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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数681件
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男女2名の探偵が登場する短篇集ですが、何れの物語においても彼らは主役とはなりえません。
探偵らしいことを何もしていないですからね。 彼らが所属する探偵倶楽部という存在を謎につつまれたものとして表現したいのでしょうか、そもそも探偵役の名前すら明らかにされていませんし、感情のないサイボーグのように描かれています。 最後に答えを教えにだけやってくる愛想のないお兄さん。 それ以上でもそれ以下でもない気がします。 お姉さんの存在意義がそもそもわからないですしね。 ミステリって言うよりも「小学館小学?年生の付録についてくる推理クイズ」って感じですね。 東野作品にしては、独特の理系要素もなし深い心理描写もなしのないない尽くしの作品。 |
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この作品では「お客様相談室」となっているリストラ部屋だが、今のご時世どこの会社にもそのような部署やそういう扱いを受けている社員さんが山のようにいるはずである。
自分のキャリアが無視され畑違いの部署に配属、嫌になって自分から辞めると言い出すように仕向ける。 会社も(辞めさせようと)必死、でもこっちはもっと必死だわな。大人の責任ってもんがある。会社の思惑なんて知ったこっちゃない。 我慢して、新天地でこつこつと或いは懸命に取り組んだとしてもフィードバックゼロ。つまり社内における存在価値ゼロ。やってられない。 まぁ実際のところ辞めたら負け(20代は除く)だけどそれじゃ物語にならない。 「会社や仕事なんかのために死ぬな」 勿論そうだけど、そんな上手くそして格好良くはいかないよ。 実際リアリティはないんだけど、上手くコメディドラマ風にまとめてそこまで現実と乖離してるようには感じさせないですね。 経営陣の時代錯誤も甚だしいマヌケなところなんて、どこの企業でも同じでしょう。この作品のような同族会社なんて特にね。 半沢直樹の場合は、東大、早稲田、慶応卒で尚且つその中の競争に勝ち残ったものにしか行き着けない世界での話だけど、この作品の場合はサラリーマンなら大半の人間が遅かれ早かれ経験できますよ。脅しじゃないよ。 おでんの具の喩え話は面白かったなぁ。 主役になりたいのか脇役に徹するのが向いているのか。 人間誰しも適材適所、または得意分野ってもんがある。 見栄や欲より「やりたい事」 結局そういう選択をした奴の方が人生成功してる気がする。 こういう事をしっかり考えた上で就職活動ってやるべきなんですけどね。 学生の時って気づかないんだよねー。 辛い思いをしているサラリーマン諸氏へ。 神の御加護があらんことを。負けるな!!ファイト!! |
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魔法や呪いの存在が前提となっていて、(個人的に好みではない)RPGの世界観を危惧しながら読み始めましたが驚きました。ミステリでした。
「これから始まる戦闘のきっかけにすぎない」と考えていた領主の殺害がメインの謎だったとは。 些か拍子抜けしてしまいましたが、延々戦闘の描写が続くよりは、個人的にこちらのほうが良かったかな。 個性的な傭兵たちが数多く登場しています。 ただミステリって事で、探偵役の聞き取り捜査での登場が大部分であり、彼らの戦闘シーンについても描かれてはいるものの、若干浅いかなと思いました。 そこは少し残念でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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まず驚いたのは、刀城言耶シリーズにしてはリーダビリティが高いこと。
