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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数681件
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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古典部シリーズの短篇集。
過去のシリーズ作品と時系列が前後していたので最初戸惑いましたが、どうやら古典部の最初の一年間を扱っている模様。 ただ一話完結の短篇集とはいえ、この作品は過去のシリーズ3作を読み終えてから読んだ方がいいですね。 何故なら、過去3作品において十分に表現できていなかった人間関係、特に奉太郎のえるに対する気持ちの変化を上手く補完する役割を果たしていると思えるからです。 見どころはやはり前作「クドリャフカの順番」のその後の物語となる後半の3作品かな。 作品タイトルにもなっている最終話「遠まわりする雛」の、「遠まわり」そして「雛」ってのに、えるの現状と未来、それに対する彼女の思いや考え方がよく込められている気がします。 遠回しで明確な描写はないとはいえ、えるの奉太郎に対する気持ちが表面化してきているように感じました。 女性にしかできない愛情表現ですね。男性がこれやると顰蹙を買いそうです。 一方、奉太郎のえるに対する気持ちは読み手にも明確にされました。 ラストの二人のやりとり「寒くなってきたな」「いいえ。もう春です」 まだまだ二人はズレているようですが、ただ、やはりと言うか、えるが一歩先を進んでいるようですねぇ。 相変わらず推理の対象となる謎は地味であり、ミステリ的にはイマイチです。 まぁ地味な謎を長々とやられるよりは、今作のような短篇集の方がいいかな。 ただ次回作への期待は持てる終わり方でした。勿論恋愛ものとしてですが・・・ |
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また名作に出会えた。そんな気持ち。
文句なし満点です。 17歳の女子高生の心が25年の時をスキップし42歳となった自身の肉体に入り込むという物語です。 しかも高校教師。つまり教え子は自身の心と同じ高校生。 青春時代、大学入試、就職、恋愛、結婚、出産、育児、そして両親の死。 失くしたのではない、持つことすら許されなかった。 知らない内に人生において重要な選択が終わってしまっており後悔しようにも出来ないという非情とも言えるシチュエーション。 「最後主人公が過去に戻って人生をやり直す」これがこのパターンのお約束だろう。 しかしこの作品は、失ったものを取り戻す物語ではなくて、失ったことを受け入れて、持ち前の「自尊心」で前に進みページをめくっていく物語。 そんな主人公を強烈に応援したくなる。とてつもなく感情移入してしまった。 そして物語終盤、一気に波が押し寄せてくる。 語り口は非常に優しいのですが、読んでいて不思議なほど「熱い」、身体中が「熱い」のです。 「北村薫!!お前は言葉の魔術師か!!」と叫びたくなる程、いちいち私に突っかかってくる。 「時の無法な足し算の代わりに、どれほど容赦のない引き算が行われたのか」 「私の人生って、忘れてしまいたいほど酷かったわけ?」 主人公が作詞した文化祭序曲の詩にやたら登場する「今は」「今日の日」「今こそ」 そしてラストの「昨日という日があったらしい。明日という日があるらしい。だが、わたしには今がある」 忘れられない。名言の宝庫。 ハッピーエンドではないのだが爽やかな読後感。 今の現状が受け入れられない、いじいじしている自分が嫌いだ・・・こんな特異な状況に陥った主人公に限った事ではなく、そういう人って意外と多いのではないでしょうか。 「嘆いてばかりいないで、受け入れて前へ進め!!」 これが作者のメッセージだと思います。 「その通りですね。ありがとう」それが私の回答です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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古典部シリーズの3作目。
奉太郎の一人称だった前2作と異なり、今作は古典部メンバー4人で視点をまわしていくスタイル。 冷静で堅物?な奉太郎の主観のみで語られるのではなく、それに学園祭って事もあってこれまでより明るい雰囲気。 今作も謎を解くのは奉太郎だけど、今作の謎解き自体余り論理的とは言えない内容で、里志、摩耶花が主役って感じもします。 前2作よりハチャメチャ感もあって、こっちの方が好みですね。 謎解きのミスリードのひとつに、シリーズ過去作品を読んでいないとミスリードにならないものがありますね。 なので、やっぱり順番に読んだ方がいいでしょうね。 サブタイトルにもなっている十文字事件はクリスティのABC殺人事件を下敷きにしています。 ほんとに偶然なのですが、この作品の2作後にABC殺人事件を読んだという・・・ 逆だったらもっと面白く読めたかも知れません。 今回のテーマは「期待」ですかね。 ただ「期待」の裏には「絶望的な差」があるって事みたいだけど、これにはちょっと納得しかねるかな。 それにタイトルの意味がイマイチ分からないです。何故クドリャフカ? |
