繋がれた明日



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初公開日(参考)2003年05月
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長編小説

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繋がれた明日 (新潮文庫)

2008年07月29日 繋がれた明日 (新潮文庫)

あの夏の夜のことは忘れられない。挑発され、怒りに駆られてナイフを握った。そして一人の命を奪ってしまった。少年刑務所から仮釈放された、中道隆太。彼は人間味溢れる保護司に見守られ、不器用ながらも新たな道を歩みだしていた。その矢先、殺人の罪を告発するビラが撒かれた。誰が?何のために?真相を求め隆太は孤独な旅を始めたのだが―。深い感動を呼ぶ、著者の代表作。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

繋がれた明日の総合評価:7.20/10点レビュー 41件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

罪を償うことの難しさ

週刊誌の連載に加筆修正した長編小説。少年犯罪をテーマに、加害者と被害者の関係性、罪と罰、更生するとはどういうことかを追求したサスペンス作品である。
19歳のとき、自分の恋人につきまとうチンピラを追い払おうとして喧嘩になり、護身用に持っていたナイフで刺殺してしまった中道隆太。5〜7年の不定期刑を受けて少年刑務所に服役し、6年が過ぎた26歳で仮釈放された。刑期満了までの11ヶ月間は保護観察下に置かれることになり、保護司の大室、解体工事業者の黛などにサポートされながら、解体現場での仕事とアパートでのひとり暮らしを始めることになった。何とか自力で立ち直ろうとしていた隆太だったが、一週間もしないうちに昔の遊び仲間が現われ、さらには隆太の写真と罪状を記載したビラがアパートの周囲や、離れて暮らす母と妹の住まいの周辺にまでバラまかれた。誰が、なぜ、隆太の更生を邪魔しようとするのか? 事態の深層を探るために動き出した隆太は、周囲の善意と悪意に遭遇するたびに悩みながら、怒りながら、自分の罪と罰について考え続けざるを得ないのだった。
罪を犯した者は服役という罰を受けても許されないのか? 少年が更生するとは、どういうことなのか。加害者が「被害者にも落ち度があった」と思うのは卑怯なのか・・・。永遠に答えが見つからない問題を自問自答する若者の苦悩がメインの物語。従って、同じような内面描写が何度も何度も出て来るため、文庫で500ページの長さがやや冗長に感じられる。しかし、物語の構成、エピソードの面白さ、ストーリー展開のテンポはレベルが高く、サスペンスに満ちたエンターテイメント作品に仕上がっている。
ミステリーというより社会派サスペンス作品として読むことをオススメする。

iisan
927253Y1
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.40:
(4pt)

怒りや非難をぶつけるというプロセス

主人公は人を殺したが、主人公にも言い分がある。相手は主人公の恋人に言い寄っており、それを止めさせることが目的であった。相手から先に手を出してきた。しかし、警察は主人公の主張をほとんど無視した。

主人公のような事情がある場合に、現実世界の世論は主人公に厳しくなるだろうか。住宅地でバーベキューをした人が殺された事件があったが、ネット世論は住宅街でのバーベキューは迷惑で煩いと、バーベキュー公害に苦しむ犯人に同情的であった。

一方で主人公は半グレ・ヤンキー的な生活をしていた。この点は、あまり同情しにくい。そこからの脱却は良いことである。

本書は被害者遺族の置かれた悲惨な状況が描かれる。焼け野原から経済大国にしてしまう前に進むことしかできない姿勢を美徳とするような風潮は苦しむ人を苦しめるだけである。日本は被害者の権利が認識されるようになったと言っても、被害者に道徳的に高次の振る舞いを要求する傾向はある。しかし、怒りや非難をぶつけるというプロセスが有益である。それがなければ本書が結末を迎えることはなかった。
繋がれた明日Amazon書評・レビュー:繋がれた明日より
4022578386
No.39:
(4pt)

司法制度の矛盾

神保裕一『繋がれた明日』(朝日新聞社、朝日文庫)は殺人を犯した者を主人公としたサスペンスである。主題が犯罪者の更生か、事実に反する証言が採用されるなど司法制度の矛盾を明らかにすることか、出所者を追い詰める正体を明らかにすることか、最後になるまで着地点が見えなかった。さいたま市立桜図書館の書籍を読んだ。

仮釈放後の主人公は様々な矛盾に直面する。謀略や憎しみが赤裸々に渦巻いている。やはり警察の人権侵害が最大の矛盾である。主人公が怒ることは多いが、怒りの優先順位をつけるならば警察権力とならないか。

「顔の前で怒鳴っていた警官はもう姿が見えなかった。大声で正義を振りかざしておきながら、立場が悪くなると姿を隠す」(209頁)
「法律では黙秘権が正当な権利として認められていながら、彼らは生意気なやつだと怒りをむき出しにして怒鳴った。金槌でたたき続ければ、固く口を閉ざした貝だろうとこじ開けられると信じるかのように」(229頁)
繋がれた明日Amazon書評・レビュー:繋がれた明日より
4022578386
No.38:
(4pt)

罪と罰の重さを考えさせられる作品。

若さゆえの暴走の果てに人を殺めてしまい、その罪と罰にもがき苦しむ様を赤裸々に綴った話。加害者目線だけでなく、被害者目線もしっかりと映し出した描写は秀逸。中盤の冗長さはやや展開の間延び感を出してしまったが、後半からラストに至る怒涛のスパートは読む者を唸らせた。最後は感動させられた。
罪と罰の重さを改めて考えさせられる作品。
繋がれた明日Amazon書評・レビュー:繋がれた明日より
4022578386
No.37:
(4pt)

重いテーマ

若気の至りで人を殺めてしまった主人公が約6年の服役を終えて仮出所し、周囲の人々の助けを得ながら更生の途につきますが、主人公の過去を暴露する悪質なビラが配られたり、執拗な嫌がらせが主人公の家族に加えられたりといった事件が起きます。

この作品で読者に突きつけられる課題は、加害者の更生を考えるのか、永久に返ってこない被害者を悼む人達の気持ちを考えるのか、どこに正解があるのかといった重いテーマです。読者それぞれが色々と思うところがあると思いますが、結局絶対唯一の正解など存在しない問題でしょうし、読了後にも考えさせられるなぁという余韻が残ります。

読んでいる最中に余りにも悲劇的な結末が予想されて悲しい気持ちで読んでいましたが、割合後味の良い結末でほっとしました。
繋がれた明日Amazon書評・レビュー:繋がれた明日より
4022578386
No.36:
(4pt)

罪を背負った人間と支える人間、それぞれの美しさ

よかった。何がって主人公のジメジメ感が。
若者特有の鬱屈が、人を刺し殺すという部分で表出してしまったわけだけど、これは特別な人間の物語じゃなかった。

誰しも、若い自らを過信し行き過ぎた行動に出ることはある。
それが、重い十字架を背負うことは稀だが、まれにそうなってしまう事がある。
殺人という罪は、救いがない。未来がない。人を殺すことは、殺人者と被殺人者だけの問題ではないのだ。
むしろ、その周りにいる人間に与える波紋がすさまじい。
生きているそのことだけで罪を問われる人間になってしまう怖さ。
しかし、そんな身分に落とされた人間の再生に携わるあらゆる人間が私は美しいと思った。

また、到底持てない荷物を引きづりながら、一生歩いて行こうと決意する人間もその罪はとりあえず置いといて美しいと思う。
繋がれた明日Amazon書評・レビュー:繋がれた明日より
4022578386



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