登場人物が多く、読みづらい名前、地名は相変わらずだが、文庫本にして700ページ超えの割にさほど苦労せず読めてしまった。 ホラーとミステリーの融合がこのシリーズの特徴と言えますが、この作品に限って言えば、ミステリーの部分とホラー的要素が結びついていないように思います。 というかホラーっぽいところは余り描かれていませんし、その数少ないホラー現象に対する論理的解決が全くないというのも寂しい限りです。 最後言耶の推理が二転三転するのはこのシリーズのお約束ですが、それにしても今回は派手。 犯人を指摘するにはまだまだまとめきれていない段階で推理を披露している感じで、偲に覆されているようでは・・・ 最終的に行き着いた結論に関しても、一応辻褄は合っているが・・・というレベルではないか。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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物語の舞台はその殆どが別荘風の一軒家の中、期間はわずか一日、そして登場人物は僅か二人。
一軒家の中で見つけたある少年の日記を元に、主人公の元カノの失われた記憶を紐解く物語です。 「伏線の応酬」と評されることの多いこの作品。 確かに思い出したり読み直したりすると「ほお」と思う箇所は多いです。 プロット自体シンプルでリーダビリティも高く、読み出したら止まらない系の作品なので、仕込まれた伏線を「ここ怪しいな」と感じながら読むのは少し難しいかなと思いました。 ただ私の場合、伏線がどうこう言うよりも「タイトルに騙された」という印象が強いです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
(3件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
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貴族探偵と言われて最初メルさんを想像してしまいましたが、麻耶さん独特の探偵論から産まれた究極の探偵といったところでしょうか。
「人は僕を『貴族探偵』と呼ぶね」って、そう呼ぶ奴の顔を見てみたい気がします(笑) ・・・実際自分で言っているだけで誰かがそう呼んだシーンはなかった気がする。 全てをワトソン的立場の使用人に面倒見てもらう探偵、そしてその使用人の名前が、山本、田中、佐藤って・・・ありきたりな、そして投げやりな・・・頑張ってるのは彼らなのに・・・ あと短編向き探偵と言えるでしょうね。この設定で長編は無理でしょう(笑) メルさんの短篇集の時にも感じましたが、麻耶さんの短編集って面白いですね。長編よりも。 元々一筋縄ではいかない作品ばかりなのですが、短編だと一作ごとに振り返りや整理が容易に出来ますからね。 派手なトリックを楽しむ作品ではなく、遊び心満載のロジックを堪能できる作品です。 5作品ともかなり読み応えがありますよ。 絶対神メルさんの推理は、時に強引だったり無茶苦茶だったりしますが、この作品における使用人達の推理はまさに理にかなっており、パズルとしてはこちらの方が断然楽しめるように思います。 新しい探偵小説の見せ方とでもいうのでしょうか。 この作者の一種特異な企みには脱帽するばかりです。 私が好きなのはやはり「こうもり」 満点評価した「蛍」でも似たトリックがありましたが、また騙されてしまった。 好きなんですよね、このパターン。 フェア・アンフェア論争があったようですが、嘘はついてないんですもん。勿論フェアですよ。 |
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謎の占い師の予言から始まる辺りにミステリらしい展開を予感できます。
しかし、序盤で主人公の婚約者が亡くなるものの、単なる事故死として物語は進行し、その状態のままラスト近くまで進みます。 全くミステリらしさを感じる事ができぬまま終盤、偶然主人公と知り合うことになった例の芸術探偵により殺人事件として掘り起こされるという、読み手には不意打ちとも言えるような展開。 これを構成の妙として高評価するレビューも見られますが、余りにも唐突ですし、物語の流れとしてもどこかおかしな気がしました。 「えっ?!」「忘れてました」「遅いよ」「いまさら・・・でも残りページが・・・」「おいおい、推理自体ももイマイチでは・・・」 正直ミステリとして評価するのは難しいです。 また、「ニーベルングの指輪」というオペラを下敷きにした作品のようですが、確かにオペラの知識がないと読めないかといわれるとそうではないでしょう。 ただ、作者の芸術探偵シリーズにおいて、予備知識があるか否かで変わってくる作品としてはこの作品がダントツな気がします。 私はというと、オペラに対してはド素人もいいところなため、正直作者が登場人物の口を借りて演出論を訴えているだけにしか思えず中盤の中だるみ感は半端無かったです。 多くのレビュアの方が評する感動のクライマックスについても、頭の中で音楽を響かせながら読むことの出来ない私には・・・そこまでは・・・ というより、主人公に感情移入できないような序盤の設定は意図的なのでしょうか? 下敷きにされた作品を知らないが故の無知と思われても仕方ないのですが、不義理を続けてきた主人公の突然の心変わりなど、展開的に理解できない部分が多いです。 また、クライマックスに向けての伏線を伏線として読み取ることが出来るかは原典を知っているかにかかっているのではないでしょうか。 作者の主眼は演出論にあって、ミステリ的な部分は後から取ってつけたような印象を受けました。 これから読まれる方は、予め簡単にでも予備知識を入れておかれた方がよいように思います。 |