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大ヒットしたドラマ「半沢直樹」は、元銀行マン原作という事で、全てとは言いませんが銀行の「黒い」部分に間してはリアリティを感じながら拝聴していました。
この作品は、テレビ畑に籍を置いていた作者が、数字至上主義のテレビ局に対して一石を投じる作品になっています。 やっぱり内部告発って感じで面白いです。 汚職に関するタレコミのテープを数回見ただけで「使える」と確信しテレビで流してしまった女編集者。 「使える」とは数字が狙えるという事だろう。裏付けもろくに取らず明らかなスタンドプレイ。 内容が内容だけに、何かあった時どうなるかは大人なら分かりそうなもの。 それでも私なら出来ると思えるその自信。正直大嫌いなタイプだ。自業自得だよ。 それにしても、女編集者が好きに作成した映像がプロデューサーの了承を得ず電波に乗ってしまうという・・・ 結果を出しているんで誰も文句が言えないって事?それとも「報道の自由」ってヤツですか? ある程度分かってはいたものの、マスコミの傍若無人っぷりに怒りすら覚えました。 一番問題なのは、それを鵜呑みにしてしまう我々視聴者の浅はかさなのかも知れませんけど・・・ 結末としては、発端となった事件の解決がなされておらず、刺身のツマみたいな扱いで終わっている点が少々消化不良を感じさせますが、作者の主眼はそんなとこにはなかったのでしょう。 数字に取り憑かれた人間の末路、壊れていく過程の描写がある意味恐ろしかったです。 良質のサスペンス。 |
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タイトルだけ聞くと、あの「城シリーズ」を想起させ嫌な思い出がよぎったが、当然そこまで破天荒ではない。
有栖川有栖の館シリーズって事だが、当然あの「館シリーズ」のような派手さはない。 やはり有栖川有栖は有栖川有栖なのだ。派手なタイトルの割にやはり地味だ。 火村シリーズの短編集。 火村シリーズはどこか淡々としていて静のイメージ、江神シリーズと比べると退屈な作品が多い印象だから、短篇集の方が切れがあるようには感じた。 でも、やっぱりこのシリーズはその退屈なのがいいんだわ。大人二人が繰りなすあの「正統派本格」っていう雰囲気がね。 だからたまに読みたくなるんですよね。短編だと若干その良さが殺されてるかな。 6編ありますけど、ロジック勝負の作家さんですからね。 「バカヤロ~」ってのと「こんなモン分かるかい」ってのが1編ずつありましたけど、残り4編はまずまずかな。 |
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物語の時代背景として、女性の社会的地位が低かった時代というのがあります。
謎を追うのは、探偵でも刑事でもなくそんな普通の女性です。 彼女には人脈も情報収集力もないはずで、贔屓目に見ても推理とは言えないはずが、難題とも言える核心に徐々に近づいていくという・・・ それでいて最後犯人が真相を告白しない訳ですから、彼女の推理はぴったしカンカンだったって事なんでしょう。 納得出来ないという意見が多いのも頷けます。 でもこの作品は、戦後アメリカの占領下において逞しく生き抜いてきた日本人女性の悲哀を描いた作品だと思います。 そんな女達の物語なんだからこれでいいんですよ。探偵や刑事が割り込んできてよい物語ではないと思うんです。 重きが置かれるのはホワイダニットなのですから。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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このシリーズの最高峰「容疑者Xの献身」以後に出されたシリーズ短編作品。
「容疑者~」のラストで初めて人間臭い姿を晒した湯川学を人間臭いまま登場させるあたりよく出来ています。 なので、この作品は一話完結をなす短篇集といえど「容疑者Xの献身」の後に読むべき作品といえますね。 また、この作品より内海刑事が登場したりとテレビシリーズの人物造形に合わせてきています。 「探偵ガリレオ」の湯川のモデルは佐野史郎、「ガリレオの苦悩」の湯川のモデルは福山雅治って事です。 そこまでの変化は感じないですが(笑) 「攪乱す」は長編で読みたかったな。 |
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このシリーズの弱点は、読み手がトリックを見破るのが難しいというところじゃないですか。
こちらが推理を組み立てる事が出来ないという事になれば、言わば一方通行と捉えられても仕方がない。 つまり専門知識を要するというですが、読み手はそれが机上の空論ぽくとも受け入れざるを得ないですからね。 私は理系出身ですが、このシリーズ読むといつもそうなります。 その点で、活字より映像の方が向いている作品といえるでしょうね。せめてイメージさせて。 あと総じて言えるのは、このシリーズ(容疑者Xは除く)の犯人には「心がない」ような印象を持てる事ですかね。 短篇集だから描き切れていないだけなのかもしれないのですがが、知的なヤツほど狡猾で怖い・・・個人的には意外に効果的かもと感じています。 |
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作家アリスシリーズの第一作。
