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ストロボ
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ストロボの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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フリーカメラマン喜多川光司のカメラ人生を年代を遡りながら描いた作品。 各章で女性が重要な役割を果たしていると同時に、各章の結末の記述が素晴らしく感動した。 一般文学通算2406作品目の感想。2020/06/15 15:30 | ||||
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カメラマンの世界を入念に取材して書いたものと思われる。専門性が随所に見られ、わくわくした。 物語そのものに新鮮度はないが、文章力と構成力でどんどん引っ張っている感じ。 現代から学園紛争当時にまで遡る話だが、その時代の「熱」を巧く表現していると感じた。 真保裕一の映画化された作品などは、企画性が鼻について、小説としては軽い感じを受けるが、この当時の真保裕一は紛れまなく「作家」であったと思う。 | ||||
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カメラ好きにとっては胸が熱くなるような場面が多く、おもわずカメラを持って出かけたくなるような、あるいは家族の写真を撮りまくりたくなるような、そんな小説だった。 著者が後書きで述べているように、ちょっとしたミステリ要素もあり、カメラにあまり興味がなくても充分に楽しめる内容でもある。 | ||||
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年代を遡っていく連作短編集ですが、あとがきを読んで、ただ遡っていくだけではないとわかり感動しました。 でも、もう少し説明が欲しかったので、星1つマイナス。 | ||||
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短編集としても楽しめ,長編としても面白い。 構成については,著者もあとがきで書いているように,いろいろと論議を呼ぶところではあると思うけれど,それぞれの時代がとてもリアルに飛び込んでくる。 自分も,主人公の年齢になると,このような情景を思い浮かべれるだろうか? たまには,こういうのもいいかもしれない。 | ||||
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20歳台の熱さ・無鉄砲さ・体力は、いつの間にか衰えてくる。金はあるが時間と体力と気力が無い。経験値は上がるので何かと器用にこなすことだけはできる。この作品は逆の時系列で記述することで、その思いが強くなっている。誰もが「俺も昔は」とか「こんな夢があったのに」とか、いろいろな想いを持ちながら生きている。もし自分の人生をこんな形で小説にしたら、すごく悔しい想いばかりになるかもしれない。 | ||||
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美しいストーリー。 この人の作品はもう、奪取が最高傑作だと信じているのでそれ以上の点数は付けられないが、 丁寧で美しい、仕立ての良い作品だと思った。 逆に手繰るエピソード。ひとつひとつのエピソードの輝きがいや増す。 丁寧な傑作。本当に素晴らしかった。 | ||||
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個人的に真保作品のベスト2! ある有名写真家の人生を50歳から22歳までを 写真を軸にしたストーリーで遡るかたちで描いた作品 なのだが、とにかくおもしろい!! 紹介されるときに、第五章からはじまり第一章で終わる 構成のおもしろさを取り上げられることが多いが、 それよりも、一枚の写真に込められたそれぞれの想いに 胸が熱くなる。 なかでも、「第5章 遺影」は、読み返すたびに 涙が止まらない。 | ||||
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真保 裕一の持つ独特のスピード感を感じさせない始まりかと思い気や、人の微妙な感情やあっと言わせる人の秘密が要所、要所にちりばめられていて読んでいて飽きることがありません。50代、40代、30代、20代とそれぞれの時をカメラ、女性、友人の思い出を鮮やかに切り出している。出てくる人はそれぞれ身勝手かと思いきやそれぞれの愛によって身勝手に見えていただけ、というお話で読後感も心地よいです。 | ||||
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真保裕一さんの作品は好きですが、短編作品だけは敬遠していました。真保裕一さんの真髄は長編だと思っていたからです。しかし、友人の評判を聞き読んでみたところ、今まで読まなかったことを後悔しました。多くの本を読んでいると、自分の人生観を変えさせられるほど、影響力のある作品に出会うことがありますが、その中でこの作品がそれにあたります。読み終えたときの高揚感。巧みに構成された物語。魅力ある登場人物たち。個人的な感想としては不満な点が思い当たりません。短編作品だからこその素晴らしい作品です。真保裕一さんのファンなので偏った評価になっているかもしれませんが、真保裕一さんの作品の中で好きな作品をあげろと言われたら「ストロボ」はまず入ると思います。 | ||||
