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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数136件
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「弧狼の血」の続編。
強烈キャラの大上が退場し彼の意志を継ぐ日岡が中心に。 シリーズとして作品の持つ色は変えて欲しくないが、日岡が大上に匹敵なんて設定だったら受け入れ難いと思ってました。 しかし、こちらの想定を上回る設定がされていて興奮を隠せずで、次回作も超絶に楽しみです。 |
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各700頁の3部構成。
図書館でこの本を受け取った時「模倣犯かよ」と。 学校にはこういう生き物が生息してる。生徒、教師、父兄・・・こんな奴いるよね、そんなオールスターキャストで、造形だけでなくその配置も素晴らしい。 唯一の異分子の弁護人、そして当初と逆の役割を背負った検事。 この作品に意外性は不要。如何に登場人物、そして読み手を納得させるかだろう。 そういう意味でこのキャラ配置が効いていたと思う。 |
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日本の司法制度に一石を投じた社会派ミステリ。
テーマは死刑存廃論。よくもまぁこんな難しいテーマを。 メッセージ性の高い作品を多く世に出す作者ですが、その中でも渡瀬警部が登場する作品は際立っているかも。 岬検事と渡瀬の掛け合いだけでも読み応え抜群。 |
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医療ミステリですが、専門用語が多用される難解な作品ではありません。
逆にここまで素人にも分かりやすく描けてる事にまず驚きと感動です。 それにしても、医者って神になりうる人達なんだな、って少し怖くなりましたね。 海堂尊超えを期待したい作家さんです。 |
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このシリーズに外れなし。
今作は驚きの設定で「次はあるのか」と不安にさせてくれるが、まだまだ続くと信じたいですね。 ラスト、御子柴にあの言葉を言わせるためだけに登場した彼女に影のMVPあげたい。 それでも変わらないのが御子柴らしいと思うのですが・・・次回作が楽しみ。 |
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ミステリか恋愛小説か、なる議論があるようですが、私はミステリ寄りの作品だと思いました。
素晴らしいのは、恋愛を陳腐なトリックのネタに終わらせず立派な恋愛小説としても両立させたところですね。 帯に「驚愕の」なんて謳い文句がありますが、そんな類いの作品ではないですよ。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
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当たり外れのある作者さんですが、この作者さんの当たりは大当たりになる事が多くこの作品も例外に漏れず大当たりでした。
登校拒否の7人の中学生が日中17時まで鏡の中の世界で、見つければ何でも願いが叶うという部屋の鍵を探すというファンタジーものですね。 読んでいても、登校拒否な人の気持ちなんて私には理解出来ないし、甘ったれるな、とも思ってしまうんですが、この作品は、つまりは「仲間」がいれば、そんな連中の寄せ集めであったとしても、そんな中で役割分担もなされて協力しあってわかりあえて・・・要は人間強くなれるって言っていますね。 読中「生年月日を確認し合ったらどうだ」って思っていたくらい展開はほぼ読めてましたし、登場人物たち~あえて弱者たちと言わせてもらいますが、に同調など全くしていないにも関わらず、読中何度も涙腺が緩みました。何故だか自分にも分かりません。 辻村さんってホント不思議な作品描く人ですね。 |
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冤罪を犯したのではという葛藤・苦悩・恐怖を抱えたまま定年退職した刑事が妻とともに四国八十八箇所の巡礼に出るという話がベースになっています。