ドタバタ冒険活劇となりがちな学生アリスシリーズと比べると大人のミステリという感じがしますが、その分相当に地味です。 派手な演出もなくロジックのみで読者に挑むという作者の姿勢はある意味立派、王道という感じ。 ただ、余程新鮮で面白みのあるトリックを持ってこないと、読者を驚かせるには至らないでしょうね。 個人的に叙述トリック作品が好きだという訳ではないのですが、やっぱり今読むと若干物足りなさを感じますね。 タイトルにある46番目の密室は結局謎のままですよね。 作品内で披露される密室殺人は特に目新しい感じはないですし、火村、アリスによる密室談義が繰り広げられる訳でもないですし、タイトルに惹かれたのであれば肩透かしを喰らうかも知れませんね。 |
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ホラーとミステリの融合ってヤツですか。綾辻氏がお得意な、ってか、綾辻氏にしか描けない作品かも知れませんね。
個人的に好きではないです。 精神病棟を舞台にしている時点で何がやりたいのか想像がつきますし、その結末自体も想像の範囲内でした。 たとえ想像の範囲を超えていたとしても感動はしなかったと思います。 多重人格や記憶喪失といった地の文が信用出来ない類のミステリに、プロットも伏線もクソもないってのが私の持論です。 ましてや畸形なんて・・・「暗黒館の殺人」が苦手だった私には苦痛以外の何モノでもなかったです。 世界観の時点で拒絶反応があってフラットな状態では読めませんでした。 それにしても・・・ 著者の館シリーズの中で「暗黒館の殺人」と「人形館の殺人」って評価が高くないですよね。 私も好きではありません。みんな同じ理由なんだと思ってましたけどね・・・ この作品は評価高いんですよね。 もしかして、暗黒館や人形館って島田潔の出番が少ないから好きじゃないのか? |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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予め犯人もその動機も明らかにされていますし、複雑な人間関係に関しても同様。
ミステリではなく人間ドラマだといえますね。 テーマはタイトルにもある通り「使命」 主人公、医師、看護婦、刑事そして犯人、皆それぞれ使命を持ち、それを信じ、それを遂行するために懸命に行動する。 東野作品にしては、プロットにヒネリがないですが、テーマを考えるとそんな必要はないかも知れないですね。徹底したブロ意識の描写です。 人間ドラマを象徴しているのが、犯人が選択した最後の行動。 小説としての面白味よりも人間味を感じさせた作者の徹底ぶりに感心させられました。 犯人に同情した読者も多かったのではとも思えます。 ただ、爆弾事件という事で展開にスピード感がある分か、作品テーマの割に重厚感を感じられなかったのが難点。 また、東野氏の人間ドラマにしては、中途半端に読後感がいいのも物足りなさを感じてしまう原因かも。 あと、最後主人公夕紀の少し歪んだ「使命」が氷解されるのですが・・・ こんな事があった後でも、私なら母親と医師を祝福し迎え入れる事は出来ないだろうと思いました。 多分圧倒的少数派なのかも知れないが・・・ |
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キャラ重視な短編集で設定勝ちじゃんとも言えるのですが、個人的には少しバランスが悪いかなと感じています。
朝永と鞠夫の関係性はいいかなと思うのですが、紅一点妹尾さんのキャラが、推理展開上役に立ちそうもないキャラで朝永に被っているかなと・・・ 彼女がもう少し切れ者なら三人のバランスが取れるかなぁとも思うのですが・・・ 心の声で、無能な朝永を扱き下ろしたりしたら面白いのになぁ。 「殺戮」はもとより「弥勒の手」や「探偵映画」が好きな私にとっては歓迎する作品ではないのですが(ドットジェイピーよりはマシ)、シンプルながら最後必ず驚かせてくれる絶妙なプロットを繰り出す我孫子さん。 この手の短編作品を描いてもしっかり安定してます。 突飛な設定ではあるのですが、推理小説という体裁は保っているので、ファンタジーでは終わっている作品ではないのが流石です。 |
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「硝子のハンマー」コンビが活躍する短編集。
「硝子のハンマー」「鍵のかかった部屋」と感想は同じで高評価とはなりません。 防災コンサルタントと弁護士のコンビってのは面白いと思うのですが、期待するコンビネーションを発揮してくれていません。 ドラマ化された作品。私は見ていないのですが、青砥のキャラは映像化を意識してのものなのかなぁ。どうもしっくり来ないです。 弁護士である意味があるのでしょうか? このシリーズは、近代の高度化したセキュリティ技術に対抗する密室看破を描いたものが多く、密室トリックというより泥棒ノウハウといった方が良い題材が多く、私のイメージする密室ものとは何かが違う気がしています。 まぁ榎本が泥棒?だから仕方ないのかも知れませんが・・・ そういう作品だと思って読んだら読めなくはないのかもしれない。 ただそれが(デフォルトのハードルをかなり高く設定してある)貴志祐介である必要はないように感じています。 このままでは、シリーズ化する程の魅力を感じないですねぇ。 |
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