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(短編集)
貴族探偵
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貴族探偵の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全38件 21~38 2/2ページ
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“推理? どうして私がそんな面倒なことを? 労働は、家人に任せると先ほど話したばかりでしょう。 それが貴族というものです” とか言い切ってしまう、本名不詳・やんごとなきお家柄の貴族探偵。 事件の捜査〜真相披露は、執事:山本、メイド:田中、運転手:佐藤にお任せ。 でもって、関係者が発する当然のツッコミに、平然と 「あなたは家を建てるときに、自分で材木を削りますか。 貴族が自ら汗するような国は、傾いている証拠ですよ」 なんか“妙に説得力ある気もする言”を返してくださるのだった。 貴族探偵氏、優秀すぎる使用人たちより思考回路が悠長なだけで、 「実は充分聡明なんじゃないか?」って気も・・若干。 . “皇室御用達:常磐洋服店のオーダーメイドに身を包み…” ってヴィジュアルと、身分の高さ、優雅な振る舞いから、 遠野春日さん『茅島氏の優雅な生活』の茅島氏を彷彿しちゃってましたが、 貴族探偵には「口髭がある」んですよね。。 | ||||
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続刊がこのミステリーがすごいにランクインしたので,こちらから読んでみましたが、ユーモラスでおもしろい。 麻耶先生の小説にしては、ヒネリがあまりないと思いますが、これだけ人を喰った、見た目で何もしない探偵がいると,楽しいのでしょう。 | ||||
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新品だから、美品なのは当たり前だが、商品の到着がとても速くて驚きました。 今日到着したのでまだ読んでません。読んでまた感想を書き込みます。 | ||||
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面白かったです。けど途中で二度読むのを辞めようと思ってしまいました。 隙間時間に少しずつ最後まで読みましたが途中で辞めても良かったかもしれません。 設定のおもしろさはありますが、それだけで、登場人物については特に愛着もわかず 印象に残るような情景描写は無く、事件に至ってはどうでも良い物が多かったです。 ミステリとしては、別にそれで良いのかもしれませんね。 けどこれで話も面白かったら最高なのにと少し残念に思いました。 それくらい、貴族探偵の設定は面白かったです。完全に出オチですが(笑) | ||||
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主人公は貴族探偵なのに、実際に事件を解決するのは召使で本人は何もしない、本当に奇抜な作品で面白いです。すごい発想だなあと感心しました。 | ||||
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癖のある作風で相当のミステリマニアが読んでも釈然としない作品も多い麻耶雄嵩氏だが、2000年代初頭からの単発で連載された短編を集めた本作は純粋な論理的解決を重視した本格推理短編が楽しめ、初心者でも全く違和感なく最後まで読める麻耶入門版として最適な一冊。 一種の安楽椅子探偵もので、貴族探偵と大きく出た割にややキャラが立ってないような感もあるが、キャラ先行というよりもいずれもコンパクトな事件を最後に論理で落ちをつけるのに重点が置かれていて短編ながら読み応えはかなりのもの。 好評のため続編も出るようである。 | ||||
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面白かったの一言。麻耶雄嵩は読者を裏切らない。 不思議な世界観に引き込まれた頃には貴族探偵の虜になっていることうけあいだ。 人を食ったようなキャラクターたちは魅力にあふれている。 気に入った脇役が多くいて、困ったほどだ。 テレビドラマにも出来そうだが、珠玉の本格短編集なだけに難しいかも。 続編を強く希望したい。 | ||||
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設定そのものが非常にユーモラスで、 貴族ともなると、探偵といえども、推理は雑事、 そんなものは使用人に任せるんですねぇ。 肝心の中身は、緊密な構成の、無駄のない文章で綴られた ロジカルな短編ミステリーです。 もちろん設定がおもしろいので、ちょっとしたギャグ描写はありますが 全体に無駄がないから引き立っています。 引き合いに出して申し訳ないですが、このミスとか文春とかのランキングで 上位に行った『叫びと祈り』に比べて、なんという無駄のなさか、と思います。 (あっちは作者が若いので仕方ないですが、文章にケレン味がありすぎて 実にくたびれた。) フォントがクラシカルであるところとか、ドイツ語の訳題が付されている ところなども雰囲気があって、本全体の作りがひとつの空気になっています。 素晴らしかった。 | ||||
