。
死神は、死が準備された人物に、人間の姿となり接近し、観察し、その死を見送るべき理由はないかの判断を行う。 死神に「可」と診断された人物は、7日後に死ぬ。 これが、この作品を通して基本となるお約束事である。 6作からなる短篇集であるが、連鎖している作品もあったりして面白い。 死神は人間界に精通していない。 見た目こそ成人だが、中身は子供のように無知でピュアだったりする。 6つの作品の中で、色んなタイプの人間と出会うが、やくざだろうがヤンキーだろうが物おじせず、ズケズケと言いたい事を言い、時に少々ズレた受け答えをする。 皆がそんな彼の事が気になる。 そしていつの間にか誰とでも良好な人間関係を構築している。 ある意味羨ましい奴だったりする。 伊坂作品というと、機知に富んだ会話やセリフが楽しいが、この死神こそ「THE伊坂キャラ」なのである。 ユーモアがあり、時にシュールであり、時にどこか心にしみる、そんな発言の製造マシーンになっている。 これは、伊坂作品好きにはたまらない。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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過去2作に対して異端とは行かないまでも非常に個性的という印象を持っていたため正直意外でした。
真っ当なミステリは書かないと思わせる事が作者のミスリードだというレビューもどこかで見ましたが、納得できるようなできないような・・・ 芸術とミステリの融合が売りのこのシリーズですが、今作はミステリの部分がかなり弱い気がします。 後書きに、作者自身の「トスカ」の「読み替え」をまるで宣伝しているかのような記述があるのですが、正直、今作ではそれを披露したかっただけではないのか・・・とすら思えます。 作中では2つの事件が発生しますが、真相解明に辿り着くまでの手掛かりが余りにも少なすぎて、その分、どうしても「雑」に感じてしまいました。 本書のテーマとして、テキストの読み替えによる解釈の多様性というのがあります。 一応、1つの真相は提供されますが、作者が意図した真相は1つだけなのでしょうか? 多様な解釈がしやすいように「雑」になっているような気もしたのですが・・・ |
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バッタは密集したところで育つと、黒ずんで凶暴な飛びバッタ(グラスホッパー)となるらしい。
同じように密集した世界で生活する「人間」だから、その中には凶暴な連中もいる。 伊坂氏十八番の、数人の視点から物語を紡ぐ形式の物語です。 今作は複数の「殺し屋」です。 これまで読んだ伊坂作品には、それぞれテーマがあって、こっそりとメッセージを記していた様に思います。 殺し屋による殺人が繰り返される中、この作品は、作者が結局何を訴えたいのか汲み取る事が出来ませんでした。(力不足) 最後のオチにも驚かされましたが、読み手によって色んな解釈ができる、そんな難しくて奥の深い作品な気がしました。 これだけ読後色々考えた作品は久しぶり。 面白かったというより、印象・思い出に残る作品になりました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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第二次世界大戦、ましてや特攻隊をテーマに扱うというのは作家にとってある意味挑戦と言えるのではないでしょうか。
賛美する作品など今の世の中で受け入れられる訳がなく、批判するにしても非常にデリケートな問題だと思います。 作家自身が持つ道徳観、倫理観の押し付けにより歪んだ方向に読者を誘導される事がないか危惧していましたが、そんな心配は全く杞憂でした。 それにしても素晴らしい作品だった。 娘、息子が高校生くらいになったら是非読ませたいです。 戦争モノ嫌いで敬遠している方にも是非お薦めしたい。 そして泣いて下さい。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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