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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数105件
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文庫化される際に「さよならドビュッシー前奏曲(プレリュード)」と改題された訳ですね。
その方が絶対に売れるでしょう(笑) ドビュッシーにも登場した某人物のスピンオフの連作短編集ってところでしょうが、いやいや上手く繋げたなぁ。 こういう広がりは楽しいですね。 最終章の「最後の挨拶」ってタイトルは、ドビュッシーを既読であれば、どことなく洒落て聞こえます。岬洋介も登場しますよ。 この最終章で1ポイント加算です。 勿論ドビュッシーは先に読んでおきましょう。 |
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「日本沈没」を彷彿とさせる災害小説。
兎に角スケールがでかいです。 専門用語が多々出てきますが意味を十分理解できなくとも、そのリアルな描写に圧倒され十分怖さは伝わります。 単行本で600頁超えの大作ですが、正直これでも足りないくらいです。 というのも、これだけの極限状態ながら醜さを顕にする人間が一人も登場しないっていうところにはやはり違和感を感じました。 命からがら逃げる主人公視点が多すぎて、本来ならもっと深掘りして色々な角度から描けたはずだったのでは、と。 最後に、日本再生への道が示されますが、そこが沈没しちゃってもう何も出来ない作品とは違うところ。 だったら、アイデア提示で終わるのではなく、そこも描いて欲しかった。 1000頁は必要な作品でしたね。 |
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20年前の幼児誘拐事件の犯人の娘が大手新聞社に内定というスクープに対し、事件を犯し窓際に追いやられている元記者が、20年前の誘拐事件の真実を解き明かすという物語。
まぁ例によって例の如く、警察が20年かけて解明できなかった事件を、捜査素人たった一人で・・・っていうのには無理があります。 しかも、その元記者が何か突飛な手段を使ったというのなら分かるんですが、至ってオーソドックスな取材の中から・・・って感じですしね。 それともう1つ、この作品には欠点があって、読中から、結末だけは予想できてしまうんですよね。 誘拐された子が殺された、死体で発見された、なんて記述が一切ないわけですから、普通想像がつきますね。該当者は一名です。 そうなると、ほぉ、作者さんはここで、事件を複雑に見せようとしているな、なんてのが見え見えになっちゃう。 意外な犯人のつもりだったんでしょうけど・・・惜しいですね。 でも、凄く面白かったんですよね。 同じ乱歩賞受賞作の「13階段」とか「天使のナイフ」に似た雰囲気はあります、というのは少し大げさかな。 この2つの名作同様、人物をよく描けていると感じたんですが、やっぱ名著の条件の1つですよね。 |
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法医昆虫学捜査官シリーズの第4段。
まぁどうでもいいですけど、カバー絵の赤堀涼子は36歳に見えないのですが・・・ このシリーズでは、犯人が一番狂気に満ちてましたかね。 タイトルから、「村のしきたりや風習を守るための・・・」的な物語を勝手に想像して読んでいたので、ラストは「あれっ?!」な感じになりました。 この人が犯人だろう、とは何となく想像はついていたのですが、違った調理法を見せられた感じ。 でも、ガッカリしたわけではなく、これはこれで面白かったですね。 赤堀同様、ある分野で突出したスキルを発揮できる人物だったので、ラストのせめぎ合いはかなり見所ありました。 もう少し、例えば駆け引きとか、派手に魅せる事もできたとは思いますが・・・ でも、このシリーズでは一番かな。 |
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横溝正史ミステリ大賞を受賞したハードボイルド作品。