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設定そのものが非常にユーモラスで、貴族ともなると、探偵といえども、推理は雑事、そんなものは使用人に任せるんですねぇ。肝心の中身は、緊密な構成の、無駄のない文章で綴られたロジカルな短編ミステリーです。もちろん設定がおもしろいので、ちょっとしたギャグ描写はありますが全体に無駄がないから引き立っています。引き合いに出して申し訳ないですが、このミスとか文春とかのランキングで上位に行った『叫びと祈り』に比べて、なんという無駄のなさか、と思います。(あっちは作者が若いので仕方ないですが、文章にケレン味がありすぎて 実にくたびれた。)フォントがクラシカルであるところとか、ドイツ語の訳題が付されているところなども雰囲気があって、本全体の作りがひとつの空気になっています。素晴らしかった。 | ||||
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本格ミステリベスト10で隻眼の少女が1位になった麻耶だが、票が割れると思いきや本作も6位にランクイン。一般のネット投票では1位が隻眼、2位が貴族だというのだから麻耶という作家がいかにマニア好みかがよくわかる。しかし本作は非常に読みやすく、短編だが毛色が違っており、一般の方でも飽きずに十分楽しめる良作揃い。 名探偵から何を削ぎ落としても名探偵でいられるか、という本作のテーマについては皆さん言及しているので、ここでは「こうもり」について。「こうもり」はフェアかアンフェアかということが話題になっているが、私はむしろこの作品は、そもそも叙述トリックにおける「フェア」とは何か?という問題提起のように思える。みんな当たり前のように叙述トリックを使っているが、その本質、定義は何かということについてはあまり語られない。「こうもり」のこんな正直なトリックでも、読者は誰もわからない。今後、叙述トリックそのものに対する議論、研究が深まり、新たな分野が開拓されることを期待する。麻耶が常に新しく良質な作品を書き続けられるのは、彼の問題提起能力故だろうと私は思う。 トリッチトラッカポルカ、春の声なども非常に魅力的で切れ味抜群。ドラマ化したら面白いと思うんですけどね〜! | ||||
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本格ミステリベスト10で隻眼の少女が1位になった麻耶だが、票が割れると思いきや本作も6位にランクイン。一般のネット投票では1位が隻眼、2位が貴族だというのだから麻耶という作家がいかにマニア好みかがよくわかる。しかし本作は非常に読みやすく、短編だが毛色が違っており、一般の方でも飽きずに十分楽しめる良作揃い。名探偵から何を削ぎ落としても名探偵でいられるか、という本作のテーマについては皆さん言及しているので、ここでは「こうもり」について。「こうもり」はフェアかアンフェアかということが話題になっているが、私はむしろこの作品は、そもそも叙述トリックにおける「フェア」とは何か?という問題提起のように思える。みんな当たり前のように叙述トリックを使っているが、その本質、定義は何かということについてはあまり語られない。「こうもり」のこんな正直なトリックでも、読者は誰もわからない。今後、叙述トリックそのものに対する議論、研究が深まり、新たな分野が開拓されることを期待する。麻耶が常に新しく良質な作品を書き続けられるのは、彼の問題提起能力故だろうと私は思う。トリッチトラッカポルカ、春の声なども非常に魅力的で切れ味抜群。ドラマ化したら面白いと思うんですけどね〜! | ||||
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愉快な(?)探偵と、ものによっては30ページほどで片付けてしまう恐るべき使用人たちによる悲喜劇です。 つまるところは良作ミステリですね。 私は麻耶氏の作品はこれが初めてなのですが、なかなか変わった作風の方のようですね。 またお気に入りの作家さんが増えました。 巻末を見ると、「貴族探偵」は2001年に2回、2007年、2008年、2009年にそれぞれ1回ずつ雑誌に掲載された作品集であることがわかります(1話:ラヴ何とか-5話:オレオレ詐欺 の表記にて実感できました)。麻耶氏もそのことについてコメントされていますが、それが物語に害をもたらしている部分はとくに見受けられず、逆にこの異色作の異質さをさらに加速させる要素となっているのかも、などと思ってしまいます。 中でも1話、3話、4話は特に良くできていたのではないでしょうか。 変わったところばかり挙げてしまいましたが、ミステリとしてきちんと(しかも本格的に)完結し、 様々な手法にて楽しませてもらえるのが嬉しかったです。 | ||||