巡礼中、あの時と酷似した事件が発生。 「未だ逃げおおせている同一犯による犯行?」「やはり冤罪だった?」 これが刑事の性なのか、離職してまでも気になって仕方がない、自分にそして自分の家族に不利益となる事がわかっていても、つらい過去をもう一度引きずり出し、向き合い、真実を明らかにしようとする。 それだけじゃなく、妻とのこと、子供とのこと、色々な問題を抱える主人公。 ラスト、それが全て一件落着とならないところが、現実っぽくて余計にグッときた。 まぁ、定年まで職務全うした刑事さんの経験値ってサラリーマンなんかとは深みが違うなと実感した。 それと名刑事の影にはやはりできた伴侶ありだね。 50人待ちでやっとこ手にできた図書館本。待った甲斐あった。 |
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香港発、そして香港を舞台とした警察小説です。
評判が高かったため手に取ったわけですが、初めての作家さん、少し苦手な海外モノ、しかも香港の?って事で半信半疑。 名前と地名にネックはありましたが、横山秀夫さん辺りの日本の警察小説だと言われてもそれ程違和感のない感じ。 これは面白かった。 リバース・クロノロジー形式の6つの中編からなります。 各章ともにラストに意外性があって、本格ミステリを体をなしています。 しかし、全体を通してみると、香港の歴史を辿れていて、どこか社会派ミステリを読んだ印象です。 第1章がとにかくカッ飛んでおり、恐らく読み手の心をがっしり掴むんじゃないかな。 |
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作者らしいSF設定が盛り込まれた本格ミステリですが、その設定が最も効果的だった作品かも知れませんね。
死者が怪しげな機械にかけられると、記憶を失い復活するのですが、某擬似記憶を植え付けられて復活するというSF設定。 最初にしっかり説明はされているものの、如何にもあるトリックを成立させるための胡散臭く都合のいい設定とも言えるでしょう。 しかし、そのトリックが素晴らしすぎるんで許しちゃう。 生前パート、死後パートが交互に展開する構成なのですが、特筆すべきは死後パートです。 短いし、毎度毎度同じパターンなんですけどね。某方向の錯誤トリックはお見事の一言です。 最後、生前パート、死後パートが交差してクライマックスを迎えるわけですが・・・ あのエピローグはどうなんだろ。 大混乱させられること必至ですね。 |
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月輪龍太郎シリーズの1作目。2作目の「黒龍荘の惨劇」を先に読んでいました。
「黒龍荘の惨劇」同様、舞台は明治時代。 明治憲法制定前の伊藤博文の書生として住み込んだ邸宅で起こった殺人事件。 当時の世界観というか、雰囲気を味わうことができ、歴史モノとしても楽しめるかもしれません。 勿論フィクションなんですが、ト書きや注釈によりノンフィクションっぽく読ませるのが上手いですね。 それにしても、シリーズ1作目にこれをやるとは正直驚いた。この発想は全くなかったです。 ラストで一人を除く主要登場人物全ての印象が反転します。ある意味これこそ大どんでん返しと言えるかも。 読中は、「黒龍荘」ほどではないかな、と思いながら読んでいましたが、「驚かされた」という意味では久しぶりかも。 |
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「孤狼の血」や佐方シリーズを読んだ時と同じだ。
ジャンルはまるで違うけど重厚で骨太、読み応えのある作品でした。 今何かと注目されている将棋を題材。 時代は現代なのでしょうが、学生時代に観た「麻雀放浪記」の世界観そのままに、主人公上条桂介と東明重慶の関係は、坊や哲と女衒の達に重なり、個人的に読んでいて何とも懐かしい気持ちになりました。 そんな背景だけでなく、評価したいのは構成。 白骨死体に纏わる捜査の話と、異色の経歴を持つ棋士の話が並行して進みますが、その二つの流れが一つに重なっていく過程の描き方が、上手いというか読み手を惹き付けてやまないです。 また、読み手には最初に被疑者だけが明らかにされ、被害者が誰なのかは最後まで隠されます。 被疑者は登場人物の某二名のどちらかに絞られるとは思いますが、遺留品が主人公の宝物初代菊水月作名駒である事から、恐らく彼だろうと想像はつきます。 だが動機、殺した理由だけでなく、宝物を手放してまで、の理由が最後まで分からない。 読みだしたら止まらなくなる作品ですね。 恐らく将棋好きの人から対局シーンについて難癖をつけたレビューをたまに見かけますが、そこじゃないんだけどね。 それを考えると、将棋を余り知らない人の方が面白く読めるかもしれません。 |