コテコテのハードボイルドは苦手なのですが、この作品はノリが軽くてテンポも良いので読みやすいです。 ノリが軽いっていうか、「言葉選び」という点で凄くセンスを感じさせますね。 そしてやはり印象的なのは、(作品タイトルにも繋がるのであろう)「虹の種」の話。 要するに「悲しみを背負った人達を幸せにするために戦う主人公」の話をハードボイルドに描いている訳ですが、挿入されたその「虹の種」の話が、作品のとんがってる部分を弱めてるというか、上手く言えないんですが、すげー効果生んでるように思えました。 恐らくは作者の創作だと思うのですが・・・まぁだとしても、だとしなくても、これがデビュー作っていうのにはちょっと驚きです。 ラストで主人公より真相が明らかになるシーンは、私自身も読んでて違和感ありましたし、他のレビューとか見てみるとやはり賛否両論のようですね。 でも、個人的にそういう趣向の作品じゃないですし、まぁいいんじゃないかと。 |
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相変わらずリーダビリティはいいですね。
1枚のフロッピーディスクにおさめられた50を超える手記を順に読んでいく事になります。 登場人物達が代わる代わる登場してきてなされた証言が記されています。 作者の代表作の1つである「ラバー・ソウル」と同じ構成なのですが、その証言、矛盾しているにもほどがあります。 それはもう読み手を混乱させるにも限度があるってもんで、ここまで来ちゃうとオチは読めてしまいました。 まぁ、ワープロとかフロッピーディスクで分かるように、かなり昔の作品でもありますし、今読んでしまうと、ネタの鮮度と言うかなんというか、「古い」というのが正直な感想でした。 が、さすが井上夢人さんですねぇ。そんなオチで終わらせてないです。 最後にもう一捻りあるっていうか、ラストのほんの数ページで作品に更なる奥行きを持たせることに成功していますね。 ちょっとしたことなんですけどね。 「古っ」で終わってしまうのとは読後感がかなり違う気がします。 |
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シリーズ最新作を先に読んでしまったが面白かったので1作目を早速読んでみた。やっぱ面白い。
やはり、主人公・赤堀涼子がいいですね。 1作目という事もあり、より変人ぶりが際立って描かれてます。 周りから認められていない変人法医昆虫学者がその活躍によって偏見を覆していく。 日本人はこういうの好きなんでしょうね。 蛆ボールのグロさに耐えて読み進めると・・・意外と読後感はいいんですよ。 ただ表紙の赤堀涼子、これはない。 私は、小柄なゆりあんレトリィバァをイメージしてるのですが・・・ それにしても賞受賞後の2作目に、こんな作品を描くなんて凄いと思います。 Wikiで調べると、女性でしかもデザイナー。 生物学者だった父親の影響のようですね。 また楽しみなシリーズを見つけてしまった。 |
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シリーズもののなんと5作目だったようだ。
ありそうでなかった・・・そんな印象ですね。 人為的に隠そうとしている事実をいとも簡単に暴き出す虫たち。最初の数ページで「これは面白いぞ」ってなりました。 元々外部からの介入を好まず排他的な捜査陣、そんな中、主人公である法医昆虫学者が少し変わった物怖じもしない若い女性である事、そして彼女の風変わりな捜査法を認めるベテラン刑事。 この二人の主人公の関係性がいいですね。 映像化を意識してヌルい作品を描く作家が増えている中、映像化したらTV局の電話が鳴り止まないだろうこのシリーズを描き続ける作者はスゴイ。 アリや蛆虫が苦手な人でも大丈夫ですよ。 |
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それにしても、この作者さんは、登場人物を変態まみれにするのが好きなんですかね。
この作品については、一人称の表記が変わったり、とか、分かりやすいというか、露骨過ぎですので、読み手に「何かあるよ」って警戒させるようになってますよね。 その他にも、あの某言葉遊びにも気付いたんですけどね。 なる程、そうまとめましたか、って感じです。 「イニラブ」より分かりやすいと思いますし、全然面白いですよ。 |
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恩師を殺害された公務員がその復讐を終えた後、親友の豪邸に、殺害犯の生首を届け物としてアポなしで訪れるのですが、豪邸の中で「何か」が起こっているためか、肝心の家主になかなか会えない。それを、殺人犯が探偵となり、主の妹、妻、秘書を相手に推理していくという物語です。