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著者の別シリーズの探偵役・メルカトル鮎は、『夏と冬の奏鳴曲』において、 〈銘探偵〉と自称し、推理の過程をスキップして、ただ真実を伝えるといった 役割を担わされていましたが、本作の貴族探偵は、そうした“託宣”を下す こともなく、真相究明は使用人に丸投げし、自分は、事件関係者の女性を 口説くだけ――という、何ともオフビートな人物造形がなされています。 そこには、著者一流の深遠な“探偵論”があるのかもしれませんが、それは さておき、本作自体は、ロジックに特化したストイックなまでにガチンコな本格 ミステリ短編集となっています(“物語”なんて、どーでもいいというような潔さ)。 一見地味に感じられますが、短編一つひとつに見逃せない“捻り” や趣向が加えられており、パズラー好きには堪らない短編集です。 ■「ウィーンの森の物語」 大事な商談に臨むため、山荘に来ていた会社社長を、 自殺に見せかけるべく殺害し、密室を構成した犯人。 しかし、被害者のポケットに部屋の鍵を戻すために使った 糸を回収しようとした際、糸が切れて現場に落ちてしまう。 その不測の事態に対し、犯人は……。 作中では、密室を構成する動機として“自殺に見せ かけるため”以外にも、もう一つ挙げられています。 不測の事態を受け、犯人は臨機応変にもう一つの動機に方針転換することで 容疑を逃れようとしますが、ある“品物”のために馬脚を露してしまいます。 ベタでローテクな物理トリックの失敗を起点に、一風 変った展開を描き出してみせる著者の手腕が秀抜です。 ■「トリッチ・トラッチ・ポルカ」 頭部と両腕の肘から下を切断された身許不明の女性の死体が発見される。 その数日後、被害者の頭部と両腕、被害者の所持品や凶器が発見される。 それらのものを河原に埋めていたところを目撃された男が、 容疑者と目されるが、その男には完璧なアリバイがあった。 のちに、被害者が恐喝者だった事実が判明。容疑者の男を はじめ、複数の人間を強請っていた形跡が残されていて……。 ××を彷彿とさせるシュールで破壊力抜群なトリックが 秀逸(両腕を肘から切断していたというのがポイント)。 さらに、現場の状況から、犯行時刻を絞り込み、 意外な犯人を導き出す手順もよく出来ています。 ■「こうもり」 女子大生の紀子と絵美は、旅先の高級老舗旅館 で、人気作家の大杉道雄と堂島尚樹と知り合う。 大杉には、妻とその妹夫婦という連れがあり、彼ら のあいだには、どことなく不穏な空気が漂っていた。 そして、案の定というべきか、殺人事件が発生し……。 表向きは、脱力感を誘う、安易なトリックが用いられていますが、 叙述の上で著者一流の超絶技巧が駆使されている集中の白眉。 作中人物と読者双方をそれぞれ別のポイントで欺瞞し、それに よって生じる齟齬が、巧妙なミスディレクションとなっています。 ■「加速度円舞曲(ワルツ)」 楽しみにしていた海外旅行の取りやめ、恋人の浮気の発覚、落石 による自損事故……と、まるで加速度がついたかのように不幸の 連鎖に見舞われた編集者の美咲。 たまたま事故現場を通りかかった貴族探偵の車で、落ちてきた石が あったと思しき別荘を訪れると、担当している作家・厄神の死体が……。 時間を巻き戻していくように、事件の再構成が行われていくプロセスが秀逸。 迷信深い被害者のために右往左往させられ、自爆してしまった犯人が笑えます。 ■「春の声」 名家・桜川家では、当主の孫娘の婿選びが行われていた。 三人の婿候補は、みっともない鍔ぜり合いを演じて いたのだが、やがて不可解な連続殺人が発生し……。 当初想定された事件の構図を、ロジックによって完全に反転させる離れ業。 | ||||
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著者の別シリーズの探偵役・メルカトル鮎は、『夏と冬の奏鳴曲』において、 〈銘探偵〉と自称し、推理の過程をスキップして、ただ真実を伝えるといった 役割を担わされていましたが、本作の貴族探偵は、そうした“託宣”を下す こともなく、真相究明は使用人に丸投げし、自分は、事件関係者の女性を 口説くだけ――という、何ともオフビートな人物造形がなされています。 そこには、著者一流の深遠な“探偵論”があるのかもしれませんが、それは さておき、本作自体は、ロジックに特化したストイックなまでにガチンコな本格 ミステリ短編集となっています(“物語”なんて、どーでもいいというような潔さ)。 一見地味に感じられますが、短編一つひとつに見逃せない“捻り” や趣向が加えられており、パズラー好きには堪らない短編集です。 ※各短編については「コメント」をご参照ください。 | ||||
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あらすじ 事件現場に颯爽と現れ、警察を顎で使い事件を解決する貴族探偵。 ただし推理などという〈雑事〉はすべて、使用人任せてしまい 探偵は事件の渦中にいる美女に声をかけ・・・ 感想 探偵の定義は人それぞれで十人十色。 その中の一つに探偵とは「事件を解体する者」 と定義した人がいました(誰かは忘れましたが・・・) なら、推理なんてものは解体のための手段にすぎず 程度の差こそあれ、どんな手段を用いても問題ないはず? 今作で登場する探偵は、自らの特権を活用し警察から情報を得て しもべ達に推理をさせ、見事に事件を解体します。 その姿は可笑しくもあり、今までにあれやこれやで ミステリーにおける探偵像に揺さぶりをかけてきた作者の 企てが炸裂します。 ところで話は脱線しますが、巨万の富を得た経営者の逸話で 専門家と呼ばれる人種に詰め寄られた際の話がありました。 『こんな問題を知っていますか?』 『いえ、知りません」 『あなたはなんて無知な人だ。こんな人が企業のトップですか』 そこで経営者は電話をかけ、受話器を専門家に手渡します。 『私のコンサルタントがその問いに答えてくれるでしょう』 高貴な趣味で探偵を行う貴族と、経営者では立場が違いすが ちょっとした共通点があり、面白いと思いました。 読んでからの一言 探偵なんてものは、趣味でやるくらいでちょうどなんでしょう。 | ||||