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古典部シリーズ第三弾となるはずであった作品らしい。
この事は読了後に知ったわけですが、なる程序盤は古典部シリーズそのものですし、登場人物のキャラもかなりかぶってますよね。 古典部シリーズにしても小市民シリーズにしても、この作者の「日常の謎」モノが、私には少々軽すぎて「7点の壁」がありました。 この作品が、これまで読んだ作品と違うと感じるのは、その背景にユーゴスラビア紛争がある事が大きいのかもしれません。 多民族国家であるユーゴスラビアを構成する(5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字を有する)6つの共和国の内、マーヤの祖国はどこかが最大の謎解きテーマになります。 伏線を拾い集めそれを推理するスタイルがこれまでの作品にないミステリらしさがあって好きですね。 無論謎解きだけではなくて、作品全体を通したテーマがあるのですが、 何事にも打ち込むことのなかった視点人物となる男性が本気になって円の外の世界に目を向けるようになる姿であるとか、この年齢にありがちな「自分は万能」という幻想が崩壊していく様子が描かれていたりします。 登場人物達の年齢に則したテーマといえ好意的というか感情移入しやすい描写ができているように思いました。 視点人物の男性を中心とした二人の女性との淡い恋心というか想いのすれ違いも描かれています。 この作品に恋愛描写など必要ないと思いますが、二人の女性の対応が非常に大人であり、作品をピリッと引き締めていますね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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タイトルにもある「蟹」は、人間の身体を蝕む、癌や脳の中でじわじわ広がっていく出血の影の比喩として用いられています。
また、「月の光が上から射して、海の底に蟹の影が映ったとき、その自分の影があまりにも醜いもんだから、蟹は身を縮こませてしまう」 とあるので、人間の体内に巣食う「醜いものの象徴」と考えていいのかも知れません。 作品では蟹ではなく実際はヤドカリですが、殻に身を隠す様や、殻から炙りだされて慌てふためく様など、人間の暗の部分の象徴としてより効果的であったように思います。 醜さを自覚しているという点でヤドカリは大人を象徴していると思うのですが、それが無色透明の人型生物である子供の浅はかな儀式であざ笑うかの如く焼き殺されるというのは、何を意図しているのでしょうか。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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プロローグが衝撃的な?信濃譲ニが命をかけて謎解きに挑む?シリーズの3作目。
「信濃譲ニ?誰?」では話しにならないので、これまでのシリーズ作品を読み終えていないとだめですね。 これまでの2作品は、ワトソン役市之瀬の視点でしたが、今作品は信濃譲二の視点で語られます。 これが最大の違いであり、(作品の最大のからくりに対する)最大のヒントだったのかもしれません。 市之瀬の視点による信濃はとにかく超人的でブッとんだ人物であったはずなのに、信濃本人による彼自身の人物像はいたって普通。 信濃が出ずっぱりな割に面白味が半減しているのでは、と思いながら読んでいましたが・・・最後はやっぱりねって感じでした。 関係を持った女性を都合のいい理由で真っ先に容疑から外している時点で気付きますよね。 それにしても、こんな格好悪い形でシリーズを終えなきゃならなかったのか? ▼以下、ネタバレ感想 |
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複数解釈が可能な結末となってはいますが、作者が東野圭吾である事を考えると間違いなく答は1つ。