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舞台は明治時代。
伊藤博文、山縣有朋等、実在した人物が主人公らの関係者として登場させる本格ミステリです。 面白かったです。「月輪龍太郎シリーズ」っていうシリーズ物なんですね。読破しようと思います。 ただ、「法月綸太郎シリーズ」に見えてしまうのは私だけでしょうか。 ラストの真相をありきたりだ、っていうレビューも散見されますが、これには正直驚きました。 私には結構衝撃的でしたけどね。似た作品があったってことですかね、私は知りませんが。 残り数ページになった時点で、糸口すら掴めておらず、「まだ謎は16点ある」なんて悠長なこと言っていて、正直「大丈夫か」って思ってたんですが、読み手を納得させる回答と収束のさせ方。こういう、ギリギリまで引っ張って最後ビシッと決める、ていう構成の妙っていうか、この作者さん、相当センスもいいなと。 |
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分かりやすくてしかも非常に読みやすい社会風刺小説ですね。
小学生辺りに読ませたいですね。どんな感想持つでしょうか、非常に興味あります。 憲法改正のニュースなんか見ててイマイチよく分からんのだけど恥ずかしくて人には聞けない、なんて大人にも、勉強にもなる話だと思いますよ(笑) 作中にハンドレッドという蛙が登場します。 ここのレビューにもありますが、「これ百田さんだな」と気付いた時、「だったら・・・」で、この作品の面白さは膨れ上がります。 個人的に「デイブレイク」っていう表現がツボでした。 だから、大人でも楽しく読めるんです。 一番可能性が高くて、一番つまんない結末だったので1点マイナス。 もう少し弾けてもよかったのでは。 |
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殺人事件の加害者及び被害者家族の立場から、その罪と罰、そして死刑制度にまで、真摯に向き合ったかなり重めの作品です。
作者にも正解は出せなかったのか、意図的に出さなかったのか・・・実際回答は出されていないように思うのですが、そんな訳で、読了後、結構じわじわくる作品です。 娘を殺害された被害者側の夫婦である道正と小夜子。 中学生でありながら妊娠、出産、そして産まれてきた子供を出産後直ぐに殺害した加害者側である史也と沙織。 この2つの別の殺人事件を起点とした、被害者側、加害者側の関係者のその後の人生の対比がズシッときます。 被害者の側は女性(小夜子)、加害者の側は男性(史也)の方が、強くそして正しく生きているように描かれています。 そして、被害者側の男性(道正)は「静」、加害者側は女性(沙織)は「堕」 こう見てみると女性って両極端ですよね。壊れるか凶暴になるか(笑) 二人共壊れたという解釈もできそうですが。 私は小夜子の言動が理解できず不快でした。作者は意図的にそういう人間として描いていたようにも思えました。 そして史也には同情が向くようにも。 作者の回答はこれなのかな、とも少し思ってるんですけどね。 史也が罰せられる事は果たして正しいのでしょうかね。私にも分かりません。 |
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「死神」と言うと伊坂の千葉を想起してしまいますが、この作品の死神レオは犬の姿で登場。
レオの目的は、死を直前に迎えた人間が地縛霊とならないように、生前の未練を解き放つ事。 作品内では4人の人間を救いますが、独立した話と思いきや、4人の過去と現在がリンクしており、ラスト皆で7年前の未解決事件を解決するという構成もまず見事。 人の形をしながらも人間離れしている千葉と、人と接する事で人間の感情を少しづつ理解し人間らしくなっていくレオ。 どちらが好みかは人それぞれだと思うし、私は伊坂の死神シリーズ大好きなのですが、胸熱にしてくれたレオに軍配をあげてしまう。 シュークリームが好きだったり、優しい女性に恋心をいだいたり嫉妬したり、自分は高貴な存在と毅然な態度を取るレオだが、尻尾フリフリで内面バレバレなのが面白い。 クスッと笑えたりホロッと泣けたり、そして読後感も最高です。 おすすめの作品。 |