「碓井由佳シリーズ」が大好きな私。 この作品も同系統で、この作者さんの描く、こういった閉鎖空間の中での心理戦、駆け引き合戦は本当に面白いですね。 殺人犯がいけしゃあしゃあと探偵役を演じる作品は何作か読んだ事がありますが、この作品の場合、全く別の事件を全く別の場所で推理するという。 この舞台設定がまず異質っていうかすぐれものな気がします。 この作品の場合、探偵役の公務員は、碓井由佳のような圧倒的な存在感がない、「弱い」かなぁ、と読中感じていたのですが、物語の幕引きを見ると、展開を支配していたのは女性陣だったんだなと。 この作者さんは、女性に対して何か苦い思い出をお持ちなのだろうか。 1つ難点を上げるとしたら、表紙のデザインで、屋敷内で何が起こっているか予想できてしまった事でしょうか。 |
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音道シリーズは「凍える牙」「鎖」に次いで3作目の読了なんですが、正直この主人公に魅力を感じないのです。
「男社会で差別的な扱いを受けながらも頑張る女性」を描いたシリーズという印象ですが、この主人公は好きになれないですねぇ。 安易に「パワハラだ、セクハラだ」と吠えるアホさはないものの、思考が今風の女性って感じもしないですし。 音道の魅力ってなんなんでしょう。勘が鋭いところ? だけ? 音道を認める周りの男刑事たちの方が寧ろ格好良く思えるのですが・・・ これが作者の狙いなのかな。 これで3回目のコンビとなる滝沢なのに、一向に距離が縮まらずで、滝沢の音道の扱いづらさにイラついたり気を使ったりの「心の声」が面白いのですが、普通の男だったら同じこと思うよなぁ。 過去2作よりは好きですね。 |
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館ミステリと言えば、綾辻の館シリーズでしょうが、この作品はちょっとした掘り出し物ですよ。
密室、見立て殺人と本格要素満載、雰囲気もあります。 で、トリックはというと、凄くシンプルで盲点をつかれた感じですね。 登場人物が多いのですが、主要人物以外の描き込みが浅く、何となく犯人が分かってしまうのが難点ですかね。 探偵役の中里が「島田潔」と重なって仕方なかったです。 |
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タイトル作である「満願」を含む6作品の短編集です。
米穂さんの短編集は「追想五断章」といい「儚い羊たちの祝宴」といい、強烈なインパクトがありました。 この作品も、この2作同様に凄いです。この作者さんの短編集は凄い、ホントに凄い。 タイトルからも想像がつくと思いますが、人間の「願い」をテーマにしているおり、これが何れも第三者を巻き込む「願い」なんですね。 こうなってくると、人間ってやっぱり利己的なんだと思いました。 で、騙される側というか、勘違いしている側というか、知らぬは◯◯ばかりなり、の◯◯にあたる人物の一人称描写なんですよね。 ◯◯さんと一緒に騙されて、最後に相手の本性が見えてラストでビックリ、っていうパターンです。 「後味の悪さ」ってやつは健在で、後からジワジワくる系ですね。 で、大技じゃないんですよね。 ちょとした「誤認」を大きなインパクトにして読者に叩きつける感じです。 「古典部シリーズ」と同じ作者の作品とは思えない、なんて思ってたんですけど、普通なら見逃してしまいそうな小事に着目して、そこからひっくり返すっていう点では、つながってるっていうか同じなのかな、って考えを改めさせられました。 |
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島田荘司版「八つ墓村」といったところでしょうか。モチーフとした事件が同じですからね。
