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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数681件
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【ネタバレかも!?】
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クランクアップ前に、作品未完成のまま疾走した映画監督の代わりに、スタッフ・役者陣が解決編を推理し、作品を完成させようとする物語。
残り僅か10分程度のシーンなのだが、肝心要の解決編であり、しかも、完成済みの映像及び設定部分には手を加える事は不可と制約が多い。 面白いアイデアだと思ったのですが、提示された解決編のシナリオが何れもお粗末だったのが残念です。 「こうすれば可能」的な推理ばかりで、原作兼監督が「映像に残していてしかるべき結末への伏線」について誰も言及していない点が・・・ 冒頭であれだけマニアックな映画薀蓄を披露した面々が、誰一人として、そこに触れないのは、不自然にすら感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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作者の藤原伊織さんは、1948年生まれで東京大学出身という事ですから、68年の東大紛争、翌69年の 東大安田講堂事件をリアルに体験してきた人物と考えていいのかな。
団塊の世代、全共闘世代、しかもその渦中にいた作者に言わせれば「これが男の生き様」というところだろうか。 正直、素直に受け入れがたいものがあります。 まず突飛な人物設定には苦笑いせずにはおれないです。 東大全共闘、東大中退の元ボクサー(しかもかなり有望)、そして現在はアル中のバーテン、そして二回りも違う上智大学出身の現役女子大生に惚れられるという・・・ 当時はこういうタイプが格好いい男の象徴だったのでしょうか。 異端分子として、評価されず排除された自分達の価値観を肯定・美化せんとするコンプレックス裏返し的妄想が作り上げた人物像という印象です。 今は、アル中だったり人情味のあるヤクザだったりを格好いいと思える時代ではないですから、そのギャップには時代を感じずにおれませんし、滑稽だったりしますね。 異端児や落ちこぼれの大活躍というシチュエーションは嫌いではありません。 私から見ると、主人公は全共闘の成れの果ての落ちこぼれ、人生落伍者です。 しかし作者は、(恐らく)格好いいヒーローとして描いています。 少なくとも私にはそう読み取れました。 共感出来ませんでしたね。 そこさえなければ、さすが乱歩賞と直木賞をW受賞した作品という事になったと思うのですが・・・ |
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短篇集ですが、各編同士の結び付きは(登場人物が一部被ってはいますが)まるで無い、独立した4編のお話です。
言葉遊びという点では、伊坂幸太郎らしさは健在でしだが、やはり短編という事で、いたるところにばら撒いた伏線を一気に回収というお得意の芸当が出来ていません。 伏線を仕込むだけの空間自体が狭すぎて、出来ていないというより出来ないと言った方がよさそうです。 同じ短篇集でも「死神の精度」は、主人公が共通で、各編を跨いだ伏線が楽しめましたからね。 弱点発見かなぁ。 その分、他作品とのリンクはふんだんに貼られています。 そういう気付きは嬉しいのですが、まず本編ありきで付加価値のようなものだと思っているので・・・ 印象に残ったのは「サクリファイス」 伊坂さんらしくないというか、三津田信三っぽい と感じただけですが・・・ 無理して1冊にまとめて出す必要のなかった作品だと思いました。 特に表題の「フィッシュストーリー」は1本の長編作品として読みたかったですね。 |
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古典部シリーズ2作目。
1作目の「氷菓」を読んでいなくても読めますが、先に読んでおくにこした事はありません。 それよりも、古典ミステリに精通しているかどうかで、作品に対する印象が大きく違うように思います。 個人的には、この手の趣向は好きではありませんが・・・ ミステリ映画の結末を、途中までの原作、映像をヒントに脚本担当の意図を汲みながら推理していくというお話です。 正解を除くと、主人公・奉太郎を含めて4本の推理が提示されます。 (ミステリ好きにはどう見ても)密室殺人という状況を前にして、サスペンスやホラーといった、トリック云々よりドラマ性を重視した推理も含まれていました。 広義の定義では、サスペンスやホラーもミステリに含まれる訳ですし、破綻もしていないように感じました。 寧ろ2番目に登場した、自称ミステリマニアの推理の方が、面白みがなく、最も基本的とも言える見落としを指摘され却下されています。 ミステリマニア気取りの連中(読者含む)に対するアンチテーゼのようにも受け取れましたけど・・・ ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
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池井戸潤さん初読。