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あらすじ 事件現場に颯爽と現れ、警察を顎で使い事件を解決する貴族探偵。 ただし推理などという〈雑事〉はすべて、使用人任せてしまい 探偵は事件の渦中にいる美女に声をかけ・・・ 感想 探偵の定義は人それぞれで十人十色。 その中の一つに探偵とは「事件を解体する者」 と定義した人がいました(誰かは忘れましたが・・・) なら、推理なんてものは解体のための手段にすぎず 程度の差こそあれ、どんな手段を用いても問題ないはず? 今作で登場する探偵は、自らの特権を活用し警察から情報を得て しもべ達に推理をさせ、見事に事件を解体します。 その姿は可笑しくもあり、今までにあれやこれやで ミステリーにおける探偵像に揺さぶりをかけてきた作者の 企てが炸裂します。 ところで話は脱線しますが、巨万の富を得た経営者の逸話で 専門家と呼ばれる人種に詰め寄られた際の話がありました。 『こんな問題を知っていますか?』 『いえ、知りません」 『あなたはなんて無知な人だ。こんな人が企業のトップですか』 そこで経営者は電話をかけ、受話器を専門家に手渡します。 『私のコンサルタントがその問いに答えてくれるでしょう』 高貴な趣味で探偵を行う貴族と、経営者では立場が違いすが ちょっとした共通点があり、面白いと思いました。 読んでからの一言 探偵なんてものは、趣味でやるくらいでちょうどなんでしょう。 | ||||
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『あなたがやる(推理する)のではないんですか?』 作中人物のこの台詞とそれにつづく 『どうしてこの私が推理などという面倒なことをしなければならないんだ。雑事など使用人にまかせておけばいいんだよ』 という(何と探偵の!)言葉にこの作品の歪みのすべてが集約されている…のでしょう。 「探偵」と「事件」との関係のある意味での極地なのでしょう。同氏の木更津悠也やメルカトル鮎シリーズとはまた違った探偵像がえがかれます。 収録されているのは『ウイーンの森の物語(原題、貴族探偵)』『トリッチ・トラッチ・ポルカ』『こうもり』『加速度円舞曲』『春の声』の5作品。 探偵の「まともでなさ」にひきかえ、これらの作品は憎らしいほどに論理的で端正な本格推理短編集で、そのガチガチ具合は同氏による短編集『名探偵木更津悠也』(光文社文庫)にも匹敵すると思います。 ストーリー的にいままでの木更津シリーズやメルカトルシリーズを上回るかと言われれば微妙な所かと思われますが、何と言っても5年振りの新刊、1作1作非常に楽しんで読むことができました。本作も及第点どころか充分に満足のいくレベルであるのに微妙だと言ったのは、それほどまでに先行する作品がハイレベルだったということです。 ファンの方にはもちろんおすすめですが、同氏の作品を読むのはこれが初体験である方は、まず先行する他作品を読まれたらより良いのではと思います。 | ||||
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『あなたがやる(推理する)のではないんですか?』 作中人物のこの台詞とそれにつづく 『どうしてこの私が推理などという面倒なことをしなければならないんだ。雑事など使用人にまかせておけばいいんだよ』 という(何と探偵の!)言葉にこの作品の歪みのすべてが集約されている…のでしょう。 「探偵」と「事件」との関係のある意味での極地なのでしょう。同氏の木更津悠也やメルカトル鮎シリーズとはまた違った探偵像がえがかれます。 収録されているのは『ウイーンの森の物語(原題、貴族探偵)』『トリッチ・トラッチ・ポルカ』『こうもり』『加速度円舞曲』『春の声』の5作品。 探偵の「まともでなさ」にひきかえ、これらの作品は憎らしいほどに論理的で端正な本格推理短編集で、そのガチガチ具合は同氏による短編集『名探偵木更津悠也』(光文社文庫)にも匹敵すると思います。 ストーリー的にいままでの木更津シリーズやメルカトルシリーズを上回るかと言われれば微妙な所かと思われますが、何と言っても5年振りの新刊、1作1作非常に楽しんで読むことができました。本作も及第点どころか充分に満足のいくレベルであるのに、それほどまでに先行する作品がハイレベルだったということです。 ファンの方にはもちろんおすすめですが、同氏の作品を読むのはこれが初体験になる方は、まずは先行する他作品を読まれたらより良いと思います。 | ||||
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