ノンフィクションタッチに描かれているものの、壮大なトリックあり、失笑しそうなトリックもあり、御大らしさ満開といったところですかね。 御大の作品で、かなりの長編というと、事件に直接関係ない、いつもの「冗長の二文字」が頭を過ったのですが、この作品にはそういう点はありませんでした。 これ高評価ポイントです。 で、御手洗シリーズなんですが、御手洗は登場せず主役は石岡です。 登場せずというより「直接は」登場せず、と言った方がいいかも知れません。何れにせよ殆ど登場しません。 その割に、事件の真相は複雑この上なく、本来こんなもの石岡くんに解けるわけないじゃないか、というレベルである。 過去の事件をモチーフとした単なる連続猟奇殺人事件に見せかけておいて真相は相当に込み入ってます。 なので面白いです。御手洗シリーズではかなり上位にランクされる作品になると思います。 ただやっぱ「密室」って、読み手を引きつける1つの要素なんですよね。ワクワクしますから。 そこをどれだけ上手く処理するかが、その作品の評価に大きく影響すると思うんですけどね。そこを蔑ろにはしてほしくないですね。 この作品に限らず、最近、ほぼほぼ諦めながら読んでること多いんですけどね。 それと、事件の真相に大きく関わっている人物をラスト近くまで隠しているのもどうかと。 「誰?」ってなるじゃん、普通。 まぁ色々不平不満言いましたが、面白かったのは間違いなしです。 |
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アニメ制作現場の裏話的なお仕事モノです。
監督、プロデューサー、アニメーターである女性が主役の連作集ですが、時間軸は同じ、同クールのアニメ業界の裏側では何が起こっているのか、を3つの方向から描いた話になります。 アニメに興味がない人でも十分に楽しめると思います。 実際私は、興味が無いというよりどちらかというと、作る側の人間に対しても、それを前のめりで見ている人間に対しても、好意を持っていませんが、楽しく読めましたので。 特に3作目のアニメータの話が好きでした。 自分達を「非リア」と称して「リア充」な連中に対する斜め下からの歪な心理描写などは、この作者得意とするところでしょう。 「非リア」というより「社会不適合者」だと思って読んでましたが・・・ 変人がノーマルに変わっていく過程がよかったです。 チヨダコーキも登場します。 「スロウハイツの神様」って、辻村作品の色んな起点になってるんだな、って思えてきますね。 |
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祖父を殺された青年の犯人探しの物語ですが、謎解きというより主人公の成長の物語と言ってよさそうです。
そういうと、青春モノ、人情モノなのかっていう話になりますが、寧ろ歴史モノやドキュメンタリーと言った方がしっくり来るような気がします。 ミステリ要素もありますしね。 でも、ごった煮って感じではないです。 時代の激「流」に翻弄されながら、転がる石のように「流」されていく主人公の人生。 ビシっと一本筋の通ったしまりのある作品だと思います 。 舞台は70年代の台湾で、我々には余り馴染みのない設定になりますが、当時の台湾の文化や情勢が庶民目線で語られています。 国民性ってこうやって作られていくんだな、なんて感じながら読んでいました。 台湾産まれの作者だからこそ描けた作品のように思いますね。 まぁおかげで登場人物の名前を覚えるのに一苦労しますけどね。 読後感もいい作品なんですが、この状況が長く続かない事を知っている読み手には、また独特の読後感を生んでますよね。 |
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この作家さんは、あの「フジコ」以来の2作品目。
それにしても、この作者さんって他もこんな感じなんですかねぇ。イヤミスの女王と呼ばれているみたいですが・・・ エログロ全開って感じですね。 「惨劇」って言うほどの事件は起こらず、歪んだ人間達によるちょっと気持ち悪くなるような物語が続きます。 ただ、イヤミスを我慢して読み切った者しかその面白さまで到達できませんよ。 「フジコ」ほどのインパクトはないですけど、仕掛けまみれで面白いのは確かです。 まぁ、仕掛けというよりも「小細工」って感じもしないでもないですが・・・ しかも「鉄則」と言ってもよい仕掛けとも思うんですが、毎回騙されてしまうんですよね。 ただ、この作品に限っては、読み進めるうちに途中で「あれっ!?」ってなりました。 どこかでミスリードされてるって気付いちゃうんじゃないかな。 私の場合は、当たらずといえども遠からず、って感じでしたが。 そこが少し減点材料になりますかね。 某所で作者ご本人さんにリツイートされたんで1点おまけ。 |