でなければタイトルの「秘密」の意味が全く変わってきますからね、間違いないと思います。 そっち方向へどっぷりはまれば間違いなく泣ける作品です。 「こう考える余地も残されている」とか「あっさりとこんな不思議な現象を受け入れる主人公達に違和感を感じる」といった、何にでも疑り深い癖のついているミステリ読みの達人や、余りにもリアリティを追求してしまう読み手は損をしてしまう作品かもしれません。 文句なし満点の名作です。素直に読みましょう。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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御手洗シリーズの最初の短篇集である。
「挨拶」とあるように、このシリーズ主人公である御手洗潔のキャラ補間の役割を果たす作品といえます。 この作品を読んでいるかいないかで、このシリーズの楽しみ方の幅に差が出てくる様に思えます。 例えば、御手洗と石岡がコーヒーを飲まない理由なんかがそうですね。 即ち、御手洗シリーズファンであれば読んでおくべき作品と言えるのではないでしょうか。 4本の短篇が収録された短編集ですが、暗号あり、読者への挑戦状あり、ほろっとさせる作品もありとなかなか楽しめます。 個人的に好きなのは「数字錠」かな。 この「数字錠」の存在だけで星1つ増量。 そういうレベル。 「疾走する死者」はその大掛かりな仕掛けから最も御大らしい作品と言えますが、後の作品に似たトリックを使用した作品がありますね。 個人的に短篇集は読み応えを感じる事ができないので好きではないのですが、この4本は比較的内容が濃いです。 |
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作者の代表作とも言えるのがこの作品と「ゼロの焦点」「砂の器」だろう。
しかし個人的に「ゼロの焦点」「砂の器」と比較すると社会派推理小説としては大きく水を開けられている印象があります。 社会派推理小説とは、トリックよりも動機を重視したもののはずです。 しかしながらこの作品は、官僚による汚職だとか情死という如何にも心理描写が必要な題材を扱っているにもかかわらす、動機云々よりも、アリバイトリックを主眼にしている気がします。 本作品は、我が国における「アリバイ崩し」の先駆的作品なようですが、そこに集約しすぎたが上に人間が描けていない。そんな気がします。 「本格ミステリ」に分類した方が良いのかも知れません。 この作品で有名なのは、やはりあの東京駅における「空白の4分間」を使ったトリックでしょう。 今読んでも、そのプロットの秀逸さには賞賛を送らざるをえません。 しかし、これがトリックの「肝」ではないのが残念なところ。 一方で、トリックの「肝」となる部分は、今読むと・・・なのである。 ここで言及はしませんが、かなりがっかりさせられる読者が多いように思います。 新幹線が開通する7年も前の物語。何かと時代を感じさせる作品と言えるのではないだろうか。 |
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子供向けレーベルとして発刊されるもノベライズされたという事で大人でも楽しめる作品という事なのだろう。
小中学生向けにしてはかなり内容が残酷で推奨できる書物でないことは確か。 それに最後真相が明らかになってもまず「はぁ?」だろう。小中学生にこの面白さが伝わるとは到底思えない。 「エッチな事」という表現。さすがに作者も気を使ったのか、そこは子供向けレーベルらしい。 殺害トリックなどに主眼が置かれた作品ではないと思いますが、それ自体はトリックと呼べるシロモノではないです。 麻耶雄嵩らしい作品、まぁプチ麻耶雄嵩ですが、それでも子供には残酷で難しく、大人にはやはり物足りない、そんな作品かなと思います。 探偵役が言う事が必ずしも正しいという保証はないというのが「隻眼の少女」であり、その対極にあたるのがメルカトル鮎シリーズ。 「不可謬にして無謬」なメルさんに相当するのが、この作品における鈴木太郎。 「神様なんているわけ無いじゃん」などという余計な邪推はこの作品には不要なはず。というかしてはいけないと思う。 神様の存在なんて信じる必要はないけど、鈴木太郎を仮にメルカトル鮎の幼少期の姿だと思って読めばいいのだ。 何の抵抗もなくすんなり受け入れられる。麻耶作品に絶対神はいるのだ。 麻耶雄嵩の作品が初めてだという人には出きっこないけど・・・ ▼以下、ネタバレ感想 |
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