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小役人ものを書いたスピーディーなミステリとはまた趣向が違う。トライアルとも違う短編集。やけにしんみりさせられるのは気のせいではないだろう。 本作は五章構成になっている。連作集というのは現在から見たものを集めて書くものだと思っていたが本作は違う。あとがきによるとそうとも言えないのだが、本作は第五章で50歳、そこから22歳まで遡るという異色の形式をとっている。力作だと、まず言っていいか。 主人公はフリーカメラマン喜多川光司第五章遺影はラストシャッター。最後の最後に見せる顔は。第四章暗室は昔喜多川に憧れていたハルミの話。彼女が山で撮った写真は、壮絶すぎるもの。第三章ストロボは友人の黒部と。第二章一瞬は昔の恋人美佐子と。ラストを飾るのは卒業写真。喜多川いとって、本作にとって重要シナリオとなっている。ベストかもしれないな。 写真に打ち込むのは何故だろう。何故そこまで写真が好きなのか。喜多川にとってそれをとくためのストーリーがこれ。特に暗室や一瞬、卒業写真と言った酷く思い入れの残るシナリオは欠かせない。 ただのサクセスストーリーというのは惜しすぎる。これは喜多川光司という存在のヒストリーだと思う。何故美佐子と別れたのか。彼女の存在の意味は。ハルミは何故そこまで写真にこだわったのか。全てのストーリーには刻まれた喜多川の歴史がある。 一作読むごとに手を休めた原因はなんだっただろう。しーんみりとして落ち着きたかったのかな。基本的に一気に読める真保らしいところはここでも十分に発揮されていると思う。ミステリーじゃないが個人的にお薦めできる。 | ||||
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新保裕一氏の小説の主人公は地味な職業、設定の人物が多い。いわゆる「小役人シリーズ」と呼ばれるくらい定着している。その中でカメラマンを題材にした本書は、何をする職業か明確でありながらも興味がわかずに手に取らなかった一冊でありました。(ちなみにその他のものはほぼすべて読んでいます)加えて50代から20代まで主人公の過去を遡る手法にいまいちピンと来なかったのです。出張先での雪害のため列車のダイヤが乱れたために時間つぶしにと思いやっと手に取った本書。第五章から始まり、第一章で完結する作り。第五章・・・「ふ~ん」第四章・・・「ほほう」第三章・・・「ううっ」第二章・・・「ぐぐっ」第一章・・・「ふ~っ」よくわからない擬音ばかりでスミマセン。何が言いたいかというと、読み進めるに連れてのめり込みと心への訴えかけが凄いのです。もちろん現在の自分と主人公のジェネレーションには違いがあります。しかし、ひとつの仕事を巡る自分の情熱、取り組み方など、もしかしたら忘れかけていたり、妥協したりしていたかも・・・と初心を思い起こさせてくれました。そして何より、「妻」の存在。その時々の「女性」の存在。男というのはつくづく女に翻弄されつつも守られていく生き物なのだな、と思いました。読後、何とも言えない暖かい気持ちになります。 | ||||
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50代から始まって40代・30代・20代とさかのぼっていく構成。50代でどうなっているか読んでいる状態で年代を遡っていくというのは面白いと同時に自分にも重なってくるようで考えさせられます。理想に燃えていた若い時の考えもいつしか妥協や安定に取って代わる。一気に読めます。各時代での恋愛や死。妻との関係。さかのぼって読む事でこの面白さがでるんでしょうね。でも、妻が少しかわいそうな気がするのと男ってやっぱり身勝手でわがままなもんですね。 | ||||
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作者の技量の結実した作品集真保裕一の作品は大別して二種類に分けることができる。「ホワイトアウト」「奪取」「小役人シリーズ」に代表される、ミステリー性の高い作品、そして「奇跡の人」「発火点」に代表される、ベースにミステリー性はありながら、主人公の成長を描いた作品である。エラリー・クイーン藤子不二雄や岡嶋二人のように二人の作家がいるのではないか?などとくだらないことを考えたくなるくらい、はっきりと色分けされている。本作品は、後者に属する短編集であり、既にカメラマンとしての地位を得た喜多川の人生を50歳・42歳・37歳・31歳・22歳という順で振り返る作品である。なぜ、22歳から成長を追うのではなく、50歳からはじまるのか。この答えは作者自身による「あとがき」!に記載されている。決して先には読まないようにご注意いただきたい。この作品は、評価が分かれると思う。おそらく女性にとってはつまらない小説なのではないだろうか。しかし、30~50代の男性にとってはたまらない作品集である。この条件に該当する方にとっては、514円は安い!おすすめである。 | ||||