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ジェリーフィッシュに続く「◯◯しない」シリーズ?第2段。
前作が航空工学で今作は遺伝子工学。 ここだけ聞くと理系ミステリ?森博嗣?って感じですが、前作でも感じたように、相当に綾辻館シリーズを意識しているように思います。 そして本格です。 動機がどうこういう人が多いけど、ミステリの仕掛けとしてはかなりのレベルだと思います。 相当に考え抜かれたプロットですね。 そして、密室殺人を装いながら、中には、自殺ではありえない首を切断された死体が・・・ これだけで結構そそられます。 ミステリの体裁だけでなく、マリアと蓮の人物造形だったり、サイドストーリー的なところまでよく描けていると思います。 面白かったのは前作ですが、1冊の作品としてレベルの高いのはこちら、そんな印象を持ちました。 青崎有吾さんのシリーズと共に、今イチ押しですね。 でもまぁ、これで一発屋でないことは証明されました。 続編が楽しみです。 |
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鮎川哲也賞受賞作。
選考員の北村薫さんが言った「野球を見に行ったら、いきなり闘牛が始まったような驚き」 これが、一番分かりやすいように思う。 似たような例えをしているレビュアーの方がいたが、ミシュランシェフが田舎の大衆食堂で「クローズドサーキット」を注文して、出てきたものに目からウロコって感じだ。 本作品における、ホームズ、ワトソンでの続編に期待したいところですが、何れにせよ次回作で真価が問われるでしょうね。 単なる大衆食堂のオヤジだったのか、味吉陽一(古い?)なのか・・・楽しみに待ちたいと思います。 タイトルからして本格、そしてクローズドサーキットものなのだが、「新しい」って言っていいんでしょうね。 読中、最後どうやってまとめるのか不安になりながらの読書でしたが、 クローズドサーキットを作った原因も「あれ」だし、驚いたのは凶器として使用された「あれ」で、これはお見事としか言いようがないですね。 ただ、こういう状況で、「復讐を成し遂げるチャンスだ」なんて考える人は、絶対にただの一人もいないと思いますけどね。 |
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現役の医師である作者が描く「悪い医者とは?」を読み手に問いかける作品。
ガンを患う主人公が、ある日担当医から「これ以上、治療の余地がありません」と告げられる。 残りの時間を有意義に、という思いの医者と、「私にすれば、死ねと言われたのも同然」という主人公。 一縷の望みに賭け、様々な病院を渡り歩き、そこで様々なタイプの医者に出逢うことになります。 まぁこういう医者もいるんだろうな、っていう医者も何パターンか登場しますが、本物の医師にそれを描かれると結構衝撃ですよね。 癌患者の苦悩だけでなく、それと向き合う医師の苦悩もしっかり描けている良著だと思いました。 自分が癌で余命わずかとなった時、どんな医者にそばに居て欲しいだろうか。 |
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DNA鑑定が信用に足りない時代の話で、それによる冤罪をテーマにした作品です。
しかも、死刑が執行された後の事であり、そんな冤罪をめぐる検察と、無念な死を遂げた父の汚名を晴らさんとする娘の戦いを描いた作品です。 高野和明氏の「13階段」とは、死刑執行前か後かの違いがありますが、こういう作品を読むと死刑判決ってやつの重さを感じますね。 読み応えがある作品です。 日本では、起訴された場合、その有罪率は99%を超えるらしい。 起訴、不起訴のふるいをかけるのは検察であり、要は検察が有罪だと判断したら、いくら無罪を主張してもその判決が覆される事はまずない事をその数字は示している。 ただ、こういう作品が世に数多く出ている事自体、検察の捜査能力に疑問を抱き問題提起したいと考えている人も少なからずいるのだろうなと想像してしまいますね。 |
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