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白辻村か黒辻村かって事になると、この作品は明らかに白辻村で、っていうか「真っ白」な作品。
これまで読んだ辻村作品では「異質」かも。悪い意味ではなくて良い意味で。 「こんな作品も描くんですね」って少し意外でした。 舞台は瀬戸内海に浮かぶ島。 島の生活ってのが、どこでもこんな感じなのかは分からないですが、元々住んでいた住民たち以外にも、Iターンで渡ってきた人達や、諸事情あって内地から逃げるように移住してきたシングルマザーが多く生活をしているという設定。 そしてそこには、島というある意味閉鎖された空間ならではの、大人たちにしか分からない複雑な事情が絡み合っています。 テーマは島に過ごす人間たちの繋がりの強さと別れでしょうか。 主人公はこの島に住む男子2名、女子2名の高校生なのですが、本来大人たちで何とかクリアしていくはずのそれら事情も、狭い世界の中では子供たちにも筒抜けで、巻き込まれたり、或いは、自ら巻き込まれに行ったりします。 将来、島から出るというのが基本路線の彼らの中には、島に残る事を宿命付けられた網元の娘もおり、繋がりが強いが故により別れが辛いものになるといった設定には、わざとらしさも感じざるを得ないんですけどね。 4人の高校生たちは価値観等、それぞれにタイプが異なっており、同じ島に暮らしていなければ友達にすらなれたかどうか。 そんな事を色々考えながら読んでいると、最後に涙腺崩壊するかも。 色々な諸事情がウルトラC的に上手く収束してラストはハッピーエンド、っていうのは、この作者さんらしく無い終わり方な気もしないでもないです。 なので後々印象に残らない作品なのかも知れませんが、読後相当「ほっこり」したのは間違いありません。 作品間での登場人物の往来が珍しくない作者さんですが、この作品には辻村作品では5指に入るであろうキャラである「あの人」が登場します。 チラッとの登場ではなくかなりの活躍と存在感を出してます。 地域活性デザイナーのあの人とタッグを組んでの続編がありそうな気がしますね。(まだ出てないよね) |
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事故で子供をなくし生活に疲れ切った37歳の主婦を被害者の一人として描いたミステリ。
甘い香りでターゲットをおびき寄せ、その養分を全て吸い取るウツボカズラ。 美やお金への飽くなき願望がその罠へと誘う。 女性のあくなき「美」への願望やその執念は分からなくもないのですが、それにしても、「あなたは、もっと美しくなれる!」の一言でコロッと騙されてしまう。 男にはなかなか理解できない部分ですね。 序盤の2視点、繋がる事は明らかなのですが、簡単には繋げない。 この接点こそが物語のキモなわけで、この見せ方は上手いと思いました。 ネタバレにならないように言ってしまうと、一種の「なりすまし犯」な訳ですが、アイデアは秀逸に思いました。 ただ、接点が明らかになってからの展開が少し早すぎで、本来ならもっとスケールの大きな作品に出来た気もします |
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女探偵・葉村晶シリーズの2作目。
というか、この作者の作品は初読だったので、シリーズ1作目は読んでいません。 評価が高かったんで読んでみた、って感じなのですが、正直失敗しました。 第1作からちゃんと読むべきでした。 9編の連作短編集で、春→夏→秋→冬と時系列に話が進み2年後の春で終了するという構成。 扱う事件が事件らしからぬ軽い案件ばかりという事もあってか、1編1編が非常に短いです。 主人公の女探偵の一人称という手法を取っている割に、多くを語らず、感情も表に出さないためか、非常に無味乾燥、悪く言えば「シラー」っとした「流れ」も兼ね備えているといった印象なのですが、不思議とテンポやキレと言ったものを感じてしまいます。 と言うのも、謎が解かれて明らかにされるのは「悪意」で、何れの作品も読後感は良くないですが、強烈に印象に残ってしまうからでしょうか。 あと何気にプロットもしっかりしてますよね。 読み応えありって感じではないですが、読んで見る価値ありな作品。 「短編ってやっぱりこうでないと」って思えた短編集でした。 |
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