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真保さんの真骨頂とも言える様々なプロットがやがて一つの形をなしていくストーリー立てが『ストロボ』でもいかんなく発揮されています。50歳代・40歳代・30歳代・20歳代と主人公喜多川のカメラマンとしての人生の軌跡が時間の巻き戻しという手法で各プロットを成しており、それぞれの中に真保さんらしい謎ときミステリー仕立てになっている。読み方によっては恋愛小説とも言えるのですが全章を通して読んだ後に全体に流れるテーマが謎解きのように現れてきます。そうした意味から読後にじわぁ~っといろんな想いが頭をよぎる、そんな小説と感じました。大好きな真保ワールドとして〝さすが!〟と唸らせてくれる作品です。 | ||||
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芸術家とは如何にあるべきかを、読者に構えさせずにさりげなく問う作品。遺影」「暗室」「ストロボ」「一瞬」「卒業写真」の五編からなる連作小説集。カメラマン喜多川の人生を22歳、31歳、37歳、42歳、50歳という年齢で区切り、各時期で流されていく人間の弱さ、そしてそれに棹差す人間の気高さを描いている。人の死を前にして、芸術家は単に芸術家に過ぎないのか、それ以上の人間としてあるのか。 ともかく、構成が上手く、メモを取ろうと目次をみて愕然。そうか、こういう仕組みかと納得。本を片手に何度も肯いてしまう。「慣れと計算と年期で仕事をした10年、代わりに失っていくもの」「昔と変わらぬ情熱」などという文字に、自分の仕事への姿勢を思い、省みざるを得なくなる。単に、人間の感情だけはなく、社会人としての仕事や芸術家としての誇りを描いたために、物理的なボリューム以上に重厚な作品になっている。 江戸川乱歩賞作「連鎖」など社会派の作家として出て来た時は、どちらかと言うと理知的な作風という印象だったが、「トライアル」で小説作りの腕をあげた。今回は、泣かせるだけでなく、さらに人間のあり方を深く考えさせる作家になってきた。「奇跡の人」や「ホワイトアウト」で評価を固めた人だが、僕はそれらを評価しない。人間の掘り下げが甘いし、本当の罪とはという問いかけの部分で安易な部分があるからだ。しかし今回の「ストロボ」には文句の付けようが無い。芸術だけではなく人生について考えるには絶好の一冊だ。 | ||||
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作者4冊目の短編集で、第123回直木賞(なかにし礼が受賞)にノミネートされた連作短編集である。主人公は、富と名声を得たカメラマン、喜多川光司である。彼の半生をフィルムを巻き戻すがごとく現在から過去へ遡り、主人公に訪れた人生の転機を鮮やかな写真とともに描き出す。栄光と挫折、苦悩。並べられた5つの短編は、収録順だけでなく「小説新潮」への発表年を見ると執筆順も年代を遡ってのようだ。50歳(現在)の「遺影」(1998年7月号)から始まり、42歳の「暗室」(1999年1月号)、37歳の「ストロボ」(1999年7月号)、31歳の「一瞬」(1999年10月号)、22歳の「卒業写真」(2000年2月号)である。 1998年といえば、作者にとってはそれぞれ10冊、11冊目の単行本『密告』『トライアル』と二冊上梓された年だ。1995年の『ホワイトアウト』で注目され、1996年の『奪取』で評価は確定的なものとなり、その後『ボーダーライン』で直木賞にまでノミネートされる。年齢は違うものの、この作品集の主人公、喜多川光司と似たような状況下にあったのでは、と容易に推測できる。そう考えると、ミステリとはかけ離れたこの内省的な作品集にも違った意味が見えてくる。邪推といえば邪推なんだけど、作者真保裕一自身を喜多川光司に重ね合わせているのは否定できないでしょう。そういった意味では、作者がもう一度原点に帰ろう、というか、表現者としてのストレートな気概というか意気込みが見えて、とても気持ちの良い作品集だった。 そんな邪推は置いておいても、実に見事な作品が並んでいる。一番出来が良いのは『一瞬』だろうか。一面しか見ていなかった先輩カメラマン、揺れる女心、これらに一大転機となった写真を撮るまでの、表現者としての気持ちが重なり合って見事なドラマを生んでいる。次いで『ストロボ』『遺影』あたりだろうか。表現者としての苦悩に、夫婦愛や友情を絡めて、作者以前に作品には見えなかった深みが備わったように思える。言い方を帰れば作家的な円熟期を迎えつつあるような印象。浪花節が露骨過ぎたり、相変わらず女性を描くのが下手だったりするのはご愛嬌としても、もしかしたら、作者はホントに大きな転機を迎えているのかもしれない。作品に対する姿勢というか取り組み方というか作風というか。 すでに2年ご無沙汰の長編はどうなったのだろう。アナウンスされて久しいあの長編は? きっと改稿に改稿を重ねているのでしょう。もし、ぼくの推測が当たっていれば、次回の長編は、『ホワイトアウト』や『奪取』とは趣向の異なる、真保裕一の最高傑作になるような気がするのだが。期待しちゃいますね。 | ||||
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