作者は元銀行マンだけあって、業界の内情や、派閥による歪な人間関係をリアルに描けており、読み応えがあります。 主人公は、派閥という枠に拘らず、媚びず、自分の信念の赴くままに突き進むタイプとして描かれています。 組織に受け入れられる人間ではないという事になりますが、巨大な組織に立ち向かう個人という意味で、その資質は十分だと思いますし、この構図自体が日本人が好むところではないでしょうか。 また、驚くのは、当然のように金融専門用語が飛び交うのですが、読み辛さを感じなかった事です。 筆力があるとも言えるのでしょうが、やはり、付け焼刃的な知識によらない造詣の深さが、それを可能にしているのかなと思いました。 ドラマ性のある題材で、しかもそれを深く描き切れる下地があって、更に筆力もあるのですから、高評価も当然かも知れません。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ローンによる多重債務と自己破産がテーマになっています。
92年の作品ですから、丁度バブルが弾けた頃ですね。 自己破産件数が顕著な増加を見せ社会問題となったのが96年ですから、若干時代を先取りした作品だったと言う事になりますか。 あれから20年以上経過しているのですが、10人に1人が消費者金融を利用している計算になるとか・・・ 消費者金融云々の話だけでなく、個人的に、日本人には「経済無知」が多い気がしますねぇ。 積極的に学ぶ意志を見せなければ、しっかり学べる場所すらないですし・・・ そういった意味でも、意義のある作品だと評価したいです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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DV男VSストーカーという構図。
もう一人、ストーカーである主人公と似た家庭環境に育ち、主人公同様「存在感のない」コンビニ店員が登場します。 彼らの行動は、はっきり異常であり、主人公とコンビニ店員に間しては社会不適合者と言ってもよさそうです。 DV男は、零細企業のサラリーマンとはいえ社内での成績は優秀、周囲からの信頼も厚く、容姿も整っており女性にモテる。 しかし、家庭では豹変し、妻に対して異常なまでの暴力を繰り返します。 そのギャップの激しさと言うよりも、既に行為自体が、一般的に認知されているDVの定義を遥かに超えています。 一方、コンビニ店員はキレて衝動的に殺人を犯してしまいます。 主人公とコンビニ店員の違いは、無視されたり冷遇されたりという不遇な人生を余儀なくされながら、更に報われる保証がないにも関わらず、命をかけて愛する事の出来る対象が存在したか否かなのでしょう。 しかしながら、主人公の愛情表現も常識の範囲をはるかに超えています。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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腐敗した巨大組織の中で、自己を見失いそうになりながらも、圧力に屈しようとする自身への不信感を推進力にして殺人犯を追う刑事・合田雄一郎。
明と暗の人格を交互に繰り返すが故、社会的に底辺に位置する事を余儀なくされているマークスこと殺人犯水沢裕之。 追う側と追われる側の緊張感溢れる追跡劇が描かれる読み応えのある大作です。 そこには、社会的地位、名誉ある人物の圧力が介入してきます。 その圧力に、捜査の最前線にいる合田は怒り、苦しみ、一方マークスも怒り、そして圧倒的な狂気を発動します。 作者が女性とはとても思えないリアルな警察組織の描写、しかもその腐敗っぷりをも、汚らわしく描いています。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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日航ジャンボ墜落事故の全権デスクに任命された一人の新聞記者の物語である。
事故当時まさに地元群馬上毛新聞の記者であった作者にとっては、渾身の作品である事は間違いないし、リアリティの高さも保証付きである。 新聞社内部の喧騒、上層部との衝突、派閥争い、出世を巡る汚い嫉妬・裏工作・足の引っ張り合い。 そして、汗臭く、怒号が飛び交う、そんなまさに男の職場における1分1秒を争うスクープ争い。 その臨場感や半端なしで、終盤まで読み進めた時点で、ここまで僅か1週間しか経過していないと驚かされるその密度の高さも凄い。 ある意味特殊な世界と言えるが、新聞社も、会社という1つの社会である限り、否が応でもそこに存在する大人の事情。 主人公は、40過ぎの仕事人間であるが、衝突で潰されたり、攻め時を間違えたり、駆け引きに負けたりする。 時に怒り、時に迷い、そして傷つき、目の前の高い壁を前にしてもがき苦しみますが、しっかり向き合っています。 そこには高いリアリティを感じますし、同年代の社会人にとって「わかる、わかるぞ」とその人間臭さにシンパシーを感じずにいられません。 仕事のみならず、家族、仲間との関係・苦悩もしっかり描けている点が、更に主人公に対する好感度を上げていますね。 「男の人生」を謳歌している主人公が羨ましかったりもします。 特に男性に読んでもらいたい作品ですね。 |
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「麦の海に沈む果実」の続編。
「麦の海」のラストで覚醒した理瀬のその後という事で期待は大きかったのですが、少々肩透かしを食らった感じ。 高校生になった理瀬は、「あっち側」=暗黒の人生を生きていく事が運命づけられ、自身もそれを受け入れており、「こっち側」の世界の人間達とは一線を画すというスタンスこそ垣間見えるのですが、まだまだ純粋な少女の一面が残っていて、過渡期という感じでしょうか。 周りには黒い人間(黒いのは何故か女性ばかり)がやたら多いようですが・・・ 恩田さんの作品には、性悪な女性が数多く登場する中、前作の黎二といい、今作の雅雪といい、男性陣には好キャラが多いですね。 このシリーズだけでなく「夜のピクニック」も確かそうだった記憶が・・・ ▼以下、ネタバレ